原神詳しいわけじゃない上に神の目も無いけどそれでも可愛い女の子を守りたい   作:あんに

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偵察騎士日記: 蛍

アンバー「セイ、ま〜た私のお胸見てたよ」

 

セイ「うえ!!?き、気の所為だよ」

 

アンバー「ふ〜ん?誤魔化すのへっただなぁ」

 

セイ「ごめん………アンバーが魅力的すぎるからさ」

 

アンバー「ふ、ふーん///」

 

セイ「直さなきゃダメだよね………直すから」

 

アンバー「……わ、私のお胸見て他の人のを我慢出来るなら………毎日見ても良いよ」

 

セイ「本当!!?じゃあ我慢するから見たい!!」

 

アンバー「……もう変態だなぁ♡」

 

 

 

 

 

アンバー「っ……」

 

小鳥のさえずりで朝を感じた。………はぁ

 

ベッドを起き上がる。夢とのギャップで途端に無気力になる。けれど頑張って仕度を整える。

 

今日も頑張るから、見ててね……セイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も外へパトロールしに出かける。近頃は龍がモンドを荒らし回っていて危険だ、見かけたら報告しないと。

 

「この先にモンド城が有るぞ」

 

子供の声だろうか?聞き慣れない声がする。知らない人物には注意しないと

 

アンバー「ちょっと待った!!」

 

走って追いつき二人組の前に立つ。

 

アンバー「風神のご加護があらんことを……偵察機士アンバー参上!!」

 

2人は驚いて目を見開いている。一人は赤子のような大きさの白髪の子、宙に浮いている。もう一人は金髪で白いドレスに身を包んでいる子。

 

アンバー「身分を証明できるものを見せて」

 

「お、オイラたちは怪しいものじゃないぞ!」

 

アンバー「怪しい人はみーんなそう言うのよね」

 

蛍「こんにちは、私は蛍」

 

アンバー「……そっちのマスコットは?」

 

蛍「これは非常食」

 

非常食ってなに!?食べるの??

 

パイモン「オイラは非常食じゃない!!パイモンだ!!」

 

アンバー「ふーん、まぁ旅人だよね。近頃は大きな龍が出没しているから速く城に入った方が良いよ」

 

蛍「わかった」

 

アンバー「案内してあげる、着いてきて」

 

怪しいから野放しにしておくより手元に置いておく方がいいよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いていると、聞き覚えのあるあんまり聞きたくない声が聞こえた。奴らが踊っている。

 

アンバー「ヒルチャールの巣か」

 

ちゃちゃっと片付けちゃうか

 

蛍「手伝う」

 

アンバー「本当?戦えるの?」

 

パイモン「蛍!見せてやれ!」

 

蛍がヒルチャールに斬りかかった。私は後ろから矢で援護する。

 

剣の扱いが手慣れている……流星のような剣捌き。それに……風の元素を扱っている、こっちはまだ不慣れなようだ。

 

ほとんど蛍が一人で制圧してしまった。強い……

 

剣を納めた蛍に呟く。

 

アンバー「……なんでそんなに強いの?」

 

蛍「いっぱい戦ったから?」

 

パイモン「なんでお前が疑問形なんだよ」

 

私も……あなたみたいに強かったら…………

 

アンバー「神の目……持ってるんでしょ」

 

首を左右に振っている。どういうこと?

 

パイモン「コイツはな、神の目無しで元素力を扱えるんだ」

 

アンバー「え?」

 

確かに蛍には神の目が見当たらない。

 

蛍「うん」

 

神の目が無くて、こんなに強いの………まるで

 

 

 

『アンバー』

 

アンバー「ッ!!!」

 

頭痛で頭を抱えてしゃがんでしまう。

 

パイモン「アンバー!!大丈夫か!!?」

 

蛍「大丈夫?」

 

二人とも良い子だな……ほんとに

 

アンバー「大丈夫……だよ、すぐ治る……から」

 

私は大丈夫……ただ似てるだけ………セイじゃない……

 

収まったのを確認してゆっくり立ち上がった。

 

アンバー「ごめんごめん、もう大丈夫だから、行こっか」

 

パイモン「無理すんなよ……?」

 

パイモンと蛍心配してくれてるようだ。笑顔を返しておいた。

 

きっと、この子達は良い人達だ。そう警戒する必要も無いだろう。

 

アンバー「モンドの魅力いっぱい教えてあげるんだから」

 

 

 

 

 

 

 

モンド城へと入った。

 

アンバー「ねぇ蛍、ヒルチャールの巣を片付けてくれたお礼をあげるね」

 

パイモン「オイラには無いのかよ!!」

 

アンバー「パイモンにはモンドの料理をご馳走してあげるよ」

 

パイモン「モンド料理!!えへへ」

 

パイモンが目を輝かせている。

 

アンバー「はい、どうぞ!」

 

風の翼を両手で抱えて蛍に手渡す。

 

蛍「これは……?」

 

アンバー「風の翼、空を滑空することができるんだよ。試してみるのが早い!!ゴーゴー!!」

 

蛍の背中を押して急斜面の手前に立たせる。

 

パイモン「落ちちゃうぞ!!」

 

アンバー「風の翼を開いたら大丈夫だって」

 

蛍が意を決して飛んだ。

 

風を受け流す音とともに風の翼が開いた。無事滑空できているようだ。

 

アンバー「………上手」

 

パイモン「なんだよその嬉しいような嬉しくないようなよくわからない顔は」

 

蛍は………上手なんだね

 

 

 

『あー!!そっちじゃないよー!!!!!』

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンバー「じゃあお二人にはモンド料理、ニンジンのお肉のハニーソテーをご馳走しましょう」

 

パイモン「おほほほう!!待ってました!!」

 

蛍「ありがとう」

 

3人で歩こうとすると

 

アンバー「………風」

 

強い風が吹いている。

 

「グオォォォォォォ!!!!」

 

風魔龍がモンド城の建物を破壊していた。

 

竜巻がいたるところで吹き荒れている。

 

アンバー「くっ!!逃げるよ!!」

 

蛍「うん!」

 

3人で走って竜巻の起こっていない安全なところへ走る。しかし、

 

蛍「ッあ!!」

 

蛍が新たに起こった竜巻に巻き込まれた。蛍に手を伸ばすが届かない。

 

アンバー「………あ」

 

 

 

『バイバイ』

 

アンバー「……っうああ!!!」

 

蛍の脚に飛びついた。ともに竜巻に巻き込まれて上空へと放り出される。

 

アンバー「蛍!!風の翼!!」

 

蛍「う、うん!!」

 

蛍が風の翼を展開したことを確認して、離れて自分も風の翼を開いた。けど、おかしい……

 

パイモン「風の翼ってこんなに滞空出来るものなのか?」

 

「落ちないように、ボクが千年の流風に助けて貰ったんだ」

 

パイモン「だ、誰の声!!?」

 

「想像してみて、この雲を突き破るように風を集中させるんだ」

 

蛍が理解したかのように風元素の力を手元にため始めた。

 

私も炎元素の力をためるけれど、蛍の風元素の方が強力だ、何かに力を支援されているように感じる。

 

風魔龍がすぐそばを通っていった。

 

蛍が龍を風元素を弾として撃ち始めた、私もそれに倣って炎元素を撃つ。

 

風元素と炎元素が合わさることでオレンジ色の竜巻が起こった……拡散反応だ。

 

「グオオオオオ!!!」

 

龍が苦しみながらコチラへ突進してくる。

 

パイモン「ひぇぇ!!!逃げろ!!」

 

このままじゃ蛍は…………

 

バッ

 

蛍を押した。

 

蛍「っ!」

 

風魔龍がすぐそばを通り過ぎていく……右腕を掠った。

 

掠っただけと言えど……巨大な龍の重量で掠ってしまえば

 

パイモン「………あ」

 

わたしの右腕はあらぬ方向を向き、骨が露出している。

 

蛍「あぁ……そんな」

 

蛍がコッチに手を伸ばそうとしている。

 

アンバー「わたしは……良いから……倒して」

 

血がたくさん垂れるが気にしない……このぐらいじゃセイの受けた苦しみの半分にもならない。

 

蛍「……分かった」

 

蛍が射撃を再開する。わたしも片手で炎元素を射出する。

 

龍は苦しみながら何処かへと飛んでいった。

 

わたし達を滞空させていた力も無くなり、モンド城の風神像広場へと戻ってきた。

 

パイモン「い、医療施設は何処だ!!?誰か!!」

 

蛍「歩ける?」

 

アンバー「へーき、へーき」

 

本当は平気じゃないけど、これぐらいでへばってたらダメだ。

 

アンバー「一人で行けるから……大丈夫」

 

パイモン「そんな訳無いだろ!!」

 

蛍「ついていくから、何処?」

 

優しいな………

 

パチパチと拍手の音が聞こえる。ガイア先輩が歩いてきた。

 

ガイア「巨龍を退ける力を持っているのか、素晴らしいな」

 

蛍「……あなたは?」

 

パイモン「………」

 

パイモンは喋れないでいる。多分……

 

ガイア「で?お前らがアンバーをこんなにしたのか?」

 

すっごいガイア先輩怒ってるから

 

パイモン「ち、違う!!龍にやられたんだ!!」

 

アンバー「本当だよ、わたしはあの龍の攻撃を避けれなくて……ドジしちゃった」

 

少し笑ってみせる。

 

ガイア先輩ははぁ…っと息を吐いて手に持った剣を納めた。

 

パイモン「わかったなら病院に行かせてくれ!!」

 

ガイア「あぁ、わかったよ。それと、アンバーを送り届けたら西風騎士団本部まで来てほしい、君たちにジン代理団長が会いたいとさ」

 

蛍「……分かった」

 

わたし達は教会へと足を進める。

 

 

 

ガイア「セイヘン………恨むぞ」

 

ガイア先輩か何かを呟いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛍「あの時押されてなかったら、私がこうなって……ううんもっと酷いことになってたかも……本当にありがとう」

 

パイモン「ごめんな……」

 

わたしは教会の医療ベッドで寝ている。

 

アンバー「気にしないでよ、すぐ治るよこんなの」

 

扉が開いた。バーバラが医療器具の入ったトレイを持って入室する。

 

バーバラ「あら、貴方が噂のアンバーと龍を追い返してくれたって言う旅人さん?」

 

パイモン「そうだぞ」

 

蛍「うん」

 

バーバラ「後は私が診るからジンの元へ行ってきたら?呼ばれてるんでしょ」

 

パイモン「そうだな……行こうか蛍」

 

蛍「うん……ごめん、行くねアンバー」

 

アンバー「気にしないで、行ってらっしゃい」

 

パイモン「またすぐお見舞い来るからな」

 

アンバー「うん!」

 

無事な左手で手を振って見送る。

 

バーバラ「優しい人達だね」

 

窓の外で走り去って行く彼女らを眺める。

 

アンバー「……うん」

 

カタンとトレイを机の上に置いた。

 

バーバラ「セイのフリ、してるつもり?」

 

アンバー「っ」

 

…………

 

バーバラ「ワザと深手を食らったでしょ?そんなことしてもセイは帰ってこないよ」

 

アンバー「……そんなことない」

 

バーバラ「飛行大会を数年間ずっとチャンピオンに輝いているあなたがそんなヘマするとは思えないけど」

 

アンバー「………」

 

バーバラが伏し目になって呟いた。

 

バーバラ「……セイが悲しむよ」

 

ダンッ!!!!

 

そばの机を強く叩いた。

 

アンバー「煩い、セイを語らないで」

 

バーバラ「………右腕、見せて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療を受けて一日経つとモンドの周りを覆っていた強風が無くなった。

 

パイモン「オイラ達が3つの神殿を制覇して打ち消してやったぜ!」

 

パイモンが胸を張っている。

 

蛍「リサとガイアが協力してくれた」

 

パイモンと蛍ちゃんがお見舞いに来てくれた。

 

アンバー「凄い!凄いよ!!わたしも手伝ってあげたかった」

 

パイモン「オイラ達は最強だからな!!アンバーは腕を治すのに集中しててくれ」

 

蛍「パイモン何もしてないじゃん」

 

パイモン「お、オイラはフレー!フレー!って応援をすることで士気をあげていたんだ」

 

蛍「……いらな」

 

パイモン「ムカーッ!!」

 

アンバー「ふふふ」

 

2人の漫才みたいな会話に笑みがこぼれる。

 

蛍「後は風魔龍をなんとかしないと」

 

パイモン「あの龍だよな……緑の男の子が何か知ってそうだったけど」

 

アンバー「緑の男の子?」

 

パイモン「そう、龍と話してた男の子が居たんだ……えっと、三つ編みでマントを付けてた。」

 

あれその人……

 

優しいライアーの音が脳に響いた。

 

アンバー「その人分かるかも」

 

蛍「ほんと!?」パイモン「ほんとか?」

 

アンバー「連れてってあげる……もう怪我も治ったから」

 

パイモン「無理すんなよ?」

 

アンバー「大丈夫!!元気いっぱいアンバー出動!!」

 

 

 

 

 

いつも吟遊詩人のいる風神像前に2人を連れて行く。やはりそこではいつも通り吟遊詩人が詩を歌っていた。

 

アンバー「やっぱり」

 

パイモン「ほんとに居た!!」

 

3人で吟遊詩人の近くへ歩く。

 

「おや、そこの2人は前あったね。久しぶり」

 

蛍「風魔龍について何かしらない?」

 

「なるほど、それを聞きに来たってわけか。もちろん知ってるよ」

 

パイモン「教えてくれ!」

 

「その前に自己紹介……モンド城で愛されている吟遊詩人3期連続優勝したウェンティだよ」

 

パイモン「オイラがパイモンでコイツが蛍、この赤いやつがアンバーだ」

 

蛍「うん」

 

アンバー「よろしくね!吟遊詩人さん!」

 

ウェンティ「じゃあ詩を一つ歌わせてもらおうかな」

 

彼はライアを弾き始めた。……優しい音色

 

ウェンティ「ボクが話すは古のはじまり」

 

それからの内容を要約すると龍は悪竜との戦いで毒に蝕まれ、やがて人からも嫌われ悲しみに包まれたという内容だった。

 

蛍「これが……風魔龍の」

 

パイモン「可哀想だぞ……」

 

アンバー「……」

 

コレが本当かは分からないけれど、妙に現実味のある詩だった。

 

蛍「そういえば……これ」

 

蛍が何か取り出した……雫の形をした結晶?

 

パイモン「あれ……色が変わってるぞ!」

 

ウェンティ「彼の涙が浄化されてる……?」

 

吟遊詩人がその結晶を興味深そうに見ている。

 

ウェンティ「ボクも持ってるんだ。浄化をお願い出来ないかな?」

 

蛍「やってみる」

 

ウェンティが懐から赤色の涙の結晶を取り出した。

 

ウェンティ「優しい子だったのに今はこんなにも怒りに満ちてしまった」

 

蛍がウェンティから結晶を受け取った。彼女が赤い結晶を握ってしばらくすると、結晶は澄んだ水色になった。

 

アンバー「……凄い」

 

ウェンティ「君のような特別な存在は見たことが無いよ」

 

ウェンティが考える素振りをした。

 

ウェンティ「君ならば……トワリンを救えるかも知れない」

 

パイモン「トワリン?」

 

ウェンティ「みんなの言う風魔龍のことさ」

 

蛍「ずいぶんと親しいんだね」

 

ウェンティ「まぁね……」

 

アンバー「救えるって?」

 

ウェンティ「天空のライアーで彼に呼びかけるのさ、今は西風教会にあるみたい」

 

蛍「それがあれば風魔龍……トワリンを止められるの?」

 

ウェンティ「もちろん!!」

 

怪しい………戯言じゃないだろうか

 

ウェンティ「うん?みんな疑ってるね。ボクの目を見て、みんなを騙しているように見えるかい?」

 

じーーーーーー

 

ウェンティ「まぁまぁ良いから行こう」

 

そう言って彼は教会の方へ歩いて行った。

 

蛍「……」

 

パイモン「ついていくしかなさそうだぞ……」

 

アンバー「ライアーは厳重に保管されてて触るのはすごく難しいって聞いたことあるけど……」

 

しょうがないなあ

 

 

 

 

 

 

 

ウェンティ「ボクは風神バルバトスであるぞ!!」

 

「そうですか、さようなら」

 

ウェンティ「ちょっと!!!」

 

シスターの人にウェンティが声をかけている。でもありゃ無理でしょ……風神様に失礼だし……

 

ウェンティ「ふむ……こうなったら実力行使だ」

 

アンバー「ちょ、ちょっと!!?流石に偵察騎士として変なことは見過ごせないよ!?」

 

パイモン「ウェンティはなんで自分が風神なんて嘘ついたんだ?」

 

ウェンティ「えーと…嘘じゃないよ本当に風神だよ」

 

蛍「そう…なの?」

 

パイモン「しょーこはしょーこ」

 

ウェンティ「ぐぬぬ……」

 

ウェンティ「アンバー!今回だけ見逃して!!」

 

彼は手を合わせて懇願してきた。

 

うーん……いや

 

アンバー「わたしが貸してもらう、それで良いよね?」

 

パイモン「アンバー、貸してもらえるのか?」

 

アンバー「ただ、約束して……これで本当に風魔龍は怒りを収めてくれるんだよね?」

 

ウェンティの目を見つめる。

 

ウェンティ「……約束するよ、風神バルバトスの名にかけて」

 

……よし、分かった。

 

彼女を探そう。

 

 

 

 

教会内を探す……居た。

 

昨日ギスギスした手前話しかけにくいけど……

 

アンバー「ば、バーバラ!こんにちは!!」

 

バーバラ「アンバー、こんにちは。どうしたの?」

 

良かった……怒って無視されるかなとか思ったけど杞憂だった。

 

後ろの物陰で3人がコチラの様子を伺っている。

 

アンバー「その……一つだけお願いがあって」

 

バーバラ「何?私に出来ることだったら」

 

緊張する……深呼吸して要件を切り出した。

 

アンバー「天空のライアーを貸してほしいな」

 

バーバラ「……どうして?」

 

アンバー「それがあれば風魔龍を止められるから、貸してほしい」

 

バーバラ「どうやって止めるの?止められる確証は?」

 

アンバー「……それを使って風魔龍を止められる人が居るんだ、その人は信用出来る……お願い」

 

バーバラ「…………ごめん、貸せない」

 

アンバー「……お願い」

 

頭を深く下げる。

 

バーバラ「……本当にどうしちゃったのアンバー……もうやめようよ……」

 

アンバー「…………」

 

バーバラ「気持ちは分かるよ……私もずっと泣いて……泣いて……なかなか立ち直れなかった……でも、セイは私が落ち込んでいるのを見たくないだろうなと思って頑張って明るく振る舞った。みんな頑張ってるんだよ……セイを失った悲しみを背負おうと。アンバーもそろそろ……頑張ってみようよ」

 

アンバー「……わたしだって……頑張ってるよ」

 

バーバラ「……ごめん、そうだよね……アンバーも頑張ってる……けれど、最近セイの真似をして痛みを和らげようとしてるでしょ……それは、虚しいだけだよ」

 

アンバー「真似じゃ……な」

 

わたしはセイの真似をしていないと断言出来るだろうか……

 

わたしは……自身が怪我をして誰かを助けたこと自体に安心をしていたのでは無いだろうか……

 

バーバラ「一緒に頑張って乗り越えて行こう?きっとセイも応援してくれてるから」

 

でも……

 

アンバー「セイとは関係無いんだ……ライアーを貸してほしいのは……頑張るから、貸してほしい……お願いします」

 

もう一度頭を下げる。

 

沈黙が訪れた。

 

突如バーバラが髪の毛をクシャクシャにしながら叫んだ。

 

バーバラ「あーもうッ!!!わかった!!わかったよ!!!貸せば良いんでしょ!!」

 

アンバー「バーバラ、本当にありがとう」

 

バーバラ「無茶振りはコレっきりだからね!!」

 

アンバー「うん」

 

バーバラ「……着いてきて」

 

っと忘れないように

 

アンバー「みんなー!貸してくれるって」

 

3人が駆けて来た。

 

パイモン「アンバーならやれると思ってたぜ!」

 

蛍「……凄い」

 

ウェンティ「アンバー!やるね!!」

 

バーバラ「栄誉騎士に吟遊詩人と……妖精さん?」

 

パイモン「妖精じゃないパイモンだ!!」

 

ウェンティ「ウェンティだよ」

 

蛍「蛍」

 

バーバラ「みんな、言っておくけどライアーを壊したり傷つけたりしたら……ただじゃ置かないからね」

 

怖い

 

アンバー「は、はーい」

 

ウェンティ「なかなかの威圧感……」

 

パイモン「ひぃぃ」

 

蛍「……」

 

ライアーを保管しているところまでバーバラに先導してもらい歩く。

 

静かに歩く中パイモンが口を開いた。

 

パイモン「な、なぁ……聞いていいのか分からないけど……セイって誰なんだ?」

 

3人の足音だけが響く、喋ったパイモンが気まずそうにしている。

 

パイモン「い、言いにくいことだったか?なら──」

 

ウェンティ「神性無き英雄……」

 

ウェンティが呟く。

 

ウェンティ「他には不屈の勇者との二つ名を聞いたことがあるね」

 

蛍「なんか……凄そう」

 

アンバー「そんな二つ名増えてたんだ……セイが聞いたら威張り散らしそう」

 

バーバラ「ふふ、『どう?強そうだろ?』ってね」

 

アンバー「ふふふ」

 

言いそう。

 

パイモン「なんか、イカツイ二つ名に反して楽しそうなヤツだな」

 

アンバー「凄く一緒に居て楽しい人だった……きっとパイモンちゃんともすぐに仲良くなったと思う」

 

パイモン「会ってみたいな!!」

 

アンバー「そうだね……わたしも会いたい」

 

蛍「……ライアーまであとどのくらい?」

 

バーバラ「もうすぐだよ」

 

 

 

ライアーが保管されている場所についた。

 

バーバラ「はぁ……本当に渡して良いのかな……いや、本当は良くないだろうな………お父さんにお姉ちゃん……他にも色んな人に怒られるだろうな……はぁ」

 

アンバー「ごめん……わたしがバーバラを脅したことにしていいから……後で絶対わたしが怒られるから……ごめんね」

 

パイモン「い、いや、怖いけどオイラも一緒に怒られるぞ」

 

蛍「私も」

 

ウェンティ「じゃあボクは琴を弾いて雰囲気を和ませるね」

 

パイモン「そこはお前も怒られろよ!!」

 

みんなでライアーに近づこうとすると

 

目の前に紫のフードを被った女性が何も無い空間から突然現れた。

 

バーバラ「なッ!!」

 

アンバー「誰!?」

 

その紫のフードの女性はクスリと笑うとライアーを手にとってそのまま消えてしまった。

 

バーバラが膝から崩れ落ちた。

 

ウェンティ「……取られちゃったね」

 

パイモン「呑気か!!ど、どうしよう」

 

バーバラ「風神様の大事な……ふへ、ふへへへへ」

 

アンバー「バーバラしっかりして!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンさんにありのままを話した。

 

ジン「はぁ……君たちは悪くない、きっとその女性はファデュイの兵士だったのだろう」

 

バーバラ「お姉ちゃんッ……ごめんなさいぃ……」

 

ジン「あまり気にしすぎるなバーバラ」

 

ジンさんが泣いているバーバラの頭を撫でた。

 

ウェンティ「良き家族愛だね」

 

パイモン「この2人、姉妹だったんだな」

 

蛍「ジン、何か……取り返す方法って無い?」

 

ジン「一人心当たりが有る……エンジェルズシェアに居る赤髪の男を頼ると良い」

 

アンバー「……確かに彼なら」

 

ディルックさんなら何か知っているかもしれない。

 

バーバラ「絶対……ぜーーったい!!取り返してね」

 

バーバラは大事な仕事があってついてこれないそうだ。バーバラの心の安寧のためにも絶対取り返そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェルズシェアにて

 

ディルック「ライアーの行方は知っている。ファデュイの奴らから聞き出したからな」

 

ウェンティに詩を歌ってもらってディルックさんにも事情を説明した。ジンさんの読み通りディルックさんは行方を掴んでいたようだ。

 

ディルック「あいつらはまだ掴めていないようだな……これだから騎士団は駄目だ」

 

パイモン「ディルックは騎士団が嫌いなようだな…」

 

蛍「取り返しに行こう」

 

アンバー「うん!」

 

ウェンティ「その前に水分補給したいなぁ……赤ワイン飲みたい!!」

 

ディルック「未成年は駄目だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライアーを取り返しに行ったがほとんどディルックさんがファデュイの兵士を蹂躙して終わった。

 

パイモン「ディルックの旦那は本当に強いな」

 

ディルック「一般人より強い自負はあるがさらに上はたくさんいる。セイヘンや今ならもしかしたらアイツも……」

 

パイモン「セイヘンってみんながセイって呼んでるヤツのことだよな」

 

ディルック「そうだ、本当に強い男だった……」

 

ディルックさんが記憶を振り返り、目を瞑る。

 

天空のライアーをウェンティが手に取る。

 

ウェンティ「うん、これは正真正銘天空のライアーだね」

 

パイモン「やったな!!」

 

ウェンティ「でも……枯れかけてる」

 

確かにそのライアーは黒く燻んでいるように見える。

 

蛍「……使えなくなっちゃう?」

 

ウェンティ「いや、浄化したトワリンの涙の結晶を垂らせば……大丈夫」

 

蛍が懐から結晶を2つ取り出した。

 

ウェンティ「落としてみて」

 

ポチャン……ポチャン

 

結晶はライアーに触れた途端液体になり弦に染み込んでいき、そしてライアーが輝いた。

 

ウェンティ「取り敢えず応急処置は出来た。後はさらに涙の結晶を集めて垂らさないと、トワリンには届かない」

 

パイモン「道のりは長そうだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

涙の結晶の目撃情報が会った。遺跡に落ちているらしい。

 

昨日の人達にジンさんを加えて捜索に来た。

 

ジン「ここには遺跡機械がたくさん稼動している、注意しろ」

 

がちゃん……がちゃん……と遺跡機械の足音が複数聞こえる。

 

パイモン「ひぇぇ!!こわっ!」

 

ディルック「行くぞ……いや」

 

ディルックさんが先導しようとして、動きを止めみんなを手で制した。

 

パイモン「どうしたんだ?」

 

蛍「誰か……戦ってる?」

 

キィン……ガキィン

 

金属がぶつかり合うような音が聞こえる。

 

ディルック「おそらくすぐに片が付く」

 

ディルックさんが大剣を納め、様子を眺めている。

 

パイモン「え?」

 

音の発信源を見ると、彼が戦っていた。

 

アンバー「ベネット……」

 

踏み潰そうと迫りくる足を青い炎を纏わせた片手剣で溶かし切る。

 

体勢を崩し、倒れる遺跡機械に馬乗りになって目の部分に剣を突き刺し抉る。

 

ベネット「………次」

 

ミサイルが飛んてくるが剣を向け火炎放射をすることで全て破壊した。

 

背中を向けて無防備な遺跡機械を上から下にドロドロとした青い炎を纏わせた剣で溶かし真っ二つに分けた。

 

ベネット「……次」

 

 

 

パイモン「凄い、ディルックの旦那も凄かったけど……アイツも相当強そうだな」

 

ジン「彼もここに来ていたのか……戦闘の激しさで目的の結晶が壊れなければ良いのだが」

 

一体また一体と倒していき……遺跡機械は全て一掃されてしまった。

 

ベネット「次……ってもう居ないか」

 

ベネット元へ歩いて行く。

 

アンバー「ベネット、お疲れ様!」

 

彼がどうしてこんなに頑張るのか、それはかつて赤かった青く染まる剣を見れば明白だった。でも……それでも、頑張ることはきっと良いことだから、笑顔で労う。

 

ベネット「あぁ、アンバーか…ありがとな。それに他にもいっぱい」

 

パイモン「パイモンだ!」

 

蛍「私は蛍……強いね」

 

ウェンティ「みんなに愛される吟遊詩人のウェンティだよ!」

 

ベネット「おう、俺はベネットだ、冒険者をしている」

 

ジン「ベネット、雫の形をした結晶を見かけなかっただろうか?」

 

ベネット「ん?あぁ、これのことか。綺麗だったからセイに見せてやろうと思ったんだけどな」

 

ベネットが懐から赤色のトワリンの涙の結晶を取り出した。

 

ウェンティ「トワリンの涙だね。これ譲ってもらえないかな?トワリン……みんなの言う風魔龍を止めるために必要なんだ」

 

ベネット「風魔龍か……あぁ、いいぞ」

 

ウェンティがベネットから結晶を受け取った。

 

ウェンティ「旅人」

 

旅人が結晶を浄化し、ライアーに吸収させた。

 

パイモン「セイに見せに行くところだったのか?」

 

ベネット「あぁ、代わり映えの無い景色で暇してるかと思ってな」

 

パイモン「オイラもセイに会って見たいぞ!!」

 

ベネット「あぁ、行くか?」

 

アンバー「……」

 

 

 

 

 

 

 

パイモン「え……これって……」

 

十字の石が刺さっている。手前の四角の石板には花束とともに【セイヘン】と掘られていた。

 

蛍「……やっぱり」

 

ベネット「セイ、今日は20体遺跡機械を討伐したぞ、新記録だ」

 

ベネットが墓の前に座る。

 

ベネット「別にこんなに討伐するつもりなかったんだけどな1匹2匹と狩っていったらいつの間にかどんどん増えてっちゃって…まぁ強くなれるから良いけどな」

 

パイモン「………」

 

パイモンがやるせない表情をしている。

 

ベネット「今日はお前に会いたいってヤツが居るんだ!」

 

ベネットは笑顔でパイモンの方を向いた。

 

ベネット「自己紹介してやってくれ」

 

パイモン「お、おぉ!オイラはパイモン!蛍のテイワットガイドだ!」

 

蛍「私は蛍、兄を探して旅をしている」

 

2人とも十字架の方を見て話す。

 

ベネット「旅って何処から来たんだ?」

 

蛍「世界の外から」

 

ベネット「えぇ!!?すげぇな!!」

 

アンバー「ええ?!」

 

何か特別な人だとは思っていたけれど…そこまでとは

 

ウェンティ「……なるほどね」

 

 

 

蛍の旅の話はとても盛り上がった。

 

ベネットがまた一人で語り始めた。

 

ベネット「最近、風魔龍の凶暴化が激しくなっているんだ。一昨日も怪我を負って、寝たきりになってしまった住民も居た」

 

知っている、前回の竜巻でも負傷者で教会にたくさん人が居た。

 

ベネット「だから……俺は、次風魔龍が現れたら、迷いなく…………この焔で焼き殺そうと思う」

 

蛍「……」

 

ウェンティ「……」

 

パイモン「ッえ!?」

 

数名に動揺が走った。

 

ベネット「昔は四風守護として敬われてたらしいけどな、モンドを……お前が居たココを攻撃するってなら話は別だ」

 

ディルック「賢明だな」

 

ジン「……」

 

ベネット「昔は悪龍を倒す、なんて冗談で言ってたけど本当になるかもな。その時は見ててくれよ、俺だって強いぞってとこ見せるから」

 

ベネット「でも……風魔龍を止めようってヤツらも居るんだ。そういうのも……崇高な考えだと思うから……その時までは、待つ。お前もきっとココに居たら救いたいって言うんだろ」

 

そう言うとベネットは立ち上がった。

 

ベネット「俺は、冒険者協会に今日の依頼達成を報告しにいく。好きなだけそばにいてあげてくれ、きっと女の子がいっぱいだから喜んでるぞ」

 

ニカッと笑ってベネットは歩いて行った。

 

パイモン「………セイは愛されてたんだな」

 

アンバー「そうだね、女の子が好きだったからよく絡みに行ってたし」

 

ジン「度が過ぎていたことも多かったけれどな……」

 

アンバー「……胸良く見てたもんね」

 

パイモン「変態じゃないか!!!」

 

蛍「うわぁ……」

 

ディルック「まぁ、そういうところもあった……」

 

セイがみんなに変態であったという共通認識を植え付けたところで今日は解散となった。

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