原神詳しいわけじゃない上に神の目も無いけどそれでも可愛い女の子を守りたい   作:あんに

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アンバー……また、一緒に

セイ「アンバー」

 

アンバー「何?」

 

セイ「また一緒にさ、あの小島に行こうよ」

 

アンバー「あそこね、よく見つけたよねセイ」

 

セイ「俺の勘があそこに島が有るって言ってたんだ」

 

アンバー「えぇ、ホントに?」

 

セイ「あ、あぁ」

 

アンバー「ふーん……行きたい理由ってさ、セイがあそこまで飛べないからわたしに掴まってる時お胸の感触を楽しみたいだけなんじゃないの?」

 

セイ「………ノーコメント」

 

アンバー「はぁ……この変態さんは何時になったら治るのかな」

 

セイ「でも!それだけじゃなーい!!あそこなんか良いじゃん、雰囲気が」

 

アンバー「まぁ、わかるけどさ」

 

セイ「秘密基地も作りたい!俺憧れなんだ!!」

 

アンバー「……その気持ちめっちゃわかる」

 

セイ「だろ?向こうで家作ろ!」

 

アンバー「いいねぇ!」  

 

 

 

 

しばらく談笑した後

 

セイ「俺……そろそろ行くわ」

 

アンバー「え……行っちゃうの?」

 

セイ「うん!またね!!」

 

アンバー「うん……また───」

 

パシッ

 

無意識にセイの腕を掴んでいた。

 

セイ「どうしたの?寂しいのか?」

 

アンバー「あれ……なんでだろう?」

 

セイ「甘えん坊さんだなぁ、もう」

 

アンバー「そ、そんなんじゃない!!///」

 

セイ「お前は俺が居なくてもやっていける、自信持って」

 

アンバー「それは……そうなんだけど…なんか……」

 

セイ「ごめん、でももう行かなきゃ……時間が無いんだ」

 

頭を撫でられた

 

セイ「アンバーは良い子……良い子」

 

アンバー「な、何これ///」

 

セイ「良い子だねって褒めてあげてんの」

 

アンバー「あぁ……そう」

 

しばらく撫で続けられて

 

セイ「俺と出会ってくれてありがとう」

 

アンバー「………うん」

 

セイ「ホントに行かなきゃ……バイバイ」

 

アンバー「……また!……ね」

 

セイは笑って反対を向いて歩いていく。

 

 

 

 

 

 

………行かないで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンバー「はっ!!」

 

目が覚めた。ベッドを起き上がる。

 

わたし……は

 

涙がとめどなく流れてくる。何か悲しい夢を見た気がする。

 

……セイ……セイに会いたい。

 

アンバー「ッい!!」

 

痛みを感じ腹部を見るとグルグルに包帯が巻かれていた。あぁ、そういえばアイツにやられたんだった。

 

寝ているベッドの脚元を見るとコレイが眠っていた。

泣き腫らしているのか目元が赤くなっている。

 

窓を見ると外は真っ暗だった。どれくらい寝てたのだろう。あんまり長かったら騎士団の人に迷惑がかかっちゃったかもしれない。

 

コレイ「ん…………ッ!アンバー、起きたんだ!」

 

コレイが起きた。とても嬉しそうな顔だ。

 

アンバー「うん起きたよ!心配かけちゃったみたいだね…」

 

コレイ「ううん、アンバーが起きてくれて良かった!!」

 

アンバー「ちなみにわたし、どのくらい寝てたのかな?」

 

コレイ「1週間」

 

アンバー「1週間!?!?」

 

あちゃー、こりゃ騎士団のみんなに迷惑かかっちゃってるな〜

 

アンバー「はぁ~、まぁしょうがない……セイは?」

 

コレイ「………………………」

 

アンバー「ん?…コレイ?」

 

コレイ「…………セイは……死んだ」

 

アンバー「……………は?」

 

今……なんて?

 

アンバー「なん………て?」

 

コレイ「セイは…………死んだよ」

 

……………………嘘

 

アンバー「ね、ねぇコレイ……冗談キツイって」

 

コレイ「じょうだんじゃない」

 

アンバー「ッ!」

 

コレイの胸ぐらを掴む

 

アンバー「全ッ然面白くないってッ!!」

 

コレイ「………」

 

傷口が開くが気にならない。

 

コレイは目を瞑ったまま沈黙している。

 

アンバー「………嘘、だって」

 

コレイ「ごめんなさい……あたしのせいなんだ」

 

コレイ「あたしがもっと早くアイツの言う通りにしていれば……こんなことには」

 

アンバー「……」

 

ベッドから立ち上がる。セイを探さないと

 

コレイ「どこに──」

 

コレイが何か言いかけているが無視して部屋を出る。

 

外のモンド城を歩く、キィ…キィ…と虫の鳴き声が哀愁を漂わせる。

 

えーと、セイの家は……ここかな

 

コンコンッ

 

……返事が無い。流石に夜だから寝てるかな……だったら申し訳な──

 

ガチャ

 

「……はい」

 

あ!セイのお母さんだ

 

アンバー「お母さん、こんばんは、夜分遅くに申し訳ありません、セイヘンさんを呼んでもらえませんか?……というか、今寝ちゃってますかね?」

 

セイ母「…アンバーちゃん…息子は……今居ないのよ」

 

アンバー「そうなんですか!?何処に居ますか?」

 

セイ母「さぁ…ね……あの子、いっつも報告無しにどっか行っちゃうから」

 

アンバー「はぁ…わたしからもキツく言いますね。……もう、セイったら……お母さん心配してるよ」

 

セイ母「ごめんなさい……そろそろ寝ますね…」

 

アンバー「あ!ごめんなさい!こんな夜分に訪ねちゃって、おやすみなさい!」

 

扉が閉められた。こんな夜に訪ねるなんて、セイのお母さんには悪いことしちゃったな……

 

それにしても何処に行ったのあの変態さんは!とっつかまえて説経してやるんだから!!

 

他の人にも聞き込みをしよう。……冒険者協会のキャサリンさんなら何か知ってるかな?

 

 

 

 

 

 

 

キャサリン「セイヘンさん………ですか」

 

アンバー「そうです、何か知りませんか?」

 

キャサリン「そうですね……今は遠征してもらっているので当分帰ってくることは無いですね」

 

アンバー「そうなんですか!?えぇ………何か言ってよぉ」

 

そうだったんだ……セイのバカ!何も言わずに行くやつがある???はぁ……早く説経したい

 

アンバー「ありがとうございました!」

 

遠征かぁ……いつ帰ってくるのかな?それも聞けば良かった。

 

はぁー、安心して疲れた……寝よ

 

 

 

 

 

家に帰ってきた。さ、ベッドを敷いて寝よ寝よ。

 

布団に潜る。うーモフモフー、良い夢みれ

 

 

 

 

『バイバイ』

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝日が昇り辺りは明るくなってきた。

 

結局眠れなかった。はぁー、教会で寝すぎたな〜

 

布団を畳む……よし、今日も偵察騎士、頑張るぞ!

 

 

 

 

西風騎士団本部へ入る…今日の任務を確認するためだ。えーと、何々……新しいヒルチャールの巣をマッピングすることと一人で制圧可能であれば制圧すること……まっかせなさい!!このぐらいお茶の子さいさい!!

 

ジンさんが前からやって来た。

 

アンバー「あ!ジンさんおはようございます!」

 

ジン「……アンバーか、もう……大丈夫なのか?」

 

ん?なんのことだろう?あ!身体のことか!

 

アンバー「この通りもう大丈夫です!!今日の任務も完璧にこなして見せますのでよろしくお願いします!」

 

ジン「あぁ、大丈夫なら……良いんだ。今日もお互い頑張ろう」

 

ジンさんが苦しそうに笑った。疲れてるのかな?ジンさん超ハードなスケジュールこなしてるって聞いたことあるし、身体には気をつけてほしいな……

 

外を歩いているとコレイと出会った

 

コレイ「あ、アンバー」

 

アンバー「コレイー!!」

 

コレイに抱きつく。イタズラした罰だ。

 

アンバー「んもう!!流石にあの冗談は頂けないよ?セイは今遠征中ってキャサリンさんに聞いたんだから!!」

 

コレイ「あぁ……うん、そうだ。セイは遠征に行ってるんだった、ごめん」

 

アンバー「……素直に謝れたから許します!わたしは今から偵察騎士の仕事があるから、またね!」

 

コレイ「あぁ、また…な」

 

コレイが手を振っているので振り返す。んもう、コレイは冗談の言って良いラインが分からないらしい。今まで辛い経験ずっとしてたみたいだからしょうがないのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイのおかげでアンバーを教会に運ぶことができ、一命を取り留めることができた。なんでも後数秒遅かったら助からなかったらしい。今思うとあのカウントダウンは出血量やあたしとアンバーの体重差から割り出した運び込む時間などを考慮した自身へ課したタイムリミットだったのだろう。

 

アンバーは……セイが死んだことを認められないみたいだ。……無理もない…あんなに仲が良かったんだ。だから、あたしもアンバーに合わせることにした。それがせめてもの助けられた身の贖いとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が立った。まだセイが帰ってくる気配は無い。

 

コレイ「アンバー、今日は着いてきて欲しい所が有るんだ」

 

珍しい!コレイが何処かに誘ってくるなんて

 

アンバー「おぉ!!良いよ!!楽しみ!!」

 

コレイ「うん、……」

 

コレイに案内されて着いて行く………ここは?教会?

 

アンバー「賛美歌でも歌うの?わたし初めてだからわかんないよ?」

 

コレイ「あぁ、歌わなくても大丈夫だ」

 

何するんだろう?

 

………泣き声が聞こえる……色んな人が泣いている。

 

これは煙の匂い?線香か

 

あ!あれ!セイの持ってる剣とおそろーい!!セイの剣ってオーダーメイドじゃなかったんだ!!

 

コレイ「アンバー、ちょっと静かに」

 

アンバー「あ、ごめん!」

 

いけない、喋っても良い場所かと思ってしまった。ここは静かにする場所なんだ……

 

「あん…ばー」

 

そばに居た女の子が立ち上がった。あ、この子

 

アンバー「あなたフィッシュルじゃない?」

 

フィッシュル「……」

 

アンバー「セイから聞いてた!なんでも、ゆうやじょうど?ってトコのお姫様なんでしょ!!」

 

フィッシュル「……せいだ」

 

アンバー「え?」

 

フィッシュル「お前の……せいだ………お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだ!!!!」

 

アンバー「あ、え?」

 

ベネット「フィッシュル!!!落ち着け!!!」

 

横に立ってた白髮の男の子がフィッシュルちゃんを抑える。

 

フィッシュル「お前がぁ!!!鈍臭いから!!セイが死ぬことになったんだ!!!」

 

ベネット「フィッシュルそれ以上言っちゃダメだ!」

 

フィッシュル「お前のせいでセイが死んだ!!お前が居なかったら!!」

 

ベネット「やめろ!!」

 

白髪の男の子が手でフィッシュルちゃんの口を塞いだ

 

フィッシュル「んッ!!!………んん………ん…」

 

フィッシュルちゃんの目尻に涙が溜まっていき流れる。

 

ベネット「アンバーさん……申し訳ありませんでした……俺はセイと一緒の冒険団に居たベネットです」

 

アンバー「ベネット…さん、セイから聞いたことがあります」

 

ベネット「そうでしたか……今回の件、お悔やみ申し上げます。フィッシュルには俺がキツく言っときますのでどうかお許し下さい……」

 

アンバー「あ……うん」

 

今回の件ってなんの事だろう?それとフィッシュルちゃんはちょっとストレス溜まってたのか……な?セイがわたしのせいで死んだだなんて……冗談を……

 

コレイ「アンバー……行こう」

 

アンバー「うん……」

 

2人のいる席から離れる。人が少ない場所へ移動した。そのおかげでみんなが注目している中心を見ることができた。

 

例のセイとお揃いの剣の下には……セイの写真が飾ってあった。

 

アンバー「う……うわぁ!セイは大人気だね……あ、あんなに真ん中に……飾られて……」

 

コレイ「………」

 

その写真の横にバーバラちゃんが並んだ。

 

バーバラ「えーと、みなさんお集まり頂き、ありがとうございます。本日は私、バーバラが進行役を務めさせて頂きたいと思います」

 

おぉ!!凄いショーでも始まりそうな予感!!

 

バーバラ「まず、私とセイの出会いを話させて下さい。あれは──」

 

バーバラちゃんがセイとの初めての出会いを話している。フムフム……って両腕切られた時のやつじゃん!ホント無茶するよね〜……まぁそれがカッコよくもあるんだけ──

 

 

 

『お前のせいだ!!』

 

………

 

バーバラ「って言ったらセイってば私に食べさせて欲しいって言い出して……ほんと…………ッぐす」

 

あれ?泣いちゃった

 

バーバラ「ホントは……今日……司会をするかッ……グスッ…凄く………悩んだんだけど……でも……セイが聞いてくれるかもってッ…ふぅッ…ッ思ったら……頑張ろうって……思えて」

 

周りの観客も泣き出した。そんな感動するところ有ったかな?

 

コレイ「ッく……う」

 

コレイも泣いている。なんで?

 

……あれ?なんでわたし…泣いてるんだろう

 

おか……しいな……これは……おかしい

 

アンバー「ぅぐ……あぁ」

 

そうか、わたし……とっくに気づいてたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

棺が穴の中に入れられる。埋葬にするようだ。いっぱい焼かれたって聞いたから火葬は可哀想だし、海に骨を流すのはどっか行っちゃって可哀想だから、これが1番良いよね。

 

棺に土が掛けられる。

 

フィッシュル「待って!!ダメッ!!セイが帰ってこれなくなっちゃう!!!」

 

あの子……フィッシュルちゃんがスコップを持った人を止めている。

 

ベネット「フィッシュル……戻ろう」

 

フィッシュル「セイは!!私が助けを連れてくるまで待ってくれてたの!!だからッ!!だからッ!!私もセイが帰ってくるまで待ってあげないと!!」

 

ベネット「フィッシュル……エミ……」

 

フィッシュル「その名で呼ばないで!!エミって呼んで欲しいのはセイだけなの………」

 

フィッシュルが力を無くして座り込む。ベネットは彼女を抱えて集団の中へ戻った。

 

棺が土に埋められていく。

 

あぁ………あぁ…、

 

アンバー「ま、待ってぇ!!!」

 

スコップを持った男性の手を掴む。

 

コレイ「アンバー……」

 

アンバー「………一日……一日待ってくださいッ!!!どうかこの通りです……お願いしますッ!!!」

 

精一杯土下座をする。

 

スコップを持った男性が困ったようにバーバラを見た。

 

バーバラ「………………わかり……ました」

 

アンバー「ほ、ホントですかッ!!」

 

バーバラ「ですが、忘れないで下さい……その肉体にもうセイは居ないこと……引き伸ばしたのはあくまでアンバーさん……みなさんの心の整理のためであること」

 

アンバー「わかりましたッ!!ありがとうございますッ!!」

 

バーバラ「棺は霊安室に安置します。みなさんも、本当にそばに寄り添える最後の機会となります。ぜひ、そばにいてあげて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイが居る………セイの身体がある部屋へとやって来た。先客が複数人いる。

 

フィッシュル「……」

 

フィッシュルはこちらを一瞥して目を逸らした。

 

ベネットが一人棺に向かって話している。

 

ベネット「セイ……俺……最初に冒険団に入ってくれってお前に頼んだ時、自分が不運気質なこと黙ってたんだ、でもさ……多分お前、気づいてたんだろ?」

 

ベネットは浅く息を吐いた。

 

ベネット「友達だから……断らないでいてくれたんだろッ……………俺、申し訳なくって…………いつかお前やフィッシュルに恩返しをしないとなッ……て………なのに…………なんでッ……不幸な俺より先にッ……死ぬんだよ…………」

 

ベネットがたまらず泣き出した。

 

涙を拭っているベネットの手のひらに…………ふわりと白い羽が落ちた。

 

『ベネット、大丈夫か?』

 

ベネットが目を見開く

 

ベネット「………………そうだよな…………団長の……俺がこんなんじゃ…………ダメだよな………………あぁ、俺は………大丈夫だ…………」

 

ベネットが涙をゴシゴシと腕で拭う。

 

ベネット「お前が、ベニー冒険団に居てくれたって言う事実は、お前が死んだって揺るがない…………だから……俺は、ベニー冒険団をテイワットで1番大きい冒険団にする!!お前と一緒に作った、冒険団は世界で1番すげぇんだって知らしめてやるから!!だから!見ててくれ!!セイ!!」

 

ここでは無い何処かへ向かって彼は叫んだ。きっと踏ん切りがついたのだろう。彼は建物を出ていった。

 

紅い髪の男が棺の前へ出る。

 

ディルック「セイヘン……僕は……僕のせいで君が死んでしまっただなんて傲慢な言葉を吐くつもりは無い。」

 

ディルックが少し頭を下げた。

 

ディルック「でも……あの時、ああすれば……という考えが、少なくない回数頭を巡るんだ。……そう、あの時も……そうだった」

 

彼が息を吸う。

 

ディルック「セイヘン……君は勇敢で気高い男だった……あまりにカッコ良いから実は、僕は君に憧れていたんだ」

 

小さく笑って語る

 

ディルック「僕は変わらず僕に出来ることをするつもりだ。………また、空の上で会おう」

 

ディルックは棺へ後ろ手に手を振り去っていった。

 

他にも様々な人がセイの棺へ言葉を贈っていく。

 

そんな中、気がつくとフィッシュルは両手で耳を塞いで震えていた。

 

フィッシュル「………うるさい…………聞きたく……ない……」

 

フィッシュルがしゃがみ込んだ。

 

きっと、彼女もわたしと一緒で認められないんだ。

 

しゃがみ込んだフィッシュルを後ろから抱きしめる。

 

フィッシュル「っな!」

 

アンバー「……」

 

フィッシュル「何してるの!?お前ッ!お前のせいでセイは死んだッ!!だから、離れろ!!放っておいて!!」

 

フィッシュルが暴れてわたしを引き剥がそうとする。

 

フィッシュル「離れろよ!!!人殺しがッ!!」

 

アンバー「……」

 

フィッシュル「離れろよ…………お願い………もう……嫌………セイ…………助けて…………」

 

アンバー「………セイは……居ないの……」

 

フィッシュル「……………あぁッ………ぅぐッ…………ああああぁああああッ!!!!!」

 

フィッシュルが大声で泣く。

 

アンバー「ごめんね………ごめんね…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人が少なくなって来た。

 

どうしても見ておきたいものがある。

 

ずっと立っているバーバラちゃんに喋りかける。

 

アンバー「セイを見ても……良いですか」

 

バーバラ「………凄く、悲惨だよ………良い?」

 

アンバー「もちろんです」

 

フィッシュルがわたしの横に並んだ。

 

フィッシュル「私も……見たけど……もう一回」

 

バーバラちゃんが、棺を開ける。白い布が被せられていてまだ見えない。

 

白い布を捲る。

 

 

 

 

あぁ…………セイ………、

 

 

 

 

 

頭部の大半を失い、胴体はほとんど骨が剥き出しで肌は重度の火傷を負っており左半身が全く無い、残った右腕も指が3本欠落していてすり減ってか細くなっているがギリギリ腕だと認識出来る。かろうじて右目は無事だったようだ。

 

 

 

 

 

でも………右腕の残った指……この親指の丸っとしたこの形………僅かに残った腕の゙筋肉………そして、この凛々しい目元………残った頭髪の混じり気のないな黒色。

 

 

間違い無い………これはセイだ。

 

 

セイ………頑張ったんだね…………こんなにボロボロになって……必死だったんだね………守ろうとして………

 

 

 

 

アンバー「セイ………───」

 

 

 

あの言葉が………口から出ない………栓をされたように溢れることを許さない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに、今日………セイが埋葬された。見ていると身体が震えて、また止めてしまいそうだったが頑張って抑えた。

 

またたくさん涙が溢れた。あれだけ泣いて枯れたと思っても出るものは出る。

 

結局……あの言葉を紡ぐことはできなかった。

 

きっと私は今もセイが死んだことを認められてないのだろう。

 

 

 

 

『また一緒にさ、あの小島に行こうよ』

 

 

 

 

いつかセイとそんな話をした気がする。きっとあそこに行けばようやくわたしは認められる気がする……セイの死を。

 

セイが最後に戦った場所であり────あの小島が見える………星拾いの崖へ行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星拾いの崖に立つ………見えた……あの島だ。

 

高い場所からだけ見えるあのちっちゃな島。アレがセイに以前教えてもらったわたしとセイだけの秘密の島だ。

 

 

 

 

ゴーグルをかけて崖からジャンプし、風の翼を開く。

 

 

 

───良い風……身が風を切る音が心地良い。

 

 

 

 

 

『アンバー……お願い!!連れてって!!』

 

スリスリと手を合わせてセイがお願いしてきた。なんで?って聞いたら

 

『ロマンあるじゃん?』

 

って返ってきた。まぁ、それには同意しかないから頷いて行ってあげたんだけど。ついてから帰りどうすんの!!ってなって

 

『………ふ、船作ろ』

 

幸い木は生えてたから頑張って船を作ったんだけど潮の流れが凄くて苦労したんだよね。帰れるよねって聞いたら

 

『ごめん!!!ごめんッ!!!』

 

って謝りながら頑張って漕いでてすっごい汗だくだった。ふふ

 

 

 

島が大きくなってきた。

 

 

 

あ、アレまだ挿さってる。

 

『ここをセイヘーン王国としよう!!これは国旗だ』

 

セイが国旗と言って砂の地面に挿したニコちゃんマークの描かれた柄が木の旗。

 

 

地面が近づいてきて着地する。

 

旗へと近づく、そこには記憶通り簡素な笑った男の人の顔が描かれていた。

 

アンバー「………あ」

 

いつの間に書き足していたのだろうか、横に赤いリボンを頭に付けた顔が増えていた……同じく笑顔だ。

 

というか………これって………

 

もう何度目かわからない涙が頬を伝う。

 

アンバー「わたしも………入れてくれたんだ」

 

 

 

 

『あったりまえよ!!』

 

声が聞こえた気がした。

 

セイ……ありがとう……勇気をくれて……

 

 

 

 

アンバー「バイ……バイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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