昔、妖狐ありけり。
その狐、九つの尾あり。
その尾、一度振らば山崩れ津波立つ。
これに困じて人共、忍の輩を集めけり。
僅か一人の忍の者、生死をかけ、これを封印せしめるが、その者死にけり。
その忍の者、名を、四代目火影と申す。
◆◆◆
「・・・・・・こんな所か」
地に転がる傀儡人形を軽く蹴り、一息吐く。
俺——————
つまりは、
普通は学校で授業を受けている所だが、俺にとっては意味がない。
あそこは退屈過ぎる。
此処で修行に明け暮れている方が、有意義というモノだろう。
「まったく、またこんな所で学校をサボっておるのか」
年を感じさせる声に振り返る。
そこにいたのは、小柄な老人だった。
「ヒル爺・・・・・・」
ヒル爺こと、猿飛ヒルゼン。
またの名を、三代目火影。
かつては
「どうしたよ三代目火影様、わざわざこんな所僻地に?」
「お前を連れ戻しに来たに決まっとるじゃろう。イルカの奴も頭を抱えておる、あまり困らせてやるな」
「イルカ先生の頼みか。火影ってのは意外と暇なのか?」
「ほっとけ」
現在、里を統治しているのが、この三代目火影だ。
基本的には火影屋敷で職務をこなしているのだが、時折息抜き(サボりとも言うが)であっちこっちに顔を出している。
そんなことをする暇があるのなら、修行の一つでも付けて欲しいものだが。
「それにこの場所は立ち入り禁止じゃと何度も言っとるじゃろう」
「良いだろ別に、どうせ誰も入ってこねーし、誰かが困る訳でもねぇだろ?」
「そういう問題じゃないわい」
俺が修行に使っているこの場所。
名を、赤ヶ原。
赤ヶ原は、かつての中忍試験の会場となっていた、トラップだらけの危険な場所。
だから立ち入り禁止になっているのだが、俺には関係ない。
「危険だからこそ、修行に丁度良いんだよな」
「中忍の試験場を修行に使うのはお前くらいじゃろうな・・・・・・」
三代目は頭痛がするように頭を押さえる。
かつて中忍試験が行われたトラップだらけの場所で修行する。
この場所を苦も無く行き来出来るという事は、この場所を突破できるレベルであるということ。
それはつまり、並の下忍をとうに超えているという意味でもある。
「流石は二代目様の直系というべきか・・・・・・性格は初代様に似てるがの」
「会った事も無い先祖の話を振られてもな」
俺はどうやら二代目火影の子孫らしい。
目つきの悪さと白髪が二代目様そっくりとは三代目の言だ。
ただ千手家の血を色濃く現わしている所は、どちらかというと初代に似ているらしい。
まぁ初代と二代目は兄弟らしいから、元が同じ血を引いている以上、そういうこともあるのだろう。
「間取よ、お主はもう少ない千手の血を引く生き残りじゃ。少しは初代様や二代目様の顔に泥を塗らず、真面目に生きる事は出来んのか?」
「真面目ってのが大人しく退屈な授業を聞く事なら無理だな、時間の無駄だ」
「・・・・・・」
「暇なんだよ、実際。座学だって学年首位、実技に至っては中忍の先生相手でも、最近じゃ簡単に勝っちまう。同世代で俺とやり合える奴は、良いとこサスケとシノ、後は一つ上の日向の分家くらいだ。それでもあくまで同世代の中では、だ」
本気を出すまでもなく勝ってしまう。
「退屈なのよなぁ、マジで・・・・・・」
「・・・・・・やれやれじゃな」
嘆息する俺に対して嘆息する三代目。
ホント、さっさと忍者になりたいぜ。
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