「何なんだよー」と一人ボヤキながら先に部屋を退室する千手間取を見送って、他の卒業生たちも午後まで解散する。
午後からは各々の担当する上忍の先生達の紹介があるから、それまでに昼食を摂るなりしておけよとの事。
そんな解散する卒業生達の話題は、先程出ていった首席卒業生についてだ。
「けどさ、けどさ、何で間取のやつだけ三代目のじーちゃんに呼ばれてんだ?」
「知らないわよ」
「やっぱ試験落ちたんじゃねーのか、アイツ?」
「落ちこぼれのアンタじゃないんだから、主席の間取くんが落ちるわけないでしょ!」
ガーン!とショックを受けたナルトを放って、サスケは部屋から去っていった間取を思う。
千手間取。
『うちは』と並ぶ歴史のある一族で、更に間取はこの里の創始者と言ってもいい初代と二代目の火影の直系。
その才能は十全に継いでいるとは、当の二人を知る三代目の言だ。
事実、周囲から『間取と同じ天才忍者』と称されているサスケだが、アカデミーでは実技の類は一度も勝てたことがない。
強さを求めるサスケとしては実技で勝てないことは強く意識しており間取をライバル視している。
故に、気になるのは間取の所属だ。
通常の班決めで名前が呼ばれなかったということは、この卒業生達と同じ班には所属しないということであり、可能性としては班員に欠員がいる班に所属する・・・つまりは忍として先輩の班に配属されるということもある。
任務で死亡、或いは諸事情で引退、犯罪か抜け忍で除隊、または中忍や上忍に昇格した結果の欠員が考えられる。
(あるいは・・・・・・)
他に可能性があるとすれば、正規の部隊に配属されない可能性。
暗号班や医療班等の特殊な部署。
例えば――――――
◆◆◆
「――――――暗部?」
火影屋敷に赴き、現火影である三代目火影こと猿飛ヒルゼンがパイプを吹かせながらそんな事を宣った。
「うむ。暗部・・・・・・知っての通り火影直属じゃな。お主にはそこに所属してもらう」
『暗部』
正式名称は『暗殺戦術特殊部隊』。
特殊な任務をこなす影の部隊。
火影直轄の組織で上忍・中忍・下忍等の通常の階級は存在せず、里の忍者の中の選りすぐりの忍で構成されている。
見た目の特徴としてはメンバーは仮面で顔を隠しており、その任務は極秘のモノが多く暗部の功績などは一切公表されていない。
「いいのかよ? 俺としては不満はねーけど、実戦経験なんて
「確かにあまりやらせることはないが、前例が決して無い訳でもない。お主の実力なら問題ないと判断した」
まぁ、ちょいちょい赤ヶ原で
俺の実力はよく知ってるし、ヒル爺が問題ないと判断したんなら大丈夫だろう。
「で、暗部のどんな班に配属されるんだよ? 俺、暗部のことあんま知らねーぞ」
「むしろ知っとったら『何で知っとるんだ』と問うところじゃがな」
情報は基本表には出てこねーもんな、暗部って。
「お主には既存の班に所属するのではなく、新たな班の班長になってもらいたい」
「は? 班長? 何の経験も無い俺がか?」
とうとうボケたのかこのジジイは。
だから早く五代目を決めろとあれほど・・・・・・!
「とんでもなく失礼なことを考えとる気がするが・・・・・・」
「気のせいじゃね?」
「・・・・・・まぁ、いい」
ゴホンと咳払いで仕切り直し。
「半分はお主の適性を見る為じゃな。無いなら通常の暗部の班に配属させるから、あまり難しく考えることはない」
「もう半分の理由は?」
「お主ならやってのけるとワシは見取る」
・・・・・・これ、絶対何か裏があるよな。
何だろ、上層部内でなんかあったか?
一応自分が千手の血どころか、二代目の直系という立ち位置にいる為、面倒な考えを持ってる奴が俺を利用して何か事を起こす可能性くらいは俺も認識している。
暗部の気配も周囲にちょいちょい感じるしな。
・・・・・・その暗部の仕事が俺の護衛なのか監視なのかは知らんけど。
「ま、いいか。で、俺が班長やるとして班員は? 暗部の中からもう選出されてんのか?」
「おらんぞ」
「・・・・・・は?」
「千手間取。班は現状お主一人だけじゃ」