勇者属性を持つ新人のパーティーに入ったら国家の危機が目白押し。パーティーが活躍している裏で動かなきゃ国が詰む   作:マツバキクノスケ

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 15時頃にアクセス解析を覗いたんですよ。そしたらね、14時以降のアクセス数からアホみたいに爆上げセレクションしててビックリしたんですね。
 ランキングも日間だけだけど総合でも上から数えた方が速いし、オリジナルに至っては6位。









 なんでぇ?

流石に21時に確認した時は下がっていて安心しました。


試験の会場、彼女の謎

 時はジョーがエルフォンス公爵の屋敷にて会話をしている時まで遡る。

 

「それでは、これより銅級冒険者合同昇級試験を始めます。対象者は開始時間までに速やかに訓練所までお集まりください」

 

 ギルド内。試験開始を告げる職員の声が喧騒の中、広間に響き渡る。ジェナ達を含めた受験者達は装備の最終確認と仲間と試験内容の予測とソレを基にした最終確認を共有していた。

 

「…始まりますね」

 

「そうですわね。しかしジェナさん、あまり緊張しすぎるのもよろしくないですわ。今までも試験は受けたのですから、リーダーとして相応しい振る舞いを心掛けて下さい」

 

 ルーメンはジェナの何処か浮ついたような緊張をいさめながらも、クリスと目を合わせる。

 

―――()()()()()()

 

 ライバルである同期は兎も角として、見学に来た()()()()()()からの視線を独占している。

 

 こうなることは予測していた。何せ入った直後に伝説に(知らなかったとはいえ)声を掛け、あっさりとパーティーを組んだ。これだけでも目立つのは言うまでもないだろう。

 さらに半年前に封鎖された森林区域の件も自分たちが関わっているという噂が流れている。機密保持を守りパーティー内でも口にしたことは無い。が、それでもギルドで数日拘束された話にその後すぐに森林区域封鎖が行われれば否が応でも関係性を疑う声が広がる。

 結果、多くの者がジェナ達に注目の視線を向けることとなる。しかし、その多くの視線に込められている感情が好ましいものではないことを二人は把握していた。

 女3人という事も後押ししているのだろう。このギルドにも女性だけのクランはあるが、彼女達の場合はトップとその周囲が実力者且つ、ちょっかいを掛けた愚か者が悉く手酷い仕返しをされていることから半ば恐れられているのに対し、初心者の年頃の小娘が3人では威圧感が無い。現に視線の中に粘ついたものを感じ取れる。

 

「なあ嬢ちゃん達」

 

 早速声を掛けられた。銀の識別板を付け、革鎧に身を包んだ文字通り粗野としか言いようのない男が4人。下卑た情欲を視線に乗せて、にたにたと嗤いながら此方に近づいて来る。

 

「あのデカブツの若造に毎晩イイ思いさせてんだろ? 俺達にもシてくれや」

 

「あんなスカした野郎よりも気持ちよくさせてやるよ」

 

「アイツのブツよりデケェか比べて貰おうか!」

 

 人相は性格に影響されるのだろうか。ゲラゲラと嗤う男たちを眺めながらルーメンは一瞬考えたが、今はここにいないチームメイトを思い出して一蹴する。確かに人相は違う方向で最悪だが、内包する為人は目の前の下郎どもとは比べ物にならない程に理性的で穏やか。時折見せるある種世間知らずな所も愛嬌と受け取れる。

 

「なあ、あんな嘘っぱちだらけの大したことも無い野郎よりも俺達とオツキアイしねぇか?」

 

「嘘…ですか?」

 

 その言葉にクリスは反応した。反応してしまった。

 男は得意そうに頷きながら言葉を続ける。

 

「そうさ。あの功績が全部本当なワケが無い。それに俺達はいつかアイツを追い越す男だ、そんな俺達に『乗っかる』方がお前等も贅沢できるぜ」

 

 リーダー格であろう男の、その舐め回す様な視線と声色に肌が粟立つ。冒険者と言えば冒険者らしいが、異性としても人間としても付き合うまでも無い最低の部類だ。

 ジェナはその聞くだけで虫唾が走る様な悪意と欲望の数々を受け止め、俯いてしまった。

 無理もない。田舎から来た純朴な少女には刺激が強く、荷が重すぎた。此処からは自分達の出番だと、ルーメンとクリスは示し合わせるまでもなくジェナの前に立ち男達の前に立ちはだかった。

 

 さてどう返答してやろうか。下手に煽れば実力行使されるだろう。そうなれば数でも劣る自分達の心身が危うい。さりとて穏当に返せば他の冒険者から低く見られる。そうなれば今後要らぬ難癖をつけ、トラブルを引き起こしかねない。

 

「…さい」

 

「あ?」

 

 微かに、絞り出されたような声がルーメンの耳に入った。

 隣にいるクリスからではない。―――必然的に残るは一人。

 

「……して下さい」

 

 ジェナがルーメン達の前に一歩踏み出た。

 肩を震わせ、俯いたその顔はどんな表情なのか判別することが出来ない。

 

「なんだぁ? 『俺様のオンナにしてください』ってか? やっぱりアイツのじゃ物足りなかったか? それともお零れにもあずかれなかったか? まあどっちでもいい。俺達の元にくりゃどっちも満足させてやるよ」

 

 笑みを深くした男がジェナの胸元に手を伸ばした。

 考える余裕は無い。手を振り払って大声を出せば少なくとも職員が仲裁に入る。彼女のケアはそれからでも―――

 

「訂正して、下さい」

 

 背筋が凍る。

 声の主は誰だ? 先程まで緊張し、落ち着きない様子で周囲を眺め、更には下種達に怯えていたように震えていたジェナか?

 

 その通りだ。

 胸元に伸びる男の手首を掴み、冷酷な声色の中に烈火の如き怒りを滲ませ、眼前の『敵』を見据えていた。そこに普段の明るく朗らかな様相は一切ない。

 その姿に呆気にとられる自分達を他所に彼女は言葉を続けた。

 

「ジョーさんは貴方の様なヒトが馬鹿にしていい様な方ではありませんし、そんな下らない目的の為にパーティーを組んでいる訳でもない」

 

「……! ッ、この…っ!」

 

「訂正してください」

 

 軋む音が聞こえる。それほどの力を籠められ、それまで笑みを浮かべていた男の表情は苦痛と、焦り、驚愕、怒りで歪み、その手から逃れようと必死に藻掻く。

 しかし男がどれだけ足掻こうともジェナの身体は微動だにもせず、彼女の視線は色を変えること無く男を捕らえ続けている。

 

「てめぇ!」

 

「離しやがれ!!」

 

 呆然としていた取り巻きが正気に返りそれぞれの得物に手を掛ける。

 

―――不味い

 

「クリスさん!」

 

「判ってる!!」

 

 声を掛ける前に既に弓につがえた矢を向けていた。ルーメンも自身の杖を相手に向け刻印されていた魔法文式に魔力を籠める。

 互いに動きを制限されるが相手は数も実力も上手。対してこちらは言うまでもなく、頼みの綱のジョーもいない。

 一触即発の空気が張り詰める。

 

「そこ! 何をしている!!」

 

その空気は第三者の一喝によって即座に霧散した。

 いつの間にか周囲を取り囲んだ観衆をかき分け、職員が睨み合っている2つの集団の間に割って入った。

 

「またお前達か、メンディス! これ以上騒ぎを起こすなら降格処分にするといったはずだ!」

 

 職員のその言葉に男達は不服な表情で武器を収め、それを見たルーメン達も内心で安堵しながら武器を下ろした。しかしジェナだけは未だにメンディスと呼ばれた男の腕を掴んだ状態から動かなった。

 

「君もここは収めてくれないか? そこの連中には私から厳重注意をしておこう」

 

「すみません。それは出来ません」 

 

 明確な拒絶の言葉。それを聞いた職員は少し険しい表情に変わる。

 

「…これ以上試験の妨げをすれば今回の参加リストから除外、更には1か月の参加資格を剥奪することになる」 

 

「私の尊敬する人、大事な人をこのヒトは悪く言いました。それを訂正しない限り、私はこの手を放すことはできません」

 

 それだけ言うと、ジェナは更に掴む力を強めたのか、男の手首に更に彼女の細い指が食い込み男の苦痛に呻く声が一際深刻になる。

 

「判った、謝る。バカにしたことを謝る! 俺が悪かった!!」

 

 その場を切り抜けるための、表面上の謝罪。しかし、ジェナはそれでよかったのか、力を抜いて彼を開放した。

 男は逃げる様に飛びのき、自身の手首を庇いながら先程の必死な表情から一転、怒りと憎悪に満ちた目で「覚えてろ」と吐き捨て、観衆を押しのけながら広場から去った。

 その一部始終を見た職員はため息を吐きながら観衆を散らし、再度ジェナ達に向き合った。

 

「今回は大目に見るから、これ以上騒ぎを起こさないよう努めてくれ。でなければ、今ここにいないメンバーにも迷惑を掛けることになるからな。その辺りを留意して置く様に」

 

 試験官の注意にジェナも謝罪の意を示して騒動は一旦収束した。

 試験官が持ち場に戻り、残ったのは興味を失い直前まで試験の対策を練っている参加者に、ジェナと、彼女の豹変に戸惑うルーメン達。

 

「その…ジェナ? 大丈夫?」

 

 クリスが恐る恐る彼女に声を掛ける。

 掛けられた当人は息を大きく吐き、ルーメン達の方に振り返った。 

 

「はい、大丈夫です! クリスとルーメンも大丈夫ですか?」

 

 先ほどの態度が嘘のように、普段と変わらぬ姿を見せるジェナに彼女達は先程の出来事が幻だったのかと戸惑う。

 しかしジェナはそんな二人の様子に気が付かずに、言葉を続ける。 

 

「そういえばそろそろ試験の時間ですね! ジョーさんと少しずつでも一緒に戦えるようになるために、頑張りましょう!」

 

 オー! と拳を上に突き出すジェナを見て彼女達は先程の出来事を押し流し、同じように拳を上げた。

 さっきの出来事はきっと初めて見る彼女の怒りの迫力に驚いただけ。だからこれから先、彼女が同じように陥った時は自分達も彼女と並んで相手と対峙することができる筈。

 無理やり自身をそう説得し、彼女と試験の開始を待つ。内に生まれた靄を無視しながら。




 ちょっと終わりが強引すぎたかなぁ……
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