勇者属性を持つ新人のパーティーに入ったら国家の危機が目白押し。パーティーが活躍している裏で動かなきゃ国が詰む   作:マツバキクノスケ

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 長い間開けていた上に、前書きに書く事じゃないですがちょっとアドバイスを色々と聞いて書き直ししようかなぁと思ってまして。
 多分書き直しをするかもしれませんし、いっそのこと真っ白にした上で新しく投稿するかも知れません。


強襲と強制転移

 ジェナ達は現在ギルドの依頼板前で依頼の吟味をしていた。

 

 以前に身体中が悲鳴を上げるほどの訓練を容赦なく実行し、暫くは宿屋のベッドに拘束させた張本人であり、メンバーの一人でもあるジョーは所用でこの場に居ない。それ故ジェナは悩む。今迄ならば経験の多いジョーが適切に決めていた所を自分達で決めなければならない。

 鉄級までなら経験も実力も未熟故に言い訳はつく。しかし、現在彼女達は銅級になって早1か月。世間から漸く一人前の冒険者として見られ、クランに所属しているならば戦力として数えられるランクだ。いつまでも彼に依存するわけにはいかない。

 だからこそ、この状況はチャンスでもある。自分達で考え、話し合い、彼に頼らない連携を確認する絶好の機会。

 

「ちょっと、ジェナさん? 聞いてますの?」

 

 ルーメンの声で現実に戻る。いつの間にか思考の海に沈んでしまっていたらしい。

 

「あっ、ご、ごめんなさい! 少し考え事をしていました。ええっと……どの依頼を受けるか、でしたよね」

 

 それまで考えていた全てを一旦他所に放り投げ、ジェナは彼女達の話を纏める

 ジョーの居ない現在でも実力をこの銅級でも通用することを示すために、相応の依頼を受けるべきだとルーメンとクリスは言っている。その意見はジェナも賛成ではある。

 しかし、問題はその後だ。殆どの依頼の目的地までの距離が絶妙に遠い。貯えはあれども移動の費用も考えれば受けるには首を傾げて悩むような状況だ。

 

「ルーメン、いけるならばどこまでですか?」

 

「そうですわね……余裕を残すのであれば此方のスケイルラットの討伐ぐらいでしょうか? いえ、此方はさほど流通も通っていないので料金が割高に…」

 

 普段から資金の管理を行っているだけあって瞬時に意図を理解したルーメンが脳内の算盤を弾きながら依頼書を眺めている。ジェナの思った通り良い依頼はなさそうである。

 

「ねぇ、これなんてどうかな?」

 

 クリスが徐に一枚の紙を剥してジェナ達に見せる。

 

『内容:エント1体の討伐

 場所:ブリー村

 報酬:120ルクスル(追加討伐については別途報酬有)』

 

 距離は悪くはない。料金については生憎、金貨、銀貨でしかわからないジェナにはどれほどのものか理解できなかった。

 

「クリス、120ルクスルってどれぐらいなんでしょうか?」

 

「ごめん、僕も距離と対象モンスターを見て適当に選んだだけなんだ」

 

「丁度銀貨8枚になりますわね」

 

 すかさずルーメンが補足を入れる。銀貨3枚。モンスターの危険度と移動の費用を考慮に入れても程よい依頼だろう。

 早速受付に持っていき受注処理をして貰おうと向かった時だった。外の喧騒が唐突に騒がしくなった。同時にギルドの屋上、時報のために設置されたであろう鐘の音が鳴り響く。

 

 1回、2回――――3回。また少し間を開けて1回、2回、3回。普段ならば2回を二度鳴らして終わる筈のソレが何度も何度も鳴らされている。

 ギルドに入った時の説明にも、或いは今見ている依頼版にも張られている注意書きにもあった筈。確か――――

 

『緊急事態に際した場合、鳴らされる警鐘をよく聞き各自行動してください。

 

・3回且つ1度きりの場合……衛兵の指示に従い、直ちにその場を離れギルドに待機。

・3回且つ2度鳴らされた場合…銀級以上の冒険者にも出動要請をする場合があります。ギルド及びクランハウスに速やかに集合し、指示があるまで待機。

・3回且つ何度も鳴らされた場合…全ての冒険者に出動を要請いたします。直ちにギルドに集合し、指示を待つこと。

 

 なお、出動要請に応じた場合、エルフォンス公爵家より特別報奨が支払われます』

 

「き、緊急事態が発生しました! ギルドは全ての冒険者に対し、出動を要請します! 革級、鉄級冒険者の方は別途説明致しますのですぐに此方に集まってください!!」

 

 緊迫した職員の声が広間に響く。場の空気は瞬間で入り交じった。

 不安に混乱するもの、受け入れ臨戦態勢に入る者。様々な反応を見せる間にも事態は刻一刻と動いている。

 ジェナ達の二度目の危機は突然に表れた。

 

 

 

 時は少し遡り、封鎖が未だ解かれていない森林区域。調査隊の中にジョーはいた。

 いや、調査隊と表現するに物々しい。以前の様な研究者の姿は無く、代わりに魔術師がその穴を埋めており、その周囲を護衛する兵士の武装は物騒で、護衛にしては過剰な武装だ。調査隊と言うよりも、戦闘を主体とした強襲部隊と表現した方が正しいだろう。

 ジョーはエルフォンス公爵の依頼により、この隊に加わっていた。その目的は―――

 

「では、これから発見された魔法陣の逆探知を行います。地点を探知した後、我々は突入し現地にいる諜報員と連携を取り首謀者の捕縛及び殺害を目指します。ジョー殿、質問は御座いますか?」

 

 指揮官であろう兵士のその言葉に若干改善してきたとはいえ、まだ会話に慣れない様子で彼は答える。

 

「……その、気を悪くしないで欲しいのだが、貴君らの方は良いのか? これから突入するところは、言ってしまえば何も知らない場所だ。その―――」

 

 調査で発見された魔法陣を利用し、敵陣に切り込む。リスクの多い作戦だが、火急を擁する以上他に方法がない。呑気に行軍し国境を超える余裕がないとはいえ、死ぬ確率が高い場所に向かうのに恐怖を感じないのか。

 酷く戸惑いと不安を籠らせたその言葉に男は微笑する。それは不快感を覚えての苦笑ではなく、例えるなら子供の無知に対する親の様な、微笑ましさを含めた者である。

 男は唐突に号令を下す。烈火のごとく激しく、空を掛ける雷光の鋭さを以て響き渡るソレに部隊の誰もが混乱することなく、一糸乱れない直立不動の姿勢となる。

 

「貴様らは何だ!!」

 

 男が問うた。

 

「我々はエルフォンス公爵の精鋭部隊であります!」

 

 隊員の一人が答える。一つの言い間違えも躊躇もない、完璧な回答。

 続けて男が問う。

 

「貴様らはエルフォンス様の命令の為に死ねるか!!」

 

「それが公爵様の為になるならば!!」

 

 怒鳴る様に答えを被せる隊員の言葉に男は満足げに頷き、ジョーに向き直る。

 

「確かに我々はバーアライド卿の様にドラゴンを討滅できるような実力はありません。しかし、この都市を統治するエルフォンス卿の為ならば命を擲つことを厭わない。そんな者達の集まりなのです。今更死を恐れるような軟弱者はいませんよ」

 

 納得頂けましたかな?

 

 その受け答えを聞いたジョーは恥を覚えた。確かにそうである。彼らはエルフォンス公爵の私兵であり、その忠誠を、実力を認められて精鋭部隊に抜擢されているのだ。覚悟などとうにある。今更それを尋ねる自身の無知と、無遠慮さに顔に集まり熱を持つのを感じた。同時にその狂信ぶりに軽く恐怖も覚えたが。

 

「……申し訳なかった。とんだ失礼を」

 

 謝罪の為に頭を下げようとするジョーに男は掌を向けて静止させる。

 

「良いのです。貴君の心遣いは十分に伝わりました。さて、ジョー殿も準備は出来ているようですので、早速始めましょうか」

 

 合図と共に数人の魔術師が動いた。

 魔法陣の周囲を囲み、解析の為に自身の魔力を流し込んだその瞬間―――

 

「しまった!」

 

 魔術師の一人が叫ぶ。

 見れば魔法陣に光が灯っている。魔力を籠めれば発動するのだから問題は無い筈だが、その道に精通している彼等彼女等が叫んでいる辺りただ事ではないのだろう。

 

「感知式の罠……っ! 皆さん退避を―――」

 

 そう言っている間にも魔法陣はその輝きを強くし、その範囲を広げる。

 兵団はその範囲を逃れていたが、魔術師達は完全にその中におり退避するには遅すぎた。

 

 このままでは彼らは間違いなく敵地に転移され、その後の末路は容易に想像できるだろう。

 緊急時の為に近接用の剣は帯刀している者の、彼らにその心得は無い。

 これまでか。諦観とある種の覚悟を胸に強制転移に挑む。

 

 それらは沈黙の巨人によって物理的に吹き飛ばされた。

 彼は即座に魔法陣に飛び込むと剛腕を振るい魔法陣の中に居る魔術師達を弾き出した。

 誰もが呆気にとられる中、魔法陣はその使命を果たし範囲にいた人物を送り出した。

 

 後に残るのは地面に転がり、打撲に呻く者と取り残された騎士達。

 再起動した指揮官が兵士の一人を伝令として走らせたのはそれからすぐの事であった。




 前書きで色々書きましたが取り敢えず様子を見ながら更新していきます。なろうの方は…多分一度前消しして構成を改めてから投稿するかもです。

追記:色々解説

ナッパロー王国の貨幣制度について

単位:ルクスル…1ルクスル300円

貨幣
・共通保障金貨・銀貨・銅貨……50万・10万・5万円(日本円換算)基本的に提携を組んだ国同士の取引などで使用される。
・聖銀貨…101万2500円
・金貨……67500円
・銀貨……4500円
・銅貨……300円
・銭貨……20円
15枚で1個上の硬貨となる。

宿屋の平均賃料1.5万円/月=50ルクスル=銀貨3枚と銅貨5枚

ライ麦パン…1個150円2個300円(銅貨1枚)
肉と野菜のセット…860円(銅貨2枚と銭貨13枚)
上記の内容だと一日銅貨11枚と銭貨9枚になる。

冒険者御用達セット×3食分…3000円=10ルクスル(=銅貨10枚)

冒険者が1か月生きていける食費は金貨1枚+銀貨5枚
冒険者の装備諸々の費用は最低銀貨3枚から金貨1枚+銀貨2枚
冒険者が生きていくのに必要な全般費用は最低金貨2枚と銀貨6枚と銅貨5枚
賃料含めると1か月金貨2枚、銀貨9枚、銅貨10枚

革級冒険者の最低依頼料……銀貨2枚銅貨3枚(溝浚い、薬草採取、馬車への荷下ろしなど)
鉄級冒険者の最低依頼料……銀貨5枚(小型モンスターの狩猟、馬車の護衛など)
銅級冒険者の最低依頼料……銀貨7枚(モンスターの狩猟、馬車の護衛など)
銀級冒険者の最低依頼料……銀貨9枚(モンスターの狩猟、馬車の護衛など)
金級冒険者の最低依頼料……銀貨11枚(モンスターの狩猟、馬車の護衛など)
黒級冒険者の最低依頼料……金貨5枚(黒級冒険者の多用を避けるため)

 大雑把に決めた所なので甘い所もあるかと思います……。
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