勇者属性を持つ新人のパーティーに入ったら国家の危機が目白押し。パーティーが活躍している裏で動かなきゃ国が詰む   作:マツバキクノスケ

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 自分でもクオリティが低くなっているのは判ってはいるがそれでもこれ以上の表現は出来ねぇんだ…すまねぇ……すまねぇ……。

 それとは別に自分の書きたかったシーンの一部ではあるから多少は力を入れている。と、思ふ。


苦戦と蹂躙

 辺りはゴブリンに襲われる市民、彼らを避難所まで護衛する衛兵、ゴブリンを抑える衛兵とその補助を行う冒険者達で混沌としていた。

 

「っ―――これでっ!!」

 

 ジェナの振るう剣が一匹のゴブリンの脳を深々と切り裂き、続いて放つ蹴りで剣を引き抜いた。

 

「リーダー、後ろ」

 

 クリスが背後から襲い掛かる別のゴブリンをスローイングナイフで処理する。

 絶命したゴブリンからナイフを回収しつつ周囲に目を配る。その手には普段手にしている弓矢は無く、代わりにマチェーテが握られている。

 狭い市街地且つ混戦の状況下では、彼女の腕では誤射を招きかねないための選択だ。

 

「ルーメンは!?」

 

「あっち」

 

 指さした方を見ると手に持った杖をゴブリンの頭に叩き込む彼女がそこにいた。

 魔術師且つ木製の得物だというのにまるで卵の殻を破るようにゴブリンの頭蓋をカチ割った。

 

「お待たせ致しました」

 

 何事も無かったかのように杖に付いた肉片と血を振り払いながら彼女はジェナ達に近づく。その顔には少しの疲労も見られない。

 凡そ後衛職らしからぬ彼女のその様相にジェナとクリスは若干引きながら再度陣形を組み、周囲を見渡す。

 要請に応じた冒険者は比較的戦力に余裕のある規模の大きいクランの元で衛兵たちと連携を取っている為か戦況は安定しつつある。

 

 しかし、依然として物量を頼みに攻める襲撃者達はその数が減っている様子が無い。

 どれだけゴブリンの死骸が積み重なろうともその度に現れる新手がその穴を埋め、此方は消耗を強いられているのだ。いくら連携を取ろうとも、積み重なる疲労は徐々にその影響を強めていく。

 対抗する術は二つ。それに相当する物量か、若しくは超人的な力。

 

 しかし、そのどちらもこの都市には居ない。無情にも逼迫されつつある戦況の中、彼女達は目の前の敵に集中する他に術は無かった。

 

「ジョーは何処にいるのでしょうか…」

 

 ジェナの無意識の救いを求める声は戦場の喧騒の中無情に掻き消えた。

 

 

 

 

 面倒だな。

 

 飛びかかってきたゴブリンの群れを薙ぎ払う。

 

 周囲に味方はいない。俺だけがこっちに分断された状況。まあ、実際は自分から罠に飛び込んだだけなんだが。

 

 とは言え、たかが一人と集団じゃあ失うものが比較にならん。もっと言えばエルフォンス公爵から聞いた話を考えれば彼等を残した方がいい。

 犯罪組織が未だ根を張っている以上人手は多い方が好ましい。スーパーヒーローだって多発的に発生するテロ行為には滅法弱いのだ。それよりも数を確保して複数の事象に対応できる方が都合がいい。それがエルフォンス卿の手足の一部なら尚さらだ。

 

 そう思って罠に突っ込んでいったが、面倒臭いのは事実だ。

 

 強さはそんなにない。と言うか所詮はゴブリンでしかないから、強さは無い。

 しかし膨大な数が伴うと話は変わる。倒しても倒しても無制限に現れ、襲い掛かる。その上でゴブリンライダー、ジェネラルもいるのだから厄介も厄介。

 罠を仕掛け動きを封じようとしてくるわ、囮を使って死角から攻撃してくるわ。此処のゴブリンキングは転生者か何かか? 普通のゴブリンキングは物量を使った力攻めしかできねぇっての。それはそれで厄介だが。

 

「---ッ」

 

 頭上からの気配に対し剣を振るう。

 硬質音が響いたと思えば、俺の目の前には砕け散った矢が、俺の周囲には無事なものが地面に突き刺さった。

 石畳に深々と刺さっているのを見るに、重量か、或いは矢じりの鋭さか、或いはそのどちらもか。何れにせよ直撃すれば唯じゃすまないのは分かる。

 周囲を囲むゴブリンも明らかに違う気配、上等な装備…ジェネラルとライダー、そして弓を持った部隊が俺を取り囲んでいた。

 ただ今前と違う点は身に着けている装備が明らかに上等なもので、その統率も獣染みた無暗な取り囲み方じゃない。周囲の建物裏路地を固め、手に持った武装――槍を構え、逃げ道を潰し、高所に位置している弓矢を持った連中は檻に入った獲物に途切れることなく矢を撃ち続けてくる。正面に居る鎧を身に着けた連中が矢の防御の隙を突いて攻撃を仕掛けてくる。厭らしいのはゴブリンの特権ではあるがこんな厭らしさは嫌すぎるっ……!!

 

 更に練度の上がった数の暴力に対してこっちは一人。いくら強くても消耗戦に持ち込まれれば負けるのはこっちだ。

 万事休すか――――と、普通なら思うだろう。

 だが、生憎これでも黒級冒険者の座に居る以上、他の同ランクと同じように『奥の手』はある。十全に使える状況がそうそうないのと、私的な感情論から使いたくはないが。

 状況、広さも十分に確保されている、被害を気にしなくて良い、何より―――()()()()()()()()。七面倒臭い条件が都合よく揃っている。『コレ』は誰かに見られると面倒なことになるからな。

 

 おいクソトカゲ、糞見てぇな置き土産だが使い道はあるんだ。使えるものは何でも使わせてもらうぞ。

 

 

 

 

 あるゴブリンは恐怖した。自身が見下ろす敵のその無限ともいえる体力と、鬼(オーガ)の様な怪力、身体に刺さった数本の矢を気にもせずに戦うその様に。

 彼らは総じて知能が低い。精々が小さな群れを作れる程度だ。

 簡易的な武器を扱い、粗末な住居を作り、小動物を囲って狩る。或いは人の生活圏に侵入してごみを漁る程度の凡そ不快害獣としての一面しか持たない。

 しかし、そこにキング(王)が生まれれば話は変わってくる。

 キングの出現は群れ全体の知能を上げる。それが如何なる理屈なのかは分からない。一説によれば、キングの放つ魔力に当てられて変化するという説もあるが、それは定かではない。

 高い知能でより大きな群れを纏め、そしてより巨大な獲物を狩り、生活圏を広げ数を増やす。そうなれば人類に及ぼす害もそれに比例して深刻なものになる。この群れのキングが与えた害は殊更に深刻なものだ。

 

 都市一つを略奪し、己の物にしたのだ。

 数と言うものは偉大だ。例え3体では敗北する人間相手でも、10体で襲えば話は変わる。それが都市の人口よりも遥かに巨大な数。どうなるかは現状が語っている。

 自信をつけ、増長していた彼らは今回も高をくくっていた。相手は一人、すぐに終わるだろうと。

 だが蓋を開けてみればどうだ。一振りで集団でいたゴブリンが殺され、倍の数で襲い掛かるが次の瞬間には同様の運命を辿った。あの罅の奔っている巨大な剣はその質量と速度を以て、命を一瞬で見るも無残な肉の塊を生み出し周囲にばら撒いた。それを操る、その剣と同じように巨大な男は射たれた矢を物ともせず、周囲のゴブリンを薙ぎ払い、踏みつぶし、訓練され連携を取って襲うライダーを騎獣ごと切り捨て、鍛え上げられたはずのジェネラルの武器を破壊し、鎧ごと両断した。

 しかし、それでも尚数は圧倒的だ。いつかは斃れる。刺さっている矢も、ついた傷から流れる血も確実に動きを鈍らせている筈だ。

 

 そう安堵したゴブリンの思考は、次に襲った悍ましい気配によって真っ白に塗りつぶされた。

 

 それは男に与えられた祝福であり呪い。殆ど魔力を持たないゴブリンでさえ理解できる魔力の奔流。圧倒的な暴力の気配。波紋が広がるように襲い掛かろうとしたゴブリン達が思わず後ずさった。

 刺さっていた筈の矢はゆっくりと時を戻す様に押し出され、傷口は煙を上げながら蒸発する様に消えていく。ただ唯一残った、上半身から首に広がる火傷跡が赫々と色を宿した。

 

 男の眼は爬虫類の如く細長く伸び、身に纏っている漆黒の革鎧は生き物のように蠢き、男の身体に纏わりつき形を変え、尾てい骨に当たる部位から現れた長い尾が地を叩く。

 露出している肌を覆うように鱗は生え、携えた大剣の罅は灼かれたように、いや実際に灼かれているのだろう。熱を発しながら赤く光を放っている。

 男は徐に息を深く吸いこんだ。胸部が限界まで膨らみ、固く結ばれ今まで開れなかったその顎が大きく開いた。

 

 

―――があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!

 

 

 距離を取っていた筈のゴブリン達は吹き飛ばされた。其れならまだ幸運だっただろう。比較的近くにいた同胞はその衝撃波で肉体が爆ぜ、苦痛を感じる間もなく命を失っているのだから。

 

 咆哮を終えた男は先ほどよりも激しい動きで戦闘を続行する。より力を増した剣の一振りは離れていようとも紙屑の様にゴブリンを吹き飛ばし、剣を叩き付ければ飛び散った石畳の残骸でさえ凶器になった。

 ジェネラル数体で応戦に掛かろうとも相手にならず、例え剣が皮膚に届き切り裂こうとも鱗が刃を弾いた。石畳を容易に貫通していた矢は言わずもがな。小石の様にあしらわれ、虚しい音を立てながら地面に転がる。

 最早圧倒的な暴力の前に、罠も陣形も作戦も歯が立たない。頼みの綱の数でさえ先程以上の速度で削られていく。時間が経過する度に攻撃は苛烈さを増し、振るわれる剣に宿った熱は温度を上昇し続け、遂には周囲の物体に炎を灯すに至る。天秤は徐々に男の方に傾き始めた。

 

 敵わない。そう確信したゴブリン達の行動はただ一つ。

 蜘蛛の子を散らす様に背を向け、逃走を試みる。ジェネラルが怒号を上げ、それを阻止しようとも構わずに。

 それを見た男は握っている剣に魔力を込めれば、本来の性質を捻じ曲げられた剣は赤く光る罅から炎が噴き出し、剣そのものを包み込んだ。

 その剣を振るえばかつて都市の一区画を一息で焼き溶かした炎が逃げるゴブリンを襲い、跡に僅かばかりの燃えカスを残し、なおも背を向けるゴブリンを追いかける。

 

 かつてのルクレベの悪夢は姿を変え、その体躯を変え、此処に顕現した。後は崩壊までの時間をどれだけ引き延ばせるのか。彼らに出来る最後の抵抗ははそれだけだ。

 




 色々設定は練っていてもそれを作品に組み込むのも一苦労なんだなぁ……。
 書いて初めてわかる創作活動の大変さ(今更)
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