勇者属性を持つ新人のパーティーに入ったら国家の危機が目白押し。パーティーが活躍している裏で動かなきゃ国が詰む   作:マツバキクノスケ

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 カクヨム、なろうで当作品を投稿してるんですがね、こう…やはり魔境ですわ()
 いっちょコンテストに参加しようと意気込んでみたんですが、ね。うん。やっぱり魔境(二度目)

 あとシンプルに誰も読まない。悲しいことに。
 それに比べてハーメルンのなんと温かい事よ……(落涙)


終結の裏、蠢動する者

 ヨルアクの都市では混乱は収まりつつあった。

 

 非戦闘員は殆ど避難が完了し、その護送に回していた人員を戦闘に配備することができたからだ。

 ジェナはゴブリンを一体切り捨て、安堵の息が漏れた。

 既に空は茜色に染まり始め、周囲も薄暗くなりつつある。

 周囲のゴブリンの数は先ほどから明らかに少なくなっており、戦況も次第に落ち着きを取り戻しつつあった。

 

「……ゴブリンの数が少なくなっているね。何でだろう」

 

 クリスが周囲を見渡しながら呟く。

 確かに、倒せども倒せども新たに湧いて出て来たゴブリンがパタリと止んだ気配がするのだ。

 

「……そうですわね。言われてみれば確かに」

 

 若干戦場を持て余している戦力が目立ってきている。

 此処から先はほぼ衛兵の仕事になるだろうか。そろそろ非常事態の収束を告げる鐘の音が鳴ってもおかしくは無いだろう。

 

「猟犬を放てッ!!」

 

 鋭い声と共に唸り声が市街に響いた。

 見ると衛兵の部隊が猟犬――恐らくは魔物だろう――を綱から外し、獲物をを追い立て始めた。

 その後ろでは別の部隊がリードに繋いだ猟犬と共に、街の中を走っていく。

 

「……凄いな。魔物を部隊に組み込んでいるのか」

 

「あら、知っていますの?」

 

「まあ、治安維持隊希望だったからね。他の部隊の事も一応知っているつもりさ。それにしてもよくできたな」

 

「難しいんですの?」

 

「うん。特に肉食の魔獣はね。大型になればなるほど難しくなるよ」

 

 彼女達の傍を数頭魔獣たちが通り抜ける。ゴブリン達は追い立てられるように逃げ惑う。

 時折、ライダーやジェネラルと言った上位個体が抵抗を試みるも、巧みに連携を取り騎獣から引きずり下ろし、或いは集団で囲み背後から奇襲を仕掛けることで無力化していく。

 こうなってしまえば完全に収束する――とはいかずとも、上手く隠れ潜んでいる個体も猟犬の嗅覚によって引きずり出されるだろう。

 

「あっ! あっちにゴブリンの集団! 行こう!!」

 

 鐘の音はまだ鳴らずとも、既に撤退の準備を始める冒険者の姿を横目にジェナ達は未だに残る残党の処理の為に、市街を探索する。

 

 そんな彼女達を見てとある冒険者は呟いた。

 

「おかしくねぇか?」

 

「なにがだ?」

 

 彼と同じパーティーに所属する斧使いの男が尋ねる。

 見ろよ。と指を差す方向には相変わらず溌溂とした様子でゴブリンの掃討を行うジェナ達の姿。

 

「普通じゃねぇか」

 

「傷が殆どねぇ。それにまだぴんぴんしてやがる」

 

「キズぅ?」

 

 再び彼女達の方を向いた。確かに彼女達、特に前衛を務めている両手剣の少女は、敵と交戦する機会が多いにもかかわらず、かすり傷はあれど殆ど無傷と言っていい程だ。

 

「サボってたんじゃねぇの?」

 

「オメェ、アイツ等が俺達と同じとこ防衛してたの知ってるだろうが」

 

 言われてみればそうだ。斧使いの男は言われて気が付く。あの少女たちも積極的にゴブリンを討伐していたのを思い出した。

 さらに考えれば、あれだけの乱戦を無傷で尚かつ余力がまだ残している素振りを見せている。

 

「鉄級……だったよな?」

 

「俺達の眼がイカレてなければな」

 

「……沈黙の巨人の鍛え方がいいんだろうよ」

 

「それか素質を見抜いたかだな。どちらにせよ、アイツ等は化けるぜ。巨人の唾が付いてなけりゃ引く手数多だったろうよ」

 

 視界の先でジェネラル相手にジェナが正面切って善戦を繰り広げ、背後に回ったクリスが首元にナイフを突き立てていた。

 推奨等級を超えた魔物をたった3人の鉄級冒険者達が斃す姿を見て、斧使いの男は相棒の言葉が虚言でないことを確信する。

 

「あの巨人、むっつり黙ってるだけの力自慢じゃねえんだな」

 

「仮にも黒級だぞ。あっさりパーティーに入ったんだ、何かあると踏んだんだろう。にしても、あのお嬢ちゃんが最初声かけた時は思わず死んだと思ったがな。そういう度胸も含めて評価したんだろうさ」

 

 成程。

 斧使いが感心していると、背後から怒鳴り声が聞こえる。

 

「おい! くっちゃべってねぇでこっち手伝え!!」

 

「ボスからのお達しだ。そろそろ行くぞ」

 

「そうだな……今日は酒場は流石に閉まってるかねぇ」

 

 仕事終わりの一杯を味わえないことを嘆きつつ、男たちは仕事に戻った。

 

 

 

 

「それで、現状は?」

 

 都市ヨルアク中央区、カーランド公爵邸宅。

 エルフォンスは執務室にて森林区域から戻ってきた指揮官からの情報、そして市街地での混乱を受け直ちに部隊を派遣していた。

 ヨルアクの管理を任されている以上、そちらの対処を優先させていたがそれも落ち着きを取り戻してきた今、残るは強制転移によって敵地に飛ばされてしまったジョーの救出のみ。

 そのための部隊の編成をマクスウェルに一任していたのだ。

 

「既に国境付近へ通達し、転移陣の起動準備を終えた所です。許可を頂ければすぐにでも部隊を派遣することが可能です」

 

「すぐにでも出立させろ」

 

「心配されておりますか? 彼ほどの実力者ならゴブリン程度、ものともしないと思いますが」

 

「爺、私が心配しているのはバーアライド卿ではない。そもそも、鉱石ゴブリンの王国を壊滅させたのだぞ彼は」

 

「ああ、そうでしたな」

 

 得心したように頷くが、エルフォンスにはそれがわざとであることは判っていた。昔から自身を試す時は今の様に問いかけを投げ、正解を言われるとわざとらしく惚けるのだ。

 

「では目的は――」

 

「アムーレリアの都市の方だ。例の魔法陣、逆探知で調べた所そこに転移されるように設計されていた。恐らくゴブリンも膨大な数いるだろう。生存者の確認は当然、建物の復興も視野に入れなければならない」

 

「生存者…でございますか」

 

「嗚呼」

 

「可能性は低いかと思われますが」

 

「諜報員が居る。あと人命が本命ではない」

 

 あくまでもそちらは《序で》だ。どちらかと言えば建造物の復興と調査の方が強い。

 正直、主な産業だった鉱石資源が尽きている以上あの領土は鶏肋にすらならないだろうが、残った僅かな旨味か或いは調理方法か。活用方法を見出すための調査も行う必要がある。

 しかし、そのためにもまずは―――

 

「此処も向こうも、ゴブリンの後始末に奔走されるだろうな」

 

 後は被害報告の整理に修繕の決算、転移魔法陣の解体、冒険者達への報奨金。

 面倒だ。とても。

 ため息を吐きたくなるのを堪える。騒動はまだ完全に終わっていないのだから。

 

 

 

 

 未だに封鎖状態が続いている森林区域。その元凶となる転移魔法陣が敷かれている場所。

 その魔法陣の前に複数の人影が立っていた。

 

「さて、こんなものでしょうか」

 

 そのうちの一人――アムーレリアから退散したはずの男が呟く。

 彼らは秘密裏に仕掛けた魔法陣から侵入し、目的を果たすために此処にいた。

 

「……仕掛けなくて良いのですか」

 

 部下の一人が尋ねる。態々目標の近くまで接近し、何もせずに帰ることを疑問に思っての事だ。そもそも、ここまで来たのは混乱中のヨルアクに更なる打撃を与える為だと思っていたのだ。

 しかし男は言葉で以てそれを切って捨てる。

 

「必要ありません。今はまだ」

 

「……出過ぎた真似をしました」

 

 首を垂れ引き下がる部下と入れ替わるように、もう一人が現れた。

 

「首尾は? 痕跡は残していませんね?」

 

「はい、此方に」

 

 献上された物を手に取る。年代のわからない古い巻物だ。

 ゆっくりと巻物を開くと現代では使われていない、遥か古の文字が記されていた。

 

「あの、よろしいでしょうか?」

 

 部下の一人が恐る恐ると声を掛ける。

 周囲にいる者が即座に殺気立つものの、主の無言の静止で一度は収めた。

 

「発言を許した覚えはありませんが…今は気分が良い。特別に許しましょう」

 

 部下は周囲の殺気に怯えながらも、言葉を続けた。

 

「その……その巻物は何でしょうか?」

 

「一言で言ってしまえば、『教団』が欲している物の一つ。それが実在しているという証拠、といった所です。利用しているとはいえ、仮にも教団の一員として貢献しない訳にはいきませんので」

 

「見た所、遥か昔の巻物に見えますが……あのエルフの研究者に解読させるのですか?」

 

「まさか」

 

 一笑に付した。あの男の価値はこの都市に混乱を招き、尚且つこの書物を手に入れることができた時点で消え去った。

 そもそも、あの魔法陣から召喚されたのが『沈黙の巨人』である以上、研究と言う名の遊戯に付き合うつもりは毛頭ない。

 あの男はこちらを利用していたつもりであろうが、資金はおろか物資さえ我々に依存していた時点で、対等な立場ですらなかった男が如何こちらを利用できると思ったのだろうか。片腹痛い。

 それに――翻訳など必要ない。《もう読み終えたのだから》。

 

「行きますよ」

 

 巻物をゆっくりと懐にしまい込む。これ以上の長居は無用だ。

 

 

「戻られるのですか?」

 

「いえ、このまま戻ったところで小枝の折り損じを咎められるのが目に見えていますので。お土産を持っていこうかと」

 

「は、はあ……」

 

 そう言うと男は身を翻し、ヨルアクの都市から離れた。

 微かに揺れた髪の隙間から、《切られた跡の残る耳》を覗かせながら。




 ことわざ解説

小枝の折り損じを咎める…エルフの集落ではとある木を管理する際、余計な枝を選定する。その際、本来ならば切っても切らなくても問題ない枝を指摘してくること。翻って問題にしなくていい細かい所を攻めてくるという意味になる。(類語:重箱の隅を突く)

 パッと考えたけど文が長いな…もうちょっと語呂よく纏められないものか……。

 前書きで書いたことについて何ですが、活動報告にリンク張ろうかなぁと考えてますが、こういう宣伝はよろしくないよなぁと自問自答しております。
 でも貼っちゃう。作者のやる気に直結するので。

 気が向いた時でいいので活動報告の方から飛んでみて頂けると嬉しいです。

 こんな宣伝で得たPVに一体何の意味があるのやら……。
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