勇者属性を持つ新人のパーティーに入ったら国家の危機が目白押し。パーティーが活躍している裏で動かなきゃ国が詰む   作:マツバキクノスケ

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 うっかり禄にタイトルも決めてないままに投稿してしまった……見てしまった方は申し訳ない。

 色々宮廷貴族やら法衣貴族やら大臣やら人口やら調べて考えたりしましたが『もういいや! どうにでもな~れ☆』のノリと勢いで押し通すことにしました。説明なんて後付けじゃぁぁぁあ!!


本格調査、人員の選定

 首都ヨルアクは同心円状になる3重の市壁に囲まれた人口凡そ30万人の都市であり、今も尚増設を検討されている発展著しい都市である。

 その中央に向かえば向かう程に重要な施設が増え、当然その近辺に住まう者もまたそれ相応の地位と責務、そして富を持つものが集まる。

 その更に中央。かつて旧王国から生き延びた故ミロア・フォン・ルクレベ第3王子含めその周囲の諸侯及び当時の市民によって築き上げられた不屈と再建の象徴であるフォルチュリビルド城。

 

 再生を司る不死鳥と旧王国の証である蒼白なる星を掲げたその城1階。

 キュッ、キュッと大理石の床に『合成ゴムの擦れる音』を響かせ、王立『科学』研究部門主席研究員である浅見由衣は目的地へと歩みを進める。

 目の下の酷い隈、よれた白衣、光沢を失い癖が目立つ髪。億劫そうに足を動かすその様子は明らかな疲労の色を滲ませているが、彼女の周囲の人間も同じような状況であり気にする程余裕のある者は少ない。

 

「これはこれは、アザミ主席研究員じゃありませんか」

 

 そんな彼女の背後から聞こえる声に反応し、振り返る。

 フードを深くかぶり、枯れ木の様な体躯の老人が笑みを浮かべて立っていた。

 

「……何用かね?」

 

 億劫そうに口を開く彼女になおも笑みを浮かべながら彼は話しかける。

 

「おお、随分とお疲れの御様子で。研究は随分と順調そうで何よりです」

 

「そんなつもりはないのだがね……」

 

 実際は声の主の言う通り、研究が順調に進んでいる影響で連日連夜にも及ぶ徹夜明けなのである。今は休憩と思考の整理を兼ね、中庭で呆然と過ごしていたのである。

 

「で、改めて何用かね? 挨拶だけならこのまま研究に戻りたいのだが」

 

 気だるげに言う彼女に声の主―――王立魔術研究所次席研究員マルドア・ミルザレム・アトワーヌは暗く卑屈な目を爛々と輝かせて話す。

 

「先日、冒険者ギルドの方から妙な報告が入りまして……その共有に来た。という次第でございます」

 

 落ち着いた話し方とは対照的なフードの奥で煌々と輝く眼。斜陽が差し込む廊下で、それはより一層深くなったフードの影の奥で不気味に自身を映している。

 しかし、浅見は特段怯えるような素振りも見せず、冷静に対応する。最初の方こそ警戒心を抱いていたが、彼の人となりを知ってからは気にする必要も無かった。

 

「そいえばそんな話もあったような……」

 

「ええ、恐らく貴女の事ですから研究に没頭するあまり、その他の情報を遮断しているのではないかと思いましてねぇ」

 

 目を細め笑みを浮かべ、マルドアは続ける。 

 

「では改めて――ミロア暦542年一角獣の月23日、冒険者ギルドヨルアク第一支部より第一報がありました。黒色冒険者、ジョー・バーアライド士爵及びそのパーティが受注したゴブリンの討伐任務において、ゴブリンライダー数体、ジェネラル1体のランク外モンスターと接触。当該パーティーは撤退戦の後にギルドに報告」 

 

「……まて、バーアライド士爵だと?」

 

「ええ」 

 

「あのラオウモドキが?」 

 

「ラオウがどなたかは存じ上げませぬが、おそらくは貴女の考えている通りの方ですな」 

 

――群れるなど脆弱。己が身一つで闘って魅せよ。

 

 そんなことを言いそうなあの巌の漢が?

 

 嘗て王から勲章を賜るあの場で見た姿からそんなことを考えたが、必要のない情報だと切り捨て本筋に思考を戻す。

 

「話を戻しましょう。過去の事例に則り、ゴブリンキングによる『建国』の可能性有と判断し、翌日に調査隊が現着。調査がされるものの、ゴブリンの姿が一切見られず追跡すら不可能であり、事態を重く見たヨルアク第一支部ギルド長ギルバートにより、報告書と王国主導による調査嘆願書が担当官の元に提出されまして、現在の所財務大臣補佐も交えた予算会議が行われている最中でございます」

 

「それで? それが私が聞く必要のある情報だというのなら何かあるんだろう? その本調査に私達も出向くと?」

 

「ええ、何せ出現場所が場所ですので。この不可解な現象を一刻も早く解明し、王国に被害をもたらす火種があるのなら早期に踏み消す必要があります。もう既に調査隊員の選定が始まっております。魔術・科学・生物学の観点から調査が行われます」

 

「魔術研究部門からは魔力流学を研究しているジャック・ジョウン・ジュノー研究員が、生物研究部門からは生態学に詳しいアレンス研究員が選ばれております。あとは科学部門のみとなっておりますので、こうして長である貴女にお伝えしていると、そう言う事です」

 

「君はいかないのかアトワーヌ研究員?」

 

 その貧弱そうな外見に見合わず、未知の事とあれば火の中水の中ドラゴンの口の中にさえ飛び込むであろう目の前の男が調査に赴かないことに疑問を呈すと、マルドワは残念そうに、心の底から残念そうに猫背気味の身体を更に沈ませて力なく笑う。 

 

「ええ、誠に残念ながら私は残る必要があるのです。我が部門の主席研究員をご存じでしょう?」

 

 あぁ……

 魔術研究学始まって以来の天才と称された彼を思い出し、納得と憐れみ、そして同情が入り交ざったその声が静かな廊下に微かに響いた。

 気まずさを搔き消すように咳ばらいをし、浅見は口を開く。

 

「そうだな、すぐさま戻って選定を行おう」

 

「ええ。それがよろしいかと。現在進行形で行われている会議も直に終わります。そうなれば、ヨルアク都市を統治しているエルフォンス・ラ・カーランド女公に調査隊護衛の為の王命が下ります。まだ猶予はあるとはいえ、早め早めに行動することに損はありませんので」

 

 では…と、マルドワはこれから戻る業務に憂鬱になりながらも自部門へ歩みを進める。

 それを何とも言えない面持ちで見送ると、浅見も人員の選定を脳内で行いながら廊下に再び音を響かせ研究所に向かった。

 今日も研究所の明かりが消えることは無い。




 色々解説

・旧王国首都

 名を首都ルクレベ。人口100万を擁する大都市であり、代々王とその都市を管轄する3つの公爵家により安定的な統治が行われてきた。
 ドラゴンが襲来した時に王位継承権の一番低い第3王子が所用で都市を離れ、戻る途中を逃げ延びた公爵家の一つであるカーランド家次期党首が保護して現在のヨルアク都市に居を構えた。今の首都との距離は馬に無茶言わせて1週間弱。但しルクレベはドラゴンが居るので馬が怯えてルクレベまで行けない。なので一番近い集落の駅で馬を返却して後は徒歩になるので更にかかる。多めに見積もっても2週間。

・ヨルアクの中央区

 法衣貴族を輩出するエリート家庭やら大商会の本拠地やら、或いは腕の良い鍛冶職人などが居を構えている。

・公爵家

 唯一ルクレベの惨劇から生き延びた公爵家は再興の際に大いに貢献し、現在も首都ヨルアクの管理を担っている。宮廷及び国王は国全体の管理を行っている。

・ミロア暦と月について

 ルクレベの惨劇から生き延び再び国としての機能を回復させたミロア王の名はその功績により暦となっている。惨劇が起きた年はミロア暦7年、再興が完了したことを宣言したのがミロア暦11年。ミロア王が没したのがミロア暦58年。
 一角獣の月…身も蓋も無いことを言えば6月である。ジューンブライド=純粋、純潔=ユニコーンと言う作者の安易な考えのもとできた月の呼び方である。基本的に1か月の周期は地球のそれと大差ない。

 検索して、色々考えましたが細かいところまで決めるときりがないし、そもそもそんなこと考えられる脳みそを持っていないのでこれで勘弁してください(土下座)

 あ、昨日からなろうでも投稿を開始しました(後報告)
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