The Beginning of the Fighters   作:黒冠

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6.夕景に仄めく探し物

 

★マリオ&ルイージ★

 

「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「……なんで!」

 

「「こうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 星型飛行物体と、その搭乗者を追い掛ける側であったはずが、気付けば二人が追われる側になっていた。それも、目当ての者にではなく、全く関係ない敵襲である。二人はダッシュ状態で追手から逃げつつ、止まる気配のない猛攻もひたすら交わしている。

 

「…って言うか、何でドンキーコングがこんなにたくさん居るんだよ!?ルイージ!!」

「俺に聞かれたって知るわけ無いだろ!!…ッ、こんなのどうやって対処すれば!!」

「2対10って反則だろ反則!!多少サイズが小さいからって許されるかぁ!?」

「それに関しては俺も全力で賛成…って、うわ!?今度は横から!!」

「…ルイージ!!俺に任せろ!!どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 もはや、真面に文句を言う暇さえも阻害される。ルイージに差し迫る拳一突が視界にハッキリ映れば、マリオは彼を飛び越え、拳に拳をぶつけた。迅風に全身を煽られ、拳に凄まじい負荷が掛かるも何とか踏み止まる。そのまま押し切るべく腹の底から力強く叫び声をあげた。

 手ごたえを感じた直後、相手の方が大きく後方へ吹き飛んだ。湧き上がった爽快な笑みが歓喜を描くが、油断は出来ない。今度は後方に殺気を感じ、すぐに振り返りながら拳を振り上げる。此方へ向かって来ていた別の拳の軌道を見事逸らし、そのままもう片方の手で相手の腕を掴んだ。両手で腕をがっつり握り込み、片足の踵部分を地面に突き立てつつ全身で回転を掛ける。相手の自由は完全に奪った。あとはトドメを刺すだけだ。かたや戦う親愛なる弟へ、バトンタッチの意と共に声を張り上げる。

 

「頼んだ!!ルイージ!!!!」

「任せろよ、兄さん…!!せぇぇぇぇい!!!!」

 

 為す術無く宙を舞い、懐向けて飛び込んで来る標的を、ルイージは正確に補足する。目の前の敵数体を足でいなし、標的へと向き直れば緑色の火炎宿る拳を容赦なく叩き込む形で迎撃した。ものの数分で、一気に半数が片付いた。

 二人は背中合わせの状態で、残りの標的全員に取り囲まれるも焦りの表情は一切見せない。むしろ、余裕満面の笑みで挑発している。

 

「…悪いなあ、マスターハンドさぁん!見慣れた奴相手なら、どれだけ数用意しようと楽勝なんだよ!!それに───」

「それに、兄さんと一緒なら絶対負けないぞ!!俺たちマリオブラザーズは…最強なんだよ!!」

 

 二人は刹那、視線を交える中で互いの意図を確かめ合う。長らく支え合って生きて来た二人には、これだけ時間があれば十分だ。今度はルイージが先制攻撃に出る。片腕を支柱に繰り出した回転蹴りで複数体を一気に怯ませ、自分に隣接している一体にタックルを仕掛け、更に大きな隙を生み出す。今度はタックルの脇からマリオが飛び出して、大きく傾いた相手をそのまま膝蹴りで後方の巨木へ叩きつけた。仲間を撃破されたことで憤怒した残り3体が機械音交じりの咆哮を上げるが、二人は怯むことなく突き進む。マリオはルイージに再度声を掛けた。

 

「しっかり息合わせて、決めるぞ!ルイージ!!」

「当ったり前だろ!兄さんこそ、遅れるなよ!!」

 

 弟の声がしっかり聞こえたことで、改めて意思疎通が確認出来た。大丈夫、このまま行ける!確信は自信へと変化し、二人の身体をもっと軽くする。一体目のパンチは黄色く輝く揃いのマントで弾いた。二体目のキックはスライディングでやり過ごし、先に構えている巨木を踏み台として一気に方向転換する。これだけの距離と時間の中で、二人の拳には最大威力の火炎が宿った。紅と緑が燃え上がり、目標を失った標的たちの背中へ喰らい付く。

 

「「ファイアボーーーーーーーールッッッ!!!」」

 

 これまた、途轍もない威力に伴う衝撃が周囲へと拡大する。巻き起こる煙幕の中、二人は動作を止めた。ホログラムたちは形を失い、溶けるように消えていく。完全に敵襲が全滅したところで、兄弟は勝利のハイタッチを交わした。当然のように、互いの活躍を称賛し合う。

 

「…よし、取り敢えず凌ぎ切ったみたいだな。ルイージ、お前の戦闘、最高だったぞ!」

「何とかなったみたいだし、これで調査の時間に猶予が出来たと思いたい。…兄さんこそ、最高にイケてたぞ。」

「はは!そんなに褒めてもキノコぐらいしか出せないぞ!……ん?」

「…兄さん?」

 

 マリオの語りの勢いが急激に減少したことを疑問に感じ、ルイージは彼の顔を覗いた。すると彼は不意に地面へと屈み込んで、何かを二本指で摘まみ上げ、立ち上がる。一連の動作からは何も推察出来ず、首を傾げ兄の返答を待った。程無くして、マリオはルイージへ拾い上げたものを提示した。

 

「それは、……赤いガラス玉?随分、小さいな。」

「さっきのドンキーコング擬きが落として行ったんだろうな。戦闘中、こんなものは無かったはずだし。それに、ほら。これ、よく見ると一直線の光を放っているんだ。…何なんだろう?‶終点〟に繋がるアイテム、なのかねえ?」

 

 ルイージは腰を屈め、赤く小さなガラスをまじまじと見つめながら思考した。

 敵が落としたアイテム?だとすれば、こういう時のお決まりは───。

 あくまで推測に過ぎないそれを、上手い具合言葉に纏めたところで何も分からないと頭を抱えつつある兄に向けて説明する。

 

「…!兄さん、この光。もしや俺たちに経路を示してくれているんじゃないか?さっきの飛行体が向かった先と重なっている気がする。」

「本当だ、言われてみればそうだな!!…余りにアップダウンの激しい地形の所為で先々の情報が全く見えないものの、これが示している方向に進めば、さっき飛んでいた彼奴の尻尾捕まえることは出来そうだ。…彼奴、もしかしたらマスターハンドの手先かもしれないぞ?捕まえたらお手柄だって!」

 

 妙にすんなり納得し、興奮しながら妄想膨らませる兄の様子に苦笑いしつつ、ルイージは赤い光の指す方向を眺める。木々や地形が障害となり、やはり先を見通すのは困難だ。しかし、此処に来たばかりの時よりワクワクした気持ちが湧き起こっているのは、いよいよ冒険感が増して来た影響なのだろう。まだぶつぶつ妄想を呟いているマリオの腕を掴むと、そのまま走り出した。当然マリオは思わぬ行動に驚いていたものの、徐々にルイージと走行を並べ始める。

 

「…何だよ、ルイージ。さっきはあんなに早く帰ろうって言ってたのに。もしかして、楽しくなって来たか?」

「嗚呼、何故だか少しだけな。」

 

 満更でもなさそうに、ルイージは笑みを浮かべた。

 すっかり歩幅の揃った仲良し兄弟は、更に木々生い茂るエリアへと吸い込まれて行くのであった。

 

 

─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ───

 

★ヨッシー&ドンキーコング★

 

 ・・・───同時刻。

 

 二匹は森林の奥深くまで足を進めた頃であった。

 電気鼠二匹以降、現状では敵に遭遇していない。寧ろ道中かなり平和で、何の問題も生じていない。…強いて言うなら、電気鼠たちが落として行った‶鍵〟の使い道考案に難航しているぐらいである。

 くすんだ鉄製の‶鍵〟を拾い上げ、凝視して二人はその使い道を懸命に考えたつもりだ。掌で転がしたり、投げ合ってみたり。空いた穴を覗き込んでみたり、其処ら辺の木に突き刺してみたり。結構なパターン(奇行込)を試行したものの、どれも正解で無いのは‶鍵〟が残存している時点で明らかであった。ヨッシーは深い溜息を漏らしながら掌に収めていた‶鍵〟を摘まみ上げ、ぶらぶらと揺らした。当然、変化など起こらない。

 

「はあ…。困りましたね、ドンキーさん。確かに僕たち、手掛かりを求めて彷徨ってはいますけど、流石に何のヒントもなく丸投げされては逆効果じゃないですか!」

「そうだなあ~。こればかりは俺たち二人の知恵を振り絞ったところでどうにもならねえっての!……さては俺たち、マスターハンドに遊ばれてるんじゃ?」

「冗談じゃないですよ!マスターハンドさん?は暇人なのかもしれないですけど、僕たちは自分の世界の平和を守るのに忙しいって言うか…。」

「案外、このマスターハンドとやらが何かに困って俺らを呼びつけたって線もあるんじゃねえか?そうでなければ、こんな俺らを試すような世界なんてわざわざ作る意味が無いだろ?」

「僕たちを、試すような世界……か。」

 

 振り子運動を止めた‶鍵〟を見つめながら、ドンキーコングが零した言葉の断片を反芻する。

 このよく分からない世界に放り出されて、まだ一時間程度。しかし、既に時間に比例しないぐらい色んなことに遭遇した気がしている。

 自分の住まう世界では見たことの無い電気鼠。それも、ホログラムで作られたもの。

 追われて、疲れ果てて、ピンチに陥った時に現れた顔見知り。…まさか、顔見知りと遭遇するなんて誰が予想出来ただろう?

 協力して敵を打破したら、用途不明の‶鍵〟を手に入れた。

 たった三つの出来事のはずなのに、どれも密度が濃くて記憶に焼き付いている。

 

「…そうだ。ドンキーさんはどうして、此処に来たんですか?やっぱり、マスターハンドの善悪を直接会って判断するため、でしょうか?」

 

 遭遇してからバタついた所為で、まだ彼の動機を聞き出せていなかったことに気付いた。好奇心?興味?少し違う気がする。でも、何となく本人の口から聞いてみたい気がした。ドンキーコングの返答を心待ちにしていると、彼は少し困ったように笑った。

 

「どうして。ははは、どうしてだろうな?俺自身、実はよく分かんねえんだけどよ。…でも、何だかこの‶手紙〟を辿ったら新しい何かに巡り会える気がしたんだ。それで、マスターハンドって奴の名前を呼んで、気付いたらこの世界に立っていた。最初は何が何だかさっぱり分かんなくてどうしてやろうかって思ったけどな、ヨッシーと出会ってから凄え楽しいんだぜ。俺!目的は多少違っても、同じ空間に同じ世界の仲間が居たんだから。…もしかしたら、他にも色んな奴が来てるんじゃないかって、内心期待してるんだよなあ。」

 

 そんな観点も、あるんだ。

 語り終え、一息着いている彼を、ヨッシーは暫く見詰めていた。新たな予感に、純粋にワクワクして。予想も出来ない再会に、純粋に喜んで。今度は、次の出会いを予感して、純粋に楽しみを抱いていて。怖がる様子も、憂慮に埋め尽くされる様子も無くて。…少しだけ、眩しい。

 

「…あなた、思っていた以上に変なゴリラですね。」

「お、おい!真面目な話させておいて茶化すなよ!!ヨッシー!!」

 

 いざ語り終わり、聞き手に茶化されると漸く羞恥心が働いた様子で、ドンキーコングは両手をバタバタと振りながら頬を赤らめた。先程の語り様からは想像もつかないリアクションに、ヨッシーは堪えることすら忘れて笑う。此処に来たばかりの頃から引き摺っていた憂鬱な気持ちが、晴れて行く感覚が快い。紛れも無い、彼のお陰だ。改まって、ヨッシーは未だ照れ臭そうに指で頬を突いているドンキーコングの隣に並び立った。

 

「…僕は多分、貴方みたいに誰かを励ませる真っ直ぐな‶英雄〟にはなれないと思いますけど。でも、同じ目的を果たして同じ景色が見たいと今一度思いました。だから、連れて行ってくださいよ。これから貴方が目指そうとしている場所に。───ね、素敵な‶英雄〟さん。」

「……!」

 

 

─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ───

 

 ───・・・回想。

 

「ねえ、ドンキーは、なれるなら。なるなら。どんな‶英雄〟になりたい?」

 

 故郷のジャングル。その奥地に立つ拠点。傾き始める日を眺め、大好物のバナナを分かち合いながら「相棒」とそんな話をしたことがある。自分より、幾分も小柄で声の高い猿の少年。何時も自分を憧憬に満ちた輝く瞳で見つめ、楽しそうに語る「相棒」。そんな彼と、遠い遠い将来の話をした。

 話題を出したのがどちらで、何がキッカケだったか。正直なところ、よく覚えていない。

 何時もと変わらない、他愛もない話の途中でごく自然に生まれた話題。きっと、誰もが何時か向き合うべき話題。

 ───「自分」とは、そして‶英雄〟とは、「何」か?

 

 直ぐに答えを返すことは、出来なかった。軽々しい言葉で、片付けてはいけない気がしたからだ。根拠は無い。ただ、何となく。横目に見た「相棒」の方も、やはり何時もより真剣な表情をまっすぐに向けて来ているように感じられた。遠くにぼんやり浮かび、決して手の届かない夕日を見つめ、思考する。言葉を発することなく、ただ、思考する。

 こんなにじっくり何かを考えたことがあっただろうか?これまでの自分ならきっと、あまり深く考えずその場のノリで会話を続けていただろうに。「相棒」は、ドンキーコングの心情を何となく察したのか、手にしていたバナナの皮をゴミ箱に投げ入れた後、隣に並んで腰かけ、同じ方向を見つめた。

 

「……急に難しいこと、聞いちゃったよね。」

「いや、そんなこと無いぜ。確かに難しいが、何時か考えなければならない日が来るって、俺自身分かってたんだと思う。答えを出せないままでも良いって、後回しにしていただけなんだ。」

「答えづらかったら流して欲しいんだけど。…それは、どうして?」

 

 何も握っていない、自分の掌へ視線を落とす。その行為が答えを運んでくれるわけではない。でも、これまで色々な経験を刻み込み、記憶に変えて来た掌なら何か知っているんじゃないか。淡い期待を抱いていたのかもしれない。分かり切った結果を自分に受け入れさせるように、首を横に振る。

 

「俺はきっと、過度な期待や注目が…内心、怖いんだ。ほら、どうしても‶二代目〟の俺は‶初代〟の親父と比べられるだろ?親父に負けない、劣らない。そんな‶英雄〟で居ないと誰も見向きもしてくれないんじゃないかって。期待されることが最初は嬉しかったのに、段々怖くなってたんだなあ。…だから、どんな‶英雄〟になりたいかってことからも、目を逸らしていたんだ。その答えによって、期待が一気に溶けて無くなっちまったら嫌だろ?」

 

 当然、晴れやかな笑顔で返すことは出来ず、苦い笑みを浮かべた。「相棒」にも、幻滅されるかもしれないと、心の何処かで思っていたからだ。

 

 「自分が憧れを抱いた‶英雄〟はそんなことを言わない。」

 

 「ガッカリした。呆れた。そんなものなんだ。」

 

 烙印を押されるのが怖くない奴なんて、どんなに強く眩しい存在であっても、居るわけない。だらしなく開いたままの掌をそっと閉じ、再び夕日へ目を向けた。オレンジ色に染まる空に光る一点は、先程より山際に近付いている。もうすぐ、完全に沈む時間だ。

 

「……ドンキーの気持ち、オイラは何となく分かるよ。」

 

 返って来たのは、心底意外な共感の言葉だった。目を見開いた所為で、夕日の光が一気に網膜へ押し寄せ、眩しさを感じて目を逸らす。視線はそのまま、「相棒」の元へ辿り着いた。「相棒」は真剣な顔つきのまま、言葉を続ける。

 

「オイラも、そうだから。超絶カッコイイ、最高のドンキーの隣に立っている以上、相応しい姿で居続けないとって。…でも、相応しい姿って何なんだろう?考え過ぎると難しく思えるから、だから考えないように…って思うけど。やっぱり、周りの認識がどうしても気になっちゃう。非難されたらどうしようなんて。」

「……お前も、似たようなこと、考えてたのか。」

「うん。考えてた。それで思ったんだ。やっぱりオイラ、ドンキーみたいにはなれないって。オイラは───オイラなんだって!なりたい自分とか。夢とか。色々ある中でも、オイラはずっとオイラなんだよ!」

 

 「相棒」は自信満々に言い切ると、ピースサインと共に歯を見せながら笑った。

 

「だからね、ドンキーのことも同じように思ってるよ。何代目~とか関係なく、ドンキーはずっとドンキーなんだって!どんなドンキーでも、オイラの憧れで自慢の‶相棒〟。そんなドンキーの傍でしっかり支えになれるように。もし、思い描く理想があるなら聞きたいって思ったんだ。オイラ、‶相棒〟として、やれることは何でもやりたい!!」

 

 ───「相棒」に、背中を押された気がした。浮かび上がった悩みが、長年放置して重みを増していた悩みがほんの少し軽くなった気がした。

 そうか、そうなのか。俺は何処まで行っても俺で、他の誰かじゃない。他の誰かだって、俺じゃない。

 これまで数々の試練を乗り越えて来たのも、問題を解決すべく駆け回ったのも、皆の為とは言え自分の意思で決めたことだ。二代目だから、じゃない。「自分」だから、決めたこと。決められたこと。成し遂げられたこと。

 閉ざした掌を、もう一度開く。丁度、空っぽの掌を満たすかのように夕日の残光が差し込んで来た。もう少しで、何かが掴めそうな気がする。

 

「…有難うな、‶相棒〟。」

「…ドンキー?」

 

 次に顔を上げた時、ドンキーコングは「相棒」に負けない笑顔を見せてやった。手に何も持たずこちらをポカンと眺める「相棒」の腕を引き、肩を組むようにして身を寄せる。不意のことに、「相棒」は更に笑いながら擽ったそうに肩を竦めた。

 

「次、此処に帰るまでに答えが見つかりそうな気がするぜ。出払う前にお前と話せて、本当に良かった!」

「そっか、ドンキーの力になれたなら良かったや。…あ、そのマスターハンドって奴に会ったら伝えといてよ!気が向いたらオイラのこともそっちに呼んで下さいって!オイラもドンキーと同じ場所、見たいんだからね!」

「ふは!その為にはまず、マスターハンドと仲良くならねえと。最高の‶相棒〟の頼み事なんだ、やるだけやってみるぜ。任せとけ!」

「わ~~い!!すっごい楽しみ!気を付けて行って来てね、それと───必ず無事で帰って来るんだよ。‶英雄〟。」

 

「───嗚呼、勿論。約束だ、‶相棒〟。」

 

 完全に夕日が山際の向こう側へ姿を隠してしまったことで、部屋はすっかり暗くなってしまったが、ハイタッチを交わす二人の明るい笑い声は暫く絶えることなく響いていた。

 

 

─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ─── ───

 

 ───・・・現在。

 

 ヨッシーがついさっきドンキーコングに向けて放った台詞は、‶相棒〟の台詞によく似ている気がする。偶然か、必然か。当然、ドンキーコングの中では何方であるかに加え差し出された台詞への答えもとうに出ている。

 今一度、自分の心を奮い立たせる意図で片掌に片拳を思い切りぶつけた。バチン、と爽快な音が天を突く。

 

「此処で俺たちが再会したのも、何かの巡り合わせだ。───此処から思い切り飛ばして目的まで突っ走るぞ!振り落とされるなよ、‶英雄〟!!」

「全く。必然的な巡り合わせ、なんて言われちゃったら僕も後に引けなくなります。でも、振り落とされるなんてもっと嫌ですからね!先を急ぎますよ。」

 

 気持ちも、足並みも揃ったコンビが一本道を駆け抜けて行く。

 まるで二人の歩みを鼓舞するように、‶鍵〟がひとつ、瞬いた気がした。

 

 

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