暗闇より   作:さちは

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続いた


1

焦燥感によって心が占拠されている

 

この竪穴の底の底に落ちたらまずい、そうやって魂からの本能に駆けられて、焦りが募るばかり。しかし時間が経つにつれても、状況の何らかの変化も得られなかった。

 

周りを見てみると、これもまたさっきよりも少しだけ違ったように見えた。

 

壁面の色が赤色が少し混じっていた。色合いとしては乾いた血に近いような感じだが、それよりもはるかに根源的な恐怖を呼び覚ますかのような、そんな嫌な感じだった。

 

俺のSAN値大丈夫か…?*1

 

 

 

 

そして地面が見えた

 

 おいふざk…!

 

地面と衝突する…!

 

しかしいつまで経っても、なぜか衝撃が伝わって来ない。

 

その理由は

 

 はぁ?なんで風に吹き飛ばされてる?くそ…なんなんだよ…

 

と、風に飛ばされかかっていたのだ。

 

ここまでくると夢のようだと思った。目が覚めたら、この瞼を開けたらいつもの日常に戻れたらそれほどいいことなのか。

 

しかしこの昏い黄昏の光によって現れたのは、まるで幽霊のような、変わり果てた自分の体だった。足首と手首から先は蒼白い霧に包まれて、本来はるはずの足と手は無かった。

 

体の皮膚もまるで死体のような、蒼白い色をしていた。着ている服は俺が死んだときに来ていた服だと判別できたが、模様の色が褪せて、元が何なのか判別することができない。

 

そして少し離れたところに小さな湖があり、かつて冥界(?)の川の水であろう瀑布がそこへ降り注いでいる。

 

その湖からさらに一ヶ所水が流れ出て、川となってどこかに流れていた。

 

地面は黒曜石質で、ところどころ黄色の煙をあげている。

 

そして俺はその湖の近くに生えてあった、真っ黒な幹を持った枯れ木に引っかかった。まじで危なかった。

 

ひとまず木から再度風によって飛ばされないようにしっかりと腕で木の枝に固定した。幸い体がある程度動けるようになったけど、体がまるでこの枯れ木のような、酷く重たくて、動きにくい。

 

 

さらに周りの状況を確認する。

 

空を見上げると、俺が落ちてきたであろう巨大な穴がポッカリと開き、黄色な煙のせいで視界がかなり狭い。まるで大気汚染がさらに10倍酷くしたようなものだった。しかしかろうじて見えた天井も、地面と一緒な、黒と赤茶色によって塗られていた。

 

この前の静かな、寂れた世界を冥界とするとここはきっと地獄だと、誰もが言うであろう。

 

水面を見つめる。俺の全身が映り出された。不思議と水面が静かだった。まるで鏡のようであって、底が全く見えない。反射率どうなってんだ。

 

映し出された自分はおおよそ予想と一致していた。地面から約10センチほど浮かび上がっていて、顔は感情ひとつも浮かんでなく、表情が死んでいる。まるで自分の顔ではないようだ。意識的に顔の表情を作ろうとしても、顔の筋肉が動かない。そもそも筋肉があるのだろうか?

 

まさに幽霊。しかしそれでは疑問が生まれてくる。霊体のはずなのに木に触れられるし、風にも飛ばされる。

 

不思議な現象に常識混ざり込んでも困る。

 

 

 

 

「前に進みたい」そう念じるだけで遅いが、少しづつ前に浮かびながら進むことができた。これならば風に対抗できるだろう。前に限らず、上下方向も力を加えることができた。しかし地面の下に潜ろうとすると、謎の斥力が発生し、反発されて潜ることができない。上も一定高度になると同じような現象が起こる。

 

幽霊とは一体…

 

今の状況からして川に沿って進んだほうがいいか?

 

この大地は緩やかだが、少し傾斜がついたようだった。上に登ろうとすると謎の斥力が発生し、なお進もうとすると今度は本来痛みを感じないであろう体は痛みに襲われ、思考が混濁して、進む意思を挫かれる。まるでここから脱出することを阻まれるかの様な意志があるような感じだった。

 

なのでどんどん最深部にいくしかない。試しに戻った時に感じる一瞬の苦しみだが、あれはもう2度と体験したくない。既に一回死んでるはずなんだけどなぁ…幽霊とは一体

 

 

進む

 

ひたすら進む

 

風が吹いてくると意思で風と逆の向きに力を加えて打ち消す

 

そして進みながら周りを観察すると、ここは完全に荒廃した世界ではないらしい。時々動くものもある。モンスターだ。ファンタジーだなぁ。

 

腰ぐらいの高さの身長を持ち、4足歩行である。

 

遭遇したときは死を覚悟したが、*2どうやら俺に興味を持ってないようだった。俺というより、川の水に警戒して、決して近づけようとしない。

 

俺が見たモンスターの数がいまだに少ないとはいえ、種類があまりにも多すぎやしません?

 

そうなのだ、共通しているのは足が4本ついてるだけだ。槍状の尻尾を持ってるやつ、蛇のような鱗状の尻尾を持ったやつ、そもそも尻尾を持ってないやつ、まさに千差万別。

 

ちなみにモンスターめっちゃグロい。俺は幽霊のようなものになってから、感情の波というブレがあんま来なかったような気がする。しかしそれでも普通に貫通してこっちに強力な嫌悪感抱かせるって相当だぞ。生身だったら間違いなく吐いたかも。そもそもグロ耐性以前の問題だわ。

 

50メートル以上離れている天井、のさらに遠くを見ると、未確認飛行物体があった。広義的でいうUFOだな。

 

 

 

まぁモンスターの中にそら飛ぶ奴もいるわな。何もおかしくはない。なわけ。

 

立ち止まってはいけない。ここにずっといたら不味い気がする。足を再度動かさなきゃ。足ないけど

 

立ち止まると焦燥感に駆けられて、奥に進まなければいけないと、そんな考えに支配される。奥には悍ましい気配を感じ取ることができたが、どうすることもできない。この焦燥感は人間が耐えられるものではない。

 

進むにつれて周りの景色に変化があった。より昏く、地面は黒色から毒々しい紫を帯びたようなものになっていた。黒曜石質の地面はところどころ黒曜石の土壌がない部分がある。そこから生物的な赤黒い肉が見えてきてっ…!!

 

 

視界が切り替わった

 

 

今まで見えたこの世紀末みたいなものは全て虚構であり、俺が俺自身の発狂を防ぐために見せた偽物の景色であった。

 

大地のようなものは、一つの巨大な“生き物”のほんのわずかな一部に過ぎない

 

怖いこわいコワイ

 

ソレを理解するために人類は矮小すぎた。理解できない。理解したくない。観測した時点でこれだから、理解したときは間違いなく廃人コースであろう。

 

 

幸い本能が危機を察知し、すぐに目を閉じた。しかし一瞬見えたものは心に、いや、魂に深い爪痕を残してした。

 

動悸が止まらない。まるで悪夢を見たかのように、全身から汗が流れ落ちる錯覚に襲われる。

 

ぁがっ……!!

 

思考が恐怖に塗りつぶされる。これ以上耐えられない。意識を手放して発狂してしまう…!

 

でもここで発狂したらもう2度と戻れないだろう。そのような予感がした。

 

 

耐えろ…忘れろ…!

 

じっと耐えて耐えて…耐えた。あまりの苦痛にまるで意識が分裂して、自分を見つめているもう一人の自分があるかのように思えた。

 

パニックになりかけた意識がだんだんと治まっていった。

 

俺は…大丈夫だ。

 

目を開ける。

 

 

そして発狂した。なんやねん…そう突っ込みたかったが、その余裕がない

 

 

発狂した自分を見つめる。

 

 

 

発狂した自分を呼びかける。自分自身が発狂したらもう戻せないが、実質的にもう一人俺がいるから、狂気を消して、正気に戻せると考える。

 

発狂した自分は正気を保ってる自分を見つめ返して、狂気に飲まれている部分を戻す。

 

長い時間が経ったかのように思えた。

 

俺は無事に狂気から帰還することができた。

 

片目を閉じながらもう片目を開ける感じで目を開けると、そこには見慣れた景色が現れる。

 

当たり

 

視界が全く違うから、もし違う「目」を持っていたら、その目を閉じて仕舞えばいいという考えだ。

 

最悪の事態となっていない。

 

最悪の事態とは俺が目を閉じて、視界が塞いだまま進む、それか精神を壊しながら進む。どっちも現実となって訪れなかったことにひとまず安心。

 

 

発狂した一瞬で見えたのは、俺が道だと見てないところも確かな道は存在する。位相が違うとかそんなんだろう。ということはこの世界の本質を見ることができる視界はこれからも必要となる時が来る。いや来ないほうがいい。怖いし苦しいしきつい。これは3kか

 

 

相変わらず時々地面が剥き出しになっているが、耐性が少しついて、考えるだけで発狂するということはなくなった。

 

こうやってふよふよ浮かびながら進むと、周りが意外と単調ではない。もっとも精神的なダメージと、酷い景色から楽しむと言うことはない。

 

うわー!ではなく、うわぁ…である。

 

森(?)、草原(?)、山(?)とか色々な地形あるけど、全て(?)が付く。森とか黒い幹と枝だけの枯れ木みたいなやつだし、遠くから見るとすね毛に見える。ひどい。だけど不思議とこの川以外のところで液体を見たことがない。この川自体の水も飲めないだろう。食べ物と飲み物を要求しないこの体に感謝だな。

 

 

そして一番面白いのはモンスター同士で戦ってる状況と遭遇したことだろう。安全のために、浮かんで川の上から越えて、川の向こうから観察することにした。今まで遠くから観察した結果、あらゆるモンスターはこの川を明らかに避けて移動しているからだ。そして川を越えるときにその理由を知った。

 

川の水面上を通るとき、骨の髄まで冷気に侵された感じがして、膨大な量の亡霊が嘆き、自分の不幸を呪いながら叫んでいる。俺の居場所はそこだと、そう語られていた。その亡霊たちの一員になったほうがいいか…という考えを抑えて、抗いながら川の向こう岸に渡った。

 

なんだこの川…てかこいつが一番危険では…

 

意識が呑まれるところだった。いくら発狂しても、もう一人の思考によって正常に戻されることができると言っても限度がある。あの亡霊たちと同化すればそこで一巻の終わりなのだ。

 

対峙するモンスターを見る。まさに一触即発

 

さて、石の後ろから垣間見としますか

 

*1
クトゥルフ要素はありません

*2
もう死んでる【定期】




やっぱ続かない

1話で3800字ぐらいだけど、2000字にしたほうがよき?

※本作品はクトゥルフ要素はありませんが、グロはあります
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