現状はロボトミーの話しか書くつもりはないのですが、気が向くかこの小説が50日目まで完走したらラオルやリンバスと同じ都市を舞台にした小説も書くかもしれません。
ロボトミーの設定や都市の世界観をしっかりと守っていくつもりですが、所々に独自の設定や解釈を入れることがあると思います。さすがにあまりにも世界観から離れすぎているようなことはしないつもりですが、「それは違う」とか「それはおかしい」だとか思うところがありましたら全然指摘してもらって結構です。
誤字脱字があれば報告お願いします。
【ようこそ、
気が付くと見覚えのない場所に居た...いや、
壁に書かれたセフィロトの樹、天井の排気口に着いた脳のような模様の球体に突き刺さったL字のマーク。
間違いない、ここは...
「
私の名前は『
何処にでもいるようなブラック企業に勤めるOL...だったはずなのだが
【職員『トオル』へ、O-03-03に愛着作業を行うように】
現在私は、かつてのブラック企業が生ぬるく感じるような超超ブラック企業に知らぬ間に転職していた。
いや、なんで?ほんとになんで?
私ついさっきまで家でお風呂に入ってたはずなんだけど?!
なんで気が付いたらゲームの世界に居るわけ?よりによって人の命が軽いロボトミだなんて...
「ほんと、なんでこのゲームなのよ...」
転生やら転移やらするにしてももっと在ったでしょ?せめて直前までやってたあつ森の方が良かった...
そんなことを考えつつ私は収容室のある廊下をトボトボと歩く。
収容室の前に着けば、そこには茶色いスーツを着た男性が居た。
「え~っと、アンタが『トオル』で合ってるか?」
「はい、そうですけど...」
「...敬語はいらねぇよ、アンタの方が階級的には偉いんだからな」
そう不愛想に言い放つ男性、おそらくは
「作業中に起きた変化や反応を示した行動など、そういったことをここにメモしてくれ」
「はぁ...なんでそんなことを?」
「何でってそりゃ、
収容室の中に入るとそこには宙に浮かんだ骸骨が居た。
淡く発光した骸骨は「カチッ...カチッ...」と歯を嚙合わせる音を響かせている。
暗い底の無い眼孔が私を見つめているような気がした。
「ッ!」
瞬間、立ち眩みにも似た眩暈を感じた、すると「ブー」という音が鳴る。
私はその音の方を見る、そこにあったのはボックスメーターで、一番上に赤いランプが点灯している。
どうやら私は初っ端からやらかしたらしい。
気を取り直して、私は再び骸骨を見つめる。
「ゲームで見た見た目と大して変わらないんだなぁ...」
しいて違いがあるとすれば骸骨がリアルなところだろう。
とりあえず作業を行わなければ
愛着作業ということは幻想体との交信、つまりはコミュニケーションを取ればよかったはずだ。
...骸骨とのコミュニケーションってどうすればいいんだ?
「スキンシップとしてなでたりすればいいかな?」
そう考えた私はひとまず骸骨を撫でてみることにする。
「えっと、失礼しますね~...意外と滑々してるんだなぁ」
思っていた以上にツルスベな肌?をお持ちだった骸骨を撫でていると
「ピコン」と音が鳴る。
おそらくはメーターの音だろう、先ほどと音が違うことからPE-BOXを生産できているはずだ。
「確か...罪善さんのメーターの数って10個だったはずだから、あと9...じゃなかった8回スキンシップ取ればいいのかな?」
今度は頬辺りを撫でてみようか、なんてことを考えていたその時
<正当なる目的の為ならば、罪を一つ犯しても許されうるだろうか?>
「え?」
声が聞こえた。
それは私に対しての問いかけのようにも、自問自答のようにも聞こえる。
<犯した悪行によって成された善行は、果たして悪と言えるのだろうか?>
また声が聞こえた。
この問いは答えるべきなのか、答えていいものなのか。
...私は意を決して答えてみることにした。
「それが正しく正当な目的の為だったのなら、許されるんじゃないかな?」
<....>
「それから自分の行いを自分自身が悪だと思っていてもそれが誰かにとっての善であったのなら悪じゃないんじゃないかな?」
<.....>
返事は帰ってこない。
ただ、底の見えない眼孔が私をより一層見つめてきているような気がした。
何処までも暗い闇、底には何もなくて...ただ先ほど感じた恐ろしさはなく、慈愛に満ちた様な暖かさを感じさせる。
淡い光が輝きを増し、骸骨の輪郭を薄れさせる。
思わず目を瞑ってしまうような輝きが骸骨を中心に広がり、私を包み込んでしまう。
その輝きはほんの一瞬で消え、元の淡い光へと戻ってしまった。
「ピーッピーッピーッ...」というメーターがタンクが満タンになっていることを告げる音を響かせる。
どうやら作業はすでに終わっていたようだ。
私は壁に備え付けられたレバーを下げてBOXを送り出す。
BOXが無事に送り出されるとメーターはリセットされ、元の状態に戻る。
それを確認した後、私は収容室から出た。
「お疲れさん。メモはしっかりと書いたか?」
外で待っていた事務職に声を掛けられる。
「あっ...ごめん、忘れてた。すぐに書くからちょっと待っててもらってもいい?」
「ハァ、次は作業中に書いといてくれよ...ん?お前、頭のそれ」
「え?」と思わず顔を上げる。
頭?ということはもしや、そう思い頭を触る。
すると手に触れる棘のようなものがあることに気付いた。
まさかギフトをもらっていたとは...というか、観測埋まってないのにもらえてないか?
その後中で起きた出来事を書いたメモを渡し、メインルームにある休憩所で軽食を取っていた。
「管理人からの指示の時は分類番号で言われてたから観測埋まってないはずだけど、なんでもらえたんだろう?」
私は頭に着いた茨の冠を触りながら独り言ちっていた。
観測が埋まっていないのならギフトはもらえないはずだ、だというのに私はギフトをもらってきた。
もしかするとゲームとはそこら辺の設定が少し違うのかもしれない。
そんなことを考えながら自販機で買ったコーヒーとメロンパンを食べていると
「すみませーん!職員の『トオル』さんってどちらですかー?」
軽快な足取りで黒いスーツに金の詩集でマーブル模様の付いた女性の事務職がやってくる。
彼女の腕には何かが抱え込まれており、見ると骸骨の顔のようなものが見えた気がした。
「ここにいます」
私は椅子から立ち、その事務職のもとまで向かった。
「あっあなたが『トオル』さんですね!」
「はい、そうですけど...」
「抽出チームよりこちらをお渡しに来ました!」
そう言って渡されたのは紺色の生地の衣服に赤褐色の金属のようなものが取り付けられた装備と十字架に刺さった茨の冠を付けた骸骨のメイスだ。
うん、罪善さん装備だね。もう作られてるのかよ...
「えっと、これは?」
知ってるけど聞いておこう。
もしかしたら知らない話が聞けるかもしれないし
「そのEGO装備ですか?そちらは先ほどあなたが作業されたO-03-03...『たった一つの罪と何百もの善』から抽出されたものです!」
「そうなんだ...抽出っていうのは?」
「はい!そちらの装備は先ほど幻想体から抽出されたばかりのもので...そういえばこの装備の抽出はとってもスムーズにできたんですよ!EGOの抽出というのは幻想体の自我を形にする必要があるので作業がとても大変なんですけど、この装備はそんなに労力をかけずに抽出できたんです!私の推測なんですけど、この装備の抽出が円滑に行えたのは作業の効率が良かったのが影響してるではないかと考えているんですけど......」
唐突に始まる
「なので私はー」
「そこまでにしておけよ(ガスッ)」
「あいたぁ!」
彼女の後ろから同じ部署から来たであろう男性の事務職に頭を叩かれる。
「何で叩くんですか!!」
「てめぇあの状態になると話しかけても反応しないだろうが」
目の前で繰り広げられる夫婦漫才かのような会話、それを唖然とした表情で私は見つめていた。
「すまないな職員、次からはこいつが無駄話を始めた時は遠慮なく叩いてもらって構わないぞ」
「それはあんまりじゃないですか!?」
「さすがにしないよ...」
その後しばらく他愛もない話をした後、彼らは自身の職場へと帰っていった。
そして一人になった私は渡された装備を今一度見つめる。
「確かにその日のうちに抽出はできるけど、すぐに渡されるとは思わなかったなぁ」
とりあえず着替えようと思い私は更衣室へと向かい、そこで装備を装着した。
「なんか体が軽くなったような...EGOって身体能力を強化したりもするんだったっけ?」
先ほどに比べて身軽になった体の調子を確かめながら私はメインルームへと向かっていた。
「それにこのメイス、思ってたより軽いんだ...フンッ(ブォンッ)」
EGO武器って持てば使い方が分かるとか聞いてたけど、何も感じないな。
どういった条件で使い方が分かったりするんだろう?
そんなことを考えながら懺悔のメイスを見つめる。
【職員『トオル』へ、O-03-03に洞察作業を行うように】
私が武器の骸骨と睨めっこしていたら再び作業指示が来た。
「今度は洞察かぁ...確か幻想体の観察とか収容室の清掃とかするんだったけ?」
私はこれからやる作業をどうしようかと考えながら収容室へと向かった。
あの後おおよそ30回ほど作業をさせられ、その後の身体検査で慎重のランクが2に、自制のランクが3になったことを知らされた...
業務初日で会社を辞めたくなった。