都市で生きていくには   作:ウェザービー

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ラ・マンチャ!
皆様、お久しぶりです。リンバスの新章夢の終わる、すでにクリアされた方はたくさんいるでしょう。
あの構図から入れるサラジネがあったとは私もびっくりでございます。
いや~、それにしても思ってたより血鬼の性が重い...どうしてあんなことになんてしまったのか...他の血鬼たちも何かしら夢を見ることができていればきっと結果は違ったのでしょうけど
何処かしらで血鬼を題材にしたお話でも書こうか迷っているカリジャナリによる久々の投稿です!
誤字脱字がありましたら報告お願いします。


ようこそ、Lobotomy Corporationへ【7日目】

7日目の朝、アラームが鳴る前に目を覚ましてしまっていた私は早めの朝食を取る。

今日も情報チームでの業務を頑張らないとな。

先日渡された喪服に着替え、2丁の銃とそれから腰元のホルダーに懺悔を持つ。

懺悔はなぜか手放そうにも手放せなくて、事務職の方たちに無茶を言って持たせてもらっていた。

本当になぜかわからないけど、私はこのメイスを手放せない...いや手放したくなかったのだ。

理由は本当にわからない...けど、まぁこの銃を使っている間は手に持つ事はないだろう。

 

 

情報チームのメインルームへとやってくる、するとそこには

 

「『トオル』さん!」

 

『ログン』がいた。

 

「『ログン』!あなたも情報チームに移動してきたの?」

「はい、昨日の業務終了後に突然伝えられて...」

 

急な異動で驚いたと言っている彼女を見ながら、私は少しほっとしていた。

知らない人と次の日から作業することにならなくてよかった。

その後再会を惜しむ間もなく業務が始まり

 

【職員『トオル』へ、T-01-68へ抑圧操作を行うように】

【職員『ログン』へ、T-01-54へ洞察作業を行うように】

 

二人に対してほぼ同時に指示が飛んできた。

私は葬儀屋のようだが、彼女は...新規の幻想体だ。

 

「『ログン』が今回は新規幻想体を担当するんだね」

「え?私新しい幻想体の作業をするんですか!?」

 

今まで新しい幻想体の作業は私が行ってきたからだろうか、緊張しているようだ。

 

「そんなに気を張り詰めないで、気楽にいけばいいよ」

「はいぃ...」

 

弱々しい返事とともに私とは逆の廊下へと向かっていく。

私も作業を行うために収容室の方へと向かった。

 

「今回も来たよ」

 

そう言って収容室へと入り、収容室に備え付けてある抑圧装置を出して操作を行う。

青白い光が葬儀屋の体を熱するかの如く照らす。

そんな状況であっても葬儀屋は余裕そうな体制を崩す事なく蝶と戯れ続けている。

「チリン...」と鈴の音が鳴る。

 

<君はあれから随分と変わった、苦しむ心を押さえつけて隠してしまっている>

「隠してなんかいないよ、ずっと苦しいままだ」

 

蝶の投げかける言葉にただ淡々と答える。

 

「苦しいけど、それでも私は立ち上がらなきゃいけないからね」

<悲しいな、そんな君に哀悼の意を表そう>

「要らない」

 

「チン!」と甲高い音を鳴らして蝶を咲かせてくるが、少し冷たい程度だ。

作業に支障はないので続行する。

 

<しかし、本当に変わった。まるで安堵しているかのようだ>

「安堵?」

 

彼からすると私はとても変わったらしい

 

<あぁ、もしや君の友人がここへ来たのか?>

 

こいつはなんでそれが分かるんだ?訳が分からない。

 

「だとしたらなんだ?」

<ただ僕は粛々と哀悼の意を表すだけさ>

 

そう飄々と言い放つ彼に少しばかり睨みを利かせる。

これで彼が怖気ずくわけではないが

 

<僕は彷徨う者たちを救うだけだからね、君も友人も彷徨いし時は僕の元へ来るといい>

「誰が行くか」

 

作業の合間、私の背中には無数の蝶が張り付いていたが

作業終了のブザーが鳴り響くと一斉に散っていった。

機械を片付け、生産されたBOXを送る。

「ゴーン...」と低い音が響く。

 

<哀悼には軽薄な心持は許されない。その点、君はここの誰よりも厳粛な哀悼をもたらしてくれるだろう>

 

その言葉と同時に私の背中に確かな重みを感じた。

背中を見てみればそこには蝶の絵柄が掛かれた棺があった。

 

作業を終えて、メインルームへと戻る。

するとそこには口元にベルトを付けた『ログン』が居た。

 

「あ『トオル』さん、戻って来たんですね!...その背中のは何ですか?」

「それはこっちのセリフでもあるかな?」

 

「あぁ、この口のですね」といって彼女は先ほど作業した幻想体の情報を話してくれる。

まぁ、話すまでもなく何なのかは想像が付いてるけど...

『捨てられた殺人鬼』TETHクラスの幻想体だ。

その強さは幻想体で一番弱い、管理人によっては一般人だのおっさんだのと言われている可哀そうな幻想体である。

二日目に来たのがまさかそれだったとは...

 

「『トオル』さんの方は蝶の頭の葬儀屋だったんですか?」

「うん、すっごくおしゃべりだよ」

「え!?会話できるんですか?」

 

なんて他愛もない話をしていればまた作業命令が出される。

 

【職員『トオル』へ、T-01-54へ本能作業を行うように】

【職員『ログン』へ、T-01-68へ抑圧作業を行うように】

 

今度の指示はどうやら入れ替わるようだ。

 

「私が今度はその殺人鬼の作業をやるみたいだね」

「そうみたいですね」

 

そうして私は先ほどまでとは逆の廊下へと向かい、歩き出した。

 

 

収容室にたどり着いた私は、待機していた事務職から医療機器や非常食料を渡さ意れる。

本能作業ってエサやりのイメージしかなかったけど、医療器具で検査とかすんの?

疑問に思った私は器具で何をすればいいのか聞いてみると、バイタルチェックを行えとの事

 

「本能作業って健康状態を確認するんだ...」

 

収容室に入った私は全身を拘束具によって拘束された男性の幻想体の近くまで寄り、医療器具を幻想体の体に取り付ける。

「ピッ...ピッ...」と音が器具から鳴り始める。

機械が勝手に健康状態を確認してくれているので私は測定している間に食料を取り出し、幻想体の口元まで運ぶ。

俯いたままの状態で口元にある食料を黙々と食べ続ける...

 

「なんか変な感じだなぁ」

 

幻想体とは言え人型に食事を与えるのって...なんかこう、いい気がしないというか...

これがキュートちゃんとかの動物系幻想体だったらこんな感覚は味合わなかったんだろうけど。

 

その後も特に問題なく作業は終了し、余った食料と器具を事務職に返してメインルームへと戻った。

メインルームへ戻ると、そこには疲れた様子の『ログン』が居た。

 

「どうしたの?」

「あぁ『トオル』さん。いや、あの蝶の人の相手に疲れまして...」

 

葬儀屋の作業で疲労感を感じたのか、まぁあれは慣れないうちは疲れそうな幻想体だからなぁ...

って言っても私はそこまで疲れはなかったんだけどな。

ふと気になった事を尋ねる。

 

「ねぇ、『ログン』って勇気ランク幾つ?」

「え?私の勇気ランクはⅣですけど...?」

 

なるほど、カウンター減少対象だったのか。

 

「作業自体は問題なく終わったんですけど、なんでかカウンターは下がってしまい...」

「それは勇気のランクが高い職員が作業したからだね、情報だと勇気がⅣ以上あると下がるんだって」

「あ~、だから何ですか」

 

その後も作業でこんな事があっただの、色々と質問攻めに遭い疲れただのと話をしていたところ

 

「ヴー!ヴー!」と非常事態レベル1を告げる警報が鳴り響く。 

この段階で非常事態警報が鳴るって...誰かが死んだ?

 

【黎明の試練が出現しました】

 

アンジェラのアナウンスが施設全体に響き渡る。

試練...?そういえばもう発生するんじゃん!

うっかり忘れていた、何なら昨日から始まってるはずなのだが...なぜか昨日は起きなかったな

 

「し、試練...ですか?」

 

『ログン』は怯えた様に体を震わせている。

あぁ、そういえば『マルクト』の件があったな。トラウマになってるのか

 

[...マイクテスト。情報チームセフィラ『イェソド』より、緑青の試練鎮圧指示を出します]

 

試練鎮圧のために私が独自に動き出そうとしたその時、初めて聞く男性のアナウンスが鳴り響く。

『イェソド』、今私が所属している部門のセフィラ...

 

[本来ならば指揮チームの管轄ですが、該当セフィラは現在諸事情により本業務に従事していないため私が担当する事となりました。

早速ですが、職員『トオル』へ指揮チーム下部第一廊下に出現した試練の鎮圧を行ってください]

 

私への指示が飛んできたか、指揮チームに居る緑青試練を対処しろと言われるとは...

そうなると情報チームに出現した試練は『ログン』に担当させるのか?

 

[職員『ログン』はそのまま情報チーム第二廊下に出現した試練の鎮圧を行ってください。指示は以上です]

 

私は背後のホルダーから二丁の銃を取り出す。

 

「無理そうならここで待機しててもいいよ」

 

私は未だに恐怖で震えていた『ログン』は私の言葉を受けて頭を振るう。

 

「いえ、大丈夫です。いつまでも任せるわけにはいきませんから」

 

そう言って背負っていた大砲を構え、廊下に向かって歩みだす。

その姿を見届けながら、私もすぐに指示された場所へと向かった。

 

 

向かった廊下には事務職の死体が並んでいた。

どれも損傷が激しく、全身がバラバラに切り刻まれている。

前方から銃声が聞こえてくる、どうやらまだ生き残っていた事務職が戦っているらしい。

 

「充満する死の香り...」

 

血の匂いが鼻を突く廊下で白と黒の銃を構え、こちらに背を向ける機械に向けて引き金を引く。

 

「憐れな生者に哀悼を、死者には祝辞を...か、私は生き残った者たちが憐れだとは思わない」

 

銃を引くたびに敵に蝶が咲く。

白き銃からは哀悼、黒き銃からは祝辞が飛び交い、機械の体を貫いていく。

 

「死した者たちを祝おうとは思わない。生と死に哀悼も祝辞も必要ない」

 

機械が完全に壊れた事を確認した後、私が来る前まで機械と戦っていた事務職の方を見る。

全身ボロボロで今にも死んでしまいそうだが、メインルームまで連れて行けば再生リアクターによって傷も癒えるだろう。

 

「私はただ、死んだ者たちと生き残った者たちの明日(未来)が明るいものであるように少しばかり祈るだけだよ」

 

二丁の銃を仕舞い、目の前に倒れている事務職を指揮チームメインルームへと送り届けた。

 

 

メインルームへと戻るとすでに鎮圧を終えていた『ログン』が居た。

 

「『トオル』さん、遅かったですね。何かあったんですか?」

「傷ついた事務職を送り届けてたら遅れただけだよ」

 

先ほどまでの恐怖に染まった顔がなくなっている。少しはトラウマを克服できたかな?

その後は何事もなく作業を行い、その日の業務を終えた。

私の勇気ランクがⅣになり職員ランクがⅤになった。

次からは葬儀屋が脱走祭りになるな...憂鬱だ。




12/12 誤字訂正の方をいたしました。
報告してくださった三白めめ様、ありがとうございます。
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