都市で生きていくには   作:ウェザービー

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皆さんはとある春の夜の夢2は見られましたでしょうか?
私はナリ~!と叫ぶファウスト氏にドキをムネムネさせられてしまい、危うく頭が爆発してしまうところでした。
戦闘もところどころ細かく作られていてとても面白かったですね、それはそれとしてカロンは何か知っているんだろうか?
そんなエイプリルフールネタである入れ替わりに便乗してトオルを私の好きなキャラに入れ替えたいと思います。
思い付きで書き始めただけの駄文なのでお目汚しになるかもしれませんが、よろしければ見て行ってください。


ようこそ、Lobotomy Corporationへ【8.5日目】

9日目の朝、今日は珍しくアラームで目を覚ました。

いつもならアラームより先に起きれるんだけど、そう考えながらいつも通り支度をする。

保管ロッカーから黒い喪服を取り出して...取り出して...とり...

 

「え?」

 

ロッカーを開けてみれば中に黒い喪服は無く、思わず声を漏らしてしまう。

代わりにロッカー内にあったのは...茅色ののジャケットに黒のタートルネックニット、そして黒のズボンだった。

 

「これって、普通の私服だよね?なんで?」

 

私はL社に居たはずなのにと思いつつも、その服を手に取り着替え始めた。

着替え終わった後、私は癖で懺悔と厳粛な哀悼を探したけど何処にもなく、あったのは茶色い鞘に収まった直剣だけだった。

とりあえず剣を腰に下げ、机に置いてあった眼鏡をかける。

...ん?眼鏡?

 

「私、眼鏡かけてたっけ?」

 

色々とおかしい、よくよく見渡してみれば部屋はL社の物ではないし、身辺の物々も異なっている。

一体どういう事なんだろうか?

ひとまず外に出てみよう、私はそう考え扉を開けた。

 

「おや『トオル』君、ずいぶんと遅かったじゃないか、何かあったのかな?」

 

扉を開けて廊下を抜けた先の部屋に入った私は、目の前に居る白髪に白い口髭を貯えたイケおじを見て大きく目を見開いた。

 

「『サルヴァドール』...さん?!」

「おや?私を名前で呼ぶなんて珍しいね」

 

何で『サルヴァドール』さんがいるんだ?それに...小棚の上に乗った蓄音機に全体的に茶色っぽい部屋...間違いない、ここは夜明け事務所だ。

 

「あれ?今日は双和茶の臭いがしないね?何かあったの・」

「『トオル』君が珍しく遅れてきてね、まだ茶をいただいていなかったんだよ」

「そう、珍しいね」

 

私か思考している間に、『ユナ』先輩も返って来た。

 

「『トオル』、浮かない顔だけど何かあったの?」

「え?...えっと、大丈夫です。少し考え事をしていただけなので」

 

私ははにかんだ笑みを浮かべながら答える。

 

「そんな微妙な顔で笑わないでよ、別に何か責めてるわけじゃないんだからさ」

「...すみません」

 

なぜだろう、いつもなら覇気のないしゃべり方はしないのに...

たぶんこの体、基このポジションはフィリップがいた場所のはず...それに精神が引張られてるのかも

 

「『ユナ』君、あまり『トオル』君をいじめてあげるな」

「いじめてなんかいませんよ」

「『トオル』君は実力もあるフィクサーだ、悩みごとの一つや二つあるさ。」

「分かってますよ、それよりも依頼の方、終わらせてきましたよ」

 

先輩はそういうとまとめてある報告書を机に置き、ソファーへ腰かける

私は先輩が置いた書類に目を向ける。

 

「依頼って、確か都市伝説級ですよね?それを単独でなんて...凄いですね」

「最後の方は結構危なかったけどね、何処で手に入れたか『脳幹収束共鳴機』であいつらの体が一つの塊なったからさ...」

 

そのまま続けて依頼内での話を愚痴り始める。

 

「ってのがあってね、しかもそれだけじゃなくバックには...」

「やはり『昨日の約束』が糸を引いていたのか?」

 

『昨日の約束』...やはりここは図書館が都市疾病級になったときの出来事だ

となるとこのまま私は師匠と先輩と一緒に図書館へ行き...そして

私はこれから起きる未来を知っている、それなら夜明け事務所に訪れるだろう最悪の結末を避けれるんじゃないか?

私はそう考え、これから先の行動を考え始める。

 

「家賃に関しては向こう3か月ほどは問題なくなるだろう仕事を持ってきた」

「それって都市疾病級のですか?」

「そうだ、内容は図書館だそうだ」

 

ついに来た、図書館の依頼

どうする?ここで止めるべきか?そう思ったが声に出そうとするとどもってしまう。

 

「どうしてそんな泣きそうな顔をしてるの『トオル』、まさか都市疾病の依頼を受けるのに緊張してるの?」

「え...いえ」

 

話しかけられ、やっと声が出たのに結局私は何も言えなかった。

先輩は張り合いないなとつぶやいた後準備をしに行ってしまった。

 

「『トオル』君、この件が終わった後にでも少し二人で話してみないか?」

「はい?」

「悩みごとがあるようだからね、どうだい?」

「わかりました」

 

結局私は打ち明けるのも、止めるのもできなかった。

どこかで誰かが泣いている声がした気がした。

 


 

その後に起こった事は、特に何も変わらず、原作のままに進んだ。

私は二人を置いて逃げ出し、禊事務所へ駆け込んだ。

そして禊事務所の人たちと再び図書館へ足を踏み入れ...

結局、何もできなかった。

私は原作を知っていて、それを変えれるかもしれない状況があって、それでなお何も変えられず

同じ流れを進んでしまう。

『ログン』の時はすぐに動けたのに...どうして?

 

【知っているからといって、それを変えるために動ける人が居ないからじゃないかな?】

 

声が聞こえた。

 

【これからどうなるのか、何が起きるのか、それを知っていたとしても

本当に変えれるのか、変わった後どうなるのか、そんな不安が押し寄せてきて結局何もできなくなっちゃうんだよ】

「貴方は...」

【もう知ってるよね?】

 

知っている、このタイミングで聞こえてくる声なんて私は一人しか知らないから。

 

【人って言うのは、死ぬかもしれない時、たとえ誰かが死ぬとしても、それを助けるために動くなんてできないんだよ】

「でも私はあの時動けた」

【それは貴方の命の安全が保障されていたからでしょ?】

 

鋭い返しだった、確かに思い返せばあの時狙われていたのは『ログン』であって私ではなかった。

それに私は『マッチガール』の特性を知っていた、だから狙われていない私は死なないとわかって動けた。

でも、今回は違う...もし、二人と一緒に戦っていたら、私も死んでいたかもしれない。

たとえ本になった後解放されるのだとしても、死ぬ事は恐ろしい。

だから逃げた

 

【わかったでしょ?確かにあなたはあの人たちを救えたかもしれないけど、そうすればあなたは死んでいただろうね】

 

私は都市に転生を果たしたわけだから前世で一度死んでいるのは確実だ。

けど、私はその死を知らない、自分が死んだ感覚さえなく気が付けばこの世界に居たのだから。

私は死ぬ事を味わっていないのだ、だから恐ろしくて当たり前だ。

だから...逃げて当然なんだ。

 

【そう、逃げていいの。あなたの知る彼はここで一度地獄の道へ歩んでいってしまったけど、あなたまでそうである必要はないんだから】

 

このまま図書館から逃げて...

 

【見えてしまうから未来を案じてしまうならその眼を塞いで、声を聞いてしまうから不安を感じるならその耳も...

変える事を恐れるなら口を閉ざしてしまえばいいの、そうすれば何も怖くなくなるわ】

 

そうだ、そうすれば...何も恐れる事なく、生きていられる

<悲しいな、君の心は苦痛にあふれていたが...誰よりも生と死に厳粛な人だったのに>

 

また、声が聞こえた...この声は

 

「『死んだ蝶の葬儀』?」

 

なぜ彼の声が?

<己を上手く欺く事のできる人間だけが人生を謳歌できるのだ>

 

今度は別の声が...これは『たった一つの罪と何百もの善』?

 

「どうして...」

<罪とは向き合う物ではなく、曝け出す物である。

己の罪を見つけ、それを曝け出せよ、そこに...君の光があるさ>

 

この声は、罪善さん?...いや違う、誰だ?

 

<心で、望むんだ。君が抱く光の力を...それはきっと不安定だ、けど君なら大丈夫だろう>

 

男性の声だ、どこかで聞いた様な...そんな声

 

<分け隔てるのは簡単ではない、けど道を真っ直ぐ見つめれた君ならできるはずだ。

向かうべき道とそうでない道を切り分ける事が>

 

向かうべき道...それは

 

<【それは?】>

「...それはきっと地獄の道だ」

 

私は立ち上がる、俯いて苦痛から目を背けずに前を向く

 

【どうして?】

「知っているからといって全てを変えるなんてできないかもしれない」

<それなら、どうするんだ?>

「全ては無理でも、私の手の届く人たちはせめて助けたいんだ」

<【それが君の望みなの?/かい?】>

 

二つの声が重なって尋ねてくる

一人はなぜと懐疑的な声色で、もう一人は穏やかで見守る様な声色で

私はそのうちの一人に語り掛けた

 

「カルメン、元の彼も言ってたでしょ?自分の代わりに泣いてくれる人はいないんだよ」

 

そうだ、私の知りうる全ては誰かに話してしまう事だってできるだろう。

けど、未来の話なんて誰も信じないし、聞いてもくれないだろう。

だから、この苦痛を真に抱えていられるのは私だけ、この苦痛を前に涙を流すのは私だけなんだ

 

【そう、残念ね】

「私は残念じゃないかな」

 

そう言い残し、私は立ち上がり戦場へと戻る

 

【でも、貴方がその道を行くのならきっとまた会うだろうね】

「サーカスのあの場所で?」

【そう、それに今のあなたと、再び会うあなたは別だろうから、きっと私の話に耳を傾けてくれるよ】

 

その言葉を聞いて私はこの体が、別の自分の体であると気づいた。

その時、誰かの泣き声が聞こえたのを思い出した。

 

「そっか、この私はここまでの何処かで折れちゃったんだ」

 

そう気づいた私はせめてもう一人の私が希望を抱けるよう、脆くは儚い翼で高く飛び上がれる事を証明してあげるんだ。

 

片腕を覆う鎧、その手には流れる激情を糧に燃え盛る剣を硬く握り締めている。

背中から生えた片翼は空を飛ぶにはあまりに脆そうで、しかしその大きな翼は今の私に足りない支えとなってくれている。

 

眼前には多種多様な格好をした人たちが並んでいる、真ん中に居るのは...『イェソド』だ。

私は半身を覆い隠す翼を広げ、燃え盛る剣を構え突き進む。

たとえ決着つかず、この場から私が立ち去るのだとしても、今この瞬間だけは

高く飛べるのだと信じて...

 


 

気が付くと私は収容室で倒れていた。

私は起き上がり辺りを見渡す、すると鏡があった。

 

「『調整の鏡』...」

 

徐々に思い出してきた、私は鏡の作業に向かって鏡を見たんだ、そしたら...

この鏡は並行世界を映してるなんて話が合った気がするからそれが原因だろう。

あの後私はどうなったのか、原作のままに進んでいったのか、それは誰にもわからない。

もう一度鏡を覗きこめば結末が分かるのか、それとも別の並行世界に行ってしまうのか

どちらにしろあの世界の私はきっと大丈夫だろう。

最後には笑っている声が聞こえた様な気がしたから。

私は収容室を出て、皆の元へ戻った。

 




知っているからといって行動できる人は少ない、見ず知らずの人の為、見知った友人の為、なんであれそれに死の危険があるなら猶更だ。
何より一人でできる事の範囲なんてたかが知れている、すべてを救うなんてことは到底できないのだ。
もし、それでも立ち上がることができた人が居るのなら、その人はもう迷うことはないだろう。
分別できる理性を持って、己のできる範囲で変えていけるだろうから。

LobotomyCorporation内の話のはずなのになぜ別の可能性の世界の話を出したのかというと、リンバスのエイプリルフールでは別の可能性の世界にダンテェが渡ってしまったりするのでそれに合わせた感じです。
それに、こういう外伝でもないと図書館周りの話をすることはないだろうなという思ったので
図書館ってローランとアンジェラのお話だからトオルを絡ませることはできないだろうという判断からやりました。
今後は図書館の話をこういった感じで番外編でちょろっと出すかもしれませんが、ご容赦ください
調整の鏡君は指揮チームのツール型幻想体枠出してねぇなという事を思い出して、急遽突っ込みました。
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