ガラガラという扉の音。薄っすらとまぶたを透かす白い光。
水底から昇る小さな気泡のように、俺の意識は急速に覚醒していく。
俺は、ゆっくりと両目を開いた。
「知らない、天井だ……」
*
夕日でオレンジ色に染まった廊下。制服姿の俺は、コスチュームケース片手にそこを一人で歩く。ヒーロー基礎学の訓練中に気を失った俺は、どうも放課後まで保健室で寝ていたらしい。
リカバリーガールの婆さんが言うには「恐らく脳震盪さね。治療は完了してるから、後遺症は心配しないで大丈夫だろう。めまいや頭痛が起きるようだったら脳神経外科で診てもらう必要があるから、よーく覚えておきんさい。」とのことである。
……はあ、意識が刈られただけならまだしも、こんな数時間も寝込んでしまうなんて。普段ならありえない。これが訓練じゃなければ死んでいたところだ。寝不足は良くないなと反省する。
少し落ち込んだテンションを自覚しながら廊下を歩いていると、前から誰かが走ってくるのに気がついた。
――あれは、緑谷?
「緑谷くん、そんな走ってどうしたの?」
「あぁ青山くん! 目が覚めたんだね良かった――ってゴメン! 急ぐから!」
そう言って俺の隣を走り抜けていく緑谷くん。その際によくよく彼の姿を見れば、彼はコスチューム姿のままで、身体はボロボロ。片腕に至ってはギブスを使って胸元で吊っていた。確か彼も訓練終了後に保健室に担ぎ込まれたはずだが、恐らく俺より先に意識を取り戻していたのだろう。
それにしても、あんな状態で走って行くなんて、一体何の用だ?
コスチュームのままでリュックは持っていなかったし下校するというわけではないと思うが、それならば益々動機が不明だ。もしかすると相澤先生にでも呼び出されたのかもしれないな、なんて考えながら廊下を進むと、A組の教室から女の子たちが出てくるのが見えた。
麗日さん、蛙吹さん、それから芦戸。彼女たちはみな外の様子が気になっている様子だったが、蛙吹さんが廊下を歩く俺に気づいた。そして彼女は芦戸の肩を叩いて俺の方を指差す。
「あー! 青山ッ!」
「芦戸。」
そう言いながら走ってくる芦戸。彼女は俺の前で急停止し――がばりと頭を下げる。
「ゴメンッ! 私のせいで迷惑かけた!」
「……自分で反省してんなら言うことはないよ。僕も一発でのされちゃったし。今日が訓練で良かったさ。次があれば絶対勝とう。」
「あーっ……実はね、一応勝ったんだ。」
「――は?」
全く意味がわからない。俺が早々に脱落し、芦戸の眼の前にはいきり立った強化系の砂藤がいて、しかも核兵器と口田くんの居場所は掴めてすらいない。そんな状況で、芦戸ひとりで勝った?
「青山が“個性”使ってくれたおかげで、砂藤は前見えないまんまで、それからすぐ口田くんが突撃してきたんだけど、私の『酸』で転ばせて、あとはもう走りまくってっ――確保出来た、核兵器。」
まず俺の“個性”の効果が俺が気を失った後も効果が持続するという、俺も知らなかった新事実に驚いたが、なにより。
「――お前、すごいな。」
「へへっ。……私のせいだーッて思ったら、なんかチカラ湧いてきた。」
それを聞いて自然に笑ってしまう。そんな漫画みたいなことあるかよって感じだった。
俺は握った右手を芦戸へ向かって突き出し、グータッチ。
「お前の死は無駄にはしない! ってやつ?」
「うーん、まぁ、そうとも言うかもっ。」
にひひっとはにかむ芦戸。俺達を少し離れたところから見守っていた麗日さんと蛙吹さんも、安心したような柔らかい表情を顔に浮かべている。
「――って、そういえば緑谷と爆豪はっ!?」
「言われてみれば、すっかり忘れてたわ。」
「早くしないと行ってまう!」
そう言うや否や、三者三様の体勢でガラスに張り付いて外を眺める三人。
「緑谷くんと爆豪くんがどうしたって?」
俺は芦戸に向かって尋ねる。さっき緑谷くんが走っていったのと関係ありそうだ。
「あー、なんかね、爆豪が不貞腐れた感じのままさっき帰っちゃったんだけど、それを聞いた緑谷が真剣な顔で飛び出していって……」
「なるほど。」
まぁ訓練の様子を見れば、尋常じゃないアレコレがあのふたりの間に渦巻いているのは容易に想像が付く。だがまあ、俺には関係のないことだ。
「じゃあ僕は教室に引っ込んどくよ。」
「えっ、気になんないの?」
「……そういうのは、知らないふりしてやるのも優しさだよ。気にかけてやるのも優しさだけどね。」
そう言った俺は後ろ手で芦戸へ手を振り、ドアを引いて教室へ入る。
「おーっ! お帰り青山っ!」
そう言って出迎えてくれたのは砂藤。
「ごめんな、あんなに強く行くつもりは無かったんだけどよ、急に目の前が真っ暗になってパニクっちまった。」
「まー仕方ないさ。お互い訓練だしね。良いパンチだったよ。」
「いやーほんとわりぃな、後にひく怪我じゃなさそうで安心したぜ。」
「それと、制服運んでくれたんだって? ありがと。」
「お安い御用だぜ? そんくらいよぉ。」
ふたりで話していると、教室に残っていた男子連中も寄って来た。飯田くん、切島くん、瀬呂くん、それから上鳴くん。いずれも明るい顔をしている。なにやらみんなで盛り上がってたみたいだ。
「はじめまして青山くん。俺は飯田天哉だ。……君には、感服した! 君はあの難しい状況で芦戸くんに勝ち筋を繋いだ。一貫して素晴らしい状況判断だったよ。」
「俺は切島鋭児郎――俺も見てたぜお前の漢気! 自分を犠牲に仲間を救う、まさに漢気の中の漢気だぜ!」
「ありがとう二人共。僕は殴られただけだってのに、照れるな。」
温かい声をかけてくれる飯田くんと切島くん。……切島くんは思った通りの硬骨漢といった感じだが、飯田くんは少し印象が違う。初日の爆豪くんとのいざこざで、てっきりトラブル気質なところのあるやつかと思っていたが、どうやら真っすぐな良い奴みたいだ。……堅物過ぎるのが玉に瑕だが。
「なーなー、青山の“個性”ってさぁ、砂藤や芦戸が言ってたみたいにホントに『目眩まし』なの? どんな感じになるん? ――あ、俺は上鳴電気、よろしくっ!」
そう声をかけてきたのは上鳴くん。訓練を見る限り電撃系のシンプルに強い“個性”持ちの青年だ。
「ああ、まぁ正確には『ブラインド』だね。いつでも任意で解除できるから、試しに食らってみる?」
「えっ、いいのぉ!? じゃあ頼む!」
そう言う上鳴くんの右目に、俺は「ブラインド」をかける。
「うお――うお、うおおおお! すっげえええ! 右だけ真っ暗だ!」
まるで子供のように大はしゃぎする上鳴くん。……あんまりはしゃぐと危ないぞ。
「それ、ノーアクションで発動できるのがマジつえーなぁ……俺は瀬呂範太。肘からセロハンテープを出せるぜ、ヨロシクな。」
「ありがとう瀬呂くん。こちらこそよろしく。」
クラスメートたちとの自己紹介合戦も一段落したところで、砂藤が口を開く。
「俺達いま戦闘訓練の反省会してたんだけどよ、なかなか盛り上がっちまってさ。もうそろそろ下校時刻だし、このあと教室にいるみんな誘って、親睦を深めるっつーことでどっか飯でもいこうかって話になったんだけど、青山はどうする?」
「あー、ごめん。先約が有るんだ。地元の友だちの集まりに呼ばれててね。」
砂藤はそれを聞いて顔をしかめて大口を開けた。
「うわ、マジかよーッ! ――ま、約束有るなら仕方ねぇか。」
「うん、だから僕のことは気にせずみんなで楽しんできてよ。」
俺は「もう行かなくちゃ。」と言ってみんなの輪から抜け、コスチュームケースを仕舞い、ロッカーからリュックサックを取り出す。
荷造りのために再び自分の席へ戻れば、みんなは相変わらず輪になって話し合っていた。ああ、でも砂藤と飯田くんはふたり離れて教室の別のグループにも声をかけているようだ。
俺は荷造りしながらみんなの会話に耳を傾ける。
「なあ、どうするよ? 緑谷は誘ってみるとして、青山がこれないとなると――」
「やっぱ人多いほうが盛り上がるし、代わりに爆豪でも誘ってみるか? 俺メッセ交換したからさぁ。」
「やめとけやめとけ、緑谷はまだしも、さっきの爆豪の顔見ただろ? 今はひとりにしてやったほうがいいって。」
荷物をまとめ終えた俺は近くに居た切島くん、上鳴くん、瀬呂くんに声をかけて、向こうの方で尾白くんと話している砂藤にも声をかけて手を振ってから教室を出る。ちなみに飯田くんは常闇くんとなにやら揉めていた。「玉に瑕」発動といったとこだろうな。
廊下出ると、そこにはまだ芦戸たちが居た。
「あれ、青山もう帰っちゃうの?」
「うん、地元の友だちと約束が有るんだ。」
「えー、砂藤が青山も誘ってみんなでご飯いくって言ってたから、私ちょ~楽しみにしてたのに。」
「ごめんな、付き合い悪くて。」
殊勝に「また今度みんなでいこうね!」なんて声をかけてくれる芦戸にグーサインで返事して、俺はひとり帰路につく。
――俺に「地元の友だち」なんてものが存在する筈もなかった。
*
俺は真っ直ぐ、足早に家に帰った。
駅から歩いて十分足らずの、学生賃貸1K8畳が今の俺の住処だった。
部屋に帰ってすぐ、カーテンを閉める。
外が暗くなっていたからじゃない。
「おかえりなさい、青山翠。」
「……その呼び方はやめてくれ、黒霧さん。」
俺の帰りを待っていたのは黒いモヤを身に纏った怪人、我らが「どこでもドア」の黒霧だった。
「死柄木が待っています。帰ってすぐで申し訳ありませんが……」
「ああ、制服だけ着替えるよ。」
俺は小さなクローゼットを開ける。そこにはミッチリと服が詰められていて、その七割ほどが珍妙な俺のヴィラン衣装。マスクはクローゼット上の棚に詰め込んであった。
今日は……まあなんでも良いか。
テキトーに手に取ったのは銀色のサウナスーツと宇宙人マスク。
俺は選んだ衣装に手早く着替える。
部屋の隅に置かれた姿見を見れば、身長百九十三センチメートルのアルミホイル星人がそこにはいた。
「さあ、行きましょうプレアデス。」
「ワレ・ワレ・ハ・ウチュウジン――どう、上手く出来てる?」
「ええ、そっくりですよ。プレアデス。」
――何と?
そんな疑問を胸に、俺は黒霧のゲートをくぐる。
真っ暗闇を抜けた先は、廃工場。天井に並んだ水銀灯の冷たい光が、まるで本物のUFOみたいだった。
左から右へぐるりと顔を動かして辺りを観察する。――左から右まで、ヴィラン、ヴィラン、ヴィラン、ヴィラン、ヴィラン。
ざっと数えて六十は下らないだろう。
ちなみにめちゃめちゃビビっている、一般ヴィランさん達が。
まあこんなイカれた格好したやつがいきなり現れて、ぐるりと機銃座みたいに顔を動かせばその反応も頷けるけれど。許せ、マスクの構造上仕方ないんだ。
「ワレ・ワレ・ハ・ウチュウジン・ダ」
「ヒィッ―――!」
一番近くに居た女ヴィランが情けない声を上げて腰を抜かす。
「プレアデス、あまり怖がらせないでください――みなさん! 彼はこう見えて死柄木の右腕です。どうか落ち着いてください。」
「ソンナ・カンジダ」
身構えていたヴィランたちは、黒霧の言葉でイライラした顔で再び腰を落ち着ける。
ふむ……呼びつけておいて死柄木の姿が見えないが、一体どこにいるのやら。
まぁそれはそうと、脅かしてしまった女ヴィランには誠意を伝えなければ。
俺は刺激しないようにゆっくりと腰を抜かしている彼女に近づき、ギンギラな手を差し出す。
「なっ、何よ!」
「カンジダ?」
「違うわよッ!!」
ああ、良かった、元気に立ち上がった。
彼女はあっかんべーして俺に中指を立てる。
……そんなに元気なことをアピールしなくてもいいのに。
「オレ・ハ・キニシ・ナイヨ」
「だから違うって言ってるでしょ!? オールマイトの前にあんたからブッ殺すわよ!」
これ以上続けると死人が出そうだった。もちろん死ぬのは彼女だ。
そろそろやめておこうか。
「――なあ! 黒霧さんよ!」
一際凶暴そうな異形型のヴィランが怒気を滲ませてそう叫ぶ。
「……何でしょう。」
「死柄木のヤロウはどこにいんだよ! オレらはあんな意味のわからねぇ宇宙人ヤロウの寸劇見るために何時間もココで待ってるワケじゃねぇ!」
異形型の男は心底不機嫌そうに頭をかきむしって続ける。
「……たんまり金は積んでもらってるから今まで我慢してたけどよォ、ちょいとオレたち大人の扱いが舐め腐ってるんじゃねぇか!?」
男は血管の浮いた緑色の腕を振り上げ――腰丈の廃材へ振り下ろす。
大きな金属音が辺りに木霊した。
「さっさと死柄木を――」
「じゃあさ、あの金は葬式代の足しにしてくれ。」
男の後ろには、いつの間にか黒い怪物が立っていた。
声を上げる間もなく、くたりと男の体が倒れる。
その頭は、怪物によってねじ切られていた。
まるで花を摘むように、簡単に。
――あ、死人が出た。
廃材の山に倒れ込んだ男の身体に、ゆっくりと死柄木が腰を掛ける。
その姿は黒いトレーナーと、黒いカーゴトラウザー。足元からはアイボリーの厚底サンダルがちらりと覗く。
そして、やはり一番の目玉は顔に飾った「華ちゃん」だろう。
死柄木の顔を優しく覆うその華奢で小さな手は――死柄木の気合が入っている証拠だ。
「遅くなったな。……遠くに捨てろ、脳無。」
男の頭は脳無と呼ばれた怪物によって廃工場の隅に投げられ――ゴシャリと音――真っ赤な血溜まりとなった。血溜まりの中には、パンくずのようなカケラが浮いている。
「はじめましての奴も大勢いるな……俺が、死柄木弔。」
死柄木は脳無を親指でクイッと指差す。
「そしてこのデカブツが脳無……オールマイトを殺すための最大の勝算だ。」
…………。
突然の惨劇に、いかなヴィランと言えど度肝を抜かれたらしい。なんとも情けないことだが、彼らは一様に固まっていた。
「ワレ・ワレ・ハ・カイゾウ・ニンゲン・ダ」
死柄木はそんなヴィラン達を見てポリポリと頭を掻く。
「……おい、喜べよお前ら。あのオールマイトを殺すチャンスだぜ?」
ヴィランたちは顔を見合わせ、やがてひとりが始めると、それに釣られるようにおずおずと拍手を始めた。
……こんな連中がオールマイトの前でどれだけ役に立つか、俺は疑問だ。本当に生徒相手だけを想定して人を集めたみたいだ。
そう思って死柄木を見れば、華ちゃんの指越し、皺だらけの両目が細められている。
「……はあ……なあ、お前らさ、何のためにヴィランなんかやってんだ?」
「いや……違うな。」
「――この中で、ガキの頃にヒーローに憧れたことのない奴は手を挙げろ。」
困惑した様子でお互いを見合うヴィラン達。
結局、誰ひとりとして挙手することはなかった。
……ちょっと意外だ。
その様子を見た死柄木は、ゆっくりとその口を開く。
「……ここに集めた人間は、みんな戦闘向きの“個性”を持って生まれた人間だ。まあ……雄英を襲っちまおうってメンツだから当然だよな。」
死柄木はひとりひとり指を指しながら続ける。
「お前も、お前も、お前も、みーんな戦闘向きの“個性”を持って生まれてきた――ヒーロー共と同じように。」
「このヒーロー社会……きっとお前らはガキの頃にテレビで見るヒーローに憧れただろうぜ。……みっともねえヴィランをぶん殴って喝采を浴びるヒーローを見て、『自分もいつかこうなりたい』ってな。」
「分かるよ。俺だってそうだ。」
「……でもさ、なれないんだ。」
死柄木は廃工場の鉄の中空を睨む。その目に、俺は確かに何らかの感情を見た。
「家族、性格、貧乏、それとも、運の無さ。……何がお前らをこうした?」
「何が、お前らを『みっともねえヴィラン』にしたんだ?」
死柄木の言葉に、怒りを顕にする人間はいなかった。みな静かにうつむいている。
その光景はとてもヴィランの集まりのものとは思えなかった。
死柄木はふらりと立ち上がり、ヴィランたちの真ん中へ躍り出てから続ける。
「……ヒーローに憧れたガキが、諦めて、持て余して、間違えて……あーあ、とうとうヴィランになっちまった!」
「これってさ……『悲劇』だよな?」
「すげー悲しいよなッ!?」
死柄木はバッと両手を広げてそう叫ぶ。
「……でも、この社会はありふれた『悲劇』なんて、見ようともしない。」
「あいつらはヒーローのことばかり見て、近くの誰かが痛がってるのを見ないふりするんだ。」
死柄木はせまい気道いっぱいに呼吸をする。
乾いた息継ぎの音が廃工場に反響して解けた。
「なあ……オールマイトが笑えば、嫌なことは忘れちまっていいのか?」
「オールマイトがぶん殴れば! ……俺たちの『悲劇』は無くなってくれるのか?」
「――ちがう。」
「俺はあいつが嫌いで……あいつらが嫌いで、嫌いで、仕方ないんだ。」
「誰も、俺たちの『悲劇』を救っちゃくれなかった。」
「それは、ヒーローの仕事だから。」
「誰も、俺たちのヒーローにはなっちゃくれなかった。」
「それは、ヒーローの仕事じゃないから。」
近くのカンジダ女は、口元を抑えて、泣いていた。
「――もう、壊そう。」
「オールマイトを殺して、象徴を壊して」
「あいつらが見ないふりしてきたものを」
「――見ないふりしてきた俺たちのことを!」
「見せつけてやろう。」
「……俺たちは、ヴィラン連合と名乗り雄英高校を襲撃する。」
「最後まで俺についてくるやつは教えてくれ」
「お前が今どこにいるのかを!!」
――雄叫びの大合唱。
廃工場のボロっちいコンクリの地面がビリビリと揺れている。
この場の誰もが手を突き上げ、声を嗄らして叫んでいた。
自分はここにいると。確かに、いま、ここにいるんだと。
それはヴィラン連合はじまりの鬨の声。
ヒーロー社会への反逆の狼煙、その産声。
死柄木はその声を一身に受け止め笑う、カリスマ。
「ウ・オオオオオオオオオオ .ᐟ.ᐟ」
俺もみんなに混じって裏返った声を張り上げる。
これは照れ隠しだ。死柄木の言葉で鳥肌を立たせてしまったことへの、照れ隠し。
「――お前ら丸くなって座れ。」
「作戦会議だ。」
反抗期ヤングな死柄木くん、どうでしょうか。