それでは本編をどうぞ!
「あ、葵夷さん…?どうして、こんなことを?」
ユウトは部室の椅子に座らされ、手と足を拘束されていた。
身動きが出来ず、ユウトは葵夷に問いかけることしか出来なかった。
「君が悪いんだよ?私のこと、一番だって言ってくれたのに…あんなに大好きって言ってくれたのに、他の人に目移りしちゃうんだからさ…」
暗い瞳をしながら、葵夷はそう口にする。
「目移り?なんのこと?」
「知ってるんだからね?ユウトさんが他のクラスの女の子と楽しそうに話してたの…なんで、私以外の女の子と楽しそうに話すの?」
「確かに話してたけど、単純に僕のデッキと似たようなデッキを使っている人だったから、親近感が湧いて話し込んでただけだよ?」
「私で良いじゃん!!他のクラスの子じゃなくてもさ…他にも仲の良い女の子いるよね…ねぇ、どうして私だけを見てくれないの?」
そう言いながら、葵夷は手に包丁を握り、ユウトに向けてくる。
「包丁?どこからそんなものを…いや、そんなことより、その包丁を降ろして…葵夷さん」
「嫌。ここでユウトさんを殺して、永遠に私だけのものにする。そうすれば、他の子に取られずに済むよね?」
そう言って、葵夷は微笑みを浮かべる。
ユウトはそんな葵夷の様子を見て、冷や汗をかく。
そして少し思考を働かせて、ユウトは言葉を紡いだ。
「…いいよ」
「何が?」
「僕のこと、包丁で刺しても」
「え…?」
「まぁ、死ぬのは怖いけど、葵夷さんに殺されるならそれはそれで悪くないし…一番大好きな人に最後を看取ってもらえるってことだからね」
「本気で言ってるの?」
「もちろん。…あ、でもこれだけは言っておくね。僕は葵夷さんのこと、大好きだよ…もちろん、他の人も好きだけどさ…でも、一番はやっぱり葵夷さんだ。…これだけはちゃんと伝えときたかったんだ」
ユウトは笑みを浮かべて、そう口にする。
すると、葵夷が声を出す。
「ちょっと待って!ストップストップ!ユウトさん、いくら演技でも簡単に命を投げ出しちゃダメだよ!」
「そうかな?我ながら、ベストな回答だと思ったんだけど…」
そう言いながら、ユウトは拘束を解き、椅子から立ち上がる。
先ほどまでの出来事は所謂、演劇のようなものだ。
ユウトがシチュボの小説を書くことを知った葵夷が、それならいっそヤンデレ系で書いてみたらと提案し、情景をイメージしやすいようにということで、演劇という形でやってみていたのだ。
「それにしても、葵夷さんのヤンデレの演技凄かったな…本当にびっくりしたよ」
「ユウトさんこそ、本当に私に殺されてもいいって思ってるみたいで、びっくりした…大丈夫だよね?本気で思ってないよね?」
「もちろん。葵夷さんのことが一番好きなのは本当だけど、まだ葵夷さんやみんなとカードゲームを楽しみたいし、死ぬのは嫌だよ」
「だよね?良かった〜!…って、一番好き?神引のこと一番好きって言った?」
「うん、言ったよ?変なこと言っちゃった?」
「違う違う!むしろ嬉しいよ」
「そう?なら、良かった」
『ユウト…よくそんなこと平然と口に出来るな…しかも、言葉に嘘がないのが俺にはわかるから、余計にたちが悪い…』
『何が?僕は思ったことを言っただけなんだけど…』
『あー、うん…お前はそういうやつだよな…』
ユウトがハルヤの呆れたような声を聞いていると、葵夷が言葉を続けた。
「そういえば、ちょっと気になったんだけど…ユウトさんって、彼女いるの?」
「どうしたの?急に」
「いや、もしユウトさんに彼女がいるなら、あんまりそういうことは言わない方がいいんじゃないかな〜と」
「あぁ、そういうことね…今はいないから、問題ないと思うよ」
「今は?」
「うん。中学生の時に彼女がいたんだけど、遠距離恋愛になって別れることになっちゃったんだよね…」
その瞬間、場の空気が凍りついた。
「へ、へぇ〜…ユウトさん、彼女いたんだ…ふ〜ん、へぇ〜」
「葵夷さん?どうかしたの?」
『……ユウト、もう少しタイミングを考えようか…もう手遅れかもだが』
『手遅れ?』
「へぇ〜〜〜〜…」
「葵夷さん?本当にどうしたの?」
「…ユウトさん、ちょっとデュエマしない?」
「それは構わないけど、これまた急だね…まぁ、いっか!さっそくやろう!」
「うん。…全力で叩き潰すから、覚悟してね?」
「へ…?」
そうして、2人のデュエマが始まるのだった。
/////////////////
「レッドゾーンでトドメだー!」
「ま、負けたか…」
今回のデュエマは天が葵夷に味方したかのように、葵夷が上振れ、逆にユウトは下振れていた。
ユウトは下振れつつも、なんとか戦っていたが、結局は葵夷の勝利に終わった。
「葵夷さん、すごい気迫だった…というか、びっくりするぐらい手札が事故ってたんだけど…ま、そういう日もあるか」
「よし!勝ったぞー!ちょっと気分が晴れたかな〜」
『まぁ、今回はユウトが悪いな…うん』
『えー…そんなに悪いことしたかな?まぁ、確かに隠し事してたのは悪いかも…いや、そこまで怒るかな…うーん、わからないな』
心の中でそう返事をした後、ユウトはふと思い出したように言葉を続けた。
「…あ、そういえば…」
「ユウトさん?どうかした?」
「いや、考えてみると…僕は葵夷さんのこと、まだまだ知らないなって思ってさ」
「確かに、あんまりお互いのプライベートとか話してないもんね…」
「うん。まぁ、話したくないことだってあるだろうし、僕は特段話せるようなこともないし、これで良いのかもとは思うけど」
「うーん…よし!せっかくだし、お互いについて話そうよ!」
「そうだね。僕も葵夷さんのこと、もっと知りたいし!」
「おけ!まずはなにから話そっかな〜…あ、そうそう!実は猫ちゃんを迎え入れたんだ!名前はハルちゃんって言うんだけど、めっちゃ可愛くて!」
「葵夷さんも猫いるんだ!僕もいるんだよ!モフモフで可愛いんだよね!」
「ユウトさんも!?ねね、写真ある?良かったら見せてほしいんだけど!」
「あるよ!ちょっと待ってね…」
そうして、お互いについて話すと言いつつ、2人は猫トークを繰り広げるのだった。
といった感じでした!デュエプレで新弾も出ましたし、新弾のデッキを使ったデュエルシーンとかも書けると良いな…
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございました!