【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】   作:hikoyuki

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CLIMB DESIRE Ⅳ

「オススメ度の高いスキルは地雷。そして不遇スキルが実は優れたスキルであることはデスゲームモノを読めば容易に推測する事ができる」

 

「ーーつまり、わたくし達は星1のスキルを取得する、というわけですわね?」

 

「そうだ。お前は僧侶だったな。星1のスキルは何がある?」

 

「星1スキルはいくつか存在しますけど……わたくしが取得を考えているのはーー【マッサージ】ですわ」

 

「ーーさすがだな。明らかに強力なスキルだ」

 

「ええ。説明には指圧によりマッサージを行うだけの産廃スキルなどと記載されていますけれど、産廃スキルだと運営が考えているならばーーそもそも実装するわけがありませんわよねぇ?」

 

「あぁ、俺も同意見だ。恐らくそのスキルの本質はーー【指圧】」

 

「おっと、マッサージも重要な要素ですわよ?これは推測になりますが、マッサージはーー死者の蘇生ができる」

 

「ーーっ!……なるほど、【心臓マッサージ】か。なかなかの発想力だ」

 

「貴方が死した時もわたくしがフォローして差し上げますわ。安心してお死にくださいませ。さて、貴方の星1スキルは何にするんです?ーーすでに決まっているのでしょう?」

 

「まあ俺からこの話題を振ったのだからな。当然だ。俺が取得するスキル、それはーー【運転免許】だ」

 

「名前からして明らかに強力なスキルですわね。末恐ろしいですわ……」

 

「そう。このスキルは車を運転する事ができる【権限(パーミッション)スキル】。このゲームには車が登場しない、などと書かれているが……」

 

「ーー【運転】。この単語は車に限った話ではありませんものねぇ?機械を動作させる行為自体を運転と呼称する事もあります。」

 

「そういう事だ。とはいえこのスキルで直ぐに戦闘に貢献する事はできないが……」

 

「あら、構いませんわよ?貴方はわたくしを指揮ーーーー【運転】すればいいだけの話ですわ」

 

「ーー流石だな。やはり俺の相棒は貴様にしか務まらん」

 

「同意見ですわね。私の真なる力を発揮させられるのはこの地球上において、貴方の他には存在しないでしょう」

 

「ククク……宇宙人でもやって来たら乗り換える気か?」

 

「まあ、貴方を軽く捻り倒せるような宇宙人が攻めてきたら乗り換えも検討しますわね。わたくし、強い殿方が好きなんですのよ」

 

「ーーありえない仮定だな。一生を俺に捧げるという婉曲的なプロポーズか?」

 

「あら、珍しい。解釈を誤りましたわね?ーー貴方には【永遠】を捧げましょう。そう云ったのですよ?」

 

 

 

「かっこいい……」

 

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>厨二病すぎて笑う

 

>厨二言うな。ロールプレイと呼べ

 

>卍さんが尊敬の眼差しで見つめていらっしゃる

 

>名前に卍なんてつけるお方だぞ。当然厨二病に決まってるだろ

 

>邪気眼だぞ

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『マッサージも運転免許も企画初期段階に検討されていたマイライフオンライン用の没スキルだったのですが……"もったいない"はゲーム運営においては通用しないのでしょうね。反省しています』 

 

 

 

 さて、しばらく迷路を歩いているとついに階段を見つけた。例によって看板が立っており、推奨レベル:5などと注意書きがなされているがこの段階においてはもはやツッコミどころ足り得ない些細な話でしょう。

 

『気が緩んでいるように見受けられますので念の為に警告しておきますね。ーーーーここからが本番です。まさか勘違いしてらっしゃいませんよね?』

 

 GMが人好きのする笑みでニコリと釘を差して来た。はっきり言ってわざわざ警告してくる時点で善人オーラが隠せていないのだけれど、もしかしたらそれすらも油断を誘発させる演技なのかもしれない。

 

「ーーそうですね。ちょっと油断していました。気を引き締めて行きましょう」

 

 ほっぺたを手のひらでバシッと叩きつけ、意識を切り替える。そして、ゆっくりと階段を上がって行った。

 

 

 

 階段を上がった先にあったのは……観客席のような場所だった。下を見下ろすと、そこには巨大な競技場が見える。

 

 そこでは2人の人間が激しい戦いを繰り広げていた。

 

「やれー!殺せー!」

 

「いや、負けたら俺がぶち殺してやる!」

 

 周囲にいる観客達……NPCが野次を飛ばしている。しかし、よく観察してみると決まった定型文を繰り返し発声するだけ。人口無能のようですね。当たり前ですが。

 

『そう、ここはコロシアム。そこの看板にも書いてありますが、私からお伝えしましょう。このエリアで10000ゴールドを稼ぐ事が次の階層に到達するための条件です。ーーなにをすればいいか、おわかりですよね?』

 

 そういう事ですか。あの時PKを禁止したのは、道徳的な理由でもなんでもなく……。

 

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>PKを許さなかったのはどちらによここでPvPをさせるからって事か

 

>デスゲーム始まったな

 

>本性現したか

 

>卍さん早くログアウトして!!

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 ボクを心配するようなコメントが流れているけれど、この状況でログアウトボタンが機能している訳がない。これまでの言動は希望から絶望に叩き落とすためのトラップだったのだろう。

 

「なるほど、わかりました。いい加減ヌルゲーにもうんざりしていた所です。ボクの本気を見せてあげましょうか」

 

『ほう?ククク……期待していますよ。ほら、こちらに受付がありますよ』

 

 GMの案内を受けて受付にやってきたボク。そんなボクを見た受付の人はこう言った。

 

 

「どの剣闘士さんに賭ける??次の試合はバトルロイヤルよ」

 

 あーそういう事ね。

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