メカ少女を名乗る魔法少女の変な人   作:メカホー

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五 魔法は創るモノ、武装は増やすモノ

 魔法少女の魔法には名前があって、私の場合は天創魔法だ。

 ティアの場合は剣生魔法、そのまんまだね。

 じゃあ私はと言うと、少しおかしいと思うかもしれない。

 メカと何にも関係なくね? と。

 同時に、こう思うかもしれない。

 私は一体どうやって、アレほどの武装を作っているのか? と。

 なんなら、培養ポッドだって私が作ったものだ。

 一つの魔法でそんなものまで生み出せるものだろうか。

 普通は生み出せない。

 例えばこれが”兵器を生み出す”までならギリギリ願いの範疇に収まりそうだ。

 けど培養ポッドは違うじゃん? なんなら、各種ビーム兵器も現代の一般的な兵器には当てはまらない。

 

 でも、私はそういう物を作りたかったのだ。

 ロマンがあって、かっちょいい。

 魔獣相手に無双できるなら言う事無しだ。

 だから私は魔法少女になった。

 願いを叶えたのだ。

 

 そうして生まれたのが、天創魔法。

 天を創ると書いて、天創魔法。

 じゃあ一体、どんな魔法なのかって?

 それは多分、()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 天創魔法によって転送された(超絶爆笑ギャグ)私は、とある場所にやってきていた。

 

 

「やぁ、待っていたよ魔法少女エクス・マキナ」

 

 

 なにもない白い空間に、そいつはいた。

 黒い猫のようなマスコット。

 

「待っててくれたんだ、()()()()()()()殿」

「普段ならともかく、今回は対上級魔獣だし、何より非常に合理的だったからね。僕としても、君の作戦に反対する理由がない」

「じゃあ、早速だけど」

 

 統括マスコット。

 名前は知らない、教えてくれないからだ。

 ともあれ、この黒猫こそがマスコット達の親玉であり――私達を魔法少女として戦場に駆り立てる張本人。

 見ての通り、胡散臭いマスコットだ。

 まぁ、私にとっては色々と恩のある相手なのだけど。

 なにせ――

 

 

「天創魔法で、新しい魔法を作っちゃおう」

 

 

 私の魔法には、統括マスコット殿……なげぇな、統括殿でいいや。

 統括殿の協力が必要不可欠なのだから。

 

 

 ♪

 

 

 異世界からやってきた魔獣と呼ばれる連中と、マスコットと呼ばれる存在の戦争は、マスコットがジリジリと追い詰められる形で長く続いていた。

 そんな中、戦線が決定的になると魔獣はその牙を別の世界へと向ける。

 それこそがマキナたちの暮らす世界だった。

 マスコットたちは善良な存在だ、なんとかしてあの世界の人々を助けられないかと考える。

 しかし、そもそも自分たちがジリ貧で追い詰められているのに、どうやって彼らを助けるというのか?

 

 そんな時、あるマスコットが言い出した。

 あの世界の人々は、強い願いを抱いている。

 それを叶えることで発生する”魔力”というエネルギーを使って、魔獣を撃退できないか――と。

 他のマスコットは反対した。

 なにせ魔力を発生させられるのが、あの世界の年若い少女だけだったからだ。

 子供を危険にさらすなんてできない、と。

 しかし魔法少女が存在しなければ、マスコット達もあっちの世界も滅びるだけだ。

 そもそも魔力がなければ、あっちの世界の人々は魔獣を認識できないのだから。

 かくして、反対を押し切って実行された魔法少女誕生作戦は――結果として大成功を収めた。

 ジリ貧だった戦況は現在、ほぼ五分五分にまで押し戻せている。

 それほどまでに、魔法少女は強かった。

 確かに、幼い少女を危険にさらすのは心が痛むし、時には戦死者が出てしまうことがある。

 それでも、彼女たちはその覚悟ができる人間しか魔法少女になれないのだ。

 何より、魔法少女がいなければあちらの世界の人々に対抗手段はなかった。

 

 自分の選択は間違っていなかったと、作戦の成功による功績として”統括マスコット”の地位についたマスコットは考えている。

 

 そして、同時に。

 善良なマスコットの中で、自分だけが合理的な選択を下せるのだという自負があった。

 マスコットと魔法少女を導けるのは自分しかいないと、そんな傲慢が統括マスコットにはあった。

 

 

 魔法少女エクス・マキナと会うまでは。

 

 

 儀式によって魔法少女になるためには、マスコットと契約を結ぶ必要がある。

 その契約を結べるのは、統括マスコットだけだ。

 故に、儀式が成功すると最初に呼び出されるのは統括マスコットである。

 その後、統括マスコットが呼び出した魔法少女に適したマスコットを選出するわけだが。

 だからこそ、統括マスコットは儀式によって契約した魔法少女をすべて把握している。

 当然、マキナのことも。

 

 最初の印象は、”大当たり”だった。

 願いを叶えたいという強い意思、魔法少女の存在を疑わない精神性。

 間違いなく、稀代の魔法少女になるという確信があった。

 そして何より興味を抱いたのだ。

 これほどの強い願いを、なぜこの少女は抱いたのか。

 その願いでもって、叶えたいものとはなんなのか。

 故に、問う。

 

「さぁ、君の願いを聞かせて」

 

 そして、後悔することとなる。

 

 

「魔法の創り方を教えて。創れるんだよね? 魔法少女だって創れるんだから」

 

 

 ――――え?

 思わず、呆けてしまった。

 

「私の願いは、すっごく単純なものだけど、叶えることがとても難しい願いなんだ。だったら、叶える方法を願えばいいって思ったんだよ」

「ま、魔法を創る!? そんなの、どう考えても無理――」

 

 そう言いかけて、ハッとする。

 ()()()

 でなければ、マキナは統括マスコットを儀式で呼び出すことができないのだから。

 理解してしまった統括マスコットは、少しだけ口をつぐみ――そして、開く。

 

「……聞かせてもらおうかな。そうまでして叶えたい君の願いって――なんだい?」

 

 対して、マキナの答えは――――

 

 ――――その答えを聞いてから、もう一年近くが経とうとしている。

 あまりにも長く、そして刹那のごとく流れていく一年だった。

 

 マキナは強かった、多くの魔獣を単独で殲滅できるほどに。

 ただ統括マスコットは想定していなかったこととして、マキナが魔法少女の間で異端扱いされていることだ。

 なるほど確かに、戦うために魔法少女になる人間はマキナしかいない。

 でも、願いのために命を賭ける君たちも似たようなものじゃない? と人の心がない統括マスコットは思った。

 

 驚くべきは、マキナが単独で上級魔獣を撃破してみせたことだ。

 単独での上級魔獣撃破はこれまでに例のないことで、統括マスコットは心底驚いた。

 それと同時に、一旦このことは伏せておくべきだとも判断した。

 魔法少女の中に、マキナの強さに対する畏敬の念が大きくなっているからだ。

 これ以上マキナの活躍が知れ渡ると、中にはマキナを信奉するものもでてくるかもしれない。

 なお、別に隠しても信奉者はでてきた。

 人の感情って理不尽すぎない? と人の心がないマスコットは思った。

 

 ともかく。

 マキナは規格外のトラブルメーカーだ。

 いつ、統括マスコットの制御から外れてしまうかもわからない。

 というか、すでに外れているのかもしれない。

 天創魔法は、魔法を創る魔法だ。

 正確には、統括マスコットが有する魔法を創る権限をマキナにも開放する魔法。

 その副次効果として、こうして統括マスコットの元までやってくる必要がある。

 魔法を作るには膨大な魔力が必要だが、マキナは自身の魔力をストックしていた。

 それを開放することで、魔法を創造するのだ。

 こんなことを許している時点で、統括マスコットはマキナの制御を諦めていると言えるのかもしれない。

 でも、仕方がない。

 彼女の”あの”願いを聞いてしまったら、統括マスコットはそれに応えないわけには行かないんだから。

 それと。

 

「さて、じゃあ今回の魔法はどんな魔法になるんだい?」

「武装を作るよ、ステラシステムの新モード」

「へぇ、どの星座かな」

「キャンサー!」

 

 作業をするマキナを横から覗き込み、統括マスコットはマキナから話を聞く。

 統括マスコットの熱心な質問に答えるマキナは楽しげだ。

 

「水陸両用武装を作るんだよ、相手は海の魔獣だから。もともと水陸両用武装を作る案はあったんだけど、いいタイミングだった」

「それは確かに。水中限定ならともかく、水陸両用は十二もモードがあるなら一つくらいはあってもいい」

「武装は近接武器はこういう感じで……ミサイルとかつけちゃおう」

「いいね」

 

 テキパキとマキナは魔法を完成させていく。

 すでに何度も同じ作業をしているから、その作業効率は実に高い。

 数分もしないうちに、魔法は完成した。

 ちなみに魔法の製作はデザインを考えてそれを強くイメージすることで完成する。

 作業の大半はデザインだ。

 

「よし、完成! ティアがギリギリだから、早めに行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

 

 統括マスコットは、バタバタと出ていくマキナを見送って。

 それからしげしげと、デザイン画を眺め続けた。

 

 

 ♪

 

 

 激しい剣戟の音が響く。

 辺り一面海の魔法空間を飛び回りながら、ティアはフォルネウスと戦っていた。

 魚のような、人のようなフォルム。

 巨大な鉤爪が特徴的な、数メートルはあろうかという巨体の魔獣がそこにいた。

 

「……くっ!」

 

 大剣でフォルネウスの鉤爪を弾きつつ、距離を取る。

 しかし即座にフォルネウスは海に飛び込み、足元からティアに迫る。

 ティアは上空に飛び上がってそれを回避、しかし追撃の手は止まらない。

 そんな中――

 

”この程度か、魔法少女!”

 

 ()()()()()()()()()()

 上級魔獣には意思がある。

 会話が可能で、けれども人とは解りあえない。

 魔獣にとって、自分以外の存在は獲物でしかないからだ。

 

「まだ……まだぁ!」

”ふん、エクス・マキナの増援を待っているのだろう? 無駄だ、そんなものはこない”

 

 激しいぶつかり合いの中で、怪我を再生しながら迫ってくるティア。

 それを受け止めながらフォルネウスは、ティアを追い詰めるべく手と口を動かす。

 

”この魔法空間は特別製だ、俺が認めた存在以外は、何人たりとも侵入は許さん!”

「この……っ! 卑怯者!」

”卑怯? 結構。勝利こそが俺のすべてよ! 卑怯だろうがなんだろうが、俺は貴様をここで殺して勝利する!”

 

 言葉とともに、ティアをフォルネウスが勢いよく蹴り飛ばした。

 

「があ!」

 

 吹き飛ぶティア、魔法少女にデフォルトで備わった飛行能力が、何とか海に沈むことだけは防ぐ。

 だが、これは不味い。

 痛みを回復するより先に、フォルネウスが迫る。

 

「ぐ、あああ!」

 

 そこからは、蹂躙だった。

 なんとか対応しようとするティアを、フォルネウスが追い詰めていく。

 傷は少しずつ増え、回復が間に合わない。

 ここまで三十分、マキナが指定した時間はきっちり耐えて見せたが、これ以上は限界だろう。

 

”終わりだな”

「……ええ、そうね」

 

 これ以上は動けない、そんな状態で鉤爪を突きつけられる。

 チェックメイト、素直にティアもそう認めた。

 しかし、フォルネウスはその態度に違和感を覚える。

 

「……この空間に、普通なら人は入ってくることができない」

”貴様、何を言っている……?”

「でも、マキナは違う」

”……!”

 

 その瞬間、魔法空間の主は感じ取った。

 この場に、新たな気配が現れた、と。

 

”バカな、どうやって!”

「……マキナは、何でもできる。すごい魔法少女なのよ……!」

 

 それは、高速で迫ってくる。

 海の中を、フォルネウスに負けない速度で。

 何だ、とフォルネウスが視線を向けた先。

 そいつは、浮上した。

 

 赤い装甲、大きな鉤爪。

 足の装甲は分厚く、全体的に太めな印象を覚える。

 だが、何よりも特徴的なのは――なぜかマキナが身につけている、仮面だ。

 

 高速で接近したマキナは、ミサイルを全弾ばらまく。

 フォルネウスがそれを弾きながらティアから距離を取ったのを確認すると、着地。

 そして――

 

 

 ユラァ……となぜかスローモーションめいた動きで、起き上がるのだった。




時事ネタです。
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