ルミナスクエア、『火鍋屋』前―――
連絡を受けたタンザナイトは来てみると、悠真が立っていた。
「おっと、時間どおりだね。この店、結構評判がいいみたいだ。お客さんがずいぶん入ってる」
『好きなのか、火鍋?』
「まあまあかな。特に誰かの奢りなら、食べなきゃソンってね」
『.....なんだ?奢られたいのか?』
「はは、冗談だって。気付いてると思うけど、これは前回の依頼に関係してるんだ」
『ああ....やっぱり?』
と、悠真が本題に入るのであった。
「今日奢ってくれるのは、あんたも
『.....その人ってまさか――』
タンザナイトが言おうとした時、少し離れたところに見覚えのある姿が現れた。それは先日悠真と久方ぶりに再会を果たした、あの『兄弟子』だ。彼の後ろには、緊張した面持ちの三人の若者が控えている。
「待たせたな、悠真それと....タンザナイト、だったね」
『おっす....(やっぱり霧島か)』
「では改めて、自己紹介を....」
霧島がそう言うと、子供たちを紹介する。
「療養所で預かっている子供たちだ。椿、佳奈、涼介。挨拶しなさい」
そこには、ピンク髪の少女の『椿』、ピンク髪の男の『涼介』、茶髪のツインテールの少女『佳奈』という人物が立っていた....が
「お、お会いできてうれしいです.....あの....あたしたち、ほとんどが病気のせいで、家族に見捨てられちゃったけど....霧島先生のおかげで....」
「そ、そうなんですよぉ....タダで治療で受けさせてくれるばかりか、食い物や寝るところもくれて....霧島先生がいなかったら、帰る家もなかった。みんな、先生に感謝してるんです!」
「.......」
何処かぎこちない言葉にタンザナイトは若干、違和感を覚えた。
(....にしてはなんだ?怯えている?)
「ははは、俺はすべきことをしているだけだからな。何せ....エーテル適性減退症候群は特殊で症例も少ない。そんなお前らの苦しみを理解できる人間は、更に少ない」
「そうすかな?僕の知る限り....その特性にかこつけてずいぶん『ご理解』を得られているように見えるけどね?」
と、悠真は鋭い横やりを突っ込む。
「....コホン、せっかく来てもらったんだ、楽しい話をしようじゃないか。タンザナイトさん、悠真は小さい頃から天才の名をほしいままにしていたんだ。初めて弓を握ってすぐ、8割がた的に当ててみせたんだからな」
『へー....まぁ悠真は今もすごいけど....』
「何をするにも、一を教えれば十を知るありさまだ。こいつに憧れていたやつは
「佳奈ちゃん、だよね。どうしてさっきから黙っているのかな?」
と霧島の言葉を遮るように言い、佳奈という人物に話しかけた。
「わたし....」
「ああ、構わないでくれ。この子は特に体が弱くてな、普段から外出もしないし人見知りが激しいんだ。さあ、こんなところで立ち話もなんだ。そこらで火鍋でも囲もうじゃないか」
そう言い、タンザナイト達は火鍋に入り、霧島はひっきりなしに悠真の輝かしい過去について語った――照れくさいかは分からないが、霧島か褒めるたびに悠真がスマホに目を落としていたが.....
その後も場は霧島がメインで仕切り、子供たちの口数は少なく賑やかとは言えないものの穏やかに歓談は続いた。悠真はたびたび『師匠』の話を振られたものの、巧みにかわすので、結局霧島はその話題を最後まで続けることができなかった....
「みんな、この後も空いているか?よければ二次会でも――」
言い終わらない内に、
「霧島さん。またお会いできたのに、こんなことを言うのは心苦しいですが....あなたが違法な行為に関わっていると、
「違法行為だと?何かの間違いじゃないですか。俺は法を尊守する、善良な市民ですよ!」
「いいえ、間違いありません。それについてはご自分が一番よくわかっているんじゃないですか?」
「ちっ...」
と、セスの言葉が図星か、霧島は苦しい顔をする。
「ご安心ください。最近、署に
「い...いや、患者たちを医療所に連れ戻さないといけないし、彼らも病室を長く離れるのは.....」
「治安官に協力することは、新エリー都市民の基本的な義務ですからね。こんなマジメな治安官さんを前に、ダダをこねるもんじゃないですよ。霧島さん。それじゃ、こういうのはどうです?この子らは俺が責任を持って、療養所まで送って行きますよ」
「.....」
「霧島さん、よろしいですか?」
セスがそう言うと、霧島は渋々了承した。
「わかった...悠真、彼らを頼む。だが、療養所に近いポート・エルピスまでで構わない。その先はこっちで迎えを寄越す」
「おやあ、僕を療養所に行かせたくないと?なんか見られて困るものでも?」
「そんなものはない。ただ、お前だって暇じゃあないだろう?療養のために、あえて辺鄙な場所を選んだからな.....案内もなしに行くのは現実的じゃない」
霧島がそう言うと、悠真がこう返す。
「ふぅん...それは困ったなあ。こちらにいる
『おい、俺を巻き込むな』
「そんな客を迎えるなら、何かしら準備ってもんがいるだろう。現状の療養所にはまだまだ課題があるからな....用意が整い次第、必ずそちらの方はご招待しよう。それでいいな、椿?」
と、霧島がそう言うと、椿は
「は、はい.....霧島先生のおっしゃる通りです。あたしたちにはまだ....時間が必要ですから」
「.....分かった。それじゃ、途中まで彼女らを送って迎えが来るのを待ちますよ」
「お前ら、悠真の言う事をきちんと聞いて、あまりあいつの手を煩わせるなよ。いいな」
「わ、わかりました.....」
「それじゃ霧島さん、グットラック」
悠真がそう言うと、霧島は連れていかれた。
「さて、他の皆は....お兄ちゃんと港まで行こっか」
そうして、悠真たちは三人を連れて、ポート・エルピスまで行くのであった。
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「はい、とうちゃーく」
「浅羽さん....ちょっとスピード出しすぎじゃない?オレ結構....」
「ゴメンゴメン、車酔いしちゃった?少し休んだほうがいいかな?」
「だ、大丈夫....」
と、涼介は言うと、悠真はいつもの笑顔を引っ込め、辺りをじっくりと見回した。その金色の瞳には
「君たちのお迎えとやらは、まだ来てないみたいだね」
「.....」
「それじゃ――海を見にいこっか!」
『.....そうだな、いいと思う』
「あんたなら乗ってくれると思ったよ!それじゃあ、海に向かってしゅっぱーつ!」
すると、椿がそれを止めるように言う。
「....ちょっとそれはやめておいたほうがいいんじゃない?霧島先生に怒られちゃう――」
「そ...そうだよ!霧島先生が前に言っていたんだ。おれ達の体のためには、長時間外にでないほうがいいって。だから.....」
「君たち、あれの言う事を真にうけてるわけ?」
「....あたしたちは....」
「大丈夫だって。ここにいる全員が何も言わなければ、バレやしないんだからさ」
「でも――」
すると、ここで無口だった佳奈が言う。
「わたしは....海を見に行きたい」
「佳奈ちゃん.....」
「はいはい、みんなあんまり深く考えない!何があってもお兄ちゃんがなんとかしてあげるからさ、今は黙ってついてくること!」
悠真はそう言い、皆を海に連れ出した―――
カモメが飛んでいる場面に出くわしたり、美しい景色を見ていた。
すると、遠くで何かを見つけたのか、悠真の表情が一瞬で険しくなった。しかし次の瞬間にはまたいつものように柔らかい笑みを浮かべ、先ほどの変化は錯覚だったと思ってしまうほど、自然に振る舞い始める....
「みんな、ちょっと提案なんだけど....今日は天気もいいし、せっかく人数も揃ってる。みんなで一緒にゲームでもするのはどうかな?たとえばー......そうだな、かくれんぼとか」
『急にきたな.....まあいいけど』
「おっ、あんたも好きだと思ってたんだ。じゃあ僕と相棒で鬼やるから、君ら三人は隠れる側ってことで」
「え?なんで急にかくれんぼなんて....」
と、唐突なかくれんぼ発言に涼介は戸惑うが.....
「たまには....遊ぶのも悪くないんじゃないかな」
「佳奈ちゃんがそう言うなら....分かった、じゃあ一緒に行こう!」
「はいはい隠れた隠れた~あんまり遠くにはいかないでよね!」
悠真といっしょに背をむけると、みんな走り去る音が背後から微かに聞こえてきた。
そうしてると、悠真が話しかけてくる。
「困惑してるね、分かるよ」
『さっき、何か見て目つきが変わったからな....』
「流石、鋭い。霧島が言っていた『お迎え』さ。ほら....あそこ」
と、悠真が遠くの人物を指す。
「でもあんまり目がよくないのか、ずっと僕らに気づいていないみたいなんだよね」
『だから隠れさせたのか?』
「まあね....あの子たちは様子はどう見ても変だ。まるで何かに怯えてるみたいだった....霧島があの子たちを連れてきたのは、おおかた自分は心を入れ替えた....っていうアピール。それで僕が師匠の捜索に加わるだろうって
と、悠真が導き出した推理を言う。
「直感がつげているんだ.....あいつの言っていた『療養所』には、何か問題があるって。食事中、霧島を邪険にしてたのもあの子たちから直接聞きだせることがないか、試しかったからなんだ」
『成程....だからセスに....』
「いやいや、僕は普通に匿名で通報しただけだって!セスくんは頑固さには参るね。彼を説得するだけの時間がったら、僕は同じ時間で何もかも終わらせてるよ」
(.....
と、如何やら食事中にスマホをいじっていたことを思い出すタンザナイトだった。
「有罪にするには証拠が足りないかもしれないけど、治安局でしばらくお茶をしばいててもらうには十分さ。それより今困っているのは....あの子たちが僕たちのことまで警戒してることだ。育った環境もあるし、ホンモノのエーテリアスが話しているのを考えれば、それも仕方ないことだとは思うけど....」
『.....あれ、今失礼なこと言った?』
「とにかく、霧島が企んでるのか聞き出すためにも...まずはあの子たちに信用してもらわないとね。ああ、その前に....あの厄介なお迎えを片付けるほうがさきか」
そう言うと、悠真はスマホを取り出していじり始めた.....
「これでよしっと。お金の力をすこーし使って、何人かに手を貸してほしいって連絡しといた....あのお迎え、午後いっぱいはいい夢が見られるよ」
『何したの?』
「あらら....それ以上は言わない方がいいかな。この世界には黒も白ない....上等な灰色があるだけさ。それじゃあ、そろそろあの子たちを探しに行こうか」
悠真ははぐらかし、子供たち三人を探し始める。
開始して数分も経たない内に、椿を見つけた。
「うわっ、見つかっちゃった!かくれんぼなんて久しぶりだったけど、思ったより楽しかったかも....」
「椿ちゃん、隠れるのうまいね。ずいぶん探したよ」
「えっ、本当?へへ.....」
(大半は雑談だったことは黙っておくか....)
椿は褒められたことに照れていた。
「ほんとほんと、いい場所に隠れたね。あ、そうえば.....椿ちゃん聞きたいことがあってさ。霧島センセー、僕のことを君らに紹介するときなんて言ってたかな?」
(誘導上手いな....)
と、悠真の話題を変えるコミュニケーション能力にに感心するタンザナイト。
「先生はあなたが先生にとって大事なお客さんだから、ちゃんと礼儀正しく接するように....って言ってた」
「やれやれ....
「じゃあ....どうして霧島先生と一緒に...?」
「ああ....実は最近ホロウでお仕事してた時、侵蝕でエーテリアスみたくなっちゃった男の子がいたんだけど....その子がちょうど、君らんとこの患者だったんだ。名前は....なんだっけ、たしか『信也』とかいったような....」
「....!」
信也という言葉に椿は反応した....どうやら心当たりがあるらしい。
「霧島センセーの話だと、信也くんは病気の発作に耐えられなくなった....それで自ら命を絶つことを選んで、ホロウに飛び込んだ....って」
「まさか....信也くんはそんな子じゃな――あっ」
『そんな子?』
「な、なんでもない...」
と、椿はごまかした。
「....そういえば椿ちゃん、佳奈ちゃんをずいぶん気にかけているみたいだけど、それはどうしてだい?」
「....信也くんのことは、あの子とってすごくショックなことだったから。信也くんと佳奈ちゃんはずっと一緒で、ほとんど幼馴染みたいだったの。あの子たちは最初に療養所に入ってきた患者で....きっと長い間、お互いに支え合って過ごしてきたんだと思う。」
「なるほど、だから佳奈ちゃんはあんなに元気がないのか。それは心配だね....前に仕事であった女の子を思い出すな。その子は心に問題を抱えてたけど、家族がそれを無視したせいで状況が悪化して....最終的に自ら命を絶つ道を選んじゃったんだ.....」
「そ、そんな怖いことって...!?まさか、佳奈ちゃんもそうなっちゃうなんてこと....」
「実は僕も、
「そ、そんな....どうすれば.....お願い、佳奈ちゃんを助けて!」
「佳奈ちゃんに何が起こったのか、詳しく教えてもらえるかな?」
悠真がそう言うと、椿は話し始めた.....
「本当のことを言うと....佳奈ちゃん。悠真さんが言っていた子と同じようになってきてる気がするの.....た、確かにあたしたちは病気だけど....でも、前までの佳奈ちゃんはあんな感じじゃなかった!」
『!.......』
「佳奈ちゃんはもともと、療養所で
「お願い....佳奈ちゃんを助けてあげて!!」
(椿....)
と、椿は涙が零れながら、二人に助けを求める。
「分かった、安心して。お兄ちゃんたちがあの子を助けてみせるから。信じてもらえないかもしれないけど、実は隣にいるこの人も人助けが大の得意なんだ」
『どーも、救助活動のプロフェッショナルです』
「そうそう、自分のことをよく分かってるとこが好きなんだよねぇ」
「それじゃあ、お願い.....」
椿はそう言い、店のベンチに戻って行った。
『...悠真』
「分かってる...
『.....そうか』
「それじゃ、他の皆も探そうか」
秘めたる思いを胸に潜め、他の子どもたちを探すこととなった。
ツール・ド・インフェルノのボス候補は決まってるけど迷ってるんだよな....どうしよ
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ポンペイ「もどき」
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「ぺらっぺらの正義のなぁ!!」
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「許可なく見上げるな小僧」
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「チャオ~」
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「アークライズ.....」