転生先はエーテリアス   作:YEX

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此処に眠る者と起す者 中 その2

椿を見つけた二人は、次の子供たちを探していると、涼介が釣り場に座っていたのを見つける。

 

「やっぱり見つかっちゃったか。ところで、佳奈ちゃんは見つかった?」

 

『まだだが....なんで?』

 

「そ、そういうんじゃなくて!ただ最近佳奈ちゃんの様子がよくないから、ちょっと心配なんだ.....」

 

「ねぇ、ずっと聞きたかったんだけどさ――君、あの『佳奈ちゃん』って子が好きでしょ?

 

なんでそれを!あっ、ちがっ、オレが言いたいのは....」

 

と、図星を突かれたのか、慌てる涼介であった。

 

「恥ずかしがらなくてもいいって。実際、結構お似合いだと思うけどな」

 

「ほ、ほんとに!?オレと佳奈ちゃん、お似合いに見える!?」

 

『俺もそう思います』(トランクス風)

 

「ほら!相棒もこう言ってることだし!」

 

「でも佳奈ちゃんは、オレのことなんか好きじゃないと思う....だって、あの子がずっと見てきたのは信也だから....」

 

と、涼介は冷静になり、否定した。

 

「あっ、信也ってのはオレたちの療養所の友達なんだ。でもいろいろあって、もう....いないんだけど.....」

 

「なるほど、もういなくなっちゃった子には永遠に勝てないって?」

 

「そんなんじゃない!」

 

すると、涼介はさっきの言葉に反応したのか大声を上げる。

 

「ただ....信也が.....あいつが死んだのは、オレたちのためだったから!

 

『.....!』

 

「オレにあいつみたいな勇気はない....今だって、逆らうことすらできないのに.....」

 

「その友達はすごいことを成し遂げたんだね」

 

「あ、ああ。詳しいことは...言えないけど」

 

「わかってるよ。話は変わるけど、君らの療養所....みんなすごく仲がいいみたいだね」

 

「......オレたちみたいな人間は、いつ死ぬか分からない。それに、この病気の特性で....療養所に長くいる人とか、()()()()()()()()()()()()()()()()。昨日まで元気だった人が、翌日にはもう会えなくなっている....なんてことも、オレたちのとこではよくあって....だから仲がいいのは当然なんだよ。だって、そのときの出会いとか、会話とか....全部、それが最後になるかもしれないからな」

 

『......』

 

「オレも時々、分からなくなるんだ....みんなが必死に生きようとすることに、本当に価値なんてあるのかなって....」

 

「あるとも」

 

涼介の思いを悠真は矢を射抜くように迷いなく答える。

――その顔は真剣な表情で金色の瞳で見つめる。その目は深く穏やかで、多くは語られざる物語を抱えているかのようだった。

 

彼は目の前の人を通して、無数の記憶の断片の中にいる自分を見つめているように見えた。

 

「僕が信じたいからね...()()()()()()()()()()()()って。だから、最後の瞬間が本当に訪れるまでその時まで....絶対に諦めちゃダメだ。いいね?」

 

「...わ....わかった。そうだ、よかったら佳奈ちゃんと話してくれないか?信也のことがあって、すごく落ち込んでるみたいだから....変に思い詰めて、バカなことしないか心配で.....」

 

「それなら大丈夫、僕らがちゃんと話してみるから」

 

悠真はそう言うと、涼介は椿の所へむかった。

 

数分後.....

 

「佳奈ちゃん、もしかして迷子になっちゃったのかな....」

 

「早く見つけないと....」

 

と、如何やら佳奈ちゃんだけ見当たらなかったようで、今も探していた。

 

「手分けして探そう。そんなに遠くには行っていないはずだ」

 

「分かった!」

 

『どこを探せば....』

 

「これは直感なんだけど....灯台のあたりが怪しい気がする」

 

悠真はそう言うと皆は灯台へ向かってみることにした。

 

「佳奈ちゃん、こっちにもいなかった...」

 

灯台の周りを探してみたがいなかった....

 

「まさかとは思うけど....こっそり灯台にのぼったとか?」

 

「....上に行ってみよう」

 

「え、ちょっと待って、ここって立ち入り禁止じゃなかった!?」

 

「忘れちゃった?僕って一応執行官なんだ。こういう時は、僕を信じてくれたらいい。さぁ、灯台の中へ入ろう」

 

悠真がそう言い、灯台の中へ入って、最上階まで行くと、佳奈ちゃんの姿があった。

 

「こんな景色、久しぶりに見た....」

 

「じゃあ、たくさん見ておきなよ。ここの景色は逃げたりしないからさ」

 

「....私たちの病気のこと、知ってるんですか?」

 

「もちろん。信也くんのことも、全部ね。お友達が心配してたよ。あの子たち、佳奈ちゃんには元気でいてほしいってさ」

 

「......」

 

すると、佳奈ちゃんは悲しそうな顔で言う。

 

「わたしもみんなの病気が治ることを願っている。でも『あの人たち』は、わたしたちが元気になることなんて望んでないんです」

 

(あの人たち?)

 

「そうだね。だから?

 

「.....え?」

 

悠真の意外な回答に佳奈ちゃんは困惑する。

 

「たしかに『あの人たち』は君らが元気になることを望んでいない。で、だから何?それが君たちとどんな関係があるって言うんだい。君が考えるべきことは、最初から一つだけ―――君自身が何を望んでるか、じゃないの

 

「....教えてください。もし生まれた時から短くて苦しい人生を送ることが運命づけられてるとしたら、私たちはどうして生き続けないといけないんでしょうか?

 

「おっと、これは重たいやつが来ちゃったな.....そうだなぁ、僕自身を例にするなら....『いつかきっといいことがある』って信じたいから、かな」

 

『悠真......』

 

「僕も君らと同じで、子供の頃は体のせいでずっと病室に閉じ込められていたんだ。でも少なくとも今は、自分の意思で風のあたる場所へ行けるようになった」

 

悠真は海を見つめた。

柔らかい海風が彼の黄色いハチマキをなびかせ、遠くからは空を飛ぶカモメの澄んだ鳴き声が聞こえてくる。

海面は太陽の光を受けて黄金色に輝いていたが、最も眩しい光は彼の瞳の中にあった。

 

「弓を使う人って、だいたい風がきらいでさ。矢の軌道を狂わせるからね。でも僕は風が好きなんだ。風は僕に自由って感覚をくれるから」

 

「.....そうですか。浅羽さんに詩的な一面があるとは知りませんでした。もっと辛辣な答えが返って来ると思ってたのに」

 

「これでも僕、子供には優しくしてるつもりなんだけどな...」

 

『俺は、そう思っているぞ』

 

「相棒は分かってくれてるんだよなぁ、僕のことをさ」

 

「....仲いいんですね」

 

と佳奈は羨ましそうな視線で見つめる。

 

「まぁね、相棒は僕にとって一番の相棒だからさ。この子なしじゃ僕は一歩も進めない...さて、話をもとに戻そう。これは君の人生だから、何のために生きるのかは自分で決めなきゃならない。もちろん、もし本当に生きてたくないっていうなら、それも仕方ないことだと思うけど」

 

『流石にちょっとそれは....』

 

「ええ?本当のこと言っただけなんだけどな。毎日『頑張れ!』『絶対に生きろ!』なんて、自己啓発セミナーの押し売りじゃないんだからさ....鬱陶しくもなるよね?」

 

「....そうですね。被害者にとって、そういう言葉はただ耳障りに感じるだけですから」

 

「ただ、自分を被害者だって思い込むよりは....心の中で、『自分は生存者だ』って前向きでいる方がいくらかいいかなとは思うけど。信也くんも、自分をただの被害者だとは思ってなかったんじゃないかな。彼なりに、道を選んだんだと思うよ。大切な人を守るためにさ」

 

「.....!」

 

その時、ようやく椿と涼介がやってきた。

 

「佳奈ちゃん、ここにいたんだね!」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「私は大丈夫。ただ....ここの景色を目に焼き付けて、ちゃんと覚えておきたいと思っただけなの....」

 

「それを早く言ってほしかったな、お安い御用さ。せっかくこうして集まったんだから、記念に写真を撮ろうよ。写真なら、この瞬間を切り取って残しておけるからね。」

 

『おっいいなそれ』

 

こうしてタンザナイト達は思い出を残すために、写真をたくさん撮るのであった。

 

灯台や海など沢山撮り続け、今や夕方になっていた。

 

佳奈、椿、涼介は屋台のテーブルで楽しんでいる後ろで、タンザナイトと悠真はボンプに話しかけていた。

 

「.....なるほど、あんたらは仲介業者から仕事を委託されたんだね」

 

「ンナ、ンナンナ!(だからなんだ、まさか手下がボンプだからって差別してるのか?)」

 

「ンナナ。(俺たちは完璧に任務を遂行してたんだぞ)」

 

「差別なんてしない。ただちょっとびっくりしたっていうか...ごめんね。安心して、あんたらがちゃんと任務を終えたなら、こっちもそれ相応の報酬をだすからさ」

 

「浅羽さーん、一緒に記念写真撮ろう!」

 

「オッケー、今行く~。よし、じゃあそういうことで。バイバイ、お二人さん」

 

『何してたんだ?』

 

「はは...秘密さ。行こう、あの子たちが一緒に写真を撮ろうってさ」

 

悠真がそう言い、佳奈たちと一日中ははしゃぎながら歩き回ったあと、みんなはまたファストフード店の周りに集まった。

 

「椿ちゃん、お手洗い行こう。涼介くんも一緒に」

 

「へ?そ、それはちょっとまずいんじゃ....?」

 

「来なさいって言ったら来なさい!」

 

そう言い、佳奈は椿と涼介を連れて去って行った。

 

「僕らが信頼に値するか、協議ってことだろうね」

 

『ああ、そうだろうな....』

 

「....少しだけど、あの子たちの中に昔の自分を見つけられたような気がするんだ。特に、佳奈ちゃんのあの問いについては....僕も幾度となく考えたことがある。ただ悲しいかな...こういうのに対する答えっていうのはえてして他人からは得られないんだなぁ」

 

『...昔の自分と遊んだって思えばいいと思うよ』

 

「さて、本当に口がうまいのは誰やら.......」

 

悠真し珍しく言葉を選んでいた。その時、そう遠くないところから聞き覚えのある声が聞こえてきた――驚いたことに、そこにいたのはセスと彼の同僚の治安官だった。

 

『あれは――セスか?何を話してんだろう....』

 

「俺たちが押収した違法薬物が、過去の重大事件と関係している....ですか?」

 

「俺も人づてに聞いた話だ。もう何年も前になる。ある研究者が、瞬く間にエーテル適性を得られるやばい薬を作り上げたんだと....副作用の大きさから考えて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、それに目を付けた勢力も一部にはいたんだそうだ....というのはあくまで前置きで、ここから更にやばいんだが....セス。その薬が、どうやって作られていたと思う?なんと、原料に生体が使われていたんだ!」

 

「生体というのは....生きた動物ですか?それとも、エーテリアス?」

 

「ふふん、お前には想像もつくまい....よく聞け....その薬は、生きた人間の体組織から作られていたんだ!」

 

「生きた人間の....体組織?」

 

「ああ――それも、特殊な病気を患った人間のな。おれ達はすでに罹患者を見たことがある。目の前でエーテリアスになった、あの少年だ。エーテル適性減退症候群、だったか?不治の病で成人前に亡くなる患者も多く、そのリスクは年を取る事に跳ね上がるらしい。もって2()0()()ってとこなんだと。」

 

『――!?』チラッ

 

「.....」

 

「ただ、その特殊さえゆえに体組織を抽出することさえできれば、()()()()()()()()()()()()()()ができるんだ!」

 

「魔法....?違法の間違いでしょう!生きている人間から薬を作るなんて....彼らを人として扱っていない!」

 

「ま、そうだ...患者にとって危険であることは間違いない....彼らの症状が悪化するどころか、最悪、()()()()可能性だって.....だが....正直に言うとな....俺は、その薬の副作用がマシになるなら....使ってみたい。おれ達はホロウに入るのが仕事だが、どんなベテランであっても危険を1()0()0()%()()()()()()()()()()。もしそんな薬があったら、もうホロウにビビらずに済むんだぞ!」

 

「そんなの道理に反してます!そりゃ、確かに俺たちは安全になるかもしれませんが....その病に苦しむ人達にだって、人として尊重された暮らしを送る権利がある!」

 

「お前の言う事は正しいよ....だがな....」

 

すると、悠真が入って来る。

 

そんなのちっぽけな代償...ですよね?そっちの治安官どのが言った通り、不治の病ですからね。どうせ助からないなら、薬なりなんなり、有効に活用した方が沢山の人が幸せになれる....世界をよりよくするためには、明日にも死ぬかもしれない病人と、将来有望な治安官.....どっちが犠牲を払うべきかは一目瞭然ですから。」

 

「新エリー都全体をフカンしてみれば、必要な犠牲ってやつだと思いますけどねぇ」

 

「....浅羽悠真、対ホロウ六課の執行官でありながら、よくもそんなことを!?犠牲になっていい人なんて、1人だっているもんか!

 

「.....」

 

「卒業の時、俺達全員が宣誓しました。治安局に進もうが、対ホロウ行動部へ進もうが、分け隔てなく民間人の安全に奉仕するのは変わらないと。誰が生きるべきで、誰が死ぬべきだなんてそんなことを決めていいわけがないでしょう!先輩が、命を天秤にかけることを本当によしとするなら.....その制服に袖を通す資格なんてありません!

 

『落ち着け、セス』

 

「でも!」

 

『セス』

 

「....っ!」

 

興奮しているセスをタンザナイトが抑える。

 

「...ふっ、面白いよね。あの()()()()()()()を受けてこんな弟が育つんだから」

 

「はぁ?この件と俺の兄貴は、何の関係もないでしょう!?」

 

「ああ、ないとも。()()()()()()()()()()だけだって。それで.....セス・ローウェル」

 

「な、なんですか。やるっていうなら....先輩相手でも受けて立ちますよ!」

 

「あんたは誠実な人間だ。立派な治安官になるだろう」

 

「....え?」

 

すると、悠真はさっきまでとは裏腹な答えを言い、セスは混乱した。

 

「ついでに一つ訂正。例の薬....使うのは患者の体組織じゃなく、髄液なんだ。それも生きたまま、首の後ろから抽出しないといけない.....じゃ今度こそもうお二人の仕事は邪魔しないって誓うよ」

 

何が何だか分からないまま、悠真と共にその場を去った。

遠くから、セスの戸惑った声が聞こえてくる。悠真が自分に皮肉をいっているのではないかと、同僚に確かめているようだった。

 

『....悠真、お前なんで急にあんなことを?』

 

「いやいや、ああいう薬のことを、『お役人』がどう思ってるのか気になった....それだけだって。それで、あんたはどう思うかい?」

 

『どんなに効力が凄くても、作り方に問題だろ。生きている人間を使って薬をつくるなんてこと、いいわけないだろ!犠牲になっていい奴なんて一人もいねぇ!

 

「『犠牲になっていい人なんて、1人もいない』....ねぇ?なるほど」

 

悠真は更に何か言いたそうにしたものの、結局沈黙した。

悠真はこの時、何を言おうとしていたのかはタンザナイトは知る由もなかった.....

ツール・ド・インフェルノのボス候補は決まってるけど迷ってるんだよな....どうしよ

  • ポンペイ「もどき」
  • 「ぺらっぺらの正義のなぁ!!」
  • 「許可なく見上げるな小僧」
  • 「チャオ~」
  • 「アークライズ.....」
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