悠真たちは、三人の元へ戻って、飲み物の注文をしようとしていた。
「何か飲む?お兄ちゃんが奢ってあげるよ。すみません、こっちにゴーヤジュース一杯~」
『ゴーヤジュース...聞くだけで苦そうな名前だな....』
「分からないかなぁ。苦いのに慣れると、結構癖になるんだこれが。あんたも毎日薬を飲まされる幼少期を送ってれば、この味が好きになってたんじゃないかな」
そう言い、一同は飲み物を注文した。沈黙が続き、佳奈と椿、涼介は顔を見合わせるばかりだった....それを悠真が先陣切って話しかける。
「ほらほら、お兄ちゃんを信用しなって。なんてったって僕は対ホロウ行動部の執行官だし、相棒はあの『蒼光の騎士』と言われるヒーローだし、それだけじゃない....あの霧島って男と、僕は決着をつけなきゃいけないんだから」
すると、佳奈が今にも泣きそうな声で言う。
「...霧島が....信也くんを殺したんです。ううん、信也くんだけじゃない。療養所には、あの男のせいで死んだ子がたくさんいます」
「君らを使って、あれこれ実験してるんだろう?」
「し、知ってたんですか?」
「推測だよ。首の後ろに注射の後もなかったし...あいつに『バレないように隠せ』って言われたのかな?」
「私達、霧島に利用されてるの!エーテル適性を高める薬のために、セキズイってところから液体を抜かれて....療養所なんて嘘!あそこでやってるのはただの人体実験なのに、霧島は病気を治すためにボランティアでやっているんだって...あいつのせいで、信也は....」
と、泣きながらいう椿に佳奈が補足する。
「信也くんは、そこまで病気が進行していなかったんです。わたしたちの中では、一番症状が軽かったくらいで....でも、霧島は.....副作用のデータをとるために、
『っ!』
「
「最初に注射の実験台にされるはず経ったのは、本当は私で....信也くんは、あえて身代わりに....」
『っ....どうする、今すぐ治安局に報告するか?』
「それは...駄目です。私達、外に出る前に言われたんです。療養所に残った子たちは人質だから、変な気は起こすなと....」
『あいつ....!』
グッと拳を握りしめるタンザナイトに悠真は佳奈たちに体調のことを聞いてきた。
「君達、体調は?」
「私は....あまりよくないんです。たぶん、もう長くないんだと思います」
「そ、そんなこと言わないでよ!佳奈ちゃん、私達きっと大丈夫だから!」
「椿ちゃん...わたしね、決めたんだ。次に椿ちゃんが髄液を抜かれる番になったら、わたしが代わる。霧島は薬が作れるなら、誰のかなんて気にしてないだろうし。せめて最後くらい...誰かのためになるようなこと、わたしにさせて」
「だ、駄目だ二人とも!具合が悪いなら休んでろって!俺ならまだいける、俺の髄液をくれてやったらいい!」
子供たちが言い争いを始めた矢先、悠真は急に立ち上がって『静かに』と合図を送った。霧島が遠くからこちらに向かってきていることに、タンザナイト達は気づいた....
「ああ、いたいた。探したぞ!」
『....』
「誰が来たかと思えば...あんまり遅いんで、もうこの子たちのことはどうでもよくなったのかと思いましたよ」
「そんなわけないだろう。ただ、迎えを頼んでいた奴が...電話に出なかったんだ。車で居眠りを決め込んでいてな」
「いけないなぁ...働かせすぎなんじゃないですか?労基に駆け込まれて裁判沙汰にでもなったら、困るのはあんたでしょうに」
「ああ、全くだ。とにかく、こいつらのお守をしてくれて助かった。もうこんな時間だからな、俺が連れて帰るよ」
タンザナイトはチラリと悠真に視線を送ると、悠真は首をふったを見て、何もしなかった....そうして、霧島は佳奈たちを連れて行った....
『....んで悠真、あの子たちに何か仕込んだ?』
「流石相棒....実はあの子たちと示し合わせて、服に発信機とマイクを付けといた」
『どれどれ...』
悠真が小さなイヤホンを差し出し、それをつけてしばらく待っていると、霧島の叱責する声がきこえてきた....
「余計なことをしゃべっていたら、ただじゃ済まさないからな」
「い、言ってないよ!おれたちは何も.....」
「ふん、賢明だな。いいか、お前らはしょせん薬の材料だということを忘れるな。俺に逆らってみろ....すぐにでも信也に会わせてやるからな。ちょうど新しい薬の副作用をテストしたいんだ、意味が分かるな?」
その後も、イヤホンからは霧島の恫喝する声と怯える子供たちの声が聞こえ続けた...長い時間がすぎ、悠真はようやくイヤホンを外した。
「.....」
『どうする悠真、今処す?処す?』
「まあ待て相棒....この録音は証拠になるし、発信機が療養所の所在地を明らかにしてくれる。けど、佳奈ちゃんたちが言っていたように....他にも子供がいるから、迂闊に手は出せないかな。霧島のことだ....躊躇なく『証拠を隠滅』するだろうしね」
『むぅ.....』
その言葉にタンザナイトはうなり声を言うしかできなかった。
「髄液のほうも、僕が何か手を考えるよ.....ケホッ、ゴホッ....」
『だ、大丈夫か?悠真?』
「大丈夫、ほんのり疲れただけだって...まずは戻ろっか」
そう言い、悠真たちはカフェに一旦戻ることにした....
~~~~
悠真は遠い、昔の記憶が今にも鮮明に覚えている.....そこは病院で誰かと話していた。
「今日もお茶の時間だね!ありがとう、師匠!」
「....悠真、覚えているかい?おやつを食べる前に、何をするんだったかな」
「わかったるって、『あれ』でしょう――食べる前に首に注射をするって!」
「そうだとも。それに、今日のぶんの薬もだぞ。皆、お前さんを元気にするためには欠かせないものだからな」
「大丈夫だよ、師匠。僕、痛いのも苦いのもへっちゃらさ。薬は苦いけど....師匠が飲んでいる砂糖の入ってないコーヒーと変わらないし!」
「いい子だ。お前さんはきっとよくなるさ」
すると、子供の悠真が師匠と呼ばれる男性にあるお願いをする。
「じゃあ....僕がいい子にしてたら、何かご褒美が欲しいんだ」
「ご褒美?何が欲しいんだい?」
「師匠のハチマキが欲しい!ハチマキを巻いたら、僕も師匠みたいに『百発百中』間違いなしだからね!」
「それはハチマキのおかげじゃないが....まぁいいか。じゃ、約束だ。悠真もいい子にしてるんだぞ。分かったかい?」
「うん!」
子供の悠真は元気よく返事したのだった.....
~~~~
「......」
『....悠真、さっきからずっと黙ってるがどうした?』
カフェに着いたタンザナイトたちは座ってから時間が経っており、その間ずっとぼーっとしている悠真にタンザナイトは話しかける。
「....ごめん、すこしボーっとしてた。話を戻そうか。今の今まで言わないようにしてきたけど....頭のいいあんたのことだ、もう気付いてるよね?僕もあの子らと同じ、エーテル適性減退症候群だって」
『....やっぱりか』
「この病気がどこに作用するかは、人によって色々なんだけど...僕は主に肺と心臓でね。ご覧の通り、僕の持病はこれが原因ってわけ」
『....なぁ、まさかとは思うが....あの子供みたいにエーテリアスになるのか?』
「大丈夫、僕は比較的軽症な方でね。そんな簡単に死んだりはしないって....言うでしょ?悪い奴ほど長生きするって」
『....そんなこと言うなよ』
と、タンザナイトは悲しそうな顔で悠真を見る。
「....むかしむかし、この病気が発覚したばかりの頃....両親は僕を、地元で一番の病院に連れて行きました。彼らは診察を待つ間、何か栄養のあるものを買ってくると言って出て行き....二度と帰ってきませんでした。ちゃんちゃん。」
『....』
「当時の僕はまだ、物も言えないような子どもだった。たとえ家の場所を覚えていたって戻れなかっただろうね。その後、僕は師匠に引き取られて、養子になった。彼は沢山のことを教えてくれたよ。弓や剣の扱い方....この体で、この世界で、生き抜く方法」
「師匠は僕の病気を治したいと言ってくれたからね。毎日たくさん薬を飲んで、首に針を射し続けた....それが、とある薬を製造するための『原料』を抽出する工程だったと知ったのは、随分後になってからだけど。」
「このチョーカーなんかはまさに、首の針痕を隠すために着けててさ....けど、どうかな?けっこう似合ってると思わない?おっと、いらないことまで言っちゃったかな。全部大昔のことだからね...僕はとっくに気にしてないよ」
『....俺は、気にするが....』
「あーあー、湿っぽくなるのは勘弁してほしいな...けどまぁ感謝はしておくよ」
悠真はそう言い、本題へ移った。
「とにかく本題に戻ろうか。霧島の目的、おおよその見当がついた....僕と一緒に師匠を見つけたいだって?本当に探してるのは師匠が残した研究データと、薬のサンプルに決まっている」
『あの態度から考えると、それが一番の理由だな』
「こうなったらいよいよ、あいつと正面切って対峙するほかないね。師匠のことだけじゃない、あの子らのためにも....その時は色々頼んだよ、相棒」
そう言い、タンザナイトはその場で解散することとなった.....
ツール・ド・インフェルノのボス候補は決まってるけど迷ってるんだよな....どうしよ
-
ポンペイ「もどき」
-
「ぺらっぺらの正義のなぁ!!」
-
「許可なく見上げるな小僧」
-
「チャオ~」
-
「アークライズ.....」