ニコたちが脱出した後、しばらく経った.....
「.....何人ですって?」
「少なくても百人はいたぜ!とはいえ、俺とアンビーは話を聞いてくれた人たちをざっと数えただけだ。実際はもっと多いかもしれねぇ!」
「ヴィジョンは確か、何日も前に住民を全員避難させたって言ってたわよね....」
「それが、住民たちも一週間前から外と連絡が取れなくなっちまって、何が起こってるか分からねぇそうだ....これって多分、ヴィジョンの信号ジャミング装置の仕業だよな」
「一体、どういうこと?ヴィジョンは....住民たちをいつ避難させるつもりなの?」
すると、ここの住人のおばあちゃんがニコたちに聞いてくる。
「そこのお嬢ちゃんたちや。あんたたちは、都市の方からきたそうだけど.....何か聞いてないかい?」
「失礼だけど、おばあさんは....?」
「あぁ、さっきホロウで女の子を助けてくれたじゃろう?あたしゃ、あの子の祖母だよ。本当にありがとうねぇ.....小さな頃からおてんばな子でね。エーテル適応体質だからって、しょっちゅうホロウの中にはいってしまうのさ」
「昨日、治安官さんが迎えの時間を教えてくれなかったものだから、新エリー都に行って聞いてこようとしたのかねぇ.....あたしが目を離した隙に、ホロウの中に入ってしまったのさ」
するとニコは、ある言葉にふと気づいた。
「ん?おばあさん、今『治安官』って言ったわよね?昨日、治安官にあったの?」
「えぇそうさ。昨日は、孫とお隣さんがしびれを切らして、ヴィジョンの監視拠点に行こうとしたのさ。その道中で、治安官さんに止められたんだよ。確か、治安官さんは....近くで爆弾の調整をしているから、人を通すわけにはいかない、と言っていたそうだよ。それで準備が整ったら、列車で迎えに来る、とね」
「ここにいるのは、子供や年寄りばかりだ。うちの孫以外にエーテル適性のある人もいないから、どこにも行けやしないんだ。治安官さんが待てと言われたら、待つしかないだろう?」
そう言ったがニコは否定した。
「いいえ、おかしいわ!住民の避難は一大事のはずよ、時間も知らせないでただ待たせるなんてあり得るかしら?それに治安局がこのプロジェクトに関わってるとか、そんな話聞いたことないわ!」
「お嬢ちゃん、それはつまり.....」
「あなたたちを止めた治安官は、偽物の可能性が高いってこと!それだけじゃない....『ヴィジョンはより低コストを武器に、落札に成功した』ってニュースで言ってたわよね」
「なるほどな....地下鉄の改装は、新エリー都で最も注目が集まっているプロジェクトの一つだ....技術、人材、資金....どれもハードルが高いうえ、住民の移転問題も解決しなきゃならねぇ...だが、端から住民ごと爆破して『解決』するつもりだったら....それが、ヴィジョン流の『低コスト』ってわけだ」
「なっ....あんたらの話だと、ここの住民は....あたしらは、ヴィジョンに見捨てられたってことなのかい.....?」
「ヴィジョンはずっと、このプロジェクトを踏み台にしてTOPS財政ユニオンにのし上がろうとしてた。でもまさか、そのために人の道を踏み外すなんて....」
「そんなのひどすぎる!絶対、ヴィジョンの思い通りになんかさせないぞ!ニコ....あんたたちはこれからどうするつもり?」
「ああもうーーあんたの依頼を受けた時は、こんなことになるなんて思ってもみなかったわ....探し物のためにデットエンドホロウに入るのも、そのついでに迷子を助けるまも百歩譲っていいわ...でも、お金持ちの悪徳企業とことを構えるですって?何でも屋風情が敵う相手じゃないわ....二人は、どう思う?」
っとニコは今の現状をビリーとアンビーに聞いた。
「俺は親分に従うぜ。アンビーは.....」
「自分でも意外だけど....この件に関しては、猫又と意見が一致してるわ....私は残る。ニコの心配は理解できるけど、ごめんなさい。」
「これは....私にとっての『チャンス』だから、私自身の考えで行動させて。二度と、同じ過ちは繰り返さないって決めたの....」
「そう....あんな大企業と真っ向勝負しようってのね.....アンビー、あんたって子は....ほんとに....最・高なんだから!!」
「いい?相手はあのヴィジョン・コーポレーションなのよ!つまり、TOPS財政ユニオンに次ぐ大企業を相手取れるビックチャンス!この不祥事を暴けたら、連中から一体どれだけ搾り取れるか想像して!」
「ビリー、アンビー、早く金の卵....えっと、つまり住民たちに伝えるのよーー邪兎屋が訴訟代理人になってあげるって!!ほら、突っ立ってないで!早くみんなに受任状を書かせて、一つ残らず回収してくるのよ!猫又ーーあんたは依頼人だけど、任務を与えるわ!」
「.....え?あたしに?」
「ここに閉じ込められた人たちを助けたいんでしょ?あんたはこの中で一番足が速いし、何より道を知ってる。あたしのボンプをもっていって!ある場所に行って、援軍を連れてきてほしいの!」
その援軍のところへ行くように言われた猫又は、急いでボンプを持っていった....その場所は.....とあるビデオ屋であった。
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「これが真相....ニコたちはひとまず工事エリアで受任状を集めて、ヴィジョンの動向を探るって言ってた。そしてあたしの任務は『パエトーン』に助けを求めることだった」
「ニコたちと別れた後、あたしは一人でデットエンドホロウを抜けて、あんたたちの店に来たんだ。嘘はついてない!ニコも、爆破エリアの住民たちも、絶対絶命の状況に置かれてるんだ!お願い『パエトーン』、『タンザナイト』!あたしと一緒にみんなを助けに行って!」
するとリンは冷静な態度で答える。
「猫又、あんたの言う事は信じるよ。ただ、プロキシのエキスパートとして、私たちはその件に首を突っ込むリスクを警告する義務があるの」
「ああ。住民たちを全員救い出すとなれば、ヴィジョンとの正面衝突は避けられない....」
「今更あたしを試さなくていい。出発した時、心に決めたんだーー何としてでも、みんなを爆破エリアから救い出す!今のあたしには、それしか考えられない!」
猫又の決意にリン達は納得した。
「ふぅ...わかったよ。依頼人がそう決心したなら、私たちもこれ以上は言わない」
「....ところでタンザナイトはどうする?一応接点無いけど...」
『はぁー?何言ってんだアキラ....俺も行くに決まってるだろ!正面衝突?上等!この俺、『蒼光の騎士』が相手してやんよぉ!!』
「ははは...頼もしい限りだよ...さて早速救助計画を考えよう....このマップを見てくれ」
すると現れたのは 逆三角形のルートが出たマップだった。
「邪兎屋と住民たちは現在カンバス通り駅に閉じ込められている。こことパールマンのいる監視拠点とは、数キロも離れているんだ」
そこに治安官のアイコンが表示される。
「だけどパールマンは住民たちを閉じ込めるために、治安局の武装部隊に偽装した連中を列車で送り込んだ....」
「タンザナイトが列車を斬ったおかげで見張る人数は変わらなかったのはデカいね」
『ドヤァ.....』
「うざっ」
「タンザナイトがいるおかげで正面突破は可能だけど....ほかにも防御の穴を突くことができるよ」
「ん?それってどういう意味?」
「ほら、閉じ込められた住民たちはエーテル適応体質じゃないんでしょ?だから武装部隊は、正面だけを警戒すると思うんだよね。監視拠点の兵士も無限じゃないでしょ。大勢が正面の警備にかかりきりなら....」
「なるほど、ホロウを通って背後に回れば、彼らの不意を突くことができる」
「にゃイスアイデア!それで、それで!?」
「急いで監視拠点の列車を奪ったらホロウ内の線路を使って、カンバス通り駅まで向かうの。住民たちには、最初から駅のホームで待っててもらうわけ。そしたら、たった数分で全員を爆破エリアから運びだせるでしょ」
「あったまいい!きっと、列車自体にも侵蝕耐性があるはず。なる早でホロウから出られれば、住民たちも侵蝕に晒されずに済むぞ!」
「『Fairy』列車をホロウから新エリー都まで最短て運転できる?」
[可能。すでに最短ルートを計算済みです]
『さすが『Fairy』....パーフェクトだ』
[感謝の極み....]*1
「よし、準備が整ったらすぐに行動を開始しよう」
「猫又、タンザナイト、ボンプを連れてって、まずはニコと合流して、計画を説明しよ。あとは....」
「うん....後は、決着をつけるだけだ」
『ああ、そうだな』
こうしてタンザナイトたちは悪徳大企業、ヴィジョン・コーポレーションとの衝突が始まろうとしていた。