ある日、タンザナイトはアキラたちの店に来た。
『おいーす....いるかーアキラ』
「......」ズーン
「.....」ズーン
『うわぁっ!?めっちゃ暗っ!!.....どうしたアキラ!?』
奥の部屋に入った瞬間、アキラとリンがまるでこの世の終わりのようなほどの暗い顔をしていた。
「あぁ....来たんだタンザナイト......ちょっとね」
『いや声ちっさっ!!全然聞き取れねぇよ、どうしたマジで!!』
「実は『Fairy』について何だけどね.....」
『あぁ?『Fairy』?』
「今月の電気代が.....『7倍』まで上がったんだ」
『えぇ!?なっ......『7倍』!?』
そりゃ絶望するよ.....
タンザナイトは『Fairy』に事情を聞く。
『おい『Fairy』....お前これ....どうゆうこったよ....』
[すみません。よく聞き取れませんでした]
『おい、ゴミ箱に捨てるぞてめぇ』
「ふぅ......君がH.D.Dを制御できるのを良い事に、ほぼ24時フル稼働させたからこうなったんだ」
『.....ん?ほぼ24時?.......あっ』
瞬間、タンザナイトの脳内にとある記憶が!!
~~~~
『睡眠を意識しなければスターライトナイト全部見られるぜ.....』*1
『あーと....次の依頼はっと.....』*2
『~♪』*3
~~~~
『.......』ダラダラ
「はぁー.....今月は何とか払えるけど.....どうにかしないと.....」
『あっあぁー....そのことなんだがなリン....その件、俺も入らせてくれ』
「えぇ!いいの!.....なんか声震えてるけど」
『ほっほらぁ....俺も一応『Fairy』を使ってるしさ....俺も払わないとダメだろ?そうだなぁ....俺が電気代の6割を払うよ』
「6割だって!?.....いいのかい?」
『全然?なんてことはないさぁ』
「すごーい....さすが一億稼いだエーテリアス.....言動が半端ない.....」
(電気代....全部アキラのとこに行ってることは黙っておこう....うん)
「けど.....いくら一億って言っても収入の方は大丈夫なのか?インターノットだけじゃ足りなくなると思うけど....」
『あーその辺は大丈夫、たまに指名手配の賞金で何とかやってるから*4』
「そういやタンザナイトって結構強いんだったね.....懸賞金で沢山稼いでたんだ」
「そういえば.....なんでタンザナイトは今日ここに?」
『あーそうだった.....実は俺のDMから依頼の話が来てな....』
「依頼?.....ならなおさらなんで僕たちの所へ?」
『その依頼....実はお前たちの方にも来てたみたいで.....』
「そうなのかい?.....『Fairy』確認してくれ」
アキラがそう言うと『Fairy』は検索し始める.....
[
「.....ん?『生きるか死ぬか』?」
『Fairy』は淡々と内容を言う。
[『パエトーン』。オレらに力を貸してくれ!恥を忍んで言うが......オレたちは今、生きるか死ぬかの瀬戸際だ。力を貸してくれ―――頼れる相手は、お前達しかいねぇんだ!事情が事情何でな。依頼内容をここに書けば一発でこっちの正体がバレちまう。つうことで、ここはひとつサシで会おうや。明日の朝5時に、六分街の交差点に来てくれ。頼む!]*5
『いや暑苦しいなっ!?』
「絶対この声の主が依頼人って感じだね」
「ふむ....DMを見る限り、依頼人は本当に切羽詰まっているみたいだ。それに、正直に現状を吐露しているように感じる」
『ちなみにさっきのDM、パエトーンを蒼光の騎士に置き換えて後は全文同じ内容だったぜ』
「そうなんだ.....けど、面会を要求してくるのは怪しいな、依頼内容を説明せず、直接プロキシにあいたがるなんて.....インターノット上ではあり得ない。ましてや、早朝の5時だ」
『まぁー....そうなんだけど』
[
「....リン、面会というのは罠かもしれない。この依頼は断っておかないか?『お金か命か』なんて二択を、天秤にかけるのはやめよう。やっぱり前金を依頼人に返すよう、『Fairy』に言ってくれないか」
[振り込まれた金額は先月のインターノットにおける半月の収入のほぼ一緒に相当します。本当に返金しますか?]
「えっ......なんだって?」
[先月のインターノットにおける半月の収入のほぼ一緒です]
「....お兄ちゃん、やっぱり私が行ってこようか?ちょうどタンザナイトだっているし....ね?」
『おいおい....さっき『お金か命か』の二択はやめようって言ったばかりだろうが....』
「じゃあ、明日の朝ランニングするフリでもして、こっそり様子を見てきたらどうかな?」
そう言う事で.....次の日の朝、リンとタンザナイトは約束の場所へ行くのであった。
~~~~
着くと、そこには黒髪で所々赤いメッシュが入った男がぶつぶつ言いながら立っていた。
「なんか、怪しい人が独り言を言ってる.....」
『...ちょっと近づいてなんて言ってるか聞いてみるか?』
「....チクショウ。兄弟....オレは本当に、お前抜きでやれるんだろうか....?いやいや、漢の辞書には『勇往邁進』の四文字しかねぇんだ!....辞書にしちゃ、えらく内容が乏しい気がするが....だぁぁ!グダグダ考えたって始まんねぇ!こんなもん、正々堂々ぶつかってナンボだろうが!兄弟、お前がここにいたら、きっとそう言ったはずだ!」
『....ちょっとどころではないよなこれ....』
[マスター、『怪しい人』『独り言』のキーワードで検索した結果、コーナーH・棚3・番号16-5にあるビデオテープの内容と酷似しています]
『それ関係ないよね今?』
「よう、見つけたぜ!」
『あっ』
「くらえっ――!」
そう言ってリンは護身用スタンガンを取り出し、怪しい奴に振り回す....
「うおっ、嬢ちゃん!そんな物騒なもん振り回したら危ねえだろうが!....悪い悪い....通話が終わるまで待ちゃ良かったな。けどよ、お前があの『パエトーン』と『蒼光の騎士』なんだろ?」
すると、リンはスタンガンを振り回すのをやめると、何か気付いた。
「ん?....この人どこがで見たような....そうだ、昨日の『ボンプは知っている』*6にゲスト出演していた、白祇重工のアンドーさんじゃん」
「あぁ、白祇重工のアンドーだ。ツラが割れてんなら、話が早え――『パエトーン』、『蒼光の騎士』。しょっぱなから、こんなふうに会うのは筋が通らねえかもしんねえが.....送った通り、わが社は今崖っぷちに立たされてんだ。事情が事情だけに、部外者に正体を知らされるわけにもいかねえ。これは、俺達なりに考えた結果だ.....いっそのことガチンコで、お互い秘密を握っちまうのが安全だってな。すまねえが、わかってもらいてえ。」
「なるほど、一理あるね」
っと納得するリンだった。
『....というかこれ、ニコ達から紹介されたろ....アンドー』
「あぁ、邪兎屋の連中、口を揃えてあんたらの事褒めちぎってたぜ」
「コホン....ところでアンドーさん。白祇重工は一体、僕たちに何をしてほしいの?」
「引き受けてくれんのか?そいつぁよかった!来いよ。今すぐ現場まで案内してやる!依頼の件は、うちの社長が直々に説明してやっからよ!」
「現場って...白祇重工が最近も請け負った、地下鉄改修プロジェクトの?」
リンがそう言うと、アンドーが誇らしく言う。
「あぁ!ヴィジョンの手に落ちてたら、あの辺りも木っ端微塵になってただろうが....今は我が社の兄弟たちが汗水たらして働く、漢の戦場だ!ハハハハッ!」
「アンド―さん、こっちも仕事で出かけるんだから、準備は必要。タンザナイトと、一緒にうちの駐車場の近くで持っててくれないか?準備が整ったら、現場まで運転するよ」
「おう、まぁいいだろ。それじゃ、お言葉に甘えるとすっか!」
そう言いリン達は、白祇重工の現場へと車で向かうこととなった。
ねじれポイント
『Fairy』のせいで電気代5倍から7倍に変化