現場に着いたリン達は早速社長の所へ案内してもらう。
(クレタ・ベロボーグ....確か前にネットで性能最下位に一時期なってたな....)*1
「もう着くぜ、社長はすぐそこだ。まだ若えが、百獣の王って感じだかんな存分に緊張しな!」
(どっちかって言うと子って感じだが.....)
「『しなくていい』じゃないんだ.....どうしたのタンザナイト?さっきから黙ってて」
『ん?....いやちょっと考え事....』
ゴゴゴゴゴゴ.....
『ん?』
「おっ?」
奥の方から何か音がしていると.....突然巨大な四足歩行の機械が飛び出してきた!!
ドコォォォォォンッ!!
「どいてぇっ!?」
ドコッ! バキッ! ゴンッ!
そこに赤いゴーグルを装着した黒髪で動きやすい作業服を着た女、『グレース・ハワード』が乗っていて左右ぶつかりながらもこっちに向かってきた。
「なっ何あれ!?」
『止めろって事だろ?任せろ!』ダッ
「あっおい!」
タンザナイトはそう言うと飛び出し、地面に向かって拳を突き出す。
『『
腕から鉱物が変化し、巨大な青い結晶の壁を作り、飛び出してきた四足歩行の機械の突進を防ぐ。
ドコォォォォォンッ!!
「うおぁっ!?」ピューン
ギギギギギ.....ドシィィンッ!!
パキッ『ふぅ.....よっと』ガシッ!
タンザナイトは腕の一部を外し、腕を再構築して、壁にぶつかった余波で吹き飛んだ女をキャッチする。
「すっ....すげぇ....一瞬もむだもねぇ....」
「かっ...カッコいいかも」
っとその行動に二人は感心する。
「あはは....ありがとう君....ちょっと点検中でこの子が嫌がってね....」
「たっく....せっかく来た所なのにひやひやさせやがって.....」
「ん?.....青いエーテリアス.....あぁ!もしかして君がおチビちゃんに頼まれた『蒼光の騎士』だね」
「.....おチビちゃん?」
すると奥から声がする...
「何すんだよベン!降ろせ!」
「まぁまぁ社長....折角お二人が来たんだから....」
「ん?誰だろう?」
振り返ると、服を着た巨大な熊で、左に古傷らしきモノがある男、『ベン・ビガー』が赤髪のツインテールに、熊のようなカチューシャ、右に眼帯を着けた女、『クレタ・ベロボーグ』を両手に担いで現れる。
「あれがうちの社長だ」
「だからってこの体制は!.......アッコホン.....白祇重工社長のクレタ・ベロボーグだ!」
「......えぇ?」
『リン、こっちみんな』
そうして白祇重工の社長『クレタ・ベロボーグ』がパエトーン達に話しかける。
「よう、『パエトーン』、『蒼光の騎士』。みっともねえとこを見せちまったな。うちへの信頼が揺らいでねえといいが。アンドーから連絡は来てる。お前ほどできるプロキシが力を貸してくれると聞いて、みんな内心ほっとしてたとこだ。」
「それでおたくもアンドーから聞いてるかもしれねぇが....うちは最近、地下鉄工事の請負を勝ち取ったんだ。これが『敵』のせいで、なかなか手こずっててな....」
するとベンがさっきの発言に疑問を言う。
「あー、社長....プロキシさん達の前であいつらを『敵』呼ばわりするのはどうなんだ....」
その言葉にアンドーは怒鳴るように言う。
「おい、ベン....甘えたこと抜かしてんじゃねえぞ!あのクソ野郎どもはこれまでも散々汚ねぇマネをしてきただろ!あんな奴らに気ぃ遣うこたねえぜ!それにな、依頼を受けた瞬間から、プロキシたちはオレらの兄弟になったんだ。兄弟に隠し事はしねえもんだ!」
「『敵』について詳しく教えてくれない?今回の依頼の役に立つかも」
その『敵』についてベンが答える。
「その、だ....我が社は機械軽油と建設業をやっている。いわゆる新興企業だが、近頃は業界でもある程度業精をあげていて、それが地下鉄改修プロジェクトの請負に繋がったわけだが.....それ以来、俺たちは財力のある大手競合他社にとって、目の上のコブになった。やつらは、いまだにプロジェクトの請負を虎視眈々と狙っている.....俺たちがヴィジョンのように、スキャンダルで失脚するのを待っているんだ」
「やつらは手始めに銀行を買収し、我が社に低金利で融資するのを止めさせた。次にチンピラを送り込んできて、工事現場をめちゃくちゃにした。その後、建設確認済証と消防同意の審査をあの手この手で妨害したり、テレビ番組で小細工を仕掛けたりだな....」
『めっちゃ最低なことしてんなあいつ等.....』
「よりにもよってそんな時期に、うちの工事現場で『事故』が起こったんだ.....」
「先週、子供たちが三台もホロウの中で行方不明になったんだ!」
「待てグレース、その言い方だとお客さんに誤解されるぞ!ゴホン....プロキシさん、タンザナイトさん、うちの会社が独自開発した『ホロウ用知能重工業機械』は知ってるよな?」
「テレビで言っていた気がする!じゃあ子供って....もしかして機械の事?」
グレースが肯定しながら言う。
「そう。ホロウの中でも長時間安全に作業のできる知能ある重機――あの子たちこそが、白祇重工のコア・コンピタンスなのさ。エーテル浸食に耐えうる性能はもちろん、あの子たちはその知能も特別だ。ホロウ内の環境に合わせて自律的に作業ができるうえ、さらに特製の言語モジュールを搭載しているから、音声対話も何のその!」
「あの子たちはずっと私が世話してきた。メンテナンスやアップグレード....そもそも『プロトタイプ』の技術を土台に、各職種の需要に応じた改良をしてあの子たちを造り出したのも私さ。私にとって、我が子も同然なんだ!」
(改めて聞くとグレースの熱意がひしひしと伝わってくるな)
「それが数日前、論理コアを更新してあげた直後のことさ.....ホロウの中で作業をしていた3台の子供たちが指令を無視して、自分の意志でホロウの深部に入っていってしまった。以来、戻ってこないんだ.....」
「まさか...論理コアが故障したとか?」
「原因はわからない....実際、ホロウ内作業に携わる企業にとって、チップの故障やエーテルの浸食なんて日常茶飯事なのさ。ただ、それが今の白祇重工となれば....揚げ足取りには恰好の材料だ」
『なるほど....『敵』さんにとっては絶好のチャンスってわけだな....』
「...知能重機の性能は十分だったと思うけどな。わざわざ更新する必要あったのかよ?彼奴の残したコードを論理コアに組み込みさえしなきゃ、今頃こんなことには.....」
『奴ら?』
その言葉を遮るようにグレースが言う。
「待って、おチビちゃん。まだチップの不具合だと決まったわけじゃないよ。それに、美しくたくましい機械には、そのボディに相応しい魂が必要なんだ!知能機械の開発に携わる会社の社長としてそうは思わない?」
「魂がどうのなんつーのは、あたしの知ったことか――社長だからこそ、機械をただの資産として見なきゃいけねえんだろうが。あのバカ高え知能機械をなくしたら大損だ。『敵』の問題がなかろうが、見つけるに越したことはねえんだよ」
っと同意を求めるグレースに冷静に返すクレタであった。
「そういうワケだ、プロキシ、タンザナイト。行方不明の重機3台を検索するために、ホロウの奥までガイドが要る――これがうちらの依頼だ。うち2台の位置は、ざっくりだがあたりはついてる。他に知りたいことがあればグレースやアンド―に聞いてくれ」」
『あぁ、とりあえずよろしく』
「よろしくね!」
「あぁ!よろしくな!」
っとお互いに握手した.....
そうして重機2台の捜索が始まるのであった。