転生先はエーテリアス   作:YEX

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準備へ

タンザナイト達はルーシーたちがいるガソリンスタンドに着いた。

それに気づいたルーシーが口を開く。

 

「プロキシさん、タンザナイトさん、おいでになりましたわね」

 

「プロキシちゃん、タンザナイトくん、遅かったじゃ~ん!町長さんのとこへ挨拶に行くだけって聞いてたのに....」

 

『ああ、ちょっと『ツール・ド・インフェルノ』の伝説について聞いてたんだ』

 

そう言うと、バーニスは笑った。

 

「あはは!どうりでね~!シーザーちゃん、遠目でもゴキゲンってわかるもん。あのお話はね、シーザーちゃんの一番のお気に入りなんだよ。シーザーちゃんの夢はぁ、あの初代覇者みたいな英雄になることなんだって!」

 

というが、ルーシーは鼻で笑う。

 

「お~っほっほ、本当の初代覇者のような大物になりたいのなら...あんな無邪気なおとぎ話、とっとと忘れたほうが身のためですわ

 

『....ルーシーはあの伝説が嫌いなのか?』

 

「別に嫌いだとか、そういう話じゃありませんことよ。みんないい歳した大人なんですから、もっと現実的な視点であの話を捉えるべきではなくて?」

 

『というと?』

 

「最初の『ツール・ド・インフェルノ』から、まだ()()()といったところですわ。あんな神話めいた脚色がつくほど、昔のことでもありませんの。ですが....神様の奇跡と喧伝すれば、自分の功績も広まりやすい...そんな風に考えたんだとしたら、初代覇者が相当な切れ者に思えませんこと?

 

そう疑い深いことを言うと、バーニスは言う。

 

「ルーシーちゃん、シーザーちゃんが言っていたよ...気難しいお年寄りみたいなこと言ってたら、小じわができちゃうって」

 

「フン、ナンセンスもいいとこですわ!あれの戯言を真に受ける必要なんてなくってよ。毎日パックを欠かせない私のお肌に、シワなんてそんな....コホン。プロキシさん、タンザナイトさんもお分かりですわよね?『ツール・ド・インフェルノ』の伝説とは...単なる英雄譚の類ではなく、旧油田エリアの支配者を掌握する、『手段』なのですわ

 

『んー.....』

 

そう言っていると、ふと、リンはとあることを思い出す。

 

「ふと思い出したんだけど....さっきシーザーに『()()()()()()()()()()()』って呼ばれていたよね?まさか、あの新エリー都の名門、『モンテフィーノ家』....?」

 

「ハッ、なーにが名門ですか。あなた、成金にはヘコヘコしておくタイプですの?....まぁその通りでしてよ。あれが私の実家ですわ

 

『なんで郊外に?』

 

タンザナイトの質問にルーシーは答える。

 

「もちろん、誰かに決められた道をゆく人生なんてゴメンだからですわ。それでなくても、お父様の頭の中はビジネスとお金儲けのことばかり.....」

 

「そうそう、郊外は違うんだから!特に私たちのいる旧油田エリアはね。走り屋連盟のモットーはズバリ、『自由と仁義』だよ!」

 

「フン...とはいえ、生存のためにはどこであれ多少は『ビジネスとお金儲け』が必要ですわ」

 

と、ルーシーが少し納得したように言う。

 

「メンバーにはお給料を出さないといけないし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それに私たちの必需品の多くは都市で売ってくれないものですから、その辺は人脈とお金で何とかしないと」

 

『結構大変なんだな』

 

「プロキシさん、タンザナイトさん、昨日も言いましたね?いま現在の覇者陣営は私たちに冷遇していると....あの時は茶化されましたけど、カリュドーンの子のここ数年の評判がトライアンフを上回っていることを考えれば、向こうがこっちを()()()()()()のは明らかですとも」

「とはいえ、ルート割り当てで貧乏クジを引かされているぶん...私たちの収入は順調に下がって、新メンバーの採用に響いてるのも()()ですわ。ですから『覇者』の地位というのは、今後の私たちの()()()()のためにも必ず手に入れなければならないんですの!

 

と、ルーシーの決意にリンは感心しながら言う。

 

「『ツール・ド・インフェルノ』の準備も、ルーシーみたいなしっかり者が手伝ってくれるなら心強いよ」

 

「お~ほほほ!私たちは『計算』に通ずるもの同士....わかっていただけると思ってましたわ!()鹿()()()()()()()じゃ、大事は成せっこないですもの。見てなさいですわ。そう遠くないうちにシーザーをブチ負かして、カリュドーンの子を奪い取ってやりますわよ。お~っほっほっほ!

 

「あっ....ルーシーちゃん、さっきははぐらかしてたけど....やっぱ昨日の決闘、負けちゃった感じ....?」

 

「ままま、負けてなんていませんわ!一時休戦と相成っただけでしてよ!」

 

『めっちゃ動揺してんじゃねえか』

 

と、バーニスの言葉が図星なのか、動揺するルーシー。

 

「い、いま一番差し追ってるのは『()()()()()()()()()()()()』なんですもの。大将の椅子は後回しにしといてやりますわ。そういうわけでプロキシさん、タンザナイトさん、今朝もう一人の『パエトーン』と話したんですけれど....郊外のホロウデータがまだ足りないそうですわね?このままだとあなた達のパフォーマンスに影響があるとか――近いうちに、私たちとホロウへデータ収集に参りましょう」

 

「あ!実は私も手伝ってほしくて~レースで使う()()()()()()()しなくちゃいけないんだけど、欲しいパーツがあるんだよねぇ」

 

と、ちょうどその時、車からアキラがさっそうと現れる。

 

「リン、タンザナイト、戻ったよ」

 

『おっアキラ』

 

「お兄ちゃん、お疲れ様。さっそくH.D.Dを調整しに行こっか!」

 

「その必要はないのさ。さっき、ここの電圧と回路速度で試運転してみたけれどH.D.Dはちゃんと動いた。郊外に来れたからか、『Fairy』もイアスも大はしゃぎだ。とはいえ...まったくの()()()()()だからな。今すぐ適応ってわけにはいかないだろう」

 

「シーザーたちを勝たせてあげるためにも、まずは経験値を貯めるところからだね」

 

「そうだな。リン達の準備ができ次第、出発しよう」

 

そう言い、リン達は準備をして、早速目的の場所へ向かう。

 

~~~~

 

ブゥゥゥンッ!!

 

シーザーたちはバイクを発進させながら移動している。

――ちなみにイアスはシーザーの前、タンザナイトはライトのバイクに結晶で出来たフックを引っ掛け、足にスノーボードのようなものに再構築させ、移動している。

 

『イヤァッホォォォッ!!』ズザザザッ

 

「ははっ、いい波乗ってんねぇ」

 

そんな中、高い崖に見下ろす、三人のバイクに乗ったシリオンがいた。

 

「カリュドーンの子、やっぱり来たね」

 

黄色のチーターのシリオン女が確信したように言う。

 

「ゆくぞ!計画通りにな!」

 

オラウータンのシリオン男がバイクを発進させる。

 

「.....」

 

黒髪の狼のようなシリオン男が無言で後を追う。

 

――イノシシたちの背後に、悪意ある影が後を辿っていた....

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