転生先はエーテリアス   作:YEX

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ホロウデータとチャンピオン事情

ホロウ内某所――

 

「リン、タンザナイト、それにカリュドーンの子の皆、聞こえているね?今回の任務はホロウデータの収集だ。リン、ちゃんと段取りは分かっているね?」

 

「もちろん。安全なとこを見つけて、データスタンドを充分に置いてくればいいんだよね!」

 

「安心しろよ、プロキシ。俺らとならパイセンのときみたく、エーテリアスと鬼ごっこにはならん」

 

と、ライトがそう言っていると、リンがとあることに質問する。

 

「前から聞こうと思ってたんだけど....ライトさんはビリーのこと、『パイセン』呼びだよね。何かわけがあるの?」

 

「ハハン....それはだなプロキシ。旧油田エリアの走り屋チームには『チャンピオン』ってポジションがあんだが....オレらんとこじゃ、()()()()()()がそれだ。初代覇者が決めたルールでな。連盟に籍を置くチームは、何をするにも仁義を通さなきゃなんねぇ

 

()()ねぇ....』

 

「普通、イザコザが起きたら覇者が出張ってきて間に入るんだが、それでも収まらねぇ時はあるし、そもそも()()()()()()()もある。そうなったら残るは昔ながらの決闘――『チャンピオン』の出番だ」

 

「ま、大将の言った通りさ。走り屋チームの()()()()()()、全ては『チャンピオン』次第....よそじゃチームの大将につく護衛も兼ねるんだが....うちの大将くらいになると、護衛はあんま要らんな」

 

『確かにな.....』

 

と、タンザナイトはシーザーを見る。

 

「オヤジはなんて言ってたっけな....『帝王が最強である必要はないし、最も賢い必要もない。それらをまとめて上に立つ素養があればいい』...だったか?けどカリュドーンの子じゃ、オレ様がたまたま『最強』も兼ねちまってんだよなぁ!ハハハ!」

 

「ふんっ、なーにがおっしゃりたいのかしら?あなたが()()()()()()()()()()()()()()()()、ライトはいっつもヒマしてるんですのよ。彼に別の仕事を振らなきゃいけない私の身にもなってくださる?

 

『それは...うん、お疲れ様です』

 

「あはは!プロキシちゃん、タンザナイトくん....実は私ね?もうずっーとライトのこと、雑用だとおもってたんだぁ~!」

 

「はぁ...うちの管理人兼お嬢様は、使えるものは何でも使う主義だからな」

 

そう言いながら、タンザナイト達はデータスタンドを設置するため、移動する。

 

~~~~

 

三回目のデータスタンドを設置している時、誰かの悲鳴が聞こえる。

 

「「うわぁぁぁ!?」」

 

「ん?何か聞こえなかった?」

 

『あー....多分、()()()()()()()()()()()()が作動したんだろ』

 

「いつの間にそんなのをつけていたんですの?」

 

『まぁとにかく....行ってみようぜ?』

 

そう言い、トラップを設置したデータスタンドへ戻ってみる....

 

「なんだこれはぁ!?スタンドに触った瞬間、急に周りが爆発したぞ!?

 

「だから止めようぜって言ったんだよ!あの『蒼光の騎士』の前だと俺らより先回りされるって!」

 

『そこの盗人未遂犯達止まりなさい!!』

 

と、作動したトラップに戸惑っていると、タンザナイト達が現れる。

 

ぐ...ぐふ...おいおいエーテリアスさんよぉ....もういっぺんハッキリいってくれやぁ。誰が盗人だって?」

 

「なんか何事もなく振舞っていますが...そのダメージと焦げ具合で全然ごまかせていませんわ」

 

とよく見て見ると、データスタンドを盗もうとした人たちは爆発したダメージと焦げ跡がちらほら見える。

 

「うっうるさい!....クソッ()()()()にいかねぇ....」

 

手筈?....あーはいはい、そういうことね』

 

「ん?タンザナイト、今のでなんかわかったのか?」

 

何か勘づいたタンザナイトにシーザーは聞いた。

 

『如何やらこいつらは、わけは知らんが『決闘』を申し込みたいらしいな』

 

「!!」

 

「へー...『決闘』ね――なら、チームの一員として、価値を示す時が来たみたいだな」

 

と、ライトはサングラスをかけなおしながら言う。

 

「へっ...へへ...俺達は走り屋だ。もめ事ときたら、それで解決するのが公平だわな」

 

『さっき爆破でほぼ壊滅してたけど?』

 

やかましい!!....ライト、あんた...カリュドーンの子のチャンピオンになって以来、負けなしなんだってなぁ!昔の屈辱を思い出すときがきたみたいだぜ。まだ忘れちゃいないんだろう?『エンバー・アリーナ』のことはよ」

 

「――!!」

 

と、その言葉にライトが驚いた。

 

「ヘッヘッヘッ、やっぱりな!昔、あそこでずいぶん辛酸をなめたそうだな。まだ記憶に新しいんじゃないか?何を隠そう、俺達の『チャンピオン』もあそこの出なのさ。だが、いつも地面に這いつくばってたあんたと違ってうちのは20連勝を誇った豪傑だ!

 

「....待てよ。ひょっとして、そいつは....」

 

「はっはっは。震えているなライト!そうとも、お前のよく知るこのお方だ――!!」

 

「...悪い、誰だ?」

 

「え」 『ハァー....』

 

「うぉぉぉぉぉっ!!ライト!」

 

その言葉に、ガスマスクをつけたオラウータンのシリオンが飛び出してきた。

 

「舐め腐りやがって!」ビターンッ

 

「うおっ!?」

 

「オレっちだ!ベルラム!!テメェに20連勝を阻止された!」

 

そう言いながら、『ベルラム』というシリオンが装着していたサングラスやマスクを捨てる。

 

「ゴーマンな野郎だ!イケメンで、強くて、人気で、イケメンだからって.....すっとぼけてんじゃねぇ!」

 

『こいつ今『イケメン』って二回言ったぞ....』

 

「ベルラムか....いいぜ、覚えとこう

 

と、ライトはベルラムに指を指した。

 

「――ぬぅぅ....馬鹿にしてんのか!それ聞いたの三回目だぞ!」

 

「『.....』」ジー

 

「フッ....」

 

リンとタンザナイトはライトに細い目で見つめていると、ベルラムが戦闘態勢に入る。

 

「もういいぜ....オレッちらの因縁も――今日限りだからなぁ!

 

と、ベルラムは棘付きの盾を装着した銃っぽい電動チェンソーを担いで、襲いかかるのだった。

 

『手、借す?』

 

「いや、いい....一人で行ける」

 

『そうか』

 

「ライトさん、あのベルラムって人よりも強いみたいだけど....辛酸を舐めた、って....負けちゃうこともあったってこと?」

 

「ハハ...そうとも」

 

と、ライトは渇いた笑いで返事をした。

 

「あそこは...()()()()()って場所でもなかったからな」

 

「ライトぉぉ!マジメにやりやがれ!」

 

ガキィィィンッ!

 

「っ――」

 

ベルラムの攻撃をライトのガントレットで受け止める。

 

「そんなんで負けたって、あとで言い訳は聞かねぇぞ!」

 

「へぇー...」

 

キィィィンッ!

 

お互いに弾き、離れる。

 

「うぉぉぉぉ――ライトォ!受けてみろぉ!」ダッ!!

 

「フッ――」ボッ!!

 

ベルラムが向かってくるのに対し、ライトはガントレットを起動し、加速する。

 

「っ!!」

 

 

ドコォォォォォンッ!

 

 

「ガハッ!....」

 

ライトの一撃でベルラムが吹き飛ぶ。

 

「ぐあぁぁぁぁ!?」

 

ドコォォン!

 

「べ...ベルラムの兄貴ぃ!!」

 

「すっ....凄い」

 

『やるじゃん...さすが『チャンピオン』

 

ベルラムは壁にめり込み、倒れる。

 

「がはぁっ....ま、参った

 

「ベルラムの兄貴が負けちまうなんて!こ....これからどうすりゃいいんだ?た、たしか俺らは....」

 

「どうもしねぇ!データスタンドのことは諦めろ。何かありゃあ、オレッちが責任を取る!

 

「へ...へい、分かりやした。ベルラムの兄貴....」

 

そう言い、ベルラムがライトたちの前に来る。

 

「ライト。オレっちがここに来たのは、テメエと一戦交えるためだ。テメエが決闘に応じてくれた以上....連盟のルールに従い、潔く負けを認めらぁ。クッソぉー....あれから何年も経つっていうのに未だに歯が立たねぇとは。名誉挽回はならず、か。無念だ....」

 

「そいつはどうかな...ハナから『挽回』する必要もなかったんじゃないか。別に、殊更あんたのことを忘れてたわけじゃない....あの地下闘技場のことは、俺に言わせりゃ何もかも覚えとく価値のないものだったからな」

 

「なな、何だと!?」

 

と、ライトの言葉に驚くベルラム。

 

「金のために相手を痛めつけ、金のために痛めつけられるフリをする....そんなものの、どこに『名誉』があった?あのリングに上がってたのは、行くあてを無くした死にぞこないだけだ。()()()()()()()()()()()()()()

 

「ライトさん...」

 

「今のあんたは実力であの場所を離れ、郊外で走り屋の『チャンピオン』に収まった....そうだろ。どうして、あの肥溜めに心を置いてきたフリをする?」

 

「――!!ラ、ライト....それは....!」

 

「郊外に感謝するんだな。ここは決して、あんたの出身や過去を笑わない()()()()()()()、自分の運命を変えられる場所なんだ」

 

ライトがベルラムの行動を悟るように言い続ける。

 

「俺と決闘がしたいなら、こんな回りくどいことせずとも相手になってやる。結局のところ、俺にも挑戦したいと願ってやまない相手がいるからな

 

「あ....ああ、わかった。ライト、ゴホン....その...礼を言う」

 

「きにするな、ベッカム....じゃなかった、ベルラム」

 

「あっ」

 

『ハイお疲れ~解散解散っと.....』

 

「ライト、テメエ....!結局、オレの名前を覚えようともしてねぇじゃねぇか!やっぱ適当こいてやがったな!」

 

「待った、名前はともかく....それ以外は本心だ!」

 

「何の慰めにもなってねぇよ!」

 

こうしてちょっとしたトラブルもあったが、なんとかデータスタンドを設置することが出来たタンザナイト達であった.....

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