カーサの後を追い続けていると、奥地まで着いたタンザナイト達、そこでカーサは叫ぶ。
「来たよ、言われた通りね.....誰か!いないの?」
「約束を違えたな...」
「モルス?」
カーサが上を見上げると、狼のシリオン、『モルス』が電柱に見下ろしていた。
「一人でと言った....」
「何言っているの?約束のものを渡して!」
バッ!!
するとモルスは、斧の刃がついた銃で、カーサの首を寸止めする。
「それには相応の代償がいるな、いっそ――」
スッ....バンッ!!
そう言いながら、カーサの後ろにある壁に向かって発砲する。
「イノシシどもから取り立てるか」
「なっ!」
シュゥゥゥゥ......
「「「「『......』」」」」
壁の奥には、ルーシーが立っており、頭スレスレで弾痕が残っていた。
その様子にルーシー以外驚いていた。*1
「おい、今のはまぐれじゃないぞ」
「はっ、遠慮はいらないってわけですわね!?モルス、カーサ!まとめてわからせますわ!」
ルーシーがそう言うと、モルスとの戦闘が始まった!
「シーザーからの信頼を知ってて、よくもこんなマネが....!」
「待ってルーシー、説明させてちょうだい!」
「あなたは現行犯でしてよ、何を弁解するっていうんですの!?いったいどんな便宜を図ってもらったんですこと?」
「それは勘違いだよ!これは、町が生きていくのにいますぐ必要なものなの!ガソリンスタンドが枯れちまってから....町は本当にやせ細っているんだ!」
その言葉にルーシーは動揺してしまう。
「なんですって!?....そんなこと、今までに、一度も....!」
『ルーシー、一旦その話は後にしろ....今はこいつを抑えるのに集中しろ!』
「――――っ!あーもう!やってやろうですわ!」ブオッ!!
「くっ!」キィィンッ!!
そう言いルーシーは、モルスに向かってバット攻撃をするが、銃で受け止める。
「ちっ....数が多いな――待て、あのエーテリアスはどこだ?」
モルスの目の前には、ルーシー、ライト、パイパー、カーサ、イアス(リン)の五名しかいなかった.....そうすると、モルスの後ろから誰かが呟く。
『ここ』
「なっ!?」
『『
ドコォォォォォンッ!!
「ぐふあっ!?」(こいつ...いつの間に俺の、背後に!)
強力な衝撃波をモルスはもろにくらい、吹き飛ぶ。
「お前、いつの間に....」
『ふっ...ちょっとした
「ぐっ...うぅ....くそっ!」バァァンッ!!
『うおっ!?』モクモク
よろめきながらも、モルスは持っていた煙幕弾を地面に叩きつけ、辺り一面煙まみれにする、
「しまっ....!逃げる気ですわ!」
『あいつもうバイクに....!』
タンザナイトが見つけたのは、バイクに乗り、発進する準備を終えたモルスだった。
そしてそのまま、バイクでこの場から去る。
「追いますわよ!」
そう言い、ルーシー達はモルスの後を追い駆けたが....
ブォンッ!!
「「「「「『っ!?』」」」」」
曲がり角を曲がる瞬間、急にモルスが乗っていたバイクが降ってきた。
驚きながらも、先へ進むと....意外な人物が立っていた。
「シーザー....どうしてここに?」
モルスを倒したのかうずくまっている中、そこに立っていたのは、箱の中身を確認しているシーザーであった。
「....シーザー、落ち着いて聞いて!町長と覇者の手下が....」
「よせ、知ってる...これ以上物資をホロウに置いとけねぇ――カーサ....全部もってけ」
「「「「「っ!」」」」「えっ...」『......』
その言葉に皆、反応する。
すると何処からか、拍手する音が聞こえる....
『あいつは確か....』
「覇者、ポンペイ....!?」
黒を基調としたコートや服に、左頬の傷、黒と灰が交互に入った髪や顎鬚を蓄えた厳つい人物、『覇者 ポンペイ』が手下を連れ、来た。
「久しいな。カリュドーンの子、シーザーよ。ビックダディの傍にいたあの小娘が....部下を連れて
「覇者ポンペイ。カリュドーンの子は、今もまだあなたを連盟の長と認めてはいますけど....ここに現れたからには、納得のいく説明を聞かせてもらう必要がありますわ!」
「急くな。いずれ知るであろうことよりも、今はより差し迫った問題がある」
そう言いポンペイはシーザーに向け、言う。
「シーザーよ。ここにある物資は、我々トライアンフがブレイズウッドに供与すると約束したものだ。貴様は、町長がこれらを持ち帰ることになんら異議はないと....そう言うんだな?」
「ポンペイおじさま、人をバカにするのも程がありましてよ!」
とルーシーはキレ気味になっているが、シーザーが止める。
「待て、ルーシー。オマエとカーサが前に言い争ってたことは全部聞いているぜ。この箱の中身も確認したが、確かに食料と薬だ....嘘はついてねぇんだろう。こいつの出どころはともかく、町に必要な物資なのは確かだからな」
そう言うが、シーザーは一つ、どうしても腑に落ちなかったことを言う。
「けど...カーサ、オマエらが困ってんなら、どうしてオレらに助けを求めなかった?ずいぶんよそよそしいじゃねえか?」
「シーザー....最初は、そうしようと思っていたのさ。だだそのときちょうど、あんたが『ツール・ド・インフェルノの資格を得た』って飛び込んできて....町を、一時的な拠点にさせてほしいと頼んできたろう」
『.....』
「昔から、ブレイズウッドはカリュドーンの子に助けられてきた....なのにここ一番で恩返しもできないどころか、
その言葉にルーシーは反撃する。
「それで?私たちの情報をトライアンフに売ることが、あなた方の考えた恩返しだったんですの?」
「情報を売る?待ってルーシー、それは誤解だよ!トライアンフとの取引は、工芸品の加工を手伝う代わりに物資を貰うってだけさ!」
するとカーサの言葉に賛同するよう話に入る。
「こいつの言うとおりだ。ブレイズウッドは依然として貴様らの側だ。だが俺は
「つまり、
『落ち着け、ルーシー....直々に覇者が来たってことは、
そう言い、タンザナイトはルーシーを落ち着かせる。
「ほう....貴様、そこの小娘と違って、エーテリアスなのに随分と引き際をわきまえているようだな....こいつの言う通り、俺は『この件』を解決するためだ。今日、ブレイズウッドから届けられた工芸品の中にこいつが見つかった」
そう言い、ポンペイが取り出したのは....小瓶の中に『マイクロチップ』が仕込まれたものだった。
「これは.....盗聴器!?」
(だろうな...)チラッ
「?」
「モルス、この瓶には重油が入っていたはずだ――俺達旧油田エリアの生命線、その象徴がな。なぜこんなものが入ってやがる?」
「――!!」
「それだけではない。このところ、
「ポ、ポンペイの親分、お、オレは....」
「モルス!『ツール・ド・インフェルノ』へ貴様の帯同を許したのは、断じてこのような小細工をさせるためではない!覇者たる我々が仁義を守らぬ連盟なんぞに、誰が籍を置きたがる?我々が一つなれないのなら、誰が旧油田エリアを守るのだ?」
「ポンペイの親分、申し訳ありません。オレが間違っていました!オレは、まともではなかったんです....この件は全てオレの責任。どうか、罰を!」
「罰だと?思い上がるな。貴様が台無しにしたものを、貴様ひとりへの罰で贖いきれるとでも思うのか」
(やっぱ思ってたけどポンペイカッコいいな.....)
と、ポンペイのルックスから放たれる言葉にタンザナイトはカッコいいと思っていた。
「カリュドーンの子、ならびにカーサよ。モルスは俺の部下....こいつがしでかしたことの責任は、こいつを正しく導かなかった俺のものだ。
「フン、ご大層なスピーチですこと。それで、どのように責任を取るおつもりですの?」
ルーシーがポンペイに具体的なことを聞く。
「最近、旧油田エリアに隣接する複数のエリアと
「それは....うちの町への燃料供給もどうにかなるってことかい?」
「そうだ。あと三か月もあれば供給が戻るだろう。それだけではなく、複数のエリア間で道路を共有する協定も結んだ。これにより旧油田エリアは、新たに少なくとも5本以上の輸送ルートが開拓できる。カリュドーンの子よ。これからの半年間、そのうち3つのルートを貴様らに任せるつもりだ。それなら文句はあるまい」
「つまり、
ルーシーがそう言うと、ポンペイはカリュドーンの子の現状を当てはめ、言う。
「このところ、ルートの抽選では貧乏くじを引き続けているようだからな。埋め合わせをしてやってもいい頃合いだろう。新たなルートは利益も生むが、相応のリスクがある地域を通過することになる。ちょうど腕に覚えのある走り屋が入り用だ。ただし条件がある。この3つのルートで貴様らには、困窮している地域住民を支援してもらう。当然、このルートを担当する以上は
この条件にシーザーは、ルーシーに聞く。
「おい、ルーシー。この条件はどう思う?ポンペイの話、吞んでいいやつか?」
「もしでまかせをはいているのでないなら....私たちと、ブレイズウッドの長年の問題がまとめて解決できますわ。それに私たちがルートを開拓しておけば、他の走り屋にとっても食い扶持が増えることになりますわね」
「そういうことか.....」
と、ルーシーの言葉に納得したシーザーは、ポンペイに言う。
「悪くない条件みてぇだな、オッサン。けど前提を履き違えてるぜ――『ツール・ド・インフェルノ』が終わった後、誰が覇者で、誰がルートを差配すんのかは....まだわかんねぇだろ?オレ様が覇者になったら、ぜってぇオッサンよりフェアにやってみせるからな!」
「ハン...偉そうな口を開く!それは
「ああ、そう捉えてもらって構わねぇぜ!」
シーザーがそう言うと、ポンペイはルーシーに
「シーザー、こいつはいま書いた念書だ。取っておけ。ルートの件はもうまもなく正式に発表される。次は、『ツール・ド・インフェルノ』で見えるとしよう」
そう言い、ポンペイはこの場から立ち去った.....その後タンザナイト達もこのホロウから去って行った.....