『ぐぼあぁぁぁぁっ!?』
ドボォォォンッ!!
吹っ飛ばされるルシウスのは、火山のマグマへ落っこちる。
『あっやべ!!』
「火山に落ちちまった....」
「....待て、確かあいつは、
「....それ、やばくないっすか?」
バリバリバリバリッ!!
ライトがそう言うと、火山からエーテル結晶が生成され、シンダーグローを覆いつくそうとしていた。
「うわわっ!?エーテル結晶が!?」
「タンザナイト!なんとか吸収して処理しきれるか!」
『いや無理無理!こんだけの量を吸収するとしても
そう言っていると、シーザーがバイクを起動していた。
『し、シーザー!何を......まさかっ!』
「オレ様が、火打石を届けるぜ!」
「なんだと、正気か!」
「っ!シーザー、バカなことは止めなさい!」
ブオンッ!!
全員が止めるように言うが、シーザーはバイクを発進し、まだエーテル結晶に侵蝕してない場所まで突っ切る。
「シーザー!!」
「待て――ゴホッゴホッ....」
「ムリすんなオッサン...」
(まずいっ!)ズズ...
「シーザー!居場所なんて、いくらでも替えが利きますわ!」
「シーザー!」
と、後から追いかけてるルーシー達がシーザーを説得するが、それでもバイクのエンジンは止まらない。
(そうだよな、ルーシー....石油がなくたって、オレらは別の場所で生きてける
――けど、そうしたくてもできねぇヤツらはどうなる?)
「悪ぃ、これしか思いつかねぇんだ.....うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
そう言うと、シーザーは、道がなくなったとこから飛び出し、自分もろとも溶岩へ落ちようとする。
ふと、シーザーはルーシーの顔を見た。
「そんな顔すんなよ....怖く....なっちまうだろ.....」
シーザーは死を悟り、目を瞑った―――その時!
ガッ!!
「....あっ」
『っ.....間に合った!』ズズッ....
「「「「タンザナイト!!」」」」
ギリギリのところで、シーザーの手を掴んだのは.....
『っ!』グイッ
「うおっ!?」グンッ....
タンザナイトがシーザーを引っ張ると同時に、火打石を溶岩に落とした。
ドォォォォォンッ!!
ると、シンダーグローが噴火し、今まで
「シーザー!」
「シーザー!大丈夫?」
「あっ....おう....また会ったな....ははっ」
『ふっ....気分はどうだい?未来の覇者のお嬢さん?』
と、シーザーにニヤッと話しかけた。
~~~~
三日後――
「リン、タンザナイト、荷造りは終わったよ。これで家に帰る準備はだいたいできたかな」
ブレイズウッドにて、タンザナイト達は帰るため、荷造りをしていた。
――すると、シーザーが走ってやって来た。
「プロキシー!タンザナイトー!ふぅ、よかったぁ....まだ出発してなかったんだな。見送りに間に合わないかと焦ったぜ」
「シーザー!わざわざ来なくてもいいと、この前言ったろう?旧油田エリアのほうは、いま大変なんだろう?そういう時こそ、君という覇者が表に出て指揮を執ってあげないと」
「あのな、言ったろ?オレ様はただの『覇者代理』だって。覇者の地位は、今でもポンペイのオッサンのもんだぜ。あの日、あいつが投げ込んだ火打石が偽物だったとしても....あいつが最初にゴールした事実は変わらねぇ」
「まだお前はそんなことを言っているのか?」
『おっ!ポンペイのオッサン!』
「ふん....相変わらずの頑固だな....お前は」
と、ポンペイが現れ、シーザーに言う。
「確かにゴールしたのは俺たちだ.....だが、このシンダーグローが今もこうして生きているのは....シーザー、お前の勇気とそこのエーテリアス、タンザナイトの策士があったからこそだ!もしこれが無かったら、
「....オッサン」
『ポンペイのオッサン.....』
その言葉に感激を与えると....タンザナイトはルシウスのことについて謝る。
『それはそうと....ルシウスの件だけど――ごめん、止められなかった』
「その件か....あれは奴の自業自得だろ?」
『でも....
「フン...言ったはずだ、その件は奴の目的を見つけれなかった俺の責任だと....だから、お前が背負う責任ではない」
『....そうか』
「そうえば....モルスの行方は?」
「いや、まだつかめてねぇんだ」
「フン....悪知恵が回るやつだ...ルシウスと戦っている時に逃げられたのだろう....」
「まっあいつらの悪行も、タンザナイトが用意していたカメラでバッチリ残ってたし....そのことも観客が知れ渡ったしな」
そう言っていると、シーザーがタンザナイトにお礼を言う。
「その....タンザナイト、ホロウを出てから礼を言う暇もなかったな....ありがとう、こうして生きられたのはオマエのおかげだ」
『別に大したことじゃないさ......『蒼光の騎士』としての仕事を全うしただけさ』
「そうえば、あの後シーザーのやつ顔が赤くなって気絶したな....ハッハッハッ!!今でも笑いが止まらん!」
「あーそうそう、プシュ―とか言っちゃってたね」
「おっ....オッサン、オマエら!!」
と、あの事を思い出して笑ってるポンペイ達に怒るシーザー。
「んっんんっ!....そうだ、プロキシ、タンザナイト、街に帰るんならオレらからのはなむけを受け取ってくれよ!」
そう言い、シーザーは『サン・フリント』を渡してきた。
「おや、これはサン・フリントじゃないか」
「ああ、カリュドーンの子のみんなで作ったんだ!まぁ....みんなっつっても、オレ様は手伝いに間に合わなくて真ん中の模様を描いただけなんだけどよ...」
「とってもいい記念になるね、気に入っちゃった!」
『大切にするよ、シーザー』
「プロキシ、タンザナイト、また郊外に来たくなったらいつでも歓迎するぜ。灰から蘇れ、ってな!」
「フハハハハハ!今のお前なら、どんな困難も立ち向かえるだろう....応援しとるぞ!」
そんな感じで会話し、みんなと別れの挨拶を終えると、タンザナイト達は車を発進させる。
~~~~
車窓はまるで無限に広がる絵巻物のようだった。
車は揺れながら進み、果てしない荒野の景色に新エリー都の色が混ざりだす....
「もうバックミラーではシーザー達が見えない。あと少しで郊外ともお別れみたいだ」
「火の湖は無事で、シーザーも新しい覇者になれた。郊外の大冒険もエンディングだね....」
『ルシウスがエーテリアスになったことを思い返すと...背筋が寒くなるな.....ほんと、無事で良かったよ』
「そうだね....タンザナイトの準備がなかったらポンペイのおじさんはエーテリアスになってたかもだし、シーザーだって、タンザナイトがいたから救助できたし....本当にお疲れ様、タンザナイト」
「......」
すると、アキラは感傷深い顔をする。
『どうしたアキラ?なんかつらそうな顔をしてるが....』
「ん?...いや、あの時、落ちていくシーザーをただ見ていることしかできなかった、あの無力感.....それを思い出してしまったのさ.....まるであの時と同じようにね」
『.....そうか』
そのことにタンザナイトはそう返すしかなかった。
「お兄ちゃん...」
「リン....こういうとき、やっぱり僕たちは家族なんだと感じるな。同じことを考えているみたいだね。ちょうどここは都市の境目あたり、それにイアスや『Fairy』、タンザナイトもいる....
『それって...』
無言でハンドルが切られ、『Random Play』の社用車は大通りから逸れる道へと進んでいく....
[案内ルートを外れました、助手三号。帰宅ルートを再探索します....]
「大丈夫だ、『Fairy』....外れてなんかいない。僕たちの....
都市の境界を走るにつれ、周囲はどんどん静寂に包まれていく。道路の分岐が少なくなり、やがて現れた標識にはだだ一つの目的地が示されていた――
『旧都廃墟方面、大地溝帯・辺縁』
『ここは....』
「着いた。上まで行こうか」
「ほらイアス、スカーフ忘れないで」
「ンナナ!」
そこは金網の所に紙やら花束が添えられている場所だった。
「ここに帰って来るのは、ずいぶん久しぶりに感じるね。リン」
「『Fairy』、ここがどこか知ってる?」
[検索完了。ここは、大地溝帯中部の新エリー都側です。大地溝帯とは、新エリー都の前身となるエリー都で発生した巨大ホロウ暴走災害、通称『旧都陥落』事件の産物です]
『ここがか....』
[当時の指導者たちは零号ホロウの暴走を制御すべく、エリー都南西から北東にかけて
「そう。大地溝帯には
「大地溝帯が、新エリー都の建設を可能にしたとも言えるね。本来ならこの先は、スロノス区にほど近いエリー都市街地の北側に通じる道だ。車で10分も走らないところに、
と、前に建ってたであろう店を紹介しながら、昔のことを思い出していた。
「ホワイトスター学会のね。それの手前で左に曲がると、昔のミネルヴァ区7番通り....左側にアンティークショップがたくさん並んでて、お兄ちゃんがちっちゃい頃、
「....その向かいには、リン御用達のお菓子屋が軒に連ねていた。僕が偽物につかまされる前に、おねだりに負けて
「食べきれないなんてなかったでしょ。テーブルに置いとけば、一分もしないうちにみんながとってっちゃうんだから。お兄ちゃん、忘れたの?」
「忘れるもんか」
『.....』
昔の思い出に浸りながらも、アキラは本題に入る。
「話を戻そう.....7番通りの突き当りから2つ....いや
「そこに私たちの先生がいた。いつもプレートの右側に立って、イアスと一緒に私たちを待ってた....」
「『へーリオス研究所』...あの場所こそ、本当に僕たちが帰るべきところなんだ。それは今もあそこにある.....大地溝帯を超えた、零号ホロウの奥深く....旧都の瓦礫の下に.....」
「また来たよ、先生....ご無沙汰しててごめんね、色々あって.....」
吹き付ける風が言いかけた言葉を持ち去る。
イアスを抱き上げてフェンスに近づき、ボンプは小さな手を伸ばして、金網に赤いスカーフを結んだ。
色鮮やかな布が、ひらひらと風になびく。
『....その先生って――』
「....カローレ。『カローレ・アルナ』」
[遭難者データベースに該当する人物なし。旧都陥落事件に関連する情報内で1件のみヒットしました。『...零号ホロウを暴走させ、旧都陥落を引き起こした元凶、へ―リオス研究所上級研究主任カローレ・アルナ及びその他関係者は、大罪人として歴史に名を残すだろう....』]
『.....』
[推測、ご提供いただいた名称に間違いがあるか、同姓同名の別人がヒットしたものと思われます]
「何も間違ってなんかないよ。当局が公式に、旧都陥落を引き起こした張本人って発表したカローレ・アルナ上級研究主任は――」
「僕たちの、先生だったんだ」
(.....絶対裏でなんか手引きしてたんだろうな.....)
「私たちを育てて、色んなことを教えてくれた。
(これシーン....零号ホロウの調査に参加したいって言及してたな.....)
と、リン達が話している横でタンザナイトは思う。
(それにしても....よくここまでこれたな....多少
(
と、思いをふけっていると、『Fairy』が警告する。
[警告、未知の対象が接近中]
「えっ?こんな時に?一体だれが....」
そこに現れたのは.....一人のシリオンだった。
『お前は....雅か』
「む...?お前も来ていたのか、タンザナイト」
その人物は、対ホロウ6課の『星見 雅』であった。
「それに、あの案内に秀でたボンプの持ち主*1....お前達に敗北を喫するとは思わなかった」
「覚えてくれて光栄です...!けど、『敗北』ってのは、どういう....?」
「『誰よりも早く、大地溝帯慰霊の地を訪れる』修行だ。そして....彼女の、そばにいてやりたくもあった」
『相変わらずだな....お前』
星見はフェンスの傍にある慰霊碑へまっすぐ向かい、そこへ刻まれたひとつの名前にそっと触れた。
「雅さんも、誰かを思い出しにここへ....?」
「ああ。母上を、な」
「それは....お悔みを言わせてください。1日でも早く、心安らげる日がくることを願います。」
「礼を言おう。だが、私はまだ安らぎを得るつもりはない」
「....と、言うと...?」
「安らぎなど不要だからだ。旧都陥落を引き起こした咎人と、それにまつわるすべてのものに枷をはめるまでは」
星見は平然と、真っ直ぐな視線をこちらへ向けた。赤い瞳の奥には、何かが静かに燃えているかのようで....
「私は、逃がすつもりはない。誰ひとりとして、な」
4章完!!
リン「もし雅さんが敵として現れたら助けて!」
タンザナイト『それはちと....きついね~』
アキラ「ホロウ空間も作れる人が何言ってるんだか」