....
『えっ?エネルギーを別に物に変化させる?』
「うん」
タンザナイトが茶をしばいていると、リンが突然いってきた。
「タンザナイトの能力って、『自身のエーテル結晶を変化させ別の物体を作る』だよね」
『まぁ....そうだな』
「でもちょっとおかしくない?」
『?』
「エーテル結晶で補給するのは分かるけどさ...ご飯食べて回復するのは何か違くない?」
『......確かに』
と、リンの言葉で納得する。
「うん、だから『自身のエーテル結晶を変化させる』じゃなくて、『自身のエネルギーをエーテル物質に変化させる』...これが能力だと納得がいくと思う」
『自身のエネルギー....』
「うん、それでふと思ったんだけどね...その能力を応用してエーテリアスを人間に戻せるかなって」
『ふむ....』
タンザナイトはその言葉を聞き、考え込むと──口を開く。
『難しい問題...だな』
「出来ない──じゃないんだね」
『あぁ、エーテリアスはエーテルエネルギーの塊...そこを取り除いたとしても人間の部分は完全に復元は難しいんだよな...』
「そっか....」
『ただ....』
「?」
『エーテリアスになったときの
「強い意思?」
リンがそう言うと、タンザナイトは思い出しながら言う。
『ほら例えば...バレエツインズのエーテリアス!後、ルシウスのエーテリアスとかな』
「あぁ、あれね」
『そいつらみたいに何か強い意志があれば俺が
「おおっ!何かいけそうな説明だね!」
『というが...『言うのは易し』、これがどうもうまくいかねぇ....エーテル侵食ならある程度は治せるが....』
「あー...世の中うまくいかないね....」
『ほんと、奇跡でも起こらない限り無理だな....』
......
『フンッ!!』ドッ!
『カッ....』ベチャッ!
タンザナイトの攻撃を貫通したブリンカーと同時に、まるで蝉の脱け殻のように、本体が後ろにぶっ飛んだ。
「うぐぁぁ....」ドサッ...
『ハァ...ハァ...ブリンカー』スッ
ブリンカーは倒れ、タンザナイトがふらつきながらもブリンカーの安否を確認する。
『....うん、まだ生きてる』
「タンザナイト!!」
『っ!皆...』
すると、そこにはイアスのほかに邪兎屋、ヴィクトリア家政など駆けつける。
「やったか?」
『あぁ...何とか』
「....これがブリンカー?」
「どう見ても...
と、倒れてるブリンカーを見ると....服装はブリンカーが来ていたのと同じだが──顔やスタイルは朱鳶と同じだった。
唯一違うとすれば、黒髪赤メッシュではなくサクリファイスになっていた髪色と同じになっていたことだろう。
「ふむ...元凶は捕らえたのなら離れるとしよう」
『あぁ、そうだな───っつ...』
「はい、あんたは散々戦ったから休みなよ」スッ
『あぁ...ありがとうエレン』
と、タンザナイトはエレンの手を取るが....反対に誰かが引っ張る。
「は?」
『....えっと、雅?なにしてんの?』
「決まってるだろう、お前をホロウの外へ送る」
「はぁぁぁ?」
と、エレンが目をピクピクさせながら言う。
「見てわかんない?私が送るんだけど?」
「ふむ?何を言う。私が送る」
「話聞いてる?私が、送るって言ってんだけど?」
「ならそこのブリンカーでもいいでよいだろ?」
「....」ゴゴゴゴ
「.....」ゴゴゴゴ
『....あの二人とも?』
と、何やら不味い雰囲気になってる...すると、だんだんヒートアップし始める。
「ぽっとでのあんたより、私が十分こいつのこと知ってんのよ!」グイィィ!!
「何を言う、ならば私はこいつと共にやり合った仲だ」グイィィ
『ちょっ!?お前ら!?』
「なっ!...ふ、ふん!私はタンザナイトの尻尾を初めて触ったよ。初めて!!」
『何故二回も強調したの....!』
「ふむ、そういうのなら私は将来(妖刀から)誓いあったモノだ」
「はぁっ!?」バキィッ!!
『あぁぁぁっ!?ヤラレチバァァ!?』
と、二人の取り合いでタンザナイトが割れた。*1
「はぁ...結局こうなるのか」
「んなことより店長!タンザナイト大丈夫なのか!?」
アキラが二人のやり取りにため息がでつつ、ビリーが心配そうに言う。
皆がてんやわんやしている中.....コンテナに隠れていたサラが呟く。
「....
そう言い、サラはホロウから消える。
ポート・エルピスにおけるホロウでの事件はひと段落し、新旧の友人たちが一同に会して、楽しいひとときを過ごした。都市での暮らしは舞台劇だ。必ず幕間の憩いや終幕の時が来る。
都市はさながら舞台の上。一つの物語の幕が下りると、別の物語が幕が上がる.....しかし、新エリー都そのものに幕が下りることは決してない。
今も、そしてこれからも.....
~~~~
ブリンガーの追跡作戦が終了した後、一行はポート・エルピスのホロウから撤退した。不必要な注目や調査を避けるため、兄妹二人とタンザナイトは六課の仲間たちとともにオフィスへもどり、つかの間の平和を享受する。
朝の陽光の中、狐耳の少女が軽やかな足取りで歩いてきた。
「二人とも、そしてタンザナイト、此度は....本当にありがとう。六課への協力、そして私のためにしてくれた、全てのことに....この恩、しかと心に刻んで忘れはしない」
『何言ってんだ、俺らは共に戦ってきた仲だろ?気にすんなよ』
「いや、今回の事件解決はお前達に依るところが大きい。H.A.N.D.の中でも、
星見がそう言うと、リンが納得したように言う。
「なるほど、ゆうべ朱鳶さんが慌てて出て行ったのはそれだね....そうでなくても、お世話になった上官が怪物に変わっちゃったのはショックは並大抵じゃないはずなのに....」
『そうえば、ブリンガーの様子は?』
「今はまだ気を失っている、目を覚まし次第色々聞くがな.....」
『そうか...』
「心配するな。朱鳶は強い人間だが、情にもろいところがある。私が知る彼女にとって、信頼する人間からの励ましは何より奮い立つことだろう」
「そうだね。朱鳶さんが落ち着いたら、のんびりしよって誘おうかな。」
すると、星見はタンザナイトの容体を聞く。
「そうだ、タンザナイト...確か腕が割れていたが、大丈夫か?」
『ん?ああ....まぁ何とか腕は
「ふむ...そうだ、お前達二人も一緒に家まで送ろう」
「えっ?いいの?」
「構わない。長い一晩を経て、いくらか整理したいこともあるからな。それではお前たちを送り届けて、私は慰霊の地の近くをあてどなく歩くとしよう」
星見がそう言うと、リンがそこへ行くと言う。
「そういうことなら、雅さん、私達を大地溝帯の近くまで送ってくれない?そこからは自分たちで帰れるから」
「ああ、そういえば....以前に会った時もあの場所だったな。此度も誰かに手を合わせるのか?」
「――ううん....ただあの辺を回りたいってだけ。あっちはシーザー達もいるし、ついでにお礼を言いに行こうと思って」
と、リンは
―――が星見はごまかしだと言うのは既に見切っていて、彼女の瞳に
「私も、朱鳶と同じだ。信頼に対しては、同じように信頼で応えてもらえると....とてもうれしい」ボソッ
「雅さん、今なんて?」
「何でもない。出るぞ」
そう言うと、星見は三人をつれて、大地溝帯慰霊の地へ向かう......
タンザナイト
謎多き甘党
次回 エピローグ――