車に乗ったのを見届けたタンザナイト達はこれから帰ろうと思った時、タンザナイトの手に何か掴んでた。
『あっ....』
「ん?...これアストラさんの
『....あんときに無我夢中で取ったかもな.....悪いリン、先に帰っててくれ、俺はアストラにこれ返すから』
「オッケー!じゃあまた明日!」
『ああ!.....さてと』スッ
リンが帰ると、タンザナイトは意識を集中し始める。
『さっき、アストラにキス....ンンッ、付着したエーテル残留を辿れば―――ん?なんだ、あいつらホロウに入ったのか?.....忙しいってわけじゃないよな?――行ってみるか』
そう言い、タンザナイトはホロウ空間を作り、中へ入って行った。
~~~~
「情報は正しかったか!なかなかやるみたいだな!」
「ちっ....」シュルルルルッ....
「イヴ!」
そのころ、アストラたちはただ今襲撃者に絶賛襲われていた。
「これがお前たちの『強み』ってわけか?.....流石は『大資本のお神輿』―――」
『『時空真拳
「ぐぼぁぁぁっ!?」
チュドォォォンッ!!
颯爽と現れたタンザナイトは、襲撃者を蹴り一つで吹きとばす。
「なっ....!」
「タンザナイト!....けど何で?」
『ふぅ...ああ、これを返しにな』
と、タンザナイトは装飾品を返す。
「これって...ああ、なくなってるわ道理で違和感が....」
「今頃きがついたのか....」
イヴがそう言った後、無言で考える。
「このような状況で頼るのは申し訳ないのだが、タンザナイト、先にお嬢様と一緒に戻ってくれ」
『それは良いが....お前は?』
「気になることがあるんだ。あの
『そうか....じゃあこれを渡しておく』
「....これは?」
そう言って渡したのは、手のひらサイズの青い結晶のような塊だった。
『もし、助けが必要だったらこれに声をかけてくれ。一瞬で駆け付けるから』
「.....ああ、分かった。そういうわけだお嬢様、先に帰っていてくれ。すぐに追いつく」
「でも....わかったわ。きっと貴方なりの理由があるのよね。それじゃあ先に帰るわ、イヴ。危ないことしちゃだめよ!」
「ああ....それとタンザナイト、お嬢様のことを頼んだぞ」
『ああ、無事に送ってやるから安心しろ!』
そう言い、イヴはアストラとタンザナイトを見送る.......
それからしばらくして、スターループの展望台――
「大丈夫かな....」
『イヴリンはああ見えて結構強いから、大丈夫だとは思うが....』
タンザナイトとアストラはイヴリンの帰りをまっていると、当の本人が帰って来た。
「....お嬢様」
『おっ....言われたそばから...』
「イヴ!どうだった?」
「調べた結果、襲撃してきた者たちには間違いなく
『フーガ?』
「ほら、話してたでしょ?『帝高』と『フーガ』、この二つの会社がバチバチににらみ合ってるって」
『ああ...ヨランの時に言ってたな』
「狙いは事務所?それとも私?」
「そのどちらでもないか、或いは両方ともいえる。フーガの目的は、ヨラン・デウィンターにまつわる例の音楽だった。『彼のような、帝高のような大資本に渡してはならない....』そう言って、『熱量の高い』ファンを焚きつけたようだ」
『それっておかしくないか?アルバムを見つけたのはついさっきだったぞ.....そんなに情報がひろまってるとは考え難いぞ』
と、あまりにも正確かつ早いことに変だと思うタンザナイト。
「そう...あなたの動向は、文字通り万人が追っている。ファンに記者、それからお嬢様に害をなそうとする者....お嬢様、身近な人間も例外ではない。あなたが想像する以上に、敵は近くにいる。身の安全にはこれまで以上の注意をはらうべきだ」
「『大資本のお神輿』、か.....」
『アストラ?』
アストラは呟くと、顔が下がる。
するとイヴリンはアストラを気に掛ける。
「フーガの連中がどんな侮辱やデマを流布しようと、気にする必要はない。あなたはただ、その心に従うんだ」
「心に....?」
『そうだぜ、アストラ。あんな奴らのことなんか真に受けんなよ』
「.....私はただ、フーガも帝高もお金にたかる虫のような人たちにはみんな『どこかへ行って!』って叫びたい。私の音楽は、私のもの....この世界がそんな風にシンプルだったら、どれだけいいか」
と、アストラは本音をぶちまける。
「.....お嬢様、今回のセットリストにヨラン・デウィンターの曲が入っているのも事務所の意向だが.....それによって不興を買うのはあなただ。あなたがいつか、デウィンター氏のように見えざるパワーゲームの犠牲となることを....私は恐れている」
「ヨランの言葉でね、私、ずっと気に入ってるやつがあるの。『全ての心は、孤独な音符だ』...って。彼の歌には、間違いなく特別な力があった。」
「旧都が吞み込まれたあの夜、私は避難所の床で小さくなって考えてた。パパとママは逃げられたのか、それとも恐ろしい怪物になってしまったのか....」
「私は自分が幸運な人間だったと思っている、でもそれは誰かが自分の命と引き換えにすることを選んでくれたから。私を助けてくれた人は、『幸せになって』と言ってくれた。なのに私は....強くいなきゃいけなかったのに、どうしてもそうはなれなかった.....」
「『.....』」
「そんな時、避難所の
「それに涙を拭ったら、私だけじゃなかった。あの日、あの曲を聴いたすべての人が.....
「幕をあげて、心と心の壁をなくして、全ての人の耳に届き、響き合う....そんな、新エリー都で一番パワフルな旋律にしてみせる」
熱く語ったアストラは、ヨランのアルバムを慎重にしまうと、無音の曲を奏でるように操作パネルを優しくなでた。スターループの幕がするすると開き....夜空に浮かぶ夢の舞台は静かに、星の光とその先にあるものを迎えにゆくかの如く、広がっていった――
「音楽って魔法なの」
歌い始めると、装置らしきものが作動し、紫に光り出す。
『うおっ!?』
すると、小さい球体と波戦の装飾が施された無数の物体が一斉に動き出し、アストラの歌とリンクするように編隊を組んで動き回っていた。
~♪
「魔法.....」
『すげぇ....』
その輝きに二人は目の虜になっている。
~♪
「たしかに....魔法でもなければ信じられないな....こんな私が....星の輝きを、守るに値するなどと....」
そう言い、イヴリンはアストラに歩みより、ふとかすかに笑うのであった。
『....にしてもそれってどうやって動かしてんの?』
「ふふっ...これはね、この杖で歌うことで協律コアをはじめとするエーテルを動力とした機器に対して、エネルギー代わりに供給するのよ!」
「....お嬢様、企業秘密に近いものをそう簡単に教えるのは....」
「あっ....で、でもこれは親愛なるあなただけの秘密―――ってことにならないかしら?」
「はぁ...まったく、もう少し危機感をもってほしいな....」
『はははっ』と紫に輝く夜を背景に3人は笑うのであった。
ねじれポイント
アストラと出会うことで色々変わっている(チケットとか)