数日後....RandomPlayにタンザナイトがやって来た。
『よー!二人ともいる?』
「やぁタンザナイト...今日はどうしたんだい?」
『あー....もうそろそろアストラのコンサートがあるだろ?―――ってことでほい』
「ん?....こっ、これはぁっ!!」
リンが手に取ったのは――アストラのコンサートの『招待状』であった。
「アストラさんのコンサートだ!!しかも
『この前、アストラの依頼あったろ?その報酬さ....もちろん、俺もイアスの分もあるぜ』
「楽しい年越しになるな....」
すると、あまりの感動にリンは涙を流す。
「ううっ....グスッ、長年のプロキシ人生だったけど....今日、報われたんだ」グスグスッ
『そんなに?』
と、凄い号泣してるリンに引くタンザナイト。
「ははっ...本当、アストラさんやタンザナイトには頭が上がらないよ....ネットでは彼女を悪し様に言う人もいるけれど、まったく理解に苦しむよ」
『ん?ネットでそんなことを言ってる人がいんのか?『Fairy』、具体的には?』
[『輝きのモーメント』ニューイヤーコンサートの発表から、アストラに関するスレッドは検索ワードランキングの首位であり続けています。プレビュー数は合計826万回]
『うわっ...すっげぇ多い....』
[アストラに対するネガティブは論調は、全体の14%です。主に次のような話題が観測されます――一、ブサイク]
「聞くに堪えないよ。外見のことはひとそれぞれとはいえ、アストラさんに関してはその限りじゃない....このまま看過できるもんか。レスバトルだ」
[了解。新たなアカウントを53万個作成し、『アストラ』『ブサイク』を含むすべての投稿に対して飽和攻撃を試みます]
『やめて差し上げろ』
と、ノリノリなリンと『Fairy』をタンザナイトが止める。
[了解。53万個のアカウントを廃棄。関連するコメントを削除]
「むー....」
『そんなことしても、何も解決にならないぞ』
「....そもそも、僕たちはアストラさんの話をしていたんだよな?」
『.....結局、嫌いの理由は何でもいいんだよ。役に立てなければ別の理由になるだけ....』
「――だからこそ、こういう論調には、容赦なくやり返してやる必要があるんだ」
『.....ん?』
「そうだよ、お兄ちゃん!『Fairy』でズルさえしなきゃいいんだもんね?」
「そうとも、僕がサポートしよう」
(えぇ~.....)
意外にアキラもノリノリだったことにタンザナイトは遠い目をしていた。
そうして、アストラにまつわるスレッドを巡って、1日を潰しまわった。
―――そうして、ついに......コンサート当日まで迫っていた!
~~~~~
『スターループ 会場』
「へぇーここがうわさに聞くスターループか」
『でっかいな~やっぱ』
「見て見て!
と、リンは輝きのペンライトをもってはしゃぐ。
『これ...小さい物体と同じかんじだな....』
「見たことあるのかい?」
『ん?ああ...前にアストラを送った時にすこし見学しててな』
「うぅ...さすがはアストラさんのメル友、そこまでいってるなんて....にしても一緒にアストラさんと新年を過ごすなんて...最高としか言えないよ!」
「はははっ....折角だし写真を撮ってみないか?」
『おっいいね...自撮り?タイマー?』
「タイマーにしようか....イアスも一緒にね」
「ンナンナ!」
そう言うと、タンザナイトは三角脚を生成し、スマホで写真の準備する。
「よし...いくよ!」
『おぉ!』
タイマーをセットし、『パシャっ』とシャッター音が鳴り、写真を撮る。
「ふむ....うん、よく撮れてる」
『へー...いいじゃん、後で送ってくんない?』
「ンナナ!(ぼくもいい感じに撮れてる!)」
撮ったばかりの写真をみていると、二人のもとにアストラとそのマネージャー、イヴリンがやって来た―――
「リン、アキラそれにタンザナイトだな?君たちのことは、アストラお嬢様からよくよく聞いている。前回は直接礼を言えず、失礼したな。ようこそ、スターループへ。親愛なるゲストとして歓迎しよう――『パエトーン』、『蒼光の騎士』」
「えーっと、パ....なに?ん~?ちょ、ちょっと意味がよくわかってないかも....!」
「用心はしているようだが、私に言わせればもう一歩慎重になったほうがいいな。安心していい。君たちが『パエトーン』だと、誰かが告げ口したわけではないからな」
「それは...?」
アキラがイヴリンに理由を聞くと淡々と話す。
「
「はあ、ボンプがぶりっこする時のコツ、イアスから教わっとかないと....」
「リンのぶりっこは、もう円熟の域に達していると思うよ。これ以上上手くなるというのは、兄として恐ろしいかな....君が入っているイアスを見ていて、『おお、そんな動きをするのか....』と思うことは度々ある」
『ワイトもそう思います』
「ンナンナ(イアスもそう思う!)」
と、アキラの言葉に賛同するタンザナイトとイアスだった。
「ともかく、アストラお嬢様が君たちの助けを借りられたのは幸運だった。今後の関係についても前向きに検討したいところだ。彼女の立場上、様々な才能のある人材が入り用だからな――」
「才能ある人材?こちらにいらっしゃるお二人とエーテリアスがかね?」
『なんだこのオッサン』
「ちょっ...タンザナイト...」
「ンンッ....ホブソン専務、みずからお出ましになられるとは」
急に現れた人物にタンザナイトは『オッサン』呼びしたが、イヴリンが咳払いし、『ホブソン専務』と、話しかける。
「こちらの3人は本日のゲストとしてご招待した、リン様とアキラ様と『蒼光の騎士』と名高いタンザナイト様です。3人とも、こちらは帝高エンターテインメントグループの専務、ホブソン氏だ」
「おぉ!君があの....噂には聞いていたよ。それと、その二人はずいぶんお若いが、さぞ有望な人物なんだろうな。それで?お二人はどこの系列にお勤めなのかな?」
「そんな、たいしたところには.....六分街でビデオ屋をやっているだけなので.....」
(大雑把にプロキシのことは言えんだろうな....)
「なるほどなるほど。さて、ヤオ君の大切なゲストというなら.....イヴリン君、きみが案内してくれたまえ」
「ですが、ここのセキュリティは....」
「私がここにいよう」
「.....分かりました。それでは三人とも、ついてきてくれるか」
イヴリンがそう言うと、一緒にスターループを見て回った。
ルミナ全体を見下ろすことができ、景観は抜群だ。ただ、誰かに見られているような鋭い視線をずっと感じるのだった.....
「あのおじさんが、時々こちらを見ているんだけど....」
「ああ。今日のコンサートはこれまでとは一線を画するからな。どんな細かい見落としがあってもいけないんだ。おじ....ホブソン氏は、厳格な人物だからな」
「なら、コンサートでは何か
と、イヴリンの答えにアキラが続けて質問する。
「それはもちろん言えない。アストラお嬢様の用意した『サプライズ』をせいぜい楽しみにすることだ」
「おっと、おじさんがまたこちらを見たぞ。何やら目つきが剣吞だな....イヴリンさんも大変だ」
「まさか。私が尽くしているのはアストラお嬢様だ。彼ではない」
「僕たちがただの自由業と答えたとたん、急に真顔になったものな。恐ろしい人だ」
「『パエトーン』だと答えておけば、きっと満面な笑みが見られたと思うぞ」
『それはそれでやだな....』
「ブフッ...」
と、タンザナイトがスパッと言った言葉にリンは噴き出す。
「....ンンッ、あれも処世術だ。相手の価値を瞬時に判断し、『
「立場、ね....そういう意味では、アストラさんの方が、それっぽい立ち位置にいる気がするけど....でも、アストラさんはそんなことしないよね。」
「ああ。たとえ高みにいようとも、アストラお嬢様は人を見下したりはしない。あれだけの才能がありながら、
『えっ?そうなの?』
「ああ、お嬢様のもとに仕えることになった初日、私は彼女が、いつ本当の自分をさらけ出すのか...辛抱強く待っていたよ」
「あはは、私も私も!新エリー都で今一番輝いてるスターがあんなに開けっぴろげて、ピュアだなんて思わないよね...」
『だがそれは無防備の裏返し。悪意のある人間が近づいたらと思うと.....』
「私がそうはさせない」
イヴリンは顔を少しそむけ、それはどこか自分に言い聞かせるようでもあった。
そしてサプライズと言ったばかりの所に、サプライズがやって来た。
「イーーヴーー!」
聞きなれた声の持ち主がこちらへ向けてかけてくるところだった。
「助けてイヴ!あれ?リンにアキラにタンザナイトじゃない、三人もいたのね!」
「どうした!?」
「さっきからディレクターがカンカンなの!口から火が出るような勢いで、すっごく怖いんだから!」
「....ディレクターに否があると?あなたの為に用意した20もの締め切りをすべて破り、フィナーレを飾る新曲は白紙のまま.....今日が本当に
『あんたが悪いじゃねぇか』
と、イヴリンの説明にタンザナイトはジト目でアストラを見つめる。
「それは.....えっと、ありきたりな曲を出しちゃったらみんながっかりするでしょ!大丈夫、
「あなたのインスピレーションが湧くまで、私にディレクターをどうにかしておけと言うんだな?」
「イヴが言ったんでしょもどんな危険から守ってくれるって!さぁ、『妖怪曲書け』と化したディレクターから、私を救って!」
「本当に申し訳ないが、その手の妖魔は、私の職務範囲外だ」
『うん。これはイヴリンが正しい』
「そんなぁ!」
と、そんなやり取りをみてるとリンが思い当たるような口ぶりで言う。
「なんだか見覚えがあるやり取りだね、お兄ちゃん?」
「たしかに。頼りない妹と有能な兄の間でよく観測されていそうな会話だ」
すると突如響き渡る、お腹の底から出したような怒声が会話を中断させた。
「イヴリン!今度という今度はあいつを庇うなよ!楽譜の一枚もなくて、最後の一曲はどうするつもりだ!?アドリブでやろうってか!?」
怒れるディレクターの来襲に、アストラはリンとタンザナイトの手を引き、そのリンがアキラを手を引く形で一目散に逃げだした。四人を追うイヴリンは、思わず苦笑いする。
「やれやれ......まったく困ったお嬢様だ」