転生先はエーテリアス   作:YEX

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暗躍し始める余興

「ど、どこへ行ったんだ....?まったく、ハイヒールとは思えない逃げ足だな....!」

 

そう言い、怒り狂うディレクターはターゲットを見失いこの場所から去って行った....すると、どこからか声が微かに聞こえる。

 

「.....行った?」

 

『いったな...じゃあ解(・)除(・)するぞ』

 

タンザナイトの声がした瞬間、急に五人の姿が現れ、アストラがプハ―ッと息を吐き出す。

 

「にしてもとっても緊張したわ!ディレクターがあんなにまじかに迫ってたから!」

 

「やっぱりタンザナイトの能力は便利なのが多いな~!」

 

「透明化か....聞いたことはあるが、まさか体験するとは思わなかったな....」

 

『頼むから多人数の透明化は勘弁してくれよ...結構神経に使うから....』

 

そう、タンザナイトの『透明結晶(カモフラージュ)』で全員を透明化させ、ディレクターから隠れていたのだ。

 

「それにしても、ディレクターには同情する。これで本当に、本番直前まで待つことになりそうだからな.....」

 

「ふふ...まるであの人を見ているみたいだわ」

 

五人は部屋に入り、やり過ごそうと思っていた矢先に誰かが呟く声が聞こえた。

 

「....あなたは!アストラお嬢様、こちらの方は今回のコンサートのため、事務所が特別にご招待した――」

 

「デウィンター夫人!?まさかお目にかかれるなんて!しかも、私のコンサートで....!」

 

と、アストラが目をキラキラさせながら興奮していた。

 

「どうかテッサと呼んで。あら、あなたが持っているのはまさか....?公演の直前なのは百の承知だけど.....少し見てもいいかしら?」

 

黒髪の長髪にカチューシャを付けた人物、『テッサ』が言うと、アストラはヨランのCDを渡す。

 

「人々は口を揃えて、あなたをヨランの跡を継ぐ存在....次のスターだとたたえている。こんなことを言ったら失礼かもしれないけど、私は内心こう思っているわ――誰も、彼の代わりになんてなれはしないと」

 

『....!』ゾクッ

 

「その....ヨランの音楽は、ずっと私を導いてくれたの。彼がいなければ、私は絶対にここまで来られなかった!.....あなたにもお礼を言いたくて!このコンサートをヨランに捧げるつもりでいたから....あなたの許可が下りたと聞いて、嬉しかったの!」

 

「ヨランに....捧げる?」

 

と、テッサがピクリと眉が動いた気がしてた....

 

「今日は貴方にとって、初めてスターループで歌う日なんでしょう。あなた自身の曲を歌えばいいわ。ヨランは.....もう過去の人よ....」

 

「ヨランの音楽に、時間も空間もないわ!ここで彼の歌を歌うのが、私の長年の夢だったの!」

 

「そう、なら――コンサートの成功を、祈っているわね」

 

と、テッサはCDをアストラへ返した。

 

「ええ!」

 

『......』

 

「.......」

 

デウィンター夫人はコンサートの成功を祝ったあと、すぐにその場を立ち去る。

その時、アストラの喜ぶ表情とは裏腹にイヴリンとタンザナイトは何やら疑心暗鬼な視線をする。

 

イヴリンは用事があるといい、その場から離れると、タンザナイトはさっきのことで考えていた。

 

(デウィンター夫人....確かヨランの奥さんだったな。アストラは目をキラキラさせてたが....何だろうな、ヨランのことを言うと雰囲気が少し変わったように感じたな....)

 

(.....ぶっちゃけるとこの後、何が起こるか分からないし.....一応、調査しておくか)

 

そう思い、タンザナイトはこの場から離れるため理由付けする。

 

『なぁ、ちょっとお手洗いに行っていいか?』

 

「ん?なんで?」

 

『あー...トイレだよ、トイレ』

 

「へー....エーテリアスってトイレするんだ....」

 

「なんでそこに興味深々何だい?」

 

『ンンッ....取り敢えず、コンサートには間に合わせるから、そこで待ってて』

 

「分かったよ....じゃあ行ってらっしゃい」

 

そうして、タンザナイトはこの場から離れ、調査を進めるのであった。

 

 

 

 

「....実際、エーテリアスの身体ってどうなんだろうか?」

 

「新エリー都七不思議の一つだね....」

 

「その2から6はどこからなんだい....?」

 

~~~~~

 

所変わってイヴリンは、アトリウムへ向かっていった。

 

如何やら、ホブソン氏とスパイについて話し合うということで来たらしい....着いて早々ホブソン氏は口を開く。

 

「イヴリン・シェヴァリエ。『ラッキーエリー』のプロデューサーを務め、その後パルカファクトリー・フィルムズに3年間、助監督として在籍。2年前、モ(・)ニ(・)カ(・)君(・)の(・)推(・)薦(・)を受けて、我が社でのキャリアを始めた....まったく素晴らしい経歴だな!本当の経歴ならどれだけよかったことか....なぁ『シャーレ・グリーン』?」

 

「......」

 

と、経歴がバレていることでイヴリンは黙る。

 

「諜報組織きっての精鋭が、我が社の最も重要な資産のそばに潜んでいようとはな。まったく憂慮すべき事態だ。フーガの連中が打(・)ち(・)込(・)ん(・)で(・)き(・)た(・)釘(・)なんぞはとっとと抜いてしまうに限る。そうは思わんかね?」

 

「それは、アストラお嬢様のご意思でしょうか?」

 

「おやおや、彼女に『意向』を表明できるような権利があると本当に思っているのかね?言っただろう。彼女は我が社の重要な『資産』だ。あいにく、グループの決定に介入できるような資(・)格(・)は(・)な(・)い(・)」

 

「.....そうか。資格がないのは、私のほうだったな」

 

「む?」

 

(彼女がそんなことをするはずがないのは、明らかだったのに.....つい疑念を口に出してしまった)

 

と、アストラを疑ってしまったと、自己険悪してしまうイヴリン。

 

「たとえ陽の光のもとにいようとも、影から這い出たものは....影以外になれはしない―――その通りだ。私は確かに、フーガからお嬢様のもとに送り込まれてきた」

 

「ふん、どんな言い訳を聞けるのかと思っていたが.....まぁ、面倒を省いてくれるぶんには大歓迎だ 」

 

「だが、お前の敵というわけでもないんだ。フーガはあくまで組(・)織(・)に(・)金(・)を(・)払(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)に過ぎない。ゆえに私個人とフーガの間には、いかなる『忠誠』も存在しない.....聞け。奴らが帝高に送り込んでいるスパイは、私一人ではない」

 

「な、なんだと!?」

 

と、ホブソンは驚く。

 

「お前も知っての通り、帝高とフーガの間に横たわる宿怨は今に始まったことではない。打倒帝高の悲願を、私一人の肩に担わせると思うか?やつらの計画は、私もついさっき知ったところだ。それでも全貌とは程遠いがな。いいか、私たちが今すべきは――」

 

「『私たち』?お前が靴替えしたのか、降参するふりをしているのか分からんが.....私に推理ごっこの趣味はないのでな。それが罠でないとどうしてわかる?」

 

「私はただ、アストラお嬢様の安全を.....」

 

「心配には及ばない!帝高の資産は、もちろん帝高が守ってみせる。よそ者の手を借りずともな。君のもたらした『情報』については調査させるとしよう。それでは....2年に渡る我が社への貢献に、感謝するよ―――やれ」

 

「ちっ....アストラお嬢様の意向でない以上、加減はしないぞ」

 

イヴリンがそう言うと、襲ってくる護衛たちをなぎ倒しに行く。

 

 

 

 

 

 

「お嬢様の安全を守る。それが私のすべてだ.....続ける気なら、容赦はしない」

 

「くっ...」 「つえぇ....」

 

数分後、そこにはボロボロの護衛たちが床に這いつくばっていた。

いくら護衛でも所詮は敵モブ....悲しきことよ。

 

「目標地点に到達!」

 

すると現れたのは、フーガの手下らしき人物が多数現れた。

 

「何事だ....!?」

 

と、護衛たちが倒れていることに驚くフーガの手下たち。

 

「くっフーガの連中か....!いいか!この女は奴らとグルだ。まとめて捕えろ!」

 

そう言い、帝高の護衛たちはイヴリン達に襲い掛かってくる。

 

 

――――

 

一方で、アストラのコンサートはもう始まっていた。

 

「こんばんわ、新エリー都!」

 

アストラが豪華な服装で、装置を使い、空中に浮いていた。

 

「用意はいいかしら?....それじゃあ皆に魔法をかけてあげるわ!」

 

そう言いアストラは歌い出した。

 

するとなんと、スターループの一番上の会場が空へ打ち上げて行った。

 

 

――――

 

イヴリンは、なんとか帝高の護衛から逃げ切り、天井の排出口かスタイリッシュに現れる。

 

「....!」

 

だがそこにはフーガの手下たちが待ち伏せされていた。

それだけでなく、帝高のボディーガードも現れる。

 

「スパイは所詮スパイだな!」

 

「裏切り者め、逃げようなんて思うな!」

 

「帝高の連中とスパイ....まとめてやれ!」

 

「....こんなことよりも、もう一人のスパイを突き止めるのが先だ」

 

イヴリンがそういうがどこ吹く風....その言葉は怒声によりかき消され、次々に襲い掛かってくる。

 

「ステージの方はどうなっている?....くっ、客席にも人を置いていたか....!」

 

「これで全部だと思ったか?俺らはあくまでも先陣さ!」

 

「帝高の連中を足止めできれば――仲間が自由に暴れられるからな!」

 

次々に襲い掛かってくる敵をイヴリンがなぎ倒すが、また次と敵が現れ、苦戦を強いられる。

 

「お嬢様?アストラ!?中央制御室!聞こえるか!....通信が切断されている!?」

 

「『組織』を裏切るとはな!死ぬ覚悟はできているのか?」

 

だが、それだけではなく、『組織』の人間まで現れることとなる。

 

「『組織』のやつらまで....ますます厄介なことになったな...っ!」

 

ドコッ!!

 

「がはっ...!」

 

戦闘続きで疲労していたのか、大ぶりの攻撃が回避できずに吹き飛ばされる。

 

「ぐっ....うう...」

 

「見ろ!倒れたぞ!」

 

「このまますむと思うなよ!」

 

(くっ...すべて私のせいだ。もっと早くお嬢様に正体を明かしていれば....ここまで事態が悪化することはなかったかもしれない.....あっ....)

 

倒れているイヴリンの近くにあったのは――タンザナイトから貰った結晶だった。

 

(中央制御室が占拠されたなら、私一人ではどうにもならない.....だが、お嬢様やレインも見込んだ『パエトーン』と『蒼光の騎士』なら.....!あの三人なら、力を....貸してくれるはずだ.....!)

 

そう思い、イヴリンは結晶を手に取る。

 

「なんだあの結晶は?」

 

「あれは....エーテル結晶か?なんで?」

 

「っ....今はもはや、私一人ではどうやっても無理だ....だから頼む、タンザナイト――

 

 

 

 

 

 

――力を貸してくれないか....?」

 

シュルルルルッ.....ガガガっ!!

 

「「「「なっ!?」」」」

 

イヴリンは結晶に震える声で言い聞かせると―――突然、どこからか現れた結晶の鎖が敵をまとめて拘束し、吹き飛ばした。

 

 

「「「「「うわぁぁぁぁぁっ!?」」」」」ドッカラガッシャァァン!!

 

 

「.......」ポカーン

 

その惨劇に、唖然となるイヴリンに、突如姿が現れる。

 

『....まったく、調査して正解だったぜ....まさか裏でこんなことが起こっていたなんてよぉ...』すいぃぃ...

 

「だ....誰だっ!!」

 

「こいつ....カ(・)メ(・)レ(・)オ(・)ン(・)みたいに姿が現れたぞ!!」

 

「ちょっと待て....エーテリアスだとぉ!?」

 

『よっイヴリン....召喚に応じ参上したぜ?』シュッ

 

「タンザナイト....!」

 

そこに現れたのは、『透明結晶(カモフラージュ)』を解き、ハンドサインをするタンザナイトであった。

 

 

 

 

『さてと、お前ら....俺の友達にこれ以上手にかけるなら....命かけろよ?』

 

タンザナイトが鈍く光る....まるで怒りをあらわにしているように.....

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