『ふぅぅ....寒っ』
タンザナイトは、手をこすりながら温めながら今、ルミナスクエアに来ていた。
何故かというと、もちろん新年を祝うために来たのだ。
「あれ?タンザナイトじゃん!」
『ん?おお、リンとアキラか....お前達も新年を祝うために?』
「それもあるけど...『灯し人』のボンプを決める『エリーズ・ゴット・ボンプ』に優勝したからその過程できたよ!」
『.....なにそれ?エリーズ・ゴット・ボンプって?』
「知らないのかい?年に一度行われる、ボンプの見た目を競うコンテストさ....『灯し人』は、新年を迎える瞬間にそのコンテストに優勝した人が『華歳の灯』を灯す人なんだ。そして今、点灯式の準備をしているのさ」
『へー....』
「今アストラさんと一緒に来てるの!良かったらタンザナイトもどう?一緒に新エリー都の新年を過ごそう!」
『おぉ、いいぞ。じゃあ時間までその辺探索してくるわ』
タンザナイトはそう言い、アキラ達と別れる。
辺りを探索していると、見知らぬ人から声をかけられる。
「そこの君、少しいいかな?」
『あぁ?』
そこにいるのは、金髪、エルフ耳、八重歯、右目が水色/左目が赤色のオッドアイなどの特徴を持つ、どこか吸血鬼じみた容貌の男性であった。
『....あー、誰?』
「ふふ、名乗るものでもないさ....それより君、もしかしてあの『蒼光の騎士』と名高いタンザナイトかい?」
『ん?あぁ、そうだけど....』
「これはこれは...ぜひお近づきの印に握手しても?」
『それくらいならお安いご用だな』
タンザナイトがそう言い、金髪の男性と握手を交わした。
「うん、ありがとう!...ではまた、何処かで」
『あぁ.....』
金髪の男性はその場から立ち去っていった。
『それにしても....あの金髪、どっかで見たことあるような...?』
「ふふ...」
金髪の男性の手には、
~~~~~
『にしても見知った顔が多いな~....ん?』
ふとタンザナイトが目を引いたのは....紫髪の赤目で傘を持ったお嬢様風の女性であった。
(あの癖が凄そうなビジュアル...間違いない、この人後々関わってくるやつだ!俺じゃなきゃ見逃しちゃうね....)*1
と、じっくり観察していると、見知った顔が挨拶してくる。
「あれ、タンザナイトじゃん。明けましておめでとう!」
『ん?ニコか?明けましておめでとう。』
そこには邪兎屋率いるニコであった。
『....にしてもなんだその衣装?』
「ふふん!どうよ、イケてるでしょ?」
ニコの服装は、いつものではなく、全体がニコの髪型と同じ色の服装に、後ろにヒョウ柄のアクセサリーが装着されていた。
『ふむ.....うん、可愛いと思うよ』
「ふぇ?....そ、そんな直球に褒められると...ゴニョゴニョ....////」
と、素直に褒められたことに顔を赤くするニコ。
『....もしかしてお前も『エリーズ・ゴット・ボンプ』に?』
「ハッ....コホン、そうなんだけど...オーディションで負けたわ...」
『あー....』
「けどそれはいいわ...何たって、ディニーをがっぽり儲かる方法ができたから!」
『うわっすっげぇ自信』
「ふふん!見てなさい!これで借金なんてすぐに返せるんだから!」
『ふーん...まぁ期待はしておくよ....一割くらい』ボソッ
「聞こえてるわよ、タンザナイト!」
なんやかんやで、見知った顔と新年のあいさつを交わし、点灯式までの時間を潰したのだった。
「ンナ―!」トテテ...
点灯式開始時、イアスは円状の舞台に着くと、アストラが道を作り出す。
「ンナナ!」ダッ
アストラが作った道をイアスは全力ダッシュで駆けていく。
「走ってイアス、いって!」
「走れイアス!」
リン達がイアスを応援してる中、最後まで完走し、奥にあるスイッチを押す。
「ンナ」ピッ
すると光だし、その光は上へと登っていく。
「「「「5 4 3 2 1―――」」」」
ドッパァァァァァンッ!!
「「「「「『ハッピーニューイヤー!!』」」」」」
どでかい花火が上がり、みんなは新年を送る言葉を言う。
『.....すっげぇ』
色んなところから花火が飛び放ち、タンザナイトは目を煌めかせる。
少しして、タンザナイトはリン組とアストラ組と合流し、一緒に花火を見つめていると、アストラが口を開く。
「これでようやく、仕事納めね.....」
「アストラさん、何か心残りでもあるの?」
「ぜーんぜん。私、ここまで
すると、アストラはちょっとしんみりする。
「....ただ、なんとなく考えちゃって。来年の今頃、私はどこにいるんだろうってね。去年の今頃は、こんなにたくさんのことが起こるなんて想像もしてなかったわ。あなた達と出会ってからは、まるで.....人生っていう楽章のテンポが急に速まったみたいに感じた。ヨランの遺作、事務所の問題、スターループにデウィンター夫人、そしてイヴのこと....」
『改めて聞くとすごい出来事の連鎖だな.....』
「ふふっ.....『今』という一瞬一瞬を、手放しさえしなければ、いつか.....望んだ『未来』にたどり着けるかしら?」
「「
『おっ息ぴったり』
アストラの問いに、アキラとイヴリンは完璧にハモリながら言う。
「え~?そんな綺麗にハモることある?でも、あなた達がそう言うなら.....信じてみてもいいかもしれない」
「私が望む未来は、必ずやって来るってね!」
『....ふふっ』
「貴方たちはどう?こうなってほしい....っていう未来がある?」
『えっ、俺?.....んーあんまりそういうの考えてないかな....』
「「.......」」
タンザナイトは考えていなかったのに対し、リンとアキラは無言になる。
「なあに、教えてくれないの?じゃあ、1つだけ約束してくれる?」
『?』
「さっきライカンさんにも言っていた*2、新エリー都は『笑顔の街』って話だけど.....あれ、私も同じ考えよ。ずっと思ってることがあるの。私たちが、そして新エリー都が今日まで生き延びてこられたのは笑顔の意味を知っているからだって」
「それはまた、大きく出たね.....」
「でもアストラさんの言う通りだと思うな。新エリー都に住んでたら、来年の今頃どうなってるかなんて、誰もわかんないけど.....それでも1つだけ、絶対に譲れないことがある....」
「ええ。この先、どんな未来が待ち受けていようと.....たとえそれが貴方の望む未来じゃなかったとしても、これだけは私と約束しましょ?」
「絶対に、笑顔でいること!」
『笑顔.....』
「そう...どんなことがあっても、絶対に....絶対に、笑顔を忘れちゃダメよ。それと、私の笑顔も忘れないで......ハッピーニューイヤー。行く年も来る年も、そしてこれからも、続く1年がいい年になりますように」
笑みを含んだアストラの声は、夜空に咲く花火のように空気に溶け込む。
そして、心の奥まで落ちると、まるで花びらのような柔らかな温もりへと変わった。
.....もうすぐ、春がやって来るっと――――