『暇だし、スクラッチがてらアキラたちの所へ行くか....』
タンザナイトは、暇つぶしにアキラ達がいる『RandomPlay』へ向かうこととなったが、入るときに、偶然にも客が出るタイミングで被った。
『うおっ....ん?あんたは...』
タンザナイトが目に入ったのは...金髪、エルフ耳、八重歯、右目が水色/左目が赤色のオッドアイなどの特徴を持つ、どこか吸血鬼じみた容貌の男性であった。
「おや....いつぞやのエーテリアスじゃないか....」
『ああ...たしか握手を求めた人か....お前もここに?』
「ああ、だが俺の目当てのものがなかったがな....」
『そう?...見つかるといいな』
「ああ、では俺はこれで....」
そう言い、男は離れて行った。
(.....なんだか不思議な人だったね)
『.....なーんか見たことあるんだよな....』
タンザナイトは悩みながら、店へはいった。
――こうして、タンザナイトも物語のスタートへと足を踏み込んでいったのだった....
『おっす、暇だからきたぜ』
「あっタンザナイト」
(遊びに来たよアキラ君、リンちゃん!)
「インフィニティもおはよう!....やっぱ急に来るから、ビクッてなるなぁ~」
『...どうした?なんか悩んで?』
店に入ったタンザナイトは挨拶すると、リン達が相談らしきことを目にする。
「ああ、実は...さっきのお客さんについてね」
「さっきのって....あの吸血鬼っぽい金髪の?」
「うん....それでね、思い出したの。あのコンテストで、彼はいきなり棄権したんだ!」
(『....コンテスト?』)
「ほら、前に話したボンプの」
「あーあれね....」
(へー....ボンプの大会か....見たかったなー....)
その言葉でタンザナイトは納得した。
「とはいえ、まるで初対面のような対応には引っかかる....僕たちのことを忘れてしまったんだろうか?それとも理由があってそんなフリを....?」
「まぁ、なんであれ、彼に感謝だね。今回の収入で数か月分の電気代が賄える....今日はついているぞ」
『えっ?収入?』
「じつは.... 」
アキラはよくわかってないタンザナイトに説明する。
―――どうやら、ヒューゴと言う人物が、このビデオ屋に予約しに入り、かなりの前金を振り込んでいたらしい。
『へー....変な人だな』
「うーん....悪い人ではなかったけど....そうだ!確かルミナスクエアでオークションの宣伝を兼ねて抽選会があるんだっけ...せっかくだし、運試ししようよ!」
(抽選会!行ってみたいな~!)
『へー....そんなのがあるんだ...よし、行ってみようか』
「そうかい?なら僕が店番しておくから、早めに済ませてきてくれ」
こうして、リンとタンザナイトは抽選会があるルミナスクエアへ足を運ぶこととなったのだった。
~~~~
『ルミナスクエア』
「豪華景品がずらり!運試しはいかがですかー?」
到着すると、多くの人がずらーっと並んでいた。
「こんにちは、抽選ですか?ただいま込み合っていますので、最後尾に並んで頂いてよろしいでしょうか!」
『うわー凄い人数....』
「ん?あれは...」
すると最後尾の所に、見慣れた人物がいた....
「やはり来てくれたか、店長くん....それと、エーテリアスくんも来ていたとは」
『さっきぶりだな』
「あなたもいたんだね、ヒューゴ」
「予測できないからこそ、運命は人を魅了する。ゆえにチャンスさえあれば、俺はそれを試すことを厭わない」
(な、なんか難しいこと言ってる.....)
「とはいえ、随分と込み合っていることだ。ここを訪れる人は皆、自らの幸運に全幅の信頼を置いているようだな」
そこで突然、ひとりの人物が
「ちょっとあんた、割り込みなんてやめなさいよ!」
「なんだ割り込みくらい、僕が誰だか知らないとでもいうのか?」
(うわー....何この人、感じ悪....)
『だな。お里が知れる....』
「誰だって割り込みはいけないと思うよ!」
「お前――!物を知らないやつだな....!目の前のポスターをみたか?そこにいらっしゃるハルトマン様こそ、我が一族の現当主にあらせられるぞ!お前達がここでくじ引きに興じていられるのも、ハルトマン様の後援があってこそなんだ。我が一族の社会貢献はそれに限らず――」
『......ピクッ』
(.........)
「ヒエッ――――」
タンザナイトが殺気混じりの威圧でそこにいた男を黙らせる。
「タンザナイト?....ど、どうしたの?そんなに殺気だって....」
『....別に?そこの『
「.......」
「こ、この....僕のメンツを踏みにじられたのは初めてだ....待っていろ、こんなもん電話一つで――待った、僕の財布は?僕の財布がどこにもないぞ!?」
と、狼狽える男....すると、男は何かに気付く。
「.....そうかそうか、だからわざわざ僕の気を引くような真似をしたんだな!その際に財布を....!この泥棒!」
(「『はっ?』」)
なんと、男は近くにいたリンに財布を盗んだと、難癖をつけてきた。
「そうだ!僕に一番近かったのはお前だろう、今すぐ僕の財布を返せ!」
「根拠もなしにそのような物言い....良い習慣とは言い難いものだ」
『だな』
「フンっ、僕は勘が鋭いからな。最初からお前達にはどうも違和感があった....エーテリアスもいるし、それみたことか!」
「ちょっと、タンザナイトは違うでしょ!」
「.....この男の説得は、いささか骨が折れそうだ」
こうして、この男を説得するために何故か言い争うこととなった。
「ふん、隠したって無駄だ。お前の正体はとっくに見破っている!善人ぶっているが、その裏に別の顔を隠して....巧みな手腕で多くの人々を悩ませている....おまけにその道で知らぬものはなく、名声や地位もほしいまま....そうお前こそが――新エリー都でもっとも悪名高い怪盗団、モッキンバードだ!」
『その名高いモッキンバードがこんな小さいイベントに足を運ぶか?.....あっゴメン、お前も名高い一家だったな。すまん、HAHAHAHA!』
(ぶっふ!)
「プフッ....」
「こ....こいつっ!」
と、バカにしたような笑いで男がヒートアップする。
「とにかく、そんなことはどうでもよくてだなぁ....!お前、僕が誰なのか知らないだろう!」
『知らん、誰だお前』
「そんなにハッキリ言うなよ!?.....僕はカーティス・レイヴンロック――あのTOPSの中でも一族、
『....そうやって、一々くだらないことでレイヴンロックの盾にすればするほどレイヴンロック家の名声とか信頼を失うからやめとけ。そういう切り札はここぞという時に懐にしまっとけ』
「ぐっ....こいつ」
『たっくこれじゃきりねぇな.....』
(っ!剣君、あそこ見て!)
『ん?』
そこでみたのは、猫が財布と遊んでいる姿だった。
『おいおい....犯人はネコちゃんじゃねぇか....っていっても今のあいつは耳を傾けねーだろうな』
(どうしよう....)
『.....あっ、良い事思い付いた』
(?)
「ごほん....いずれにせよ、僕の財布がなくなったことに変わりはない!ディニーがこれでもかと詰まった財布がな!誰かが責任を取らなくちゃならない!」
(お待ちなさい....)
「っ!だ....誰だ!?」
「この声...インフィニティ?」
「っ....変な感覚だ...」
すると、カーティスたちの頭の中で声がした。
(私は天の使いのものです.....今までのやり取りを拝見しましたよ)
(天の使い?)
「お...おお、こんな力を使っているのは間違いないな....そ、そうだ!この者たちが俺の財布を奪ったのです!どうかこの者に罰を」
(いいえ、この人たちは無実です。犯人が誰なのか分かりました。見ていたので)
「なっ...!で、では一体....」
(あそこに遊んでいる猫を見てください....それが答えです)
「ね...猫?――――あぁぁぁぁぁっ!?」
カーティスは遊んでいる猫を見ると、自分の財布だと分かり飛び出していった。
『....はぁ、やっとうるさいのがいなくなった』
「今のって....インフィニティだよね?」
『そうだ、まぁちょっとした茶番だな』
(結構名演技だったでしょ!ふふんっ!)
「あはは!確かに...」
「....失礼、今は貴公が?」
『ああ、そうだな。まぁー説明すると長いから要約するが、俺がエーテリアスになる前の持ち主が幽霊みたいな感じで入ってる...そしてそいつは目に見える範囲で『テレパシー』のような感じで話しかけられる』
(こんなふうにね!)
「....まったく、このエーテリアスは常識はずれがすごいな」
『よく言われる』
「....幸い、あの男も然るべき罰を受けた」
『罰?.....あぁ』
と、カーティスを見ると、何かショックをうけて地面に伏せていた。
――――多分、財布の中身が無くなったんだろう。
「かような愚行に及んだ時点で、覚悟はできていたはずだがね。誰かに害をなさんとすれば、まったく同じことを報いとして受ける....俺に言わせれば、それこそが真の『公平』なのだ。我々の住む世界には、この種の公平が著しく欠けている。そうだろう?」
「....そうだな」
(......)
タンザナイトは今まで出会った出来事を思い出す。
「従って俺は、『公平』を期すためであれば、時に特別な手段に依ることもやぶさかではない」
「なんか怖い事みたいに聞こえるけど、まさか....」
「秀逸な映画というものが、早々に結末を明かさないのと同様に....君達には思う存分真実を求める権利がある。いずれにせよ、この場でまみえたことは僥倖以外の何物でもない。君達と俺の邂逅を記念して....この抽選券を受け取ってくれたまえ。君達に幸運をもたらし、汚らわしき者たちや、取るに足らない物事を忘れさせてくれると願っているよ」
そう言って、抽選券を渡した。
「ああ...そうだ、TOPS傘下にいるレイヴンロック家のことは、君達も聞いたことくらいあるだろう」
するとヒューゴがレイヴンロック家について話す。
―――かつてTOPSにおいて絶大な存在感を誇っていたが、現状は資産と評判の両面において、かつての栄光には遠く及ばないらしい。ヒューゴは『因果応報』だと言っていたが....
「とにかく今後、レイヴンロック家の人間に出会うことがあれば、距離を取ることをすすめる―――無論、TOPSの人間なら誰であれそうすべきだがね。何しTOPS財政ユニオンは、新エリー都を頂きで統べる者たち....少なくともそのうち一方と言えるからな。当然、もう一方とはメイフラワー家に代表される市政勢力だ」
(な、なんか凄そう...)
「両者は水面下において
そう言って、ヒューゴは去って行った.....取り敢えずリン達は、この抽選券を引き換えに行った。
「先ほどはありがとうございました。あなたとお友達がいなければ、あの人とのやり取りはだいぶ長引いてしまいそうでしたから....あっ賞品の交換ですよね?」
「うん、お願いしまーす!」
リンがそう言うと、抽選券を渡した。
「ではチェックさせていただきますね、あなたの抽選券で当たったのは―――とっ、特賞です!本抽選会で唯一の特賞がでました!」
『えっ』
(わぁっ!すごい!!)
「私が!?」
「抽選券は嘘をつきませんから!今日の特賞はあなたのものです!おめでとうございます!」
『よかったなリン!』
(おめでとう!)
「賞品は50000ディニーです、こちらをどうぞ!」
そう言って、リンは賞品をゲットした。
――――リンはこの日、うきうきで家に帰って行ったとさ。