「来てくれたな、わが友よ。時間にも正確だ」
目的の場所に着くと、そこにはヒューゴがいた。
「手短に話そう、ある人物を追跡して欲しいのだ。彼のやることなすことを尽く記録し、俺に知らせてくれたまえ。その人物とは―――ハルトマン・レイヴンロックだ」
『っ!!』
「それは、レイヴンロック家の当主の?」
「そうとも。彼のスケジュールは手に入れてある、しばらく後、この辺で誰かと会う予定のはずだ。彼らがやりとりしている具体的な詳細が、俺には必要なのだ。むろん引き換えに、招待状は俺が手配しよう」
『....あいつにどんな理由が?』
と、タンザナイトはハルトマンを観察する理由を聞く。
「包み隠さず言おう。俺がこれまでに手に入れた情報によると、レイヴンロック家が何やらよからぬ計画を企んでいるようでね。そこで、顔の知られていない君達に頼みたいのだ。安心したまえ、これは違法なことではない。偶然....彼の近くで『話がきこえてしまった』だけだ。治安局を呼ばれたところでどうにもできまい」
『ふむふむ...』
「―――それに君たちは治安局にも人脈があることだしな」
「治安局だけじゃないけどね....」
「ならば、良い知らせを待たせてもらうとしよう」
そう言い、ヒューゴはカフェへ向かった。
―――その後、リン達はハルトマンの会話をこっそり聞くため、向かっていく....
「....些細なことは省け。俺の時間は貴重なんだ、要点だけ言え。臓器...?あれはもうとっくに終わった話だろう、主導する人間もいなくなったのだからな。
『.....っ』
(剣君...)
『....分かってる、
「とにかく、この件はもう打ち切りだ。証拠は何ひとつ残すなよ。わかったか?ところで...
(薬?.....)
「....フン、万に一つのミスも許さんぞ。忘れるな、我々の提携相手は危険な連中ばかりだ....必ず成し遂げろ、失敗は許されん」
そう言うと、電話を切り、場所を移動した....当然リン達もコソコソと移動した。
次にあったのは...一人の男がハルトマンと会話をしているところだった。
「新しくはじめた保険のほうはどうだ。順調か?」
「順調です。しかしハルトマン様、これで本当に儲けが出るのでしょうか?我々は資金はすでに...」
「チッ、金などなるものか。損がでなければ御の字といったところだ。全てはエドモンド様のご命令だ...一族の評判を上向かせるには、慈善活動もやむなしだとな」
「彼ら、手に負えない不採算事業を我々に丸投げしているともとれませんか?さすがにあれは―――」
「口を慎め。すべて承知の上だ。TOPS内部での発言権を取り戻すには、着実に段階を踏んでいかねばならん...フン、やり遂げてみせようではないか」
そして、こっそりと聞いた情報を整理した後、ヒューゴと約束して、花屋の前で情報交換をすることにした....
「またお会いできてうれしい限りだ。相も変わらず、君達は優雅にして人を惹きつける。例の件についてだが、いくらか進展があったのではないかね?」
そう言うと、タンザナイト達は密かに探りを入れたハルトマンに関する情報をヒューゴに伝えた....ヒューゴは目を伏せ、とても集中して聞き入っていたが、無意識か、機密な細工のコインを二枚、その青白く細長い指先でもてあそんでいる。話が要点に差し掛かると、ようやく彼は細かな点を確認しはじめた。
これまで見たことない真剣な顔で....
「なるほど....俺が想像していたよりもことは
『怖っ!?』
(オークションってそんなに大変なの!?)
「や、八つ裂き!?」
と、ヒューゴがかなり恐ろしい発言をしたことでタンザナイト達は驚く。
「虎に向かって皮をくれと求める者が、無事で済む道理もあるまい....常にある程度のリスクはあって然るべきだ。何より公平のために。だが、俺は店長くん達の人となりに全幅の信頼を置いているのだ。この命は君達に
「安心して、誰にも言わないから!お兄ちゃんにもちゃんと言っとくし!」
「実は、かねてより言おうと思っていたのだがね....君達ご兄妹の関係は実に素敵だ。羨ましい限りだよ。教えてくれ、店長くん、それと騎士くん。君は『肉親との関係』というものを、どう定義している?」
「お互い頼れる関係....かな、私とお兄ちゃんみたいにね。どんなことがあっても、少なくとも私にはお兄ちゃんがいるし、お兄ちゃんには私がいる!」
『そうだな...おれは守っていかなければならない存在かな?数少ない血の繋がりだし、お互いに守っていかないとな....』
(うんうん!そうだね!)
「素晴らしい、実に君達らしい答えだ」
と、ヒューゴはタンザナイト達を称賛した。
「俺にはかつて妹がいた。
「かつて、って....?喧嘩別れでもしちゃったんですか?」
「喧嘩などしたことが無い、してみたいとは思っていたが。惜しいかな....その機会はついぞ得られなかった」
『あっ』(察し)
「彼女がいなくなってずいぶん経つ。もはや顔もおぼろげだ」
「そうだったんだ、ごめんなさい....気を落とさないでね」
と、地雷を踏んでしまったと思い、リンは謝る。
「なに、俺の方から始めた話だ。言ったように、もう
そう言うと、ヒューゴは意味ありげなセリフを言う。
「地位ある者は、そうでない者をあまねく見下し、自らの野心を満たすために一切の代償を惜しまない。『上流階級』が聞いてあきれる。こういう手合いにこそ然るべき罰を期待したいものだが....惜しいかな、運命の天秤にはいつだって
(なんかわかんないこと言ってる....)
「またしても話が逸れたようだ、きょうはこの辺りにしておこう。これからちょっとした用事があるのでね、これにて失礼する。オークションを楽しんできたまえ」
そう言うと、ヒューゴは去って行った。
『最後はわけわからんこと言って帰ったな....』
(そうだね....)
「よし!招待状はゲットしたし....ライカンさんに連絡しよう!」
こうして、招待状をゲットしたタンザナイト達は、ライカンが確認のため、『RandomPlay』へ戻ることになった。
「......」
ついて早々、ライカンが何やら目つきが鋭くなっていた....
『どうしたライカン?』
「何やら『におい』が....いえ、なんでもございません。私の気のせいでしょう。プロキシ様、あなた様が手に入れたという招待状を、私にも見せて頂けないでしょうか?」
「別にいいけど...偽物じゃないよね?」
そう言い、リンはライカンに招待状を渡し、確認する。
「ふむ....これは確かに本物でございます。これだけの短時間で手に入れられたことは、お見事というほかないでしょう。ただ、私めの見間違いでなければ...この招待状の出所はTOPSとお見受けします。あなた様は、TOPSともご縁があったのでしょうか?」
「えっ....あー、TOPSのコネがある友達から貰ったんだよね!」
(ヒューゴさんから秘密にしてって言われたからね....)
その回答に、ライカンは納得する。
「あなた様のご友人、でございましたか....なるほど。ひとかどの人物ではあるようです。ご安心ください。あなた様が多くを語らないのであれば、私も詮索するような真似はいたしませんそれでは、またオークションにてお会いしましょう。どうか良き一日を」
そう言うと、ライカン達は去って行った。
「これで招待状は手に入った。あとはゆっくり休んで、オークションに備えよう」
『おう!』
タンザナイト達はオークションのため、明日に備えて休むのであった。
『そうだ、いい機会だし『
(そうだね!最近は出力をセーブできてるしね!)