転生先はエーテリアス   作:YEX

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過去の遺産

『.....』コツコツ...

 

翌日、タンザナイトはとある場所へ足を運んでいた....そこは病院だった。

 

『よう....きたぜ――ブリンガー』

 

「あっ...タンザナイトさん....」

 

そこにはベットで日向ぼっこしていた白髪の『朱鳶』の姿をしたブリンガーがいた*1

 

『あれからどんな感じなん?』

 

「ええ、あれからけっこう経ってますが、なんとかこの飛行物体の操作ができましたよ!」

 

『へー....』(使い方雑だな....)

(というか、女の子にしか見えないけど....本当に元男なの?)

 

と、にこやかに言うブリンガーの横で、ふわふわと三体のファンネルを遅めだが難なく操作していた*2

 

『....で、本題に入るけど――思い出したことって....なに?』

 

「っ!」

 

タンザナイトがそう言うとブリンガーの顔は急に変貌した。

 

「....じつはふと、思い出したことがありまして...私は確か、物忘れが激しくて何か大切なことを『手帳』でメモしていたのですよ」

 

『手帳....!それ、どこに?』

 

「えーっと.....その、記憶がはっきりしていませんが....なんだか荒野で....あと自動販売機に入れた記憶が....」

 

『なぜそこに』

 

「さっ、さぁ....何故でしょう.....」

 

(えぇ.....)

 

と、ブリンガーは苦笑いをする。

 

「あとこれは...夢だと思うのですが.....私、変な声が聞こえたんです

 

『変な声?』

 

「はい、どこか不気味で、それでいて心が安心するような....それが恐ろしいのです

 

『恐ろしい?』

 

と、ブリンガーは布団をぎゅっと握りしめる。

 

「....ええ、思い出しただけで背筋が凍るぐらいの恐怖です....この声なら()()()()()()()()()()...そんな感覚です」

 

『.....』

 

讃頌会.....あの人たちは強大な何かを持っています。それことそ『奇跡』と言えるぐらいの.....こんなことしか言えませんが....どうか気を付けてください」

 

(讃頌会....あれが、すべての元凶.....)

『....ああ、分かった。お前も、復帰できるように頑張れよ』

 

タンザナイトがそう言うと、手を差しだす。

――それに対し、ブリンガーも手を握った。

 

「....はい、ありがとうございます――こうしてみると、タンザナイトさんって結構あったかいんですね」

 

『そう?』

 

「ええ」

 

とにこやかにブリンガーは微笑む。

.....そうして、タンザナイトは情報を元に、アキラ達と合流するのであった。

 

~~~~

 

一方その頃、アキラ達はブリンガーについて、朱鳶や対ホロウ六課の協力のおかげでブリンガーの過去が知りえた....どうやらブリンガーは、讃頌会のなんかの力を目の当たりにしたことで、その存在を信じることになったらしい...そのあと、タンザナイトが連絡があり、手帳について調査するため、一旦『RandomPlay』へ戻ると、そこにはビビアンがいたのであった。

 

「お待ちしていたのです」

 

「ビビアン!?」

 

「またお会いできて何よりなのです。親愛なるプロキシさん。こそこそと嗅ぎまわっている人たちから、とっくに聞いているとは思いますが....サクリファイスとタンザナイト様を利用して、新エリー都に害をなそうとするものがいるそうですね」

 

「そ、そんなことまで知っているの...!?私だってさっき聞いたばっかりなのに...」

 

と、これにはリンも驚いている。

 

「ふふん、あなたのことをずっと見ていたのです。知っていることはこれだけではありません。ですが私はあの偽善者たちと違って、あなたに全てを教えることができます。協力関係を結ぶ以上、当然の誠意なのです。わたしは、ブリンガーの遺物を見つける必要があるのですから」

 

「遺物って....まだブリンガーは死んでないよ?.....もしかして、『手帳』のことなのかな?」

 

「なんと....わたし、()()()()()()には結構自身があったのですが....そこまで知っていたのですか?それはちょうどいいのです!ブリンガーの遺物は、例のサクリファイス襲撃事件を調査するうえでキーとなるのですから。あれを見つけることができれば、『彼ら』の企みも丸わかりなのです」

 

「その、『彼ら』って?」

 

「もちろん、讃頌会のことなのです。サクリファイスにまつわる事件の裏には、必ず彼らが暗躍しているのですから。実を言うと、わたしと讃頌会にも....いくらか()()と呼べるものがあるのです。当然、これ以上の情報は私との協力関係を承諾していただいてから....ですが」

 

「えっと...ちょっと考えさせて」

 

と、リンはビビアンの提案を考え込む。

 

「何を迷うことがあるのです?私達の目的は同じ、悪いようにはしません。そうそう、念のため確認させてもらいますが――ホロウの中で、あなたは戦力になるのですか?」

 

「それは....ほら、知っての通り私、プロキシだし....」

 

「やっぱりですか。構いません、あなたは貴重なプロキシ....進む道を示してくれさえすればいいのです。我が()()『パエトーン』様でさえ、ホロウで戦うことは不得手でいらっしゃるのですから....さもありなん、なのです」

 

「待って、今なんて?最愛の、『パエトーン』....?」

 

と、急に爆弾発言にリンは思わず驚愕する。

 

「!そうです!新エリー都で最大最高最強のプロキシ、『パエトーン』様のことです――まさかあなた、『パエトーン』様のアンチですか?

 

ビビアンがそう言いながら、冷たい視線を送る。

 

「信じてくれないかもしれないけど...実は私が『パエトーン』....だったりして」

 

「は?ちょっと何言っているのか分からないのです....あなたは確かに優秀なプロキシかもしれませんが、『パエトーン』様は別格。『パエトーン』様以外のプロキシは、すべて『パエトーン』様『未満』!

 

と、ビビアンはオタク特有の早口でパエトーンのことを褒めたたえていた。

 

「.....まぁ最も、あなたが本当の『パエトーン』様というのなら、その『パエトーン』様の相棒と言われた、新エリー都で誕生した()()()()()()()()()『あの虚狩りと互角』『蒼光の騎士』『ホロウの英雄』と名高い私が()()する『タンザナイト』様の知り合いだったら、信じてなくもいませんけど?」

 

「.....タンザナイトもファンなの?」

 

ビビアンが早口で喋る横で引きつつも、リンは聞いてくる。

 

「ええ、そうなのです!『パエトーン』様が私の『光』ならば、『タンザナイト』様は私の『希望』!.....絶望のどん底にいた私を救ってくださった....神様のような存在なのです」

 

「そ....そうなんだ、へー.....」

 

そうそう言っていると、カランっとドアの開く音が聞こえた。

 

『よぉ、リン、アキラ、来たぜ』

(来たよ、リンちゃん、アキラ君!)

 

「あっ」

 

「おや...もしかして、あなたのお仲間の青いスーツの人でしょうか?....丁度いいところに来たのです。ぜひあなたも―――エ゛ッ

 

『うん.....?お前も来ていたのか?』

 

「――――」

 

『....どうした?』

 

と、ビビアンは振り返ってみたらタンザナイトがいたことに固まってしまった。

 

「あちゃー.....」

 

「まっ....まっまっまっまさか.....あの!

 

『うおっ!?どうした急に....』

 

「あなたはも....もしかして、あの『蒼光の騎士』と言われたエーテリアス、『タンザナイト』様で間違いないのでしょうか!?」

 

『えっ...あっ...おう』

 

「――――」パクパク

 

と、ビビアンは口をパクパクしていた。

すると、震えながらリンに手を添えて指しだし、聞いてくる。

 

「あ、あのー....もしかして『パエトーン』様って.....」

 

『.....』チラッ

 

「......」

 

タンザナイトがリンを見ると、『ごめん』と、顔を伏せ、手を合わせて無言で謝っていた。

 

『ハァ~.....うん、そうだよ。今ビビアンがいる人がパエトーンだよ』

 

「     」同期中.....

 

ビビアンはあまりの情報にフリーズする。

 

『......え?何この人』

 

「あー....何て言ったらいいんだろう」

 

と、リンはタンザナイトにビビアンのことを説明してあげた。

 

『へー....ファンなんだ―――にしてもキャラ違くね?』

 

「あはは....」

 

「――――はっ!?あまりの興奮で意識が!」

 

『あっ戻って来た』

 

「まさかあなた様達があの『パエトーン』様と『タンザナイト』様だったなんて....あの!サインなんか頂いてしまってもよろしいでしょうか?あと、一緒にお写真とか....!それと、それと―――」

 

『落ち着こうビビアン、一回落ち着こう』

 

と、タンザナイトは興奮しているビビアンを落ち着かせる。

 

「っ!わ、私の名前を覚えてるんですか!」

 

『いや覚えるのなにも、昨日会ったじゃん』

 

「.......昨日?」

 

『ほら、あのオークションで』

 

「???―――オークション?い、いえその時は『タンザナイト』様はいなかったはず.....」

 

『....あっそっかあの時俺、変装したままだったな』

 

「変....装.....?」

 

『この顔なら覚えてるだろ?』バリリッ

 

「!!??」

 

そう言うと、タンザナイトは『∞モード』(低燃費版)に変化する。

 

「『タンザナイト』様が―――」

 

 

『ささやかな忠告をしてあげるのです。オークションは戦場、安易な同情は命取り.....あの騎士様のような心で行きますと、今に身ぐるみはがされてすってんてんにされるのです』

 

 

「青いスーツの人で?」

 

 

『....そうですね。人の好みにとやかく言う趣味もないです。結局のところ、芸術のもっとも尊い価値とは、人々がそれに注ぐ愛なのですから』

 

 

「オークションで出会ったスーツの人が――」

 

 

『もう一度、ささやかな忠告をしてあげるのです。目に見えるものだけ信じていては、お話になりません。誰もがみな、自分の目的を隠すことに慣れすぎているのです。時には目に見えないものこそが、真実だということもあります』

 

 

「『タンザナイト』様ぁぁぁぁっ!?

 

 

と、今まで言ってきた数々のミステリアスな言葉をファンであるタンザナイトとパエトーンにに言ってきた自分に恥ずかしく思い顔が赤くなる。

 

「ああああ......死にたい、まさかあの人が『タンザナイト』様だったなんて.....たしかにそんなセリフが言えるはずなのです....」ヘナァー

 

と、顔を隠しながら、座り込むビビアン。

 

『....その、かっこよかったと思うぜ?特に『目に見えないものこそが、真実だということもあります』ってところとか』

 

「やめてくださいお願いします。恥ずかしくて死んじゃいそうです」

 

「やめようタンザナイト、ビビアンいまにも爆発しそうな感じだよ」

 

と、ビビアンの顔は耳まで赤くなっていった。

*1
リセット・ブリンガー 参照

*2
それでいまリンゴの皮をむいている




ねじれポイント
ビビアンがタンザナイトもファンなため、パエトーンバレが早まった。
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