「....ここよ」
次々に襲い掛かって来る敵たちをバッタバッタとなぎ倒しながら進んでいると、広い荒野に着いた。
「あなたは何を落としたの?」
「指輪よ。以前エーテル物資を探した時、この近くでうっかり無くしてしまったみたいで....手分けして探してもらっていい?この辺りの、ごちゃごちゃしたもののどこかにあるはずなの....」
「わかったわ、私は向こうに行く」
「私も同行します」
「....わたしは残るのです。誰かしら彼女のそばにいるべきですから」
「心配ないわ、あなたも彼女たちに加わって。あまり時間をかけさせても悪いし....手早く終わらせましょう。でも、ありがとう。こんなことを言うのは、おかしいかもしれないけど....娘が大きくなって、あなたみたいな人になってくれたら....私は幸せだわ」
「.....」
シエナがそう言うと、ビビアンはなぜか悲しそうな顔をする。
「覚えている?あのオークションで司会者が話していた、とある伝統的な芸術家のこと....生前の彼は無名で、その作品が偶然見いだされて評価されたのは彼が
『.....』
「ハッ...彼ほどプライドの高い人間がそんなことに応じるわけないでしょ。それどころか彼は、反抗を露わにして連中の後ろ暗いところに嚙みつこうとさえした....そしてある日、彼は突然『自ら命を絶った』そうよ。でも私にはわかるの。彼は決してそんなことをするような人じゃなかった....きっと口封じだったに決まってるわ」
「....そんなこと、どうしてあなたにはわかるのです?」
「その芸術家は....私の夫で、ミラの父親だからよ」
『!』
「それは....お悔やみを.....」
と、芸術家の正体はシエナの夫だったと分かり、これにはタンザナイト達も驚いた。
「ありがとう。でもその言葉は、多分もういらないわ」
「それで、その大物というのは一体....どなたなのです?」
「ここまで来たし....教えてあげてもいいわ。レイヴンロック家よ」
『レイヴン....ロック.....』ググッ
「さっき、あそこのアンビーさんと話していたことにも彼らに関わっているわ」
「っ!....だからタンザナイトは、あんなに怒っていたんだ....」
『....ああ、そうだ....その発端はツイッギー姉さんが教えてくれた』
と、リンはタンザナイトの違和感に納得した。
「前に頼まれたコレクションは...やはり、あなたにお返しするべきかもしれません」
「結構よ」
「ですが、あなたのご伴侶が遺したものなら....」
「いいの。私と彼の絆が、物に縛られることはないから....彼を思い出すにしても、それに頼る必要はないわ。ハルトマンの手に渡ってしまう可能性があったことを考えたら、あなたが持っている方が百倍はマシだわ」
と、ビビアンがコレクションを返すのをシエナは拒否する。
「....プロキシ様、タンザナイト様、シエナさんと二人でお話したいことがあるのです。いいでしょうか?」
「もちろん、いいよ」
『俺も別にいいが....』
二人は許可を出すと、ビビアンとシエナは、少し離れた場所で何かを話し始めた....
「じゃあ指輪の件、よろしく頼むわ。私と夫の婚約指輪なの....もし見つかったら....本当に、心から感謝するわ」
『よーし、探すぞー!』
こうして、タンザナイト達はシエナの指輪を探すため、捜索を開始するのであった。
~~~~
「これ...食べ物だよね」
『なんでこんなところに....』
「パエトーン様、タンザナイト様、もしお腹が空いたのなら、私が食べ物を持ってきているのです....」
『今はまだ大丈夫だが...』
「....中身はどうなってるのかな」
『やめてくれ姉さん。それ以上いけない』
「あっぬいぐるみだ!」
『よく映画とかでぬいぐるみの中に入ってたりするよな....』
「残念ながら、何もはいっていないのです。私がチェックしましたので」
「このぬいぐるみ....なんだか和む」
「可愛らしいですね」
「弁当箱だ....」
「これは....随分と繊細な作りみたいですね」
「持ち主が無事だといいけど」
『....これ中に何も入ってないよな?』
「....どうやら空なのです。そもそも指輪をお弁当に入れようとする人がいるとは思えないのです。味を損ねてしまいますから」
「『....そういう問題?』」
「バラバラなガソリンタンクだ....」
『うーん...見当たんないな』
「あのシエナが...本当に指輪なんてものを探すでしょうか?」
「どういうこと?」
「シエナは指輪を探していると言っていたのです。一方で、彼女は私にかつてこうも言いました。『私と彼の絆が、物に縛られることはない....』」
『あっ....』
「ここまで探したのに、何の成果もなかったわけですし....もしかすると、最初から指輪など存在しなく
(.....それらしい理由)
「....戻ってみるのです」
(何故だろう...凄く、嫌な予感がする....)
~~~~
「......」
シエナの所へ戻ろうと向かっている途中、ビビアンはどこか辛そうな顔をしていた。
「ビビアン、どうしたの?さっきから何か思い詰めてるみたいだけど.....」
「彼女のことが心配なのです」
「あそこは安全よ」
「....だといいのですが」
『...あっそろそろ見えてきた――――!?』
タンザナイト達が見えた光景は....その場にいたシエナが倒れていた姿だった。
確認するが、シエナは目を閉ざし冷たくなっていた。とても安らかな表情で....
「....バイタルは、すでに途絶えています」
『なんで...なんでなんで!さっきまで普通な状態だったのに!』
「これは....ペテン師が、その最期に仕掛けたペテンでした」
『ペテン...?』
ビビアンがそう言うと、語り始める....事の発端は、二人っきりで話すところだった。
実のところ、シエナは
そうして考えたのは、ちょっとした手で審査を誤魔化して、レイヴンロック家が扱っているホロウ侵蝕保険を買うことだった。シエナが死んだあと、侵蝕された体をホロウから持ち出すことで、娘に多額の保険金が入るらしい。
どうやら、相当、レイヴンロック家に恨みを抱いていたらしい。すると、ビビアンが尋ねる。
「どうして私たちが、保険金詐欺の片棒を担ぐと?」
「あなたなら、担いでくれると思ったからよ。申し訳ないと思っているわ、こんなことに巻き込んで。でも、あの子が....ミラが生きていくためには、こうでもしなきゃいけなかったの」
シエナの目は、覚悟が決まっている目だった。
「もしミラに会うことがあったら、こう伝えてくれる?『ママの体は、侵蝕で塵になってしまうけれど....あなたへの愛はいつまでも消えない。だからどうか、恐れないで』ありがとう...あなた、いい人ね」
「......」
話し終わると、ビビアンは少し黙り込んだ。
「彼女は賭けをしていたのです。わたしたちが手を貸すかどうか......」
『......っ!』
タンザナイトは無言のまま拳を強く握りしめる。
「あなたがそれを察知したのは、何故?」
「見えたのです」
『....見えた?』
「信じてくれなくてもいいのです。わたしは子供のころから、様々なことを予見する力がありました。けれど、見えるのは不幸ばかり。病に死、災い....ずっと、そういうものしかみえなかったのです」
そう言うと、ビビアンは過去を打ち明けた....怒声、怯声、恨み声など、様々な負の感情に突き刺さったことを.....その後もビビアンはしばらく沈黙していた。暗い記憶からどうにか抜け出した。
『....』
「いつも....いつもこうなのです。見えたとしても、わたしにはそれを変えるすべがない。時々思うのです。すべては、そこに不幸を見出したわたしのせいなのではないか....ともすれば、わたしそのものがこうした不幸を招き寄せている
『それは....違うぞビビアン』
「!....タンザナイト様」
その言葉にタンザナイトは否定した。
『お前はただ....その人の不幸を予知しただけ....それを忠告しただけに過ぎない』
(そうそう!)
「そうだよ!あんたのせいじゃないよ!」
「わたしもそう思うわ」
「ずっと、苦しんできたのですね」
「....みなさん...ありがとう。何はともあれ.....今はただ彼女の冥福を祈ります。わたしに見えていようがいまいが、あらゆる不幸が.....誰にも訪れないことを願うのです」
そう言い、ビビアンはシエナを見て、祈ったのであった......
これ見て思ったけど....ビビアンってアブソルみたいな過去してるよね(災いポケモンだし、人々から勘違いされてるし....)