『『ランスパーク』!*1』バリャリャリャ!!
「うおっ!?」
『ぎゃあああああっ!?』
速攻でタンザナイトは、地面に槍をぶっ刺し、長太な電撃を発生させ、多くの部下を一掃した。
「流石タンザナイト様です....瞬きする間に、もう敵が壊滅です!」
『....いや、まだだ』
「!サクリファイスが....」
攻撃が終わり、タンザナイト達が見渡すと....ヒューゴとハルトマンの姿がなく、おまけにサクリファイスの繭らしきものが無くなったていた。
「なっ!連中が隙を突いて、サクリファイスと共に裂け目へ入ったのです....!早く追いかけましょう!」
「あいつにサクリファイスを渡してはいけないわ」
『ああ...行くぞ!』
タンザナイトはそう言い、ヒューゴたちが入って行った裂け目へ入って行った......
「くそっ!現れ――」
『邪魔!』
バリリリリッ!!
『ぎゃあああああっ!?』
ハルトマンに追いついて早々残りの傭兵たちをパパっと片付けた....
「くそっ、あれだけの数を数秒で倒しやがった.....ヒューゴ!ボサっと見ていないで、お前も手を貸したらどうだ?それと約束通り、サクリファイスのコアをさっさとよこせ!」
「.....」
ハルトマンはヒューゴに命令するが、何食わぬ顔で見ていた。
「約束?なんのことやら皆目わからないな」
「....!?」
『えっ?』
これにはハルトマンだけでなく、タンザナイト達もあっけにとられる。
「貴公、好きなのだろう?かちての仲間同士が反目し、猜疑心を深め、対立する、そんなドラマを眺めるのが....他人が自分の腐りきった一族同様、獣さながらに目を血走らせて殺し合うさまをみていると、とっくに存在しない貴公の良心が、いくらか楽になる....違うかね?」
「お、お前は、何を言っている!?」
「貴公のその表情、実にそそられる....全てがうまくいったと思い込んでいるところ誠に恐縮だが....何もかもペテンであり、存在しないのだ。今感じている苦しみをしかと記憶しておくがいい。それは、貴公らがあの時俺に与えた苦しみと同じものだ」
「お前、気でも狂ったのか。なんのことだかさっぱりだ!」
と、訳も分からないハルトマンはヒューゴに問う。
すると、呆れながらもヒューゴは口を開いた。
「まだ俺の正体に気付いてないとみえる。ひとつヒントをやろう。俺はヒューゴ....ヒューゴ・ヴラド....レイヴンロック」
『れ....レイヴンロック!?』
「嘘っ....!」
「馬鹿な!?お前が....
ヒューゴの正体にこの場にいた全員が驚く....
「認知されることのなかった落とし子として、俺の体には貴公と同じ血が流れている....」
「....そうか!お、お前はあいつが残していった...!くそっ、確か
「親愛なる叔父上、貴公は当主の地位にいるべきではない――レイヴンロック家の
「馬鹿な、お前のような雑種に、家督を継ぐ資格などあるものか!」
「それは貴公の一存ではどうにもならないな。エドモンド様は俺に大いに支持してくださっている」
「エドモンド様だと!?貴様、とっくにTOPS上層部と渡りをつけていたのか!?」
なんと、ヒューゴはハルトマンの前にとっくにTOPSの上の人に話をつけていたらしい....
「エドモンド様は、最終的に目標を達成するのが誰であるかは気になさらない。つまり、俺が貴公よりうまくやる限りは、レイヴンロック家を継ぐことを喜んで後押ししてくださるだろう」
「なんだと....!一族の本当の秘密も知らぬ貴様が....!」
「貴公が思うよりはるかに知っているとも。そちらが働いた悪事の数々も含めてな.....観念したまえ、勝ち目は万に一つもない」
「くそっ.....」
「つまり....お芝居だったということなのですね?すべては、こちらの変なおじさまをハメるためのもので....も、もう!わたしにまで嘘をついて!次やるときは、きちんと事前に教えて――」
と、今までのことを見ていたビビアンがヒューゴに言おうとすると、ヒューゴの言葉で遮った。
「ビビアン。俺のしてきたことはすべて、レイヴンロック家を首尾よく継承するため...そこに嘘はない。従ってまずは、この家督を横取りした野郎を殺して、後患の憂いを断たねばならない」
『!』スッ
「その男を殺してはいけない!サクリファイスの秘密や讃頌会について聞きだす必要が――」
と、タンザナイトは武器を構え、ライカンはヒューゴを止めるが....今のヒューゴでは聞く耳なしであった。
「何か勘違いをしているようだな、ライカン。貴様が市長を選んだように、俺はTOPSを選んだのだ。少なくともこの時点において、TOPSの利益は俺の利益。自分の利益を損なうような真似はしない――サクリファイスの秘密も、あのコアも、全てエドモンド様にお渡しする。」
「なぜだ....?」
「俺は、俺が手に入れるはずだったものを取り戻したいだけさ。運命が公平を出し惜しみするというなら、俺は自ら手を伸ばして、そいつをつかみ取りに行く。盗んででも、奪ってでも、だましてでも、裏切ってでも――俺は必ずやり遂げてみせる」
と、ヒューゴの目に映るのは覚悟ができている目であった。
「....悪魔に魂を売ってもか?お前も知ってのとおり、TOPSと市政は犬猿の仲だ。讃頌会が新エリー都襲撃を企んでいるとして、TOPSはそれを喜んで見物しているだろう!」
「メイフラワー家の威信と支持率は、地に落ちるだろうな.....そしてそれこそ、TOPSが最も望んでいるものに他ならない」
「....襲撃を許せば、多くの人が犠牲になるんだぞ」
「そうだな、まったく遺憾だとも」
ヒューゴもバカではない、こうなることを視野に入れながらも、ヒューゴ自身の野望を優先する。
「だが、俺が手を止める理由にはならない。エドモンド様が必要とされているものをすべて手に入れ、レイヴンロック家を継ぎ、頂きまで上り詰め....そして、そこからすべてを変えるのだ。勝利を末永く確固たるものにするためには、古い血肉を切り取る痛みに耐え、夜明け前の最も深い闇と向き合う必要がある。それを誰かが、やらなくてはいけないんだ」
『そんなこと、させる訳ないだろ....!』バチッ――!
「タンザナイト....うん、そうだよ!あんたはまだ引き返せるよ!」
と、各自ヒューゴを説得するが――ヒューゴの心は届かなかった。
「俺はもう道を選んだ。権力や金、そして力がなければ、俺達は何もできない。そんなことはすべて、モッキンバードが証明済みだろう?自分の力で不公平な世の中を変え、金持ちかの頭上に吊るされた剣となる....そんなものはすべて妄想だ。おれ達なんぞ、あいつらから見れば小うるさい蠅にすぎない。モッキンバードはこれまで何ひとつ変えられず、何一つ救えなかった。それは今も、この先だって変わらない。何もかも、無意味だったんだよ」
「......」
『それは違うぞ!ヒューゴ!』
その時、タンザナイトはヒューゴが言った無意味なことを否定した。
『少なくとも、モッキンバードの活躍で、希望が持てた人だっていたはずだ!』
「....すまない、騎士くん。君のいわんとすることは分かっているつもりだ。だが、これは竜殺しの少年が悪しき竜になってしまうような物語じゃない」
『えっ...?』
「時には最初から悪しき竜となって、鋭い爪と牙、全てを破壊する力を手にしなければ、勝ち目がないこともあるんだ。だから俺はこの手を汚し、この身に罪業を背負って....深淵そのものになる」
「ヒューゴ....」
「さぁ....止められるなら、止めてみるがいい!」ガチャガチャ!
そう言い、ヒューゴは鎌に変形させ、構えた.....オッドアイな瞳を輝かせて――