次の日.....タンザナイトはサクリファイスのコアが初めて現れたのはあのオークションなので、あの日以降の監視カメラのデータを調べるつもりらしいので、連絡をうけ、リン達と一緒にオークション会場へと向かっていた....
着くと、ビビアンがオークションの控室で知り合いと情報を交換していた。
「ショウル!予期せぬ遭遇ですが、ここでバイトしてくれていて大助かりなのです!」
「たまたま助っ人で入っているだけだよ.....ここ社員さんの管理がすごく厳しいだよね...私が代理で来てる新顔だってバレたら怖いし、上司が巡回してる時は警備員のバーテーションに隠れてたんだ。」
「そしたら、ちょうど誰かが来ちゃって。帽子をかぶった金髪の男の人で監視カメラの映像を抜き取ってたみたい。そのあと、抜き取ったところだけ、自分が持ってきたビデオテープに録画してたよ。あとで確認してみたんだけど、そこの映像は綺麗さっぱり消えてた....」
ショウルの人物の特徴にビビアンは心当たりがあった...
「金髪、帽子...もしかしてヒューゴ?」
「知り合い?」
「推測ですが、おそらく。もしヒューゴだとしたら....ビデオテープをどこに隠すのかは、だいたい予想がつくのです。ありがとうございます、ショウル。大助かりなのです!」
「お役に立てて本当に良かったよ。前にバイトしてた時もいっぱい助けてくれたしね。私、最初はミスばっかしてたし....あの時
その後、休憩室を離れたビビアンは、タンザナイト達を見つけると、駆け寄って来る。
「パエトーン様、タンザナイト様!お待ちしておりました!」
『おっはービビアン、なんかあった?』
「はい!昔のバイトの後輩がちょうどそのオークションで働いてたのです。彼女から聞きました、ヒューゴが過去に一度、監視カメラのデータを一つ取り出し、持ち去ったそうなのです」
「カメラを?...でもそれって、どこに行ったんだろう?」
「私が思うに...ヒューゴは何かしらの策略があるから、そのデータを隠すことにしたのかもしれません。ですが....ヒューゴがここに来た時間さえわかれば、彼がその映像テープをどこに置いたか、大体想像がつくと思うのです!」
「『えっ?』」
その言葉に二人はあっけにとられるが、ビビアンが話し続ける。
「わたしたちはこれでもモッキンバードですから、人目に避けてやり取りするような手品ができても、至極普通なこと、なのです」
「私達は過去に一度、行動中に通信連絡を使うのが不都合だった時がありました。それでヒューゴは数羽の鳥を訓練し、発信機を付けて、わたしたちの連絡手段として使っていました、任務が終わった後は、鳥たちの自由を束縛することはなかったのですが....」
「先ほど発信機の記録を調べたところ、ヒューゴが監視カメラのデータを取りに行った日、その内一羽は、オークションの近くまで移動していました。その後も時々、この近くまで飛んでくるようになっています。」
「この発信機は大まかな位置情報しか分かりませんが、これは恐らく....ヒューゴが残してくれた手がかり、なのかもしれません。私の推測が正しければ、その鳥がいる場所は、ヒューゴがデータを隠した場所なのです」
『おぉ...!まるでスパイみたいな感じだな!』
「ヒューゴが今回、どの鳥を使ったのかまではわかりませんが。あの時に選んだ鳥はみんな、基本的に黒い羽根を持っていました。パエトーン様、タンザナイト様、手分けして近くで探してみましょう」
数分後....
タンザナイト達が見つけ出したのは、一羽のカラスだった。
「この子なのです!」
『カラス....まぁ確かに黒いし、賢い鳥だな』
「この子がここにいるなら、ヒューゴが隠したビデオテープもあれらの箱の中にあるに違いありません」
そう言い、箱の中を探すと、確かにビデオテープが出てきた
しかし、それは既に破損していた――ビビアンと話し合った結果、一旦ビデオ屋に戻り、テープを修復して中身を確認してから次の行動を決めることにした。
数時間後.....
ビデオテープの監視映像は『Fairy』によって修復され、再生された。その驚くべき内容は――ヒューゴとカミエルの会話だった。
そこでしったのは、なんとカミエルがサクリファイスの休眠体を破壊していたのだ。彼女はディナが引き返せなる日が来ないことを願っているだけのことを思っての行動らしい。実はランドンの薬が一部残っており、ディナが開発した人間の精神をコントロールできる薬とかけ合わせれば、
ただ、サクリファイスのコアが始まりの主のものらしく、讃頌会が導いた方向については否定しなかった。彼女はただ、ディナが父親の過ちの中で、一生を送ることを望んでいない。
そうして、映像を最後までみたビビアンは口を開く。
「カミエルは本当に、サクリファイスの休眠体を破壊して回っていたというのですか?」
『というか、やっぱ生きてたな....それはそれとして、なんでヒューゴは黙ってたんだろう?』
「....。ヒューゴは...その....」
と、何か言いたげなビビアンだが、アキラから急なお知らせが入って来た。
「リン、ライカンさんが緊急の用事だそうだ。今すぐ電話してくれ。」
「分かった、ひとまずはライカンさんに電話だね」
そう言い、ライカンへ通話を繋げる。
「プロキシ様、タンザナイト様。突然のご連絡、まことに申し訳ありません。しかしながら、私共のほうに情報が入りましてございます。今夜、レイヴンロック家が晩餐会を主催するとのこと。更に此度の晩餐会は、特別に一族の人間がビジネスパートナーを招くことを許された、またとない機会でございます」
『晩餐会?』
「はい、近頃ハルトマンが世間の注目を浴びている一方で、レイヴンロック家の中には、この機を利用して彼に成り代わらんとする者もいるようです。かねてより市長閣下は、少なくない遺産を継承した若き富豪が名門一族の協力者を探している...という偽の情報を流されておりました」
「そしてこの情報が、折よくレイヴンロック家のバートンという若者の関心を引いたのでございます」
「つまり、こういうことなのですか?わたしはうら若き富豪を装って晩酌会に潜入し、そのバートンとやらに接触しなければなせないと?」
ビビアンの答えにライカンは頷いた。
「まさしく。そして、レイヴンロック家の邸宅に入ることができれば、そこにはハルトマンの書斎もございます」
「ふん、あの男の書斎に忍び込めれば、何かしら価値のある情報が見つかるかもしれませんが.....」
「それで...私達は何をすればいいの?」
「コホン...貴方様達さえよろしいのであれば、ビビアン様のパートナーとして共に会場入りして頂くことも可能でございます」
「パパパパ、パートナーですか!?お聞きになりましたかパエトーン様、タンザナイト様?お聞きになりましたよね!?ぜひともビビアンと一緒に参りましょうなのです!」
と、急劇に興奮するビビアン。
「プロキシ様、タンザナイト様。ビビアン様は、このようにおっしゃっておのますが....」
「ぜひご検討くださいなのです!パエトーン様とタンザナイト様の存在そのものが、このビビアン様にとって何より支えなのですから!」
「いいよ。ビビアンがそこまで言ってくれるのなら、私も一緒に行く!」
『俺もだぜぇ!』
「それでは、バートン氏と落ち合う時間と場所を、お三方にお送りいたします。万が一危険に遭遇された際は、速やかに撤収を検討されるか、私めにご連絡を。万事つつがなく運ぶよう、お祈りしております」
そう言い、ライカンは通信を切るのであった。