転生先はエーテリアス   作:YEX

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ラマニアンホロウへ

side タンザナイト

 

次の日の朝、その日は体調が良くなっていた....まるで正月元旦に新品のパンツを履いた良い気分だぜ!.....っと今日はロープウェイで集合するって言ってたし.....そろそろ出発しよう。

 

俺はその約束の場所へ向かうと、全員が揃っていた....

 

「あっ来ました....ってええ!?え、え、え、エーテリアス!?」

 

『ん?説明してなかったのか?』

 

「あはは....えっと、安心してパロさん!このエーテリアスは私たちの仲間。とっても頼りになる人だよ!」

 

「ええ.....うーん....まぁ、雲嶽山の人もいるし、大丈夫....か?」

 

と、渋々パロはこの状況を受け入れた。編み笠で多少驚かれることは少なくなったが....

 

「コホン...全員揃いましたか?準備ができたら、ホロウに案内しますので」

 

「うん、みんな揃ってるから出発できるよ。ロープウェイで生産エリアに入るの?」

 

「ええ、ここのケーブルは安定した大型の裂け目と繋がっていて、ポーセルメックスがホロウ内外を行き来しやすくするために、ロープウェイを設置したんです。交代した同僚からIDカードを借りてきたので、これで一緒に生産エリアに入りましょう」

 

「後で労災に詳しい人を君達に紹介します。でも、ホロウに入ったら下手に動き回らないでくださいよ。この辺りはミアズマが多いし、迷子になったら大変ですから!」

 

『分かってるって....じゃあ出発しようか』

 

こうして俺達はパロの案内の元に『中央製造区』という地点へ向かうこととなった....

 

~~~~

 

着くと、見たことの無い青みがかった紫色の植物がちらほらあり、変な機械が多数設置しており、人もそれなりに少なくはない....なんかザワザワ人の声が聞こえる....

 

「おお、パロさんが言ってた調査員さんたちだなぁぁぁぁぁっ!?

 

『....どうも』

 

「安心してくれエリック、この人は無害なエーテリアスだ」

 

「ぱ、パロ!?本気か!?....というかよくよく見ると服着とる!?しかも雲嶽山の!?――こ、コホン...ほ、本当にそうならよかった、おかげでポーセルメックスと交渉ができそうだよ」

 

最初はビビっていたがパロの説得で落ち着きを取り戻した。

.....服着ちゃわるいか?

 

「えっと...あなたは?」

 

「エリックだ。ポーセルメックス従業員互助会の責任者をやってる。普段は困ったことがあった時の支援や、救助活動なんかを組織してるのさ。この間の労災については、もう知ってるだろう?」

 

「大体の経緯は聞きましたっ。侵蝕緩和剤に問題があって、ホロウで採掘をしてたみなさんに侵蝕症状が起きちゃったんですよね?」

 

「そうだ。労災が起きてからこの方、みんなを集めてダミアンに賠償のことを直談判しようとしてるんだが....やっこさん、のらりくらりとかわしてやがる。どうせ賠償金を渋れるだけ渋ろうって魂胆だろう、何か打つ手がないか探してるとこなんだ。行動を起こす時だ。これ以上好き勝手させてたまるものか」

 

「具体的にどうするつもりだ?」

 

と、俺はそのダミアンに賠償させる方法を聞く。

 

「ポーセルメックスが強硬な態度を取れるのは、なんといっても俺達に証拠がないからだ。奴らにかかれば、労働者たちの集団入院も偶然、旧都陥落時の後遺症が...ってことで片付けられちまう。だからポーセルメックスの薬に問題があるって証拠を探すんだ!確固たる証拠さえあれば、みんなでやつらの不正にバシッと抗議できる!」

 

「でもでも....侵蝕の後遺症がある人たちにとって、()()()()()()が必要なことは変わりないんですよね?証拠をつかんでも交渉が決裂しちゃったら、しばらくはお薬に困っちゃうことになりませんか?」

 

確かに....その可能性があるな。

 

「そう、それが今までみんな我慢してきた理由なんだ。ところが最近、事情が変わってきてな...!ロアさんというお医者先生が、僕たちにもっと安価な侵蝕緩和剤を提供してくださったんだ!」

 

『ロア...?』

 

「ああ、ポーセルメックスの支配を振り切る決心がついたのは、彼のお陰と言っていい....いまや互助会でも中心的な存在だよ」

 

「すごいね...!そのロア先生が、どうやって安く緩和剤を配れてるのか気になるけど」

 

....それ大丈夫なやつなん?

 

「専門的なことは俺にもわからない。人を集めて独自に薬を作ってるとか、ポーセルメックスがホロウに廃棄した設備を流用しているとか聞いたな」

 

『衛生的に大丈夫なのか....それ?』

 

「そんなの気にしちゃいられない!ここで抵抗しなかったら、本当に俺達はお先真っ暗なんだ」

 

いや気にしろよそこはっ!....ってもこの人たちにとってはもう時間がないだろうけど....

 

「そうそう....ロア先生はちょうど事故があったエリアで、ポーセルメックスを追求できる証拠を探すそうだ。もしよかったら、そこで色々聞いてみちゃどうだい」

 

「わかった。色々ありがと。もう一つ聞きたいんだけど....この写真に写っている人、見かけたりしなかった?それか、撮られた場所がわかるだけでもいいの」

 

と、リンはカローレの写真を渡し、聞いてみたが....

 

「うーん...少なくともこの辺では見かけてないな。ただ、かなりミアズマが写り込んでいるようだし、場所はラマニアンホロウの深部じゃないか?俺に分かるのはそれぐらいだな」

 

「そっか...ありがと。また他の人に聞いてみるね」

 

そう言い、俺たちはそのロア先生という人物に会いに行った。

....いかにもな白衣を研究員のような見た目がいたけど、この人かな?

 

「やぁ、エリックの言っていた調査員だね?彼、通信ではずいぶん興奮していたよ....市長さんが調査員を派遣してくれたんだ!ってね。それにまさか『蒼光の騎士』も一緒にいるなんてね...」

 

『お?知ってるのか?』

 

「ええ、君のようなエーテリアスはニュースとかで聞いていたので」

 

「こんにちはっ、ロア先生!あなたがみんなにお薬を提供しているって、エリックさんから聞きまして...!」

 

「ははは....エリックは本当に隠し事ができないなあ。もうそんなことまで話してしまったのか?どうか内緒にしてもらえるかな。ポーセルメックスに知られたら、面倒なことになるからね」

 

「安心して、私達は言いふらしたりしないよ。でも、薬の具体的な製法は聞いてもいい?」

 

「実のところ、緩和剤の成分に特別なものはないんだ。せいぜい貴重なのは()()()()()くらいだけど、ラマニアンホロウならありふれているしね。それに最近、ホロウで古びた生産ラインを見つけたんだ。ポーセルメックスが旧都陥落で破棄したものらしく、友人の助けを借りて簡単に修復してみたんだけど....」

 

「これがなんと動いてね。正直期待はしていなかっただけに、いやあ、神のご加護というべきか。とにかく、そうして作った薬を僕は『解脳水』と名付けたんだ。ポーセルメックスのイカサマから、より多くの悩める人々が抜け出せるよう願って」

 

『イカサマって....どういうことだ?』

 

『イカサマ』と呼んだ訳をロアさんが説明してくれた。

 

「君達は考えたことはないか?ポーセルメックスは侵蝕緩和剤を提供してこそいる、だが彼らにとって、ホロウで働く人々を治療するメリットはあるのだろうか....と。せいぜい病気の進行を遅らせる程度の弱い薬があれば、彼らを生かさず殺さず長期間労働に従事させることができる。結局のところ、旧都陥落で侵蝕された人々ほど都合のいい労働なんていないのだから....」

 

「ポーセルメックスが賠償金を先延ばしにしていることだって、まとまったお金を手にした人々....つまり安価で息の長い労働者がはなれていくことを懸念してのことに決まっている。だから僕たちは企業の提供する薬を信せず、自分たちで侵蝕緩和剤の製法を確立する必要があるんだよ。もちろん合法ではないし、リスクも大きい...ただ、少なくともそこに希望はある

 

『....』

 

ロアさんの決死の思いに俺は心に響いた....苦しんでいる人々の為に薬を作っているのか....良いじゃねぇか!

 

「ロア先生とやら。ポーセルメックスが賠償を先延ばしにしている....とは、何か証拠があってのことか?」

 

「もちろんある。友人が現地の病院で働いていて、ポーセルメックスの医療記録を見る機会があったんだ。被害者のカルテは()()()()()され、彼らが発症した具体的な原因は伏せられていた....それで補償が進むわけがない。我々の手で証拠を見つけ出さない限り、賠償金なんて夢のまた夢なんだ

 

「とはいえ事故のあったエリアはすでに破棄され、エーテリアスだらけになっている。僕では調査には行けない....そうだ、市長さんから派遣された調査員なら、ホロウでのルート検索もお手の物のはず!調査を手伝ってもらえるなら、何が薬害を引き起こしたのか、きっと突き止められる!」

 

「『キャロット』のデータに従って、事故に遭ったエリアを調査してみてほしい。ただ、エーテリアスとの接触は避けられないと思うが....本当に大丈夫かい?」

 

「安心しろ、なれたものだ」

 

と、心配するロアさんを師匠が宥める。

 

「よし、私は事件が発生した当たりを調べてこよう。順調に行けば、事故のあったエリアの近くで合流できそうだね」

 

そう言い残し、ロアさんはその場を去って行った....よし、調査に行くか。

 

「この先が封鎖されたエリアのようだ。皆、調査の際は安全に気をつけろ。ラマニアンのミアズマがが前より増えてる....どうも怪しい」

 

「ご安心ください、お師匠さま!ちゃんと気をつけますから!」

 

「ところで、ロア先生のお手伝いで証拠を探しに行くなら、ホロウの中のデータ観測装置はどうするんだい?」

 

「そうだね....市長さんの情報によると、このあたりのホロウデータ観測装置が変なデータをいっぱい拾ったみたいで、H.D.Dシステムの調整はできたけど、そのデータモジュールを調べなきゃいけないの」

 

ああ...確かそんなこと言っていたな....

そう思っていると、引壺さんが心配ご無用と、元気づけるように言う。

 

「安心してくれ、お弟子ちゃん達、こいつは俺に任せろ。手分けして行動しよう。お前さん達はロア先生の調査を手伝って、俺は近くにある装置の状況を確認する...こっちの方が効率がいい」

 

「なら僕も潘さんの所にいようか....H.D.Dシステムと調整したいしね」

 

「わかった!じゃあお願いね、潘さん、お兄ちゃん!私の『キャロット』データにはこの辺りで問題が起きた観測装置がマークされてるの、今からそのコピーを渡すね。潘さんとお兄ちゃんは観測装置を見つけて、そこにあるデータをコピーしてくれたらいいから」

 

「でも、ラマニアンホロウの地形はけっこう複雑だし、ミアズマもあるから、私達から離れすぎないでね。潘さん達のデータ分析装置に位置追跡システムを組み込んでおいたから、何かあったら、それでお互いの居場所を確認してね」

 

「気が利くな、お弟子ちゃん!安心しろ、そこまで離れたりしないさ」

 

そうして、二手に別れて調査を開始し始めるのであった.....

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