side タンザナイト
司教の戦いが終わり、俺たちは適当観へ戻ってくると、エリックと他の人達がいたのでさっきあったことを話した。
「ついにあの司教を倒しましたね!これでもう、誰も騙されたりすることはないはずです!エリックさん、集会にいた人たちはどうですか?みんな無事なんでしょうか?」
「ああ。さっき、ホロウから出てきたやつらに会ったばかりだ。彼らも脱出の道中、讃頌会が妙な儀式をやってるのをみたらしくてな....おかげでようやく、俺達の話を信じてくれるようになったよ!『解脳水』を飲んだ人たちは問題がないか、緊急で検査を受けに行くことになった」
「それになんと、ポーセルメックスが検査費用を負担すると言い出してな。なんでも、これを機に信頼を取り戻したいそうだ。俺たち衛非地区の人間が、この災厄を乗り越えられたこと....すべて雲嶽山の先生方のおかげだ...!あの時のように、またもう一度みんなを助けてくれた...本当に、なんとお礼をすればいいか....」
と、エリックが喜びながら感謝を伝えると、他の人達も褒めたたえてくれた。
「そうだ!先生方がいなきゃ、俺の友達は今頃ホロウでオダブツだった!」
「雲嶽山の先生方、本当にありがとう!よ、よかったら私達に扁額を...じゃなかった、感謝の旗を作らせて!」
「僕...雲嶽山に入門したいです!先生方、掃除の手は足りてますか?掃除は得意なんです!」
....いや、勢い増してきたなおい。
「ちょ、ちょっと待ってください!皆さん落ち着いて....」
「福福...このようなときに使える術法を、ひとつ教えてやろう....」
『え?そんなんあるの?』
「それはだな...ゴホッ、ゴホッゴホッ....!」
すると、師匠の顔色が一変し、激しくせき込みながら、体もややふらついた。みんなが一斉に慌て始める。
『師匠!?』
と、俺は師匠を支え、師匠の体の中の異変しているエーテルを探すのだが....ん?あれ、なんか変だな?
「みんな!うれしいのは分かるけど、師匠はホロウで頑張りっぱなしだったんだから。今は休まないとダメなの!」
「確かに....つい興奮しすぎたな、俺たち。みんな!戻って先に他のことを片付けるんだ!雲嶽山の先生方に、今は休んでもらおう!お礼を言うのはまた後だ!」
昂った労働者たちを見送った後、師匠の様子はすぐ普段通りに戻った。
....やっぱり、あれは仮病だったな。
そうして、俺たちは一旦、適当観に入ることにした。
「ふぅ....みなさんすごい熱量でしたね~....ちょっと圧倒されちゃいました。それにしてもお師匠さま、『術法』って仮病のことだったんですかぁ!?危うくあたしまで信じちゃうところでしたよ!でも讃頌会のことは解決したわけですし、やっと一息つけそうですね~.....」
「いや、まだ気を抜くな。讃頌会は長らくこの地に根を張ってきた....恐らく、
「そうだね。整理できてないことが、まだいっぱいあるし....私達が地下で見つけた、讃頌会の研究所のこと...それにあのへんな物体も...何に使うのか分かってないもんね。なんだろ?厄介ごとはまだまだこれからって気がするんだけど....」
『心配すんなリン。讃頌会が何を企んでいようが、俺たちが力を合わせればあいつらの企みなんかぶっ潰すぜ!』グッ
「お弟子ちゃんの言う通りですよ!讃頌会の司教だろうと何だろうと、まとめて叩きのめすだけですっ!」
と、気合を入れていると、アキラから連絡があった。どうやら、ダミアンから連絡があったらしい....聞いてみようと、俺たちはダミアンに繋げてみる。
「コホン....雲嶽山の先生方、タンザナイトさん。ホロウにて無事、讃頌会の司教を撃退したとお聞きしました。衛非地区を救ってくださったこと...そして、間接的に私共TOPSの信頼回復を成し遂げてくださったこと...ポーセルメックスを代表し、謹んで感謝を申し上げます」
「この地に暗躍する讃頌会という病巣にポーセルメックスは雲嶽山の協力を得て毅然とこれに対処...災厄の芽を摘むことが出来たのですから。二度とこのようなことが起こらないよう、私共は輝磁産業へ追加資本を投入し、資源の管理を強化していく所存です。今なら....この私でも、
「話だけ聞いていると...ダミアンさんってなんだかんだ、今回の件で得してませんか?」
確かにな...
「何を仰いますやら。私はただ弊社従業員の福利厚生を鑑み、より多くのリソースを確保せんと奔走しているにすぎません。とにかく、今回は大変実りある業務提携となったかと....雲嶽山の先生方とは、次も手を携える機会が来ることを願っててやみません」
「さぁな。次などないに越したことはない。それから労働者の待遇を改善する件、くれぐれも有限実行することだ。この私が目を光らせておくからな....我ら雲嶽山は、既に衛非地区へと舞い戻った。過去に何があったことについても、放っておくつもりもないぞ」
「ご安心ください、儀玄先生。あなたと雲嶽山、そしてタンザナイトさんは、私の大切な賓客です。決して反故にはいたしませんよ。あと、タンザナイトさん...一つあなたに提案が」
と、ダミアンが急に俺の話題に切り替えてきた。
『え、おれ?』
「はい。先ほどあなたの細胞がミアズマの侵蝕を治療できるとお聞きしたのですが....」
『まぁ....うん、そうだが....』
「なら折り入ってお願いがありますが....タンザナイトさん、どうかその抗体細胞とやらの一部をポーセルメックスの献上して頂きたいのですが....あなたのその細胞があれば弊社の侵蝕緩和剤がより一層質が良くなるに違いありません」
どうやら、俺の抗体細胞を使って侵蝕緩和剤を強化したいとお願いされた。
....んー、どうしよっかなー.....
『あー.....うーん....いいよ♨』
「いいの!?」
「本当ですか!それなら後日、こちらで手配をしておきますので....では、私は処理すべき事案が山積しておりますので....雲嶽山の先生方各位、またお会いしましょう!」
と、ダミアンが上機嫌な感じで通信を切った...
「したたかなひとですねぇ....あんなことがあっても、ちゃっかり自分のキャリアにしちゃうんですから」
「我らには関係がないさ。道同じからざれば相為に謀らず....それまでのことだ」
「..とういか、タンザナイトいいの?あの件?」
『ん?さっきのことか?...まあ師匠たちが見張ってるし、悪いことにはならないさ。それに仮にあれをサクリファイスの原料にするのは少し難しいしな....』
「ええ?....あっそうえば、たしか体に有害なエーテルを無害にする性質でしたよね?」
『そうだ、あれはあくまで治療用だ....まぁ悪用することはないだろう』
「ほへぇ....そこまで考えてたんですね....」
「...あれ、でもそうなると...タンザナイトの会社はどうすんの?」
『それはあとでツイッギー姉さんに送りつけて研究させるさ....何かしら医療以外で開発できるはずだ。それに、ポーセルメックスの侵蝕緩和剤だけを契約すればいい話だ。TOPSについてもまだ信用しきっていないからな』
まっ、少なくともこれを機にダミアンが切り替わってきたし....多少はこの人は信じてもいいだろうよ。
「....お前さんも色々と考えるみたいだな。そうだ、讃頌会の拠点で見つけたあれだが、市長に引き渡すのを忘れるな。これで今回の調査任務も、一区切りつくだろう。分析で使い道が分かれば、讃頌会の企みを見破る足がかりとなるかもしれない」
「了解、師匠!あとで必ず市長さんに引き渡しておくね」
「よかったですねぇ~...色々あった調査任務もようやくひと段落って感じで。ただ....お弟子ちゃんの先生については、まだ行方がつかめてないんですよね...結局あの写真の出所も、はっきりしてないですし」
「そんな。姉弟子さんが手伝ってくれて大助かりだった。僕とリンは...この事件を追っていれば、きっとたどり着けると信じている」
「そうだね。今は手元にある手がかりをゆっくり調べてくしかなさそうだし。とにかく、衛非地区を讃頌会から救えたのだって充分すごいことだったんだから。先生の写真も、きっと色々探りやすくなるよ」
そう言い、この後解散するのだが...アキラがリンとタンザナイトに声をかけてきた。
「リン、それにタンザナイト。『Fairy』に、衛非地区の動画画像データを調べてもらったのだけれど...先生の痕跡らしいものはまだ見つからない。雲嶽山のみんなの前では何とかなるといってみたけれど....心のどこかでは不安がぬぐえないんだ....」
「あの写真も....今思うとミアズマの中で見た幻覚と大差ないように思えて....もしかして、全てが偽り何だろうか?先生は最初から衛非地区になんていなくて、このこと自体が、讃頌会の罠だった可能性すらある....」
「それと言えば、リン達が飛行船で襲われたことだって、連中の仕業でほぼ確定だからな....ミアズマを作り、得体のしれない儀式に興じる...その目的は一体なんだ...!」
『ていっ』ビシッ
「あてっ!」
長々と不安を言うアキラにデコピンをかまし、一旦冷静にさせる。
『落ち着けよアキラ...あんまり追い詰めるのも良くないぜ?』
「そうだよお兄ちゃん。たとえ写真が偽物だったって、讃頌会を辿っていけば、あのとき何が起こったことの真相がわかるんだから。私達が足を止めなければ、あいつらの企みだって、きっと突き止められるもん!」
「....ああ、リンの言う通りだ。すまない、僕としたことが、どうも焦り気味だったな。具体的な状況は、これからゆっくり調べていこう。なんといっても、僕たち二人とタンザナイトが力を合わせれば、できないことなんて何もないんだ」
そう言い残し、俺たちは休むこととなった....そういえば、司教は消え去ったが....本当にあの時、司教は倒したのか?―――まあ、それ考えるのをやめよ。次のことを考えるとしよっ。
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NOside
同時刻、ラマニアンホロウの深部で秘密の集会は依然として続いている....
「サラ様、我々は襲撃を受けたため――儀式を中断せざるを得ませんでした。それから情報によりますと、司教様が....その....」
「.....何度も言ったはずよ。その目で見たものが、必ずしも真実だと思わないこと、と....あなた達は、ただ敬虔であればそれでいいの」
ズズッ.....
すると、巨大なミアズマの塊から手が出てきた...その人物は、なんと倒したはずの司教だった!――だが、なにやら息切れをしているような....
「ハァ...ハァ....」ドサッ...
「っ!....し、司教様?」
「――うがぁぁぁぁぁぁっ!!」
『!?』
現れて早々、発狂する司教にサラ達共々驚愕し、その場で固まった。
「ハァ....ハァ....」
「あの...司教様...?その、計画は順調でしょうか...?」
「―――ええ.....」
落ち着いてきた司教はすっと何事もなかったかのように立ち上がった。
「あの記憶は....既に手中に収めました」
ズズッ.....ストッ
そう言うと、さっき司教が出てきたミアズマの塊から、何処か儀玄の姉のような雰囲気を感じさせる灰色の人型の怪物が現れる。
「計画を...続けましょう」
「ふふっ....ん?」
ズズッ....ストッ、ストッ
『....』
『.....』
さらに、黒いフードのようなものをかぶった一人は鯱のようなもの、もう一人はフクロウのような奇妙なお面をつけた人物が二人も現れる。
「司教様....まさかこれも?」
「えっ、なにそれ....知らん」
「えっ」
『....ふむ、ここが我々が生まれた場所か....』*1
『あ~?ここがぁー...なんだか雰囲気暗めじゃね?陰キャばっかすんでそうな場所だなぁ』*2
「あの....司教様、これは?」
「.....」
「し、司教様?」
「....計画を続けましょう」
「司教様!?」
こうして、讃頌会は更なる勢力をもって計画を進めることとなったのだった....
ねじれポイント
なんか敵が二体も増えた....
これでシーズン2の一章はおわりです。
次は海ですが、どうなるか、私気になります!