side タンザナイト
襲って来たサクリファイスを片付けた俺たちは、ビック・シードの足音とヒステリックな絶叫とともに、『シード』が讃頌会の捕虜を連れてきた。
「このよくわかんないことばっかり言うおじさんが、『シード』の戦利品だよ~」
「最後の牲祭は....まもなく始まる....舞い散る塵ごときが....如何にしてこの盛大な花火に抗えようか...?フハハハハ...!」
『何言ってんだこいつ...?』
「讃頌会の方は....いつもこんなふうに喋るのでありますか...?なんとも難解であります...」
『『シード』、黙らせろ』
「進行も持たぬ痴れ者が―――うっ―――」
ビック・シードが讃頌会の手下を気絶させた。
「あーあー、『ビック・シード』ったらいけないんだあ。捕虜は大切に扱わなきゃだめなんだよ~」
『フン。このクズどもがやってきたことを思えば、多少手荒くしてやるくらいがちょうどいい』
確かにな....下手な犯罪者より凶悪だもん、あの組織。
「讃頌会がふつうの悪役と違うのは、
『だからこいつらは『狂言者』なのだ。エーテルを、新エリー都に仇なす毒へと変え、悪行にふけるクズどもにすぎん....だったら見せてもらおうじゃないか、50口径の炸裂弾と軍用の高火力レーザーを前にしても、同じように敬虔でいられるかをな』
『落ち着け鬼火....いくら讃頌会が悪だとしても、騙されてる人だって
『ちっ、まだ何人も捕まえていないんだぞ。もうこいつらを庇い始めるのか?それともなにか?貴様はエーテリアスだから、讃頌会に肩を持つのか?そうだろな....聞けば、どっかのクズどもがお前を作られたらしいな....それほどその作り手に『愛着』というのがあるのか偽善者―――』
「ストーップ!!『鬼火』隊長!ただいまの発言は、イゾルデ大佐の定めた『対『パエトーン&蒼光の騎士』用臨時言語規範(『鬼火』専用)』に抵触するものであります!」
なにそれ!?そんなものあんの!?
『はぁ?そんなものがあるなんて聞いてないぞ!』
「戦友に厳しい言葉を投げつけるなかれ、士気を下げるようなネガティブな言動は慎むべし....そう叩き込んでくださったのは、『鬼火』隊長のはずでありますっ!」
『フン、私はこいつらを戦友だとは認めていない、だからノーカウントだ....少なくとも今のところはな』
『はぁ....肩書が何だろうが、腹の探り合いだろうがどっちでもいいけどさ.....今はとりあえずやるべきことをしっかりやるぞ、だろ?『鬼火』隊長?―――あと、それと』
『?』
『俺のこと『偽善者』って言っていたが....別にそれでもいい。それで人々を助けられるなら、偽善だろうが悪名でも俺は構わん』
『―――っ。望むところだ、『タンザナイト』』
鬼火の機械で出来た眼が燃えるように一瞬煌めいた。
「それで....さっそく伝えておかないといけない情報があって....さっき、『オブスキュラ』から出てきたのは、讃頌会が作った生物兵器なの。私たちは、『サクリファイス』って呼んでる。それで....そのオブスキュラと、それを製造する工場は、ラマニアンホロウの至るところにあるの」
『いや...どうもラマニアンだけではないようだ。ポーセルメックスが提供した資料にイゾルデが持ってた情報を合わせると、衛非地区にも大量の『オブスキュラ』が配置されている。その数は....ざっと
ダニィ!?300だと!?もの売るってレベルじゃねぇぞ!!
「300...!あんな怪物がそれだけの規模で襲って来たとしたら、たとえオブシディアン大隊が総出でも....」
「うんうん~、いくらオブシディアン大隊が総出でも、あのブサイクな怪物の餌食だろうねえ~」
『この情報は直ちに軍へ報告せねばならない....讃頌会の企みは、我々の予想以上に凶悪化もしれないぞ』
「待って、早まらないで....!確かに他の場所でも、サクリファイスと同じ気配がするオブスキュラの破片を見たことがあるよ?でも....だからって、必ずしもオブスキュラ=サクリファイスって結論づけるには、
確かに....それもそうだったな....
「それに、サクリファイスみたいな怪物を作り出すには、
「うんうん~もしそうだったら、新エリー都なんてとっくに滅んでるよね~!」
「そ、そうでありますか....!今回の悪者がそこまではなくて、一安心でありますねぇ....」
『おい、お前達!『勇敢さこそ軍人の誇り』だ!忘れたか!』
「でも隊長は以前、そういうのは全部将軍たちのデタラメだと.....」
『コ....コホン―――』
と、鬼火はせき込み、誤魔化す....なんだい、全ての元凶はお前だったみたいだな。
『プロキシ君の言う事はもっともだが、だからといって、衛非地区のオブスキュラを静観はできない。必要な検査と巡回を速やかに手配しなければ。オブシディアン大隊は既に、ラマニアンホロウのすぐ外に展開している。讃頌会のドブネズミ共も時間の問題だろうがな』
「でも、何を考えてるか分からない連中だからこそ、窮鼠猫を嚙むってこともあるからね。くれぐれも慎重に行こ」
『私は軍に十年以上身を置いてきた。その程度のこと、思い至らないわけがないだろう』
「『鬼火』隊長は、プロキシ殿達のリマインドに感謝しているのであります!」
『断じてそういう意味ではない!』
えーほんとでござるかぁー?
――――
―――
――
ー
NOside
ラマニアンホロウの中、プロキシ達の手が届かなかった暗がりの奥で....
「軍の連中は動き出したわ.....あなたたちは、司教様の儀式を護衛しなさい―――すべては、我らが主に見えるため」
サラがそう言うと、信者の一人が頷く。
「はっ、サラ様。全ては始まりの主のために。しかし....防衛軍の兵力は強大です。一方で、近頃の我々は多くの損失を被っており、今の残存戦力では.....」
「別に『勝て』なんていってなてわ。私たちの使命は....時間を稼ぐことよ。犠牲は避けられないけれど...幸い、防衛軍だって、彼らの口が言うほど 崇高な目的のために来たわけじゃないのだから。司教様が儀式を完遂なされば.....その時点で、私達は勝ったも同然だもの―――始まりの主が、汝を再創せん」
「始まりの主よ.....我に再創を!」
『.......zzz―――』
「....起きなさい、『バジリスク』」
『―――ハッ』パチンッ
壁に寄りかかっていた蜥蜴の仮面――『バジリスク』はビクッと体を起こさせる。
「ミアズマの過程で生み出した
『あー.....うん。いけるよ。命令一つで編隊くめれる』
「そう....ならいいわ」
サラは唇をニヤリと上にあげながら、不敵な笑みを浮かべるのであった.....