side タンザナイト
先へ進んでいると、何やら逃げている場面を目撃する。あれは.....
「讃頌会のメンバーがバラバラに逃げていくであります!」
『フン...二流部隊め、藪をつつくのだけは一流だな。これのどこが奇襲だというんだ....?今回の任務目標、もはや半分は失敗に終わったと言えるぞ』
『ほんまあいつ....』
「有用な資料が残ってればいいのですが.....」
「...あっ、なんか端末があったよ!」
でかしたぞリン!早速『Fairy』に頼んで解読してみる。
[対象の端末に暗号化されたテキストファイルが保存されていることを確認、読み取り中....]
[『我々と協力しているポーセルメックスは善人の類ではない。彼らは利益のためなら、何だって犠牲にする.....兵士たちは街を守るために死んだわけではない....そして真実は...』]
[ハードウェアに転送履歴を確認、欠落したデータを取得できません]
真実の後のところで途切れてしまった....んあー!あとすこしだったのに!
「『兵士たちは街を守るために死んだわけではない』?讃頌会の人達は、一体どんな真実を知って....?」
『フン....どうせこちらを攪乱しようという魂胆に過ぎん!だが讃頌会の残党どもは、少将の部隊の軽率な行動に気付いて、事前に重要なデータを移動させたんだろう....仕方がない、先を急ぐぞ!』
そう言い、先へ進んだ....数々の讃頌会の手下やらエーテリアスを倒しながら行くと、意外な人物と出会ってしまった。
「一切が順調だな、ルクロー取締役」
「今回も頼りにしていますよ」
『.....っ!お前らは―――』
『ロレンツ少将?なぜ少将みずからホロウへ?』
「貴官たちだな?イゾルデ大佐が何かにつけて勧めてくる、コードネーム『オボルス』というのは。これほど早く到着するとは、俺の予想以上だったと言わざるを得ん。大佐の言う通り、優秀な小隊のようだ」
『少将。今回の作戦全体を統括する立場として、あなたは本来なら、後方に控えていらっしゃるはずです。それに、そちらの民間人は....?』
『ルクロー....さんだよな?この間ポーセルメックスが『安全調査』をしたときに、フェロクスと一緒にいたよな?なぜここに....』
『どうして『安全調査』に前座のパーティーがある?ちっとも理解できん.....』
と、鬼火が呆れるように言い放つ。
「はっはっは、なんとも率直な物言いをする銃ですな....あの晩餐会に参加していたうえに、こうしてオブシディアン大隊の任務にも同行しているとは....そちらのエーテリアスは分かりますが、こちらのお嬢さんはまだお若いのに、郡内でも相当な実力者のようですな?」
「そういうわけでもないのだよ、ルクロー取締役。こちらのお嬢さんとエーテリアスは....わざわざメイフラワー市長が我々を指導するために派遣してくださった特使だ」
「特使なんて大袈裟な肩書だけど、私達はただ、自分がやるべき仕事をしてるだけだよ」
「なんと、市政のお客様だったとは...これはこれは大したおもてなしもできず、大変な失礼を」
『それで....少将とルクロー氏がここに現れた理由をお聞かせ願いたい。また、この部隊がイゾルデ大佐の指揮系統を外れて、独自で行動していることについても』
「そうすべき理由があるからだ。俺と俺の部隊にはな」
『そうすべき理由』?....なんか怪しい言い方だな.....ははーん?さては讃頌会と繋がってるな?(名推理)
「『鬼火』隊長。貴官は昨日今日軍に入った新兵でもあるまい。越権行為のなんたるかを知らずとも、軍事行動において聞くべきでないことの存在くらい、心得ているはずだ。いいか、余計な口出しは無用だ。もっとも、口以外に何も残っていない貴官にとっては、いささか難儀なことかもしれないがな」
「そろそろ我々は戻ろうではありませんか、少将。こうエーテル活性の高い場所に長居していては、体に良くない」
「それもそうだ。では行こう」
そう言い、部隊に守られながら、ロレンツとルクローは拠点から離れていった。
すると、オルペウスは唇を嚙みしめるように恨み言を言う。
「ぐぬぬ....『特別軍務手続き窓口』にいたあの感じの悪い事務官を除けば....これほど頭にくる人物は初めてであります!」
『ああ.....ぜってぇーあいつ讃頌会と繋がってるよ....前フェロクスと繋がっていたし.....』
「はっ!ああ申し訳ありません『鬼火』隊長....!軽々しく上官の悪口を言うべきではありませんでしたっ!」
『....今回は見逃してやる。私とて、小隊全員を軍法会議送りにするリスクがなければ、悪態のすべてを高出力レーザーに変えて、あいつらの顔面に叩きこんでいた』
と、鬼火はそっけない態度で言う。
....やっぱ鬼火もあの態度にはキレてはいたんだな。
「ねぇ、ここは讃頌会の重要な拠点だけど.....同時にあいつらの
『そうだな、おかげで大変な目にあったな』
「で、今はまたルクローさん率いるポーセルメックスが防衛軍と手を組んでいるわけでしょ?だったら、わざわざあの二人がこんなとこに来た理由って....」
『やめろ、頭が破裂しそうだ!どうせあいつらのことだ、利益を山分けする算段でもしてたに決まってる』
と、鬼火が大声で制止させる。
「な、なんということでありましょう!ロレンツ少将はとんでもない大悪党であります!」
「オルペウスってば、まだ世の中が善と悪できっぱり分けられると思ってるんだね~ピュアだなぁ~」
『ああ。オルペウス隊員は救いようのない間抜けだが、これに関しては恐ろしいことに、間違ってるとも思わない』
.....それ褒めてんの?貶してんの?
『やつらがホロウで落ち合ったのだって、人目を避けるために決まってる―――とはいえ今はどうでもいい。我々オボルスの任務はまだ終わってないんだ。各員、追撃を続けるぞ!讃頌会の残党どもをひとりとして逃がすな!』
「はっ!『鬼火』隊長!」
そうして、讃頌会の残党を追撃すべく、先へと進む.....ロレンツの件は一旦置いておくとするか....
NOside
ラマニアンホロウの中、揺らめく灯火に照らされた某所....そこに司教とサラが立っていた。
「司教様、私たちが撒いたエサに防衛軍は嬉々として食らいついたようです」
『よろしい.....彼らは些末なことに十分な時間を費やしました愚かな将軍もいまや勝利に酔いしれていることでしょう。彼らはもう私達に妨げるために、大規模な戦力を投じることは無い。ただし、その代償は.....』
「必要な犠牲にすぎません。みな、信仰に殉じることができたんですもの。それに、司教様が『冥府』から呼びもどした兵士たちも、大いに力となってくれました」
『ですが、これもまた目的のため....そのためなら、あなたゆーや私さえ命を捧げる覚悟がなくては』
「もちろんです、司教様。その『目滝』が、始まりの主への謁見であれば、ですが.....あなたの目的はひとつではないとわかっています。ですがそれでも、始まりの主へ見える道を切り開いてくださる....そうでしょう?司教様」
『私でさえ、時にこの道に惑うのです。ですが、あの『ささやき』は確かにこの耳で聞きました。約束しましょう、サラ。私の目的を果たした暁には、始まりの主への謁見....それに続く道を、必ず開くと』
「ああ....それでこそ、この身や、御身を犠牲にする意味があるというもの。しかし....『パエトーン』と『タンザナイト』は今現在、防衛軍の中...彼らは簡単には引き下がらないでしょう。それに、あの小隊にも手を焼かされています」
『わかっています。あの若者は少しばかり変数でした。ですが、彼らの物語の行方は、既に私が定めています.....そうせざるを得ないのでもな限り、彼らを死地に追い込む必要はありません』
「司教様のお考えとあれば、仰せのままに。始まりの主よ、我らに再創を.....」
『.......』
サラはそう言い、三日月のようにニヤリと笑う。その様子をストラスは黙って見つめていた。