side タンザナイト
あの後、リンが今日のことをアキラに報告したらしい....それと、動けないオボルス小隊に代わって福福さんにヘルプを出したとのこと...*1
すると、『チュンチュン』という声が聞こえた....そこには師匠の所にいた黒い鳥が居座っていた。
「あれって...師匠の青溟鳥?」
『なんで師匠の鳥が此処に?』
『チュンチュン!チュンチュン!』
視界がいきなり暗闇に包まれた、暗闇がはれると、そこにはリンの姿がなかった。
『あれ――リン!?....もしかして、師匠が連れて行かれたのかな?』
その時、俺はあることを気づいた...
『....あれもしかして、俺置いて行かれた?』
side リン
師匠の青溟鳥に捕まって、数秒も経たずに適当観に着いていた.....
「うう...なんか、夢を見てた気がするんだけど....ここは現実の適当観?それかまだ夢の中だったり....」
「起きたか?福福から聞いたぞ。我ら雲嶽山の可愛い弟子達が、防衛軍の非人道的な拷問を受けているとな。それから、連中との全面戦争を避けるため、隠密に動け...だったか?」
「ほ、本当ですよっ!一字一句その通りに、お弟子さんから届いたんですっ!」
「ちなみに、送った当人もこうして来ているよ」
お兄ちゃん....もしかして盛ったあれを福福先輩に出したの?
「うちのお弟子ちゃん達をいじめるたあいい度胸だ!お師さん、こいつは黙ってられないぞ!連中の玄関口まで行って問い詰めてやらにゃあ!」
「潘、どこの玄関へ問い詰めに行くんだ?お前さんの妹弟子をよーく見てみろ。ちょいとぼーっとはしているが、『非人道的な拷問』を受けたようにみえるか?」
やっと視界が安定した私は、ここまで来た経緯をすこし考えて、師匠に問う。
「これ...師匠か術法で、適当観まで送ってくれたってこと?」
「ようやく頭が回り始めたようだな」
「お弟子さんが無事で何よりです。とはいえ...これほど急を要していたのは、軍の方で何かトラブルがあったからでしょうか?」
「そうですよお弟子ちゃん、外で何があったんですか?あんな風にお師匠様を呼ぶくらいだから、きっと、よっぽどのことだったんですよね?大丈夫ですよ、ここにはみんながいますからっ!」
「そうだそうだ!兄弟子も姉弟子も、みんなここにいるぞっ!」
と、みんなが安心させるけど...ちょっとまって!
「そういえば...タンザナイトは?多分だけど、防衛軍に置いてちゃったんだけど.....」
「何、心配することは無いさ。あいつは空間を操れるのだぞ?それぐらい自分で察せられるだろう」
「....確かによくよく考えたらそうだね」
思い返すと、別に時空を作れないような装備でもないし....大丈夫だよね!
と、自分に納得させ、皆にこれまでの経緯を話した。
「...ふむ。衛非地区の市民たちの安全にかかわることだ、確かに軽んじるわけにはいかないな。防衛軍が手をこまねいているのなら、つまらん政治に遠慮するつもりはない。雲嶽山が介入するほかないだろう。しかし、今や危険はホロウの中だけじゃないからな...対して適当観にいる弟子はこの数人だけだ、援軍でも欲しいところだが...」
師匠が言い終わる前に、グワンッとホロウの裂け目が突然現れる...もしかしてタンザナイトかな?
「む...ようやくもう一人の弟子が来たようだな――丁度いい、お前さんもちょっと付き合っ
て....」
『...フン』
「えっーと...こんばんわであります。」
『....えへ、連れてきちゃった☆』
「....ほしいが、招かれざる者までも来たようだな」
た、タンザナイト....
side タンザナイト
あの後、一触即発な空気が漂っていたが、リンが止めたおかげで、収まった...胃がキリキリしたぜ。
「プロキシ殿、大丈夫でありますか!?」
「なあんだ。プロキシ君ってば、雲嶽山の人に拉致されたわけじゃないんだね~」
『だから言ってんだろ、心配した雲嶽山の人達が連れて行ったって....』
説明したとき、冷静な判断ができなくて荒れていたからな....
『すまない、私の勘違いだった。軍の機密を狙った市政の連中によって、連れ出されたのだとばかり....』
「兵隊どもの機密なんぞに毛ほども興味がない。私が気にするのは、弟子たちと新エリー都の安全だけだ」
『...では、プロキシ君。軍令に背いてまで雲嶽山と連絡を取ったからには、さぞ納得のいく理由があるなんだろうな?』
そう言い、改めて、現在の情報と状況を説明する....
『讃頌会にとって真の本拠地は、まだホロウの中に隠されている....お前はそう確信してるんだな?』
「自分の足でホロウに入って、この座標に辿り着いてみるまでは確信とはいえないけどね....雲嶽山だろうと防衛軍だろうと、新エリー都を守る人達にとっては見過ごしちゃダメな兆候だと思うの。でしょ?」
『....』
「リン、『Fairy』から警報だ!」
と、アキラが途中で口をはさむ....なんだ一体?
[ホロウ観測データによると、現在進行形でラマニアン全域におけるエーテル活性が上昇中。警告、ラマニアン全域におけるエーテル活性の上昇速度が、過去に観測されたピーク値に近づいています]
『マジでぇ!?』
[現在の拡張速度から計算すると、ラマニアンホロウは1026時間後に17.2%の確率でゼンレス限界を突破します]
『おい、音声アシスタントがまたごちゃごちゃ言ってるぞ』
「ようするに...放っておいたら、ラマニアンが『ボン!』ってことだね~」
「研究者っぽい讃頌会の導師がね、ミアズマを活性化させる大規模な実験について話していたの。たぶんあいつらがひっきりなしに言ってる、『最後の牲祭』....その準備なんじゃないかなって睨んでるんだ。私達で掴んだ情報から見ても、讃頌会はラマニアンにあるミアズマの集中地帯をほとんど掌握してる....あの変わったエーテルの一種を操る技術を持ってるみたい。ホロウ全体でエーテル活性が上昇なんて、讃頌会が何かやってないわけないよ」
「お前さんの推測が正しいとすれば――今の今まで見落としていたこの拠点が、やつらの言う『牲祭』の要というわけだ」
『そのようだな...そして、そこを潰せば食い止められるはずだ!』
『はぁ...』
と、急に鬼火がため息を吐きだす。
「お前さん、どうやったらその喉からため息が出るんだ?」
『チッ、胡散臭い専門用語は適当に聞き流したが、大筋はわかった。讃頌会のクズどもが騒ぎを起こしてないかこの目で確かめ、まとめて焼き払えば....潜在的なリスクを消せると。そういうことだな?』
「あの『鬼火』隊長が....すべて理解されている...!?こんなことがあるのでありますね....!」
...それ、バカにしてない?
『なら行くぞ。オボルス小隊が衛非地区のーを蝕む影を叩き潰す!』
「あれぇ~?命令違反、許すまじ~って言ってた一時間前の『鬼火』隊長はどこぉ?そこ?」
『どこに命令違反がある。軍事機密を持ち逃げした『パエトーン』を追っていたら、たまたまホロウにいただけだ!』
暴論過ぎないかそれ...?
と、鬼火を呆れる目で見ていると、師匠が提案を言う。
「『鬼火』隊長の心意気には感謝するが....雲嶽山に任せておくという選択肢もあるぞ」
『讃頌会の掃討は防衛軍の仕事だ。だが....上の連中が職務を果たそうとしないのなら、そのつけは私が払う。それにオブスキュラの調査だってまだ終わってないんだ。もしあの箱から、サクリファイスが湧きだしてみろ....防衛軍の兵士どころか、市民まで犠牲がでるぞ』
「それもそうだな。私と弟子達は、澄輝坪に泊まり、引き続きこの地を守る役目を果たすとしよう」
「じゃあ、具体的な作戦と出撃するタイミングは、とっとと決めないとね」
『ああ。オボルス小隊が揃って動けば容易に見つかる。適切なタイミングを見極めないとな。再集結と出撃は....明日の朝一番だ。オボルス小隊、総員駐屯地に帰還だ。なるべく休んでおけ』
「ふわあ~....っと、はいでありますっ!『鬼火』隊長!」
『明日は、長い一日になるぞ....』
その後、俺たちは明日に備え、眠ることにした....
Noside
『
『アレ?...ああ、うん。あともう少しで終わるよ』
『....ふむ、人の感情というのは、素晴らしいものだ....強ければ強いほど、人体の爆発力は凄まじい....』
『にしても、僕がいうのもなんだけど、その
『ははは....これだから人というものは面白いのだよ....さて、あ奴はこれを突破できるかな?』
ストラスの視線の先には―――操作してるパソコンに映っているオルペウスのような人物をバジリスクがカタカタとデータを色々と入力していた。