side タンザナイト
裂け目へ進んでいく途中、オルペウスがさっきのことを言う。
「めったにないのですが....『こんな戦友いらない』とおもってしまいました....」
『同感だ....だが、今は讃頌会の本拠地を潰すことに集中すべきだ。足を止めるな』
『おう!』
そう意気込んでいると、何やらミアズマで何かしているのをみつけた....あっ!あいつはッ!
「忠実なる僕たちよ....謁見の道を冒涜する信仰なき者を粛清しなさい」
『サラっ!!』
「ふふ....久しぶりね、『パエトーン』そして『蒼光の騎士』」
「サラ....讃頌会がこれまで犯してきた罪の中で、あんたが裏にいたやつはどれだけあったの?」
「『罪』?なんのことかさっぱりわからないわね.....もしかして、あの必要だった数々の『犠牲』のことかしら?それなら....始まりの主の忠実なる僕として、私の答えはもちろん....全てよ」
『全てだと?』
「傲慢で無知な信仰なき者は数多といるけど.....その中でも、あなたたちはひときわ厄介と言わざるを得ないわ」
「『鬼火』隊長!彼女、プロキシ殿達に対して人格攻撃を仕掛けているであります!」
『フン、精神を攻めるのは専門外だが、火力にものを言わせるなら、こっちの領分だ!さぁ、とっととくたばりやがれ!』
「....くたばれやがれであります!」
「愚かね....精々好きなだけ暴れているといいわ。司教様はもう、『終域』への門にその手をかけていらっしゃるの。あとは、ほんの少し押すだけ....」
司教....メヴォラクか、あいつ本当にしつこいな....
「『死』は残酷な命題だけれど....最も忠実な僕に対して、『始まりの主』は慈悲を示されるのよ」
『ふざけんな....!人の死を、新エリー都の人々を傷つける道具として使ってんじゃねぇ!』
「『傷つける』....?今まさにこの都市を蝕んでいる害虫なら、ここにはいないわ。真なる劇毒は、ずっとこの都市の血管に潜んでいるのだから。それを思えば....あなたたちと私たちは敵ではなく、味方とすら言えるのよ」
『ぬかせ!我々のプロキシ達が、貴様ごときと同類なものか!』
鬼火のセリフに少し口を閉ざすサラ....そして、再び口を開いた。
「....でも残念ね。私達が手を携える機会はもうないかもしれないわ....『結末』が、すぐそこまでやって来ているもの。司教様の儀式を....邪魔させない!さぁ、忠実なる僕たち!始まりの主は、あなたたちの名前をきっと覚えていてくださるでしょう!」
『!』
サラが言い終えると、エーテリアスや讃頌会のメンバー達がどこからともなく現れた。そしてその隙にサラはこの場から離れる。
「謁見へ赴く苦難の旅は、往々にして犠牲に満ち....主を求める帰途は、常に血と骨に覆い尽くされている.....」
『始まりの主の...為に!』
『始まりの主の為に!』
「生と死、存在と不在、輝きと退廃、快楽と苦痛....全てが始まりの主へ帰る....」
『くっ....なんかイカレたセリフが聞こえるが....これ以上あいつらの好きにはさせねぇ!!』
そう言い、俺は腕を槍に変化し、戦闘を開始する。
『『爆戦 グングニル』っ!!』ギャルルルッ―――ドコォォォンッ!
『ぐぁぁぁっ!?』
『くたばれ!!』ビィィムッ!!
「いくよ~『ビック・シード』」ガチャッ――ドドドドド!!
『っ!?』
『『
数分も経たずに、俺たちはこの場にいた敵をねじ伏せた....辺りを探索してみると、デバイスのコアパーツのところに、讃頌会がミアズマを操るための装置を見つけた。
『なんだぁ?見た目はカプセルに似ているが....』
「それはコアだね。どうやらこの装置はミアズマ装置の出力を増幅するブースターっぽいね。讃頌会はこれで、大規模なミアズマを操って、集めることができるみたい.....」
『マジか!....下手に破壊しない方がいいな』
「濃いミアズマが機器を包み込んでるからね...イアスのインターフェースで接続しようとすると、一瞬で侵蝕されちゃいそう.....覚感の術も役に立たないみたいだし....タンザナイト、
『アレか...試してみるか』
そう言い、俺は一本、結晶で出来た棒を生成し、装置にぶっ刺す.....が―――
ピキッ――ボロボロ....
数分経ったあと、突然結晶にヒビが入り、粉々に崩れる。
『げっ!?ボロボロになった....今までのミアズマよりも相当濃いなこれ...今のままじゃ中和できんな....』
「うーん、タンザナイトが無理となると....やっぱ師匠と同じレベルの術法じゃないとダメかも」
『今はどうにもできないなら、先にリーダー格のやつらを追撃するぞ...』
『そうだな』
そう言い、俺たちは逃げたサラを追うため、走り出した。
NOside
一方、タンザナイト達がホロウにいる中、澄輝坪では、避難中の住人たちが詰まっている状況だった。
「順番に!押さないで!」
そんな中、その住民たちを見下ろす人影がいた。
―――それは、讃頌会の手下たちが何やら怪しげな儀式を始める。その中に、バジリスクもいた。
「主よ、再創を....」
『...いよいよか』
「『恩寵を受けし、庇護の子を.....』」
ドカァァァァンッ!!
『?』
住民が空を見上げてみると....そこには、『ミアズマのヒナ』が数体落ちてきた。
「あれは...!」
「ぐあぁぁぁ!?」
『GRrrr....』
「逃げて!」
「市民を守れ!」
急に現れたエーテリアスに、防衛軍は立ち向かった。
「少将閣下、市街地の『箱』が....」
「...撤退だ!」
そう言い、ロレンツはこの場から逃げ出す。
『Grrr!』バッ!
「ひっ...」
防衛軍の部下を倒し、次は怯える住民たちに目をつけ、飛び掛かった。
「――ふん」
その瞬間、黄金の光と共に、一直線の光線で敵を吹き飛ばした!
その人物は、雲嶽山の宗主、『儀玄』だった。その後、潘と福福が舞い降りる。
「お師さん!」「お師匠様!」
「そこら中にいるぞ....抜かるな!」
『あー....やっぱそう簡単にはいかないよね~...』
side タンザナイト
先へ進んでいる、アキラから緊急の通信が届いた。
「リン、タンザナイト、緊急事態だ!讃頌会の導師が衛非地区に現れて、サクリファイスが次々とオブスキュラから出てきている!これは相当な数だ!」
ファッ!?やばいじゃん!
「ホロウにある拠点が襲われたから?外で混乱を起こして、その隙に逃げようっていう....」
「街の方に敵襲でありますねっ!?追撃を継続しますか?それとも、支援に戻るべきでしょうか?」
『策としては、てんでお粗末としか言いようがないな....街にはオブシディアン大隊の戦友がいるうえ、雲嶽山の修行者どもも布陣している。しばらくは問題ないはずだが....』
「ああ、師匠と雲嶽山のみんなが防衛軍と一緒にサクリファイスを抑えてくれている....ただ、
『トカゲの仮面?いや、いまはそれよりも...山道だと?』
「山道、でありますか....自分たちが入手した配置図を見る限り、あそこにオブスキュラはなかったはずでありますが.....」
『ああ。だからこそ、軍はあそこを手薄にしてたはずだ...!』
「そんな...山道付近には、少なくない数の民家があるのであります!」
なら早くいかないと....
「オッケー、衛非地区に戻る脱出ルートは、もう少しで計算が終わるよ!」
『よし、ならその後は任せろ。最速で送ってやる!』
「お願いであります。『プロキシ』殿、『騎士』殿!」
そうして、俺たちは急いで、防衛軍の拠点へ向かっていくのだった.....