転生先はエーテリアス   作:YEX

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イゾルデの真意

side タンザナイト

 

あの後、ロレンツは保護されたのを見守った後、俺は一旦みんなの様子を見ることにした。

 

「イゾルデ大佐....いつもあんなに『すんっ』てしてたのに、中身は『鬼火』隊長よりもメラメラしてたんだね~」

 

「隊長は大丈夫でしょうか。最も信頼していた上官が、いきなりあのような行動を....やはり相当ショックをうけているのでは....?」

 

「私は隊長を、彼女の意志を信じているわ。彼女は鋼のような心と....体を持っているもの」

 

「ええ、『鬼火』隊長なら、きっと立ち直ってくださいます。ここから先はひとまず隊長の指示を持って、それから次の行動に移りましょう」

 

と、トリガーたちは心配しつつ、鬼火たちは立ち上がってくれると信じて待っていた。

 

次に、俺が出会ったのは、市内でサクリファイス達を抑えていた師匠たちだった。

 

「市内のサクリファイスは全て倒した。ひととおり見てきたが、サクリファイスの気配を帯びたオブスキュラは見当たらなかったぞ。しかし、ホロウに異変があったこと、泅瓏囲で銃声が聞こえたことで、すぐに弟子達を連れて駆け付けてきたんだ」

 

「さっきの軍人さん....自分の上官を撃っちゃったんですか....!?それって反逆罪じゃないですかっ....!そんな....あの軍人のお姉さん、すっごく正義の味方って感じだったのに.....」

 

「正義か否かは、見た目だけで判断出来ねものではありませんから。ときに姉弟子さん?彼女が上官を撃ったという話のとき、師匠をちらりと見たのは気のせいですか?」

 

「そ、そんなことありませんっ!お師匠様は正真正銘、正義の味方ですからっ!」

 

「ラマニアンホロウの様子がおかしい、私はこれから直々に入って様子を見てくる。あのオボルス小隊の隊長も、おおかた上官の後を追ってホロウに入るんだろう」

 

と、師匠がラマニアンホロウについて調査することになった....

 

次に会ったのは黒枝の照だった。

 

「ポーセルメックスの現CEO、ルクロっちは.....うーん、サクリファイスの襲撃による事故死...でいっか」

 

『事故死?』

 

明らかに事故死で片付けられる案件じゃないとは思うのだが.....

 

「それはねぇ、どっちでもいいんだよお。ザオちゃんは『黒枝』を代表して、ポーセルメックスののガバガバ運営とルクロっちのスキャンダルを調べに来ただけだから。ルクロっちと少将の間で、賄賂の受け渡しがあったって聞いたから、折角飛んできたのに.....まぁ、少将のほうだけでも残っただけマシか....」

 

『マシって....』

 

「でもね、今一番気にしなきゃいけないのは、ポーセルメックスには新しいリーダーが必要だってことかなあ。円卓を失望させないようなリーダーが、ね。『黒枝』のやり方を『清算』って呼ぶ人もいるけど.....ザオちゃん的には、あの裏切った軍人さんだっておんなじ動機で動いてたんじゃないかな?って思うよお」

 

『....』

 

と、照は次のことについて考えていた。

....ある程度たったし、鬼火たちの所へ様子見に行くか.....

 

俺は様子見で行くと、そこには鬼火とオルペウスは海岸に佇んでいる。機械の体から漏れる鼓動の音を、海風がかき消していく....

ふと声をかけようとしたら、突然『Fairy』から警告の通信がくる。

 

[警告―――!ラマニアンホロウ、その全域におけるエーテル活性が、過去に観測されたピーク値に近づいています]

 

『ファッ!?』

 

[特異高活性エーテル―――『ミアズマ』の異常な活性化を確認!]

 

と、よりにもよってこのタイミングでエーテル活性の情報が出る。

おい待てぇ、ちったぁ空気読めや。

 

『讃頌会がまた動き始めたんだな?―――『最後の牲祭』とやらが、もうじき始まるんだろうか.....』

 

『鬼火....その、イゾルデのこと....』

 

『考えもしなかった。イゾルデが今日の今日まで、こんな計画を企んでいたとは....つくづくあいつらしくないと思っていたが....私がずっと、知ろうとしなかっただけかもしれないな。本当の、あいつを......』

 

鬼火も本当は色々思うことがあるだろうな.....だけど―――

 

『ごめん、鬼火。色々整理がつかないのは分かるが、今はホロウが......』

 

『いいんだ....こんな時に慰めなんていらん。その顔もやめろ、見えなくても分かる。これでも一端の軍人だ。なめてもらっては困る!』

 

『鬼火....』

 

『讃頌会、『オブスキュラ』、サクリファイス....その全てが『偶然』、復讐を渇望するイゾルデに道を開いた。そして今、あいつがホロウに逃げ込んだ途端、あの場所に異変が起きている....イゾルデが軍人の原則に反することをしでかしたのなら、私は....決してあいつを許さない!

 

「ホロウの危機を止めるためにも、イゾルデ大佐に事情を問いただすためにも.....自分たちは、再び出撃しなければならないのであります!」

 

と、鬼火とオルペウスは自身の思いに覚悟を持った。

...なら、それに手を貸さなきゃなあ!

 

『俺らも引き続きみんなの作戦に協力するぜ!この新エリー都に――みんなの日常に何かしようというのならこの『蒼光の騎士』が黙ってないぜ!』

 

すると、さっきの会話を聞いたのか、師匠が入ってくる。

 

「あのホロウがここまでやばくなった以上、我ら『雲嶽山』も、ここで見物してる場合じゃないな。いまあそこに渦巻いているエネルギーは相当なものだ.....お前さん達だけじゃ手に負えない可能性がある。私も行こう」

 

『11年前....あのときも、雲嶽山の宗主と名乗るものに、『手に負えない』危機から救われた。だが今回は共に救う立場だぞ、儀玄!』

 

「....ああ。彼女もきっと喜ぶさ」

 

「市内の防衛は軍と他の弟子たちに任せます。僕も師匠と共に、皆さんを支援させてください」

 

『オボルス、戦闘準備!』

 

鬼火が仕切り、俺たちはラマニアンホロウへと足をはこぶのだった....

 

 

俺たちがホロウへ着くと、大粒の雨が嵐のように降っている中、そこにでっかい塔にミアズマが集中しているのが目に入る。

 

「ホロウ中のミアズマが全部、あの塔のほうへ集まってる....このまま放っておいたら、たいへんなことになっちゃうかも....!」

 

[警告。ラマニアンホロウ全域のエーテル活性が、過去の観測記録における最大値を突破しました]

 

『だったら見せてもらおう、あそこに何があるのか....そして何だろうが必ず止めてみせる』

 

[警告。ラマニアンホロウ全域のエーテル活性上昇速度、現在も加速中]

 

ミアズマが集中しているからか?何にせよ、やばいな.....

 

「この一切を止めないと、ものすごく悪いことが起きる....そうでありますね?」

 

[警告。現在の拡大速度が維持される場合、約7時間後に、ラマニアンホロウはゼンレス限界を突破します]

 

「『バーン』って、果物がつぶれたり、風船が破裂するみたいにね~」

 

「そんなことは私がさせん」

 

「ええ。我ら雲嶽山は、一歩も退きませんよ」

 

『さながら冥府のような光景だな....イゾルデめ、この先で一体何をしようとしていやがる.....』

 

「みんな、進も。イゾルデさんを見つけるためにも、讃頌会を止めて.....最悪な事態を防ぐためにも」

 

『ああ。行くぞ!!』

 

皆、それぞれの思いを胸に抱き、奥へと歩き始める....

 

「このあたりの装置....ミアズマを一箇所に集めてる」

 

「この規模のミアズマが収束すれば、取り返しのつかないことが起きるぞ」

 

「装置を壊してみよ!」

 

早速機械があったので、師匠に任せるが....

 

「ミアズマが濃すぎる。こいつは私で払うのに一苦労だ。それに、ホロウの中にはこんな装置がごまんとあるだろう。ここらのやつを止めたところで、大した効果はなさそうだ」

 

と、やれやれと言わんばかりの顔をする師匠.....なら、一番手っ取り早いのは――――

 

『....その元凶となっている部分を叩くってことか?』

 

「ああ。そのミアズマが集う場所へ向かい....そこに潜む脅威を討ち果たすことだ」

 

「急げ、これ以上サラに装置を起動させるな!」

 

そう言い、先へ進む。途中で色々アクシデントがあったが、段々と元凶に近づいていくのを感じる。

 

「儀玄宗主、イゾルデの気を捉えそうか?」

 

「ああ....彼女の気もこの先にある」

 

「この先?どうしてイゾルデ大佐は、讃頌会がいる方へ逃げたのでしょう....」

 

『.....』

 

ストラスとかが手を組んでいる時点で薄々分かっていたが....つまりそういうことだろう。

 

と、ここで奥から、装置を起動しているのを見つける。

 

「あの人たち、装置を起動しています!」

 

「今度こそ逃がさない!」

 

『っ――――サラぁっ!!

 

そこにはサラ達の姿がいた。

 

「『始まりの主』とやらは、あんたたちに一体どんな教えを授けてくれたわけ?破滅、災害、混乱....これが全部『始まりの主』の望みだって言うの?」

 

『『百害あって一利なし』....こんなクソみたいなことしやがって....覚悟しろ!』

 

「『パエトーン』。誰もがあなたのように、輝かしい名前を持っていると思わないことね。この陰鬱な世界で....あなたが追い求める太陽が、果たして唯一無二の光なのかしら?そして、『蒼光の騎士』。あなたは『始まりの主』におおよそ近い存在なのに、私たちの希望にならないなんて....」

 

おおよそ?....一体始まりの主って何なんだよ....

 

「あなたたちには分からないでしょうね。私たちが希望の主に拝謁するために....どれだけの犠牲を払う覚悟があるのか」

 

「犠牲って....人の幸せを奪ってるだけじゃありませんか!それで一体どんな希望が与えられるって言うんです!?」

 

『プロキシ君、オルペウス。こいつとの問答は時間の無駄だ。そんなに犠牲がいるというなら、まずは貴様からどうだ?』

 

「言ったでしょう?司教様はもう、『終域の門』に手をかけていると。認めたくないのは分かるけれど....どんな足掻きも、もはや無駄だと知りなさい!」

 

そういった後、サラは素早く距離を取り、近くにある目立たない裂け目へと向かった。

 

『っ!逃げたぞ!』

 

「皆さんは先へ進んでください。彼女は僕にお任せを」

 

えぇ....一人で大丈夫か?誰かと一緒にいたほうが....

 

『大丈夫か?あの女は相当ずる賢いぞ』

 

釈淵(シーエン)はできる修行者だ。あいつに任せよう」

 

『よし、このまま進むぞ。目標はミアズマが集まる中心地帯....そして、イゾルデがいる場所だ!』

 

一行は二手に分かれ、釈淵先輩が単独でサラの後を追い、残りのメンバーは引き続き『冥府』の中心へと向かった。

 

向かう途中、ミアズマを纏った軍隊が現れる。

 

『こ...この兵士たちは....彼らの制服は.....11年前のものだ』

 

「それはミアズマが生み出した幻想にすぎん。しっかりしろ兵士!」

 

『そうだぜ、鬼火っ!』ガチャッ―――ドドドドッ!!

 

『っ!?』ドススッ!

 

俺は手のヒンジから針状の結晶を発射し、ミアズマ兵に当て、『中和細胞』を打ち込む。すると、兵は崩れるように消える。

 

『よし、ミアズマで作られてると思って試したが....行けるな!』

 

「さすがだ。このまま進むぞ!」

 

『....むっ』

 

と、何か感じて見上げると、そこにはメヴォラクの姿がいた。

 

『招かれざる客人たちよ....随分遅かったですね』

 

「大人しく降伏するのであります、司教『メヴォラク』!」

 

『これ以上抵抗するなら、塵も残らんくらいに焼き尽くすぞ!』

 

『.....私を撃つつもりかい?」

 

メヴォラクが仮面を取ると、その人物は――――

 

『....っ』

 

「ならば言ってみろ。どうしてあの時は引き金を引かなかった、『鬼火』?

 

『.....!?』

 

「イ...イゾルデ....大佐...?」

 

ロレンツを撃とうとした、あのイゾルデの姿だった。




イゾルデさん!オンドゥルウラギッタンディスカ!?
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