side タンザナイト
『町』に着いた俺たち....通信は可能かどうか確認をとっていると....
「これが『町』か....確かに想像していたものと少し違うな....」
「『輝磁の匣』がきいてるみたいだね!...だけど―――」
「うん、やっぱり
「ミー」
そこには人間体の俺が突っ立っていた....それにはアキラも驚いていた。
「流石に人間体までは防げなかったみたいだね....けど、それでもTOPSの技術力は認めざるをえないな」
[夢縋り・ゼロと同一のエーテル活性反応を大量に検出。分析の結果、ここは夢縋りの集結地点と推測されます]
「やはりな。しょせん人ならざる者....いかにそれらしく振舞おうと、その異常ならざる赤外線放射は隠し通せぬ」
「なら、マボロシ相手に体力の無駄遣いはよそうぜ。講堂に集中だ」
すると、パウルが親し気に現れてきた。
「おっ、真斗のアニキ!また輝磁石を探しに来たんです?お手伝いしましょうか?」
「.....いや手伝いはいらねぇよ」
「そうだ、護身用の拳法を編み出そうと思っているんです。皆さんの役に立つかもしれませんよ?一緒に稽古しませんか?武器がない時は、拳が最後の希望なんですから」
「パウル....そんなにやりてぇことがあるなら、なんで今すぐテメェでやらねぇんだ。夢縋りにやらせてる場合じゃねぇだろが....」
「そう言わないでやってくれ。夢想することこそが、人間の最も優れた才なのだから」
そう言ってモスが現れた。
「あっ....お前は、モスっ!!」
「おや....何やらご立腹のようだな。俺たちは、別に
「なに言ってるの!あんたが放ったエーテリアスに、こっちは散々追いかけられたんですけど!?」
「放った...?ああ、なるほど、ランタンベアラーとワンダリングハンターに出会ったんだな?どうやら誤解があるようだ....俺たちだって奴らを
えーほんとでござるかー?と、思っているとリュシアが食いついてきた。
「ランタンベアラー?ワンダリングハンター?」
「ああ、幽霊みたいなものだ。何の前触れもなく街に現れて、混乱を引き起こしてはいなくなる.....奴らが来るときは、決まってまず妙な鈴の音がする。町の住人はその音を合図に隠れるんだ....あの時は君達に警告する暇もなかったんだろう。本当にすまない」
「はっ、『夢のオアシス』が聞いてあきれるぜ。ここじゃちっとも気が抜けねぇな」
「とにかく、こちらに敵意がないってことは信じてほしい。次にワンダリングハンターがやってきたら、必ず前もって君達に知らせよう」
「不要である。次に見えた暁には、我輩がその場で退治してくれよう」
うわー...すげぇ頼もしいセリフだぁ....
「....なんとも豪傑然としているな。頼もしい仲間を見つけたじゃないか、真斗くん」
「....」
「とにかく...このあたりなら
好きにみて回っていい...か。なら、この気に講堂を見せてもらおうかな~...そう思っていながら、モスは去って行ったのでその隙に講堂のところへ行った。
―――途中でリンが『覚感の術』で見たら、住人がほぼミアズマで出来ていることを知ったけど...生きてる人いないの?
「来たのは良いが....どうやら入れてもらえなさそうだな...」
「だね...」
「おーい、リンちゃーん、タンザナイトくーん、こっちこっち!」
「ん?」
すると、コソコソとリュシアの姿が目に入ったので向かっていく。
「入口に見張りがいる、これじゃ中に入れなさそう....フンだ、そうやって隠してたって、奥に何かありますよぉ、って言ってるだけなんだから!」
「だが、どうする?見張りを如何にかしないと、入れんぞ?」
「大丈夫、もっと手っ取り早い方法があるよ。エーテリアスを何体か向かわせて、あの人たちをどっかに行かせればいい」
「エーテリアスって...どうすんだよ」
「あたし、エーテリアスを書くのが得意なんだ。普段使ってる時みたいに、エーテリアスそっくりのエーテル固結物を作って、それを動かすだけ。まぁ数秒しか持たないけどね...さっ、どんな奴がいいと思う?」
ええ!?マジで!?....もしかして俺とか出せる?
「うーん、タンザナイトくんはまだ難しいかな?タンザナイトくんって他のエーテリアスとは違うから...」
「そっか....」
と、俺は分かりやすくしょげる....
「―――ならハティとかどう?」
「うん、いいね!エーテリアスに詳しいだね、君!んじゃ、あたしが彼らを引き付けるから、その隙に講堂へ向かって。はいっ、役割分担ヨシ!行くよ!」
そう言い、リュシアは三体の小さいハティを呼び出し、見張り達の前にころんころんと転がりはじめた。
「なっ、なんだ!どっから湧いてきた!?」
そのまますぐ、リュシアがハティ達を、そしてハティ達が見張りを引き付けて、どんどん遠くへ離れていった....よし、今のうちに講堂へ入ろう!
「さぁ....真なる渇望を...受け入れよ....」
と、門から入った瞬間、色っぽい女性の声が耳に響き渡った。
「!?....なんか今女性の声がしなかった!?」
「私も聞こえた....お兄ちゃん、今の聞こえた?」
「いや、何も聞こえなかったよ」
もしかして、通信越しだと聞こえないのか?そんなことを思いながら、講堂の扉を開ける。
「うわ....こんなにもミアズマが...」
「...っ!見て、あれ!」
リンが指を指した方向へみると、そこには髪が金髪で所々紫のようなメッシュがある蛸足のものが生えた女性が禍々しい触手?に捕えられていた。
「誰かが囚われてる!」
「おろしてみるぞ...」
そう言って俺は謎の女性に近づくと―――いきなり場面が切り替わる。
―――ある時は、二人の調査員がなにやら揉めている。
―――ある時は、宿敵のサラが呼びかけていた。
―――ある時は、暗い場面に一筋の光が見え、吸い込まれるように光に包まれる。
「!?」
「っ!」
な、なんだ!?今、彼女と目を合わせていたら、色々な場面が見えたけど....
ジュワッ....
「あっ、落ちる!」
「っ!?―――」ドッ!
縛り付けていた触手?が消え、落ちてくる彼女を空間能力の応用で受け止める。
『『
謎の女性の下に三層に重ねた裂け目を生成し、ゆっくりと落ちるようにし、ふわっと彼女を受け止めることに成功する。
「っと....大丈夫?」
「うぅ...んっ....おはよう....」
「え?...あのどうも?今は朝じゃないけど....」
「....」
と、彼女は目がまだうつらうつらとしている...
「....まだ寝ぼけてる?」
「なんて綺麗な目....私、まだ夢の中にいるのかしら.....」
「いやここ現実...なんならここホロウだから....」
「というより、なんでこんな危ない場所にいるの?」
と、会話していると盤岳先生たちが現れる。
「物音がしたぞ、なにごとだ。む!?このおなごは...まことの人の子ではないか。まさか、人ならざる物が跋扈するこの『町』に....」
「かの女、ここで宙吊りになっていたけれど....僕達が近づいたタイミングで落ちてきたんだ。タンザナイトが受け止めてくれてよかったよ」
「これがモスが言ってた『大事なもの』かよ....あいつ、一体何企んでやがる.....」
「.....」
「さっきからずーっとタンザナイトくんを見てるね。知り合い?」
「いや全然....えっと、おまえ名前は?俺はタンザナイトだけど....」
「わたし?...イドリーよ。初めまして、と思うわ」
と、お互いに自己紹介していると、モスが後ろから現れた。
「おお、よかった!彼女を助け出してくれたのか!」
「いいとこに来たじゃねぇかモス...なんでここに人が閉じ込められてんのか、説明してもらうぞ」
「待ってくれ、これも誤解だ!俺たちがここに来た時から、彼女はもう閉じ込められてた....助けようと手を尽くしたが、あのミアズマには歯が立たなかったんだ」
また『誤解』かよ...そう何度も使える言葉じゃないんだかな.....と、疑いの目をモスに向けた。
「本当だ!住人もみんな証人になってくれる。というか、本当に驚いていて....あの
「いやー...ちょっと目があったらなんか....」
というか、さっきの映像?にサラが映っていたな...後でイドリーさんに聞いてみるか....と思っていたら、狛野が割って入ってきた。
「別に良いっスよ、こいつに説明してやる必要なんざねぇス。まずは彼女を安全なとこまで連れてかねぇと。歩けるか?イドリーさん」
「.....」
と、狛野がイドリー声を掛けるが、ボーっとしていた。代わりに俺が声を掛ける。
「イドリー、歩けるか?このままホロウに出るよ」
「ええ、自分の足で歩けるわ」
「....オレ、シカトされてねぇか....?」
「でもごめんね。わたし、ホロウからでられないみたいなの。もう何度も試したのだけれど....」
と、狛野のことをかまわず話し続けるイドリー....それを安心させるように俺は言う。
「大丈夫。たとえ何があっても連れ出してみせるよ」
「この娘を連れて行ってくれるんだな?あまり調子が戻っていないようだが....補給の医療品がまだ沢山たるから、ウェストに言って持ってきてもらおう」
「僕達を止めないんだな?てっきりひと悶着あるかと思っていたけれど....」
ホントだ。俺もてっきり『こいつは渡さん!』的なノリで襲い掛かってくると思っていたぞ。
「止めるもんか。俺たちだって、あんな風に吊るされてたのを見て心苦しかったんだ。どうか、彼女を守ってやってくれ」
「しからば、参るぞ。想像だにしないこともあったが、得たものは大きかったと言えよう。『住人』の面立ちもすべて記録した」
こうして、俺たちはイドリーさんを無事に講堂から連れ出し、『住人』たちは
「彼らは講堂に入ってしまいましたが....『ゆりかご』にも、気づかれてしまったのではないでしょうか?」
「いや...イドリーに釘付けで、隠し扉にまでは気がまわらなかったろう」
「それならいいのですがね。あの子には
「平気だ、起き抜けの運動だとでも思っておけばいいさ....彼女は