side リン
朝、早速イドリー達と会うために、ホロウに来た私達...イドリー達がいるシェルターへ向かおうとしていたら、意外な人物?が出迎えた。
「ん?あれって...」
「なんか人形みたいなのがいないっスか?」
「あれは.....インフィニティ!?なんでここに....タンザナイトと一緒にいたんじゃ...?」
「....!ミー!!」ピョコピョコ
と、インフィニティが気づいたのか、私達に駆け寄る。すると、何か必死に伝えようと足を引っ張る。
「ミーミー!」
「なになに?何かを伝えようとしてる?」
「...ひょっとして、タンザナイトさん達に何かあったんじゃ....」
「ミーミー!」トテテ....
「あっ、もしかしてついて来てっていいたいのかな?行ってみようよ!」
そう言い、私達はインフィニティの後を追うことにした.....
いざ、目的の場所へ着くと、そこには―――タンザナイトが倒れていた!
「っ!?た、タンザナイト!?」
「タンザナイトさん!大丈夫っスか!?」
急いでタンザナイトの方へ行き、駆け寄った。
―――すると、タンザナイトは意識を取り戻した。
「...う、うう...ここは....」
「タンザナイト!よかった....無事で...」
「タンザナイト、どうしてここに?イドリーと一緒ではないけど....」
「イドリー...?―――っ!そうだった!急いであそこに行かないと....ぐっ!?」
と、ケガしているのに無理に動いたのか、傷がしみだしてタンザナイトは苦しみだす。
「まだ動かない方がいいっス!結構ひどい怪我っスよ.....」
「だ、大丈夫....ここにはエーテルが漂っているから....時間経過で回復する.....」
「わー....やっぱり不思議な体をしてるんだね~....ねぇねぇ!また後で君のことを聞いてもいいかな!」
「リュシア!お前、一回空気読め!タンザナイトさんが重傷だろ!」
「本当にエーテリアスには目がないなあ....」
と、リュシアの奇行に呆れた。
「そんなことより....講堂に行かないと.....イドリーはそこに...いる!」
「講堂って...なんでそこに?」
「あの後、モスが.....訪ねてきやがったんだ.....見せたいものがあると.....罠だと思って身構えていたが....と、とんでもない真実を知った...
「この『町』の真実?....それって一体何なの?」
「話は後だ....一刻も早く....イドリーさんのとこへ向かわないと....!手遅れになる前に!」
と、タンザナイトが気力を途切れ途切れに失いながらも、私達に緊急事態だということを知らせる。
「わかった...取り敢えず講堂に行けばいいんだね!真斗くん、タンザナイトを」
「了解っス!タンザナイトさん、ちょっと失礼するっス」
「っ....」
真斗くんはそう言いながら、タンザナイトをおんぶする形で担ぐ。
そうして私達は、タンザナイトが言ってた講堂へ向かうことにした....
side タンザナイト
狛野の体温を感じながらも、『町』へ着いた皆....講堂へ向かおうとしてる途中、パウルが講堂の前へいた。
「パウルさんだ....講堂の前で何しているのかな....」
そう思ったリンは話しかけると、パウルは弱々しく声を出す。
「....そろそろ澄輝坪に戻ったほうがいいのか....」
「気がかわったの?」
「実は....『町』を探し回って、たくさん飛箋を拾ったんだが、そこにうちの親が飛ばしたものがあってな。見たら『伏汐祭を、毎年家族で過ごせますように』ってあってよ....たったこれだけの願い....なのに、今じゃもう叶わない....こんなはずじゃなかった....パウルっつう人間は傍にいてやるべきだったんだ。どんなに力を手に入れたって、なんの意味もねぇ.....」
「.....まだ踏みとどまっているなら、間に合うと思うぞ」
「た、タンザナイトさん!大丈夫っスか!?」
「ああ、ある程度回復したから....ありがとう、狛野」
そう言って、俺は狛野の背中から降りる。
「そっか、お前もそう思うか....お前ら、イドリーを取り戻しに来たんだよな?彼女は講堂の扉の向こうだ。モスが言うには、彼女は終わりなき闇の中で永遠の眠りにつくらしい....」
「っ!なんだと...!」
「本当に彼女をここから連れ戻せるなら....その時は俺も、お前達と一緒に澄輝坪に戻るべきかもな」
「パウル...お前....」
「行け。モスが偵察から戻ってくる前に、講堂の扉をあけるんだ」
「わかった....ありがとう!」
「...礼はいいさ」
そうして、俺たちは急いで講堂の扉の前に立ち、勢いよく開ける。
―――その瞬間、禍々しいオーラが勢いよく俺たちに襲い掛かる。
「っ....!」
「な、なんスか!このオーラみたいなのは!?」
「ふ、吹き飛ばされそう....」
「.....くっ!」ズザッ
『タンザナイト(さん)!』
俺はオーラに吹き飛ばされそうになりながらも、前へ前へとイドリーさんまで歩き続ける。
「い.....イドリーさん!」
「この声....来てはダメ....ここは危ないわ...」
色々な人の声の幻聴を受けながらも少しずつ近づいていく.....
「何言ってんだ....んなもん、百の承知だ!」
「私はずっと.....流れに身を任せてきたの.....そうすれば、みんなの物語に溶け込めると思っていたから....」
段々と幻聴が大きく響き渡り、今でも気が狂いそうになる....
「けど、結局みんな離れていく....わたしはここに残る....私を呼ぶ声が....彼らをおい行けないわ....わたしは....真なる渇望を受け入れなければ.....」
「その声に...耳を....向けちゃダメだ!!」
「タンザナイト!」
「無茶っス!巻き込まれるっスよ!」
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
傷ついた体で、なんとかイドリーさんの前まできた俺は、イドリーさんの手を必死に掴み取った!
「あっ...ダメよ、もう物語は終わったのだから....わたしはもう眠りにつかなきゃ....だから....」
「お前の....物語はぁ....まだ――――プロローグしか終わってねぇだろぉ!!」
ザパァァァァンッ!!
俺は今を持てる力でイドリーさんを禍々しいオーラから解放させた。
「や、やった!」
「す、すげぇス。やっぱりタンザナイトさんは....」
二人が感心している中、イドリーさんは呟く。
「私の....物語....」
「ハァ....ハァ....そう。だから、ここで寝ちゃダメだ.....プロローグだけかいて打ち切りなんて、読者として俺は絶対認めない....」
「うぅ...わたしは....」
イドリーさんを解放した余波で、散々うるさかった幻聴は一気に消え去り、元の講堂へと戻った。
「ふぅ....」
「大丈夫、イドリーさん?気分は?」
「悪夢を、見てい気がするわぁ....締め切りに苛まれる悪夢を.....」
「このまま寝たら、その悪夢は現実になるぜ?」
「ごめんなさい、タンザナイト。また君に助けられちゃったみたい....」
「いいって事よ。イドリーさんが無事ならこんなの勲章だ」
「ふふ...ありがとう」
すると、リン達が寄ってきた。
「ふぅ...ひやひやしたぁ....ところで、なんでここに戻ってきちゃったの?後、タンザナイトが言っていたこの『町』の真実って....」
「....それは、ここの地下に行けば分かる」
「地下...スか?んなのどこに....」
「案内するぜ...ちょっと待ってて」
そうして、俺たちは地下へと続く階段に降りてその場所につくと、リン達は驚く。
「な、なんスか。この繭のようなものは....」
「これがモスが言っていた真実....『夢縋り』の本体だ」
「本体って.....まさか、この繭に囚われてるの全員住民ってこと!?」
「そうだ」
そう言い、俺はリン達にこの繭のこと、どうやって『町』はできたかを説明した。当然唖然とした顔をする。
「....んなの、実質人質みたいなものじゃないっスか!?」
「ええ....それに、強引に繭を壊せば、中の人はエーテリアスになってしまうって....」
「だからモスは、イドリーがこの町のものだって...じゃあ彼が最初の住民?」
リンがモスが最初の住民だったと質問するが、イドリーさんは否定した。
「ううん....この町に一番執着しているけど、最初の人間ではないの」
「え?じゃあ誰なの?」
「それは、ランタンベアラーとワンダリングハンターだ」
『!?』
と、聞きなれた声がして、振り返ってみると....
「町の人々にとっては、畏怖の対象であり、決して拒めない来客でもある」
「....モス!」
そこにはモスがぬっと現れたのだった。
「まさか君がまだ生きていたなんてね、ゼロ、だったか?随分爪が甘い人だ.....だけどしてやられたよ、タンザナイトくんが介入したことで、君は『眠る』ことを拒むようになってしまった。彼女に別の夢を見せられて、他人の物語を垣間見るだけでは、もう満足できなくなったかい?」
「モス...お前、そんなことを...!」
「....私は繭たちを捨てたくないし、タンザナイトとの約束だって捨てたくない。私、捨てられるのが何よりも嫌だから。きっと今度は、両方を守れる結末を見つけてみせる」
「ああ、そうだ!とっととこんな場所おさらばしてやるさ!」
すると、リンが『輝磁の匣』を掲げると、繭は反応し、内部から眩い光を放った、ただそれもほんの数秒のことで、その後は何も反応がなかった。
「あんまり反応しない....『輝磁の匣』がこんなにあってもダメなの...?」
「待て、何だいそれは...?こいつも繭が反応するのか!?ダメだ、危険すぎる。こちらに渡してはもらえないだろうか?」
「お断りだよ。すっごく大事なものなんだから」
「タンザナイト、あれ使えるの?ほら、時空なんとかで」
「ごめん、あいつとの戦いで使っちゃったから今は無理だ」
あの野郎、領域勝負に
「ハァ...少しずつでも導きを与えれば、いずれは『町』の一員に...と思ったが、こうも意固地だとな。あくまで『町』の人々を攫おうとするなら、こっちも強硬手段に出ざるを得ない。語るべきことは山ほどある。ランタンベアラーに、ワンダリングハンター、そして未だに繭の外にいる君のことも....だが、もうお互いに我慢の限界みたいだ。まぁ君達を繭に入れて、同胞にしてからでも遅くはない」
「っ!待て!」
モスは言うこと言って、意味深な笑みを浮かべ、姿を消した。
「私達も行きましょう、繭のことをみんなに伝えないと」
「おう!」
そう言って、俺たちは急いで講堂の外へ出るのだった....