side タンザナイト
助けた人々の様子を見ながら回っていくと、突然イドリーさんが何かを見つけたかのように呟く。
「サラ...」
『えっサラ!?どこどこ!』
「過去の幻よ、壁の辺りにいる。再現できるか分からないけど...やってみるわ....」
イドリーさんが壁のところで動作をすると、裂け目と顔がぼやけてるが、サラとモスの姿があった。
『「ああ....裂け目からエーテルが漏れ出てくる....感じるわ、始まりの主が私を呼んでいるのが....」』
『「サラ様、一緒に連れて行ってください!俺も....」』
『「ダメよ、モス。あなたはまだその
『「お願いします!オレの病気のことはご存知でしょう!讃頌会に入ったのも、すべてこの時のためで....」』
『「もう少し待って、モス。私はきっと始まりの主の恩恵を受けて戻ってくる。あなたはあの人が現れるまでここに残り、町を守って頂戴。そして
(あの人?)
『「....」』
『「一人で来ようなんて考えないでね。始まりの主はあなたの謁見を許していないけれど、何も見ていないわけじゃないの。左様なら、モス。頑張って。きっとあなたも、すぐ許しを得られるわ」』
そこで会話が終わった....サラのやつ、あの裂け目を使ったんだな。
「サラはここにいた。けれど、裂け目を通って別の場所に行ってしまったんだ」
「これが『かつて在った扉』....サラが何度もイドリーに再現させようとしてたやつだね」
「見に行ってみる?あの向こうがマインドリーダーの巣かもしれないよ」
『マインドリーダーのことはともかく、確実にサラが通っているんだ。調べる価値は十分あるぜ』
「そうよね。私も一緒に行くわ」
「ふ。てっきりこれで終いかと思ってたが....まだ黒幕がいやがるんだな?俺も行くぜ」
「この盤岳、ここに残りの人々を守ろう....安心して行くがよい。照殿らには我輩から伝えておくゆえ」
「じゃあいこっ!『過去の扉』の向こう側....確かめてやるんだから」
と、盤岳先生はここで待機して、残りの主要メンバーでサラが通った裂け目へ入るのであった....
「ここも....ラマニアンホロウなのか?こんな場所は初めて見るな....」
[衛非地区のマップデータと照合。ここは使われなくなった航空宇宙試験場だと考えられます。最後に人類の活躍が記録されたのは旧都陥落前です]
『ってことは、ここ
「どうだろう。少なくともサラはここに来ていたはずだからね」
「ここはとっても静かだわ~人影はほとんどないし、こんなにみんなの見分けがつくのは初めて」
「ほんと?じゃあ、あたしは誰でしょう~!」
そう言い、リュシアは片方の手を握りしめて、胸に拳を当てながら、もう片方の手を高く挙げて適当に振り回している。
「えーっとぉ....デュラハンに化けた、『夜魔の語り部』ちゃん!」
『えっ』←デュラハン
「正解!さっすが『いちごパフェ』~!」
『しかもあってんの!?』
と、リュシアはさらに調子に乗り、ドヤ顔でチョップを仕掛けるがイドリーさん達は躱したが、そのチョップは背後にあった街灯に見事に命中した。
「やめろよ、ニセデュラハン。そんなことよか、なんかここ変じゃないスか....?」
『変って...何が?』
「デュラハンいま、お手々がすっごく痛いってことしかわがんない...!」
『おう、引っ込んでろオタク馬鹿』
「真斗くんの言う通りだな....ここは屋外のはずだ。やけに暗いけれど、もう夜だったか?」
「夜じゃないよ。ここはいつも、こんな感じ」
すると、子供の姿をしたリュシアがスッと現れた。
『なんだコイツ!どっから現れた!?』
「こどもリュシアじゃん!まだ消えてなかったんだ.....」
「リュシアはどこにでもいるよ。だって、それが『かくれんぼ』だもん。ねぇなんでここにいるの?モスは負けたの?」
「そうだよ。夢縋りたちはみんな帰っちゃったの。『エーテルの海』にね」
「あたし、『ゆめすがり』ってなまえ嫌い。リュシアは『おとう』と遊びたいだけなのに」
『おとう』?一体何のことだ?
「『おとう』と遊ぶ...って、『ワンダリングハンター』と遊んでるの?」
『えっ、『おとう』ってワンダリングハンターなの?』
「うん、そうらしいよ」
マジかよ....ガタイ良すぎんだろおとう....
「あたし今『おとう』とかくれんぼしてるの。『町』で遊び疲れたら、鈴を鳴らせば『おとう』が迎えに来てくれるから。このまえ、リンとエーテリアスじゃないタンザナイトにあった時も、リシュアたち遊んでたんだ」
『もしかして....初めて『町』を見かけた時か?あれ遊ぶつーか、下手したら俺死んでたよね、それ?』
今治ってるけど背中が妙にヒリヒリするし.....
「あ、それとイドリーにもね、ときどきヘンなとこで寝てて危ないから、『おとう』が『町』へ帰してあげてるんだよ」
「そうだったの....気を失うたびに、講堂まで運んでいたのは君達だったのね.....」
「ねぇ。どうして『ワンダリングハンター』のこと、『おとう』って呼んでるの?」
「知りたい?じゃあ、リュシアとかくれんぼね!見つけられたら、教えてあげる」
「へ?あ、ちょ、待って.....」
そう言い、子供リュシアは軽やかに跳ねると、まるで影に溶けたように消えていなくなった.....すると、何か声が聞こえてくる。
「これは....数え歌?」
「子供のリュシアが歌っているようだ」
「本当に私たちとかくれんぼしたいんだね...」
『行ってみよう』
声がする方に向っていくと、イドリーさんが何かを見つける。
「以前、誰かがここに来ているわ....サラではないみたいだけど....」
「幻が見えるのか?」
「ええ、どうやら軍の関係者みたいね」
「この幻....顔はハッキリ見えないけど、声が....」
『知り合い?』
「....そうかも。ここにマインドリーダーがいるかもしれない」
「そう....じゃあ、一緒に探しましょう」
と、いたるところに幻を見つけながら探し続けていると、何やら扉を発見する。
「これは....試験場の安全装置か。開ける方法を探してみよう」
『ここは任せろ。『
「あれ....タンザナイト、その力は今使えないんじゃ?」
『俺だって成長するさ。流石に
そう言いながら扉の前で裂け目を作り出す。
「にしてもあの幻の顔、やっぱハッキリとしねぇな....」
「私が見た通りに再現されるの」
「じゃあ、あたしたちもこんな感じに見えてるの?」
「ええ、タンザナイト以外はね」
『え、そうなの?』
そんな会話をしながら先へ進んでいくと、急にメロディが変わった。
『なんだ?急にテンポが変わったぞ?』
「うん、もうすぐ歌が終わるから....」
「この歌を知っているのかい?」
(多分、昔お父さんとかくれんぼした時にうたったんだろうな....)
メロディが変わったことに戸惑いつつも、進んでいくと、イドリーさんが疲れているのを感じる。
「ふぅ....」
『どうした?具合でも悪いのか?』
「ううん....ただ、幻を再現するのがどんどん難しくなってて...力が衰えてきてるのが、はっきりとわかるの」
『それって、正常な状態に戻ってきた...ってことじゃないか?むしろ良かったと思うが....』
「でも...この力のせいで、みんなに迷惑をかけてきたでしょう?それがようやく役に立つときが来たのに、なんだか悔しくって.....」
「そんなことないって、イドちゃんはもうたっくさんの人を助けてきたんだから」
「ありがとうリュシアちゃん。でもわたし、もう少しだけ頑張ってみたいの。この物語だけは、ちゃんと最初から最後まで、君に見せてあげたいから」
「....そっか、ありがと」
すると、子供のリュシアが音も無くスッと現れる。
「ねぇ、なんでリュシアを探してくれないの?途中でやめちゃうなんてズルだよ。あたし、ズルする人きらい!」
「待って、聞きたいことがあるの!あのさ、あたしたち....お友達になろうよ。もちろん『ワンダリングハンター』も一緒に....」
「どうしてエーテリアスとお友達になりたいの?」
「うーん....それは何て言えばいいか分かんないけど.....『戦う』だけじゃない気がしてるんだ、あたしたちの関わり方って」
「そうやって人とちがうことばっかしてると、どんどんさみしくなっちゃうよ」
こいつ、子供のくせに結構辛辣な言葉吐いてんぞ!?
「平気だよ。そんなことくらいで見限ったりしない友達が、もうあたしにはいるから。たくさんいるわけじゃないけど、あたしは十分満足してる」
「なら、リュシアたちもいらないじゃん。あんまり欲しい欲しいしてると、ほんとのお友達もいなくなっちゃうよ」
「へ?」
『?』
本当の友達?一体何を言ってんだ?
と、思っているのもつかの間、子供のリュシアが強引に進める。
「かくれんぼの続きね!」
「ッ...待って!」
そして、子供のリュシアの後を追うようにリュシアも飛び出していった。
「おいリュシア!...ちくしょう、おっかけていっちまいやがった。あいつ、なんだってあんなに焦ってんだ....?」
『....俺たちもリュシアの後を追うぞ』
リシュア達の後を追い駆け続けていると、リシュアが目に入った。そして、その先に
『「ハッ...ハッ.....」』
『「おとう、エーテリアスになっちゃうの?」』
『「リシュア!?何故ここに...ハッ、そうか....幻覚を見るほど重症ってことだな....まぁいい....最後にもう一度、リシュアの姿が見られるなら....」』
『「おとう、エーテリアスになる前に、言い残したことある?」』
『「ある、あるとも!リシュアと....かくれんぼを...いや、たくさんのことを、まだやれていないんだ....」』
『「じゃあ、あたしとかくれんぼしよ?おとう、どんな姿になってもずーっとあたしのそばにいてね」』
『....おとうってことは.....』
「うん、あたしのお父さんだよ。そして、彼の....願い....」
リシュアは幻の父親に触れた瞬間、声と共にすっと消えてしまう。
『「ああ...まったく.....幻の君も...本当に可愛いんだな.....リシュア、すまない―――」』
「歌声が....さっき通ったドアのほうから聞こえるぞ....」
「なら....行ってみよう」
「リシュア....」
「.....」
『リシュア?』
リシュアは全てわかったような感じで震える声で言う。
「そういうことだったんだ....あの子は、あたしの夢縋りじゃなくて....おとうの....おとうはずっと、ずっと....」
「ごめんなさい...再現すべきではなかったのかもしれないわ....」
「そんなことない、むしろ感謝してるよ....やっと『マインドリーダー』を見つけられて、スッキリしたぁ」
「彼と向き合う覚悟が....出来たの?」
「うん。ずっと待っててくれたんだもん。かくれんぼは、まだ終わってない。会いに来たよ、おとう」
『....』
ほんのり涙目なリュシアのを見ながら、先へ進む....そうして、やっと子供のリュシアが見えた。その場所は広い
「すごーい!リュシアたち、もう隠れるトコなくなっちゃった」
「.....」
「んー?嬉しくないの?ほんとにすごいんだよ?」
「ねぇ、みんな....やっぱ戦わないっていうのは...ダメかな。あたしたちはたまたまバッタリ会っただけ、それ以上でもそれ以下でもない...って感じで」
「うん。リュシアちゃんがそうしたいなら、私はいいわよ」
「フン....昔日の丘の連中に『ワンダリングハンター』が手ぇ出さねぇんなら....俺も別にいいぜ」
『まぁ俺たちの目的はサラだしな....』
「ほら、みんなこう言ってくれてるし...!あたしたち戦う必要なんてないんだからさ、君もずっとここに....」
「うーん。リュシア、遊び疲れちゃった。あたしも『おとう』もくたくた、
「そっか。帰っ....ちゃうんだ....」
リュシアは子供のリュシアの言葉の内容を察した....どうやら、
「悲しいの?なんで?おばあが言っていたよ、エーテリアスは死なないって。エーテルになって、『エーテルの海』に帰るの」
「うん....夢を通して『エーテルの海』につながって―――遠くへ行っちゃった大切な人とも、また会える....でしょ」
「うん。だからリュシアたちが『帰っ』ちゃっても、おっきなリュシアの夢で『おとう』に会えるよ。いっぱいおはなししたいんでしょ。ほら、
「....いいよ。あたしだって、途中で投げ出す人なんか大っ嫌いだもん!見てなよ~....!今度こそちゃんと捕まえてやるっ!」
「...ふふ、さぁ最後のかくれんぼだよ。みんなで楽しく遊ぼう」
『Aaaaaa!!』
赤い霧とともに、『ワンダリングハンター』があらわれ、最後の