転生先はエーテリアス   作:YEX

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五章突入!次回の前座らしいが果たして....


遥かなる深淵に臨むども

side タンザナイト

 

あの姉弟子、瞬光さんが去ってしばらく経って....いつもの通りに修行していると、アキラがふときいてくる。

 

「そういえば、この間急に瞬光先輩が訪ねてきたとき、釈淵さんの幻のことは話したかい」

 

『いや...あの時は挨拶だけだったからそんな機会はなかったな』

 

「それに師匠には言わないでって口止めされたけど、こっそり何かしようとしてるのかな?何しろ、私たちが見たのって、あくまで兄弟子とサラの幻だし...前後の流れも分からないのに断片だけ伝えちゃったら、瞬光先輩に間違った判断をさせちゃうかもしれないもん」

 

確かに...全貌が解明するまでそっとした方がいいな。

 

「ああ、そうだな...『Fairy』?このあいだ目印だけつけて帰ってきたあの場所、いま状況はどうなっている?周期性のあるエーテル波動が検出されていたはずだ」

 

[空間の裂け目はすでに安定期に入り、通過がかのうな状態です。『鉱区跡地』と呼ばれるエリアに繋がっていることを確認、安定している周期のうちに探索することを推奨します]

 

「サラがイドリーの能力で割り出した目的地だね。釈淵さんとサラは二人でそこへ向かった....」

 

『なら一度その『鉱区跡地』へ向かってみるか?もしかしたら色々情報がつかめるはずだ』

 

「ああ....師匠の方でも、ひょっとしたら何か手を打ってくれているかもしれない。釈淵さんが無事だといいけれど....」

 

と、これから起こる異変に段々と近づく気配を感じながら、色々と準備を進めた。

 

 

NOside

 

数日前...讃頌会の司教メヴォラクが命を落としたあの夜、釈淵と瞬光の運命を揺るがす嵐がすでにラマニアンホロウの深層で静かに生まれつつあった....

 

「『始まりの主』....そんなものが本当に存在すると、あなたは信じているのですか?」

 

「その目で見たものが、何よりの証左ではないかしら?『始まりの主』はとっくにご存知よ。あなたの悪夢、恐れ、それに....ずっと隠してきた『あの姿』さえも....もう少し、自分と素直に向き合うべきではないかしら?」

 

「!?」

 

「たとえ凡人だろうと、偉業を成就に尽力するなら、『あのお方』はおしみなく力をお貸しくださるわ」

 

サラは左手にミアズマのような邪気を取り込ませる。

 

「貴方の『望み』も....きっと叶うわ....」

 

「僕の....『望み』....っ!」

 

サラは釈淵の顔を掴むと、その力を使う。

 

「そう....あなたの内なる悪夢...ずっと背けてきたのも....」

 

「っ!」

 

彼が見たものは、瞬光が剣にぶっ刺さる場面だった。

 

「どんな代償を払ってでも....阻止したいこと」

 

すると、釈淵の姿が変わり、黒く染まっていく。

 

「...それがもたらす最悪な結末」

 

「やめてくれ!!―――」

 

「――こうならないことを望んでいるんでしょう?主から授かった権威なら―――あなたの()()を一時消し去れる」

 

「っ!!」

 

「これで悪夢から解放されるけれど....妹さんと剣の繋がりは、主にしか断ち切れない」

 

そう言い、サラは去って行く。

 

「瞬光....」

 

釈淵は瞬光の名前を呟き、立ち尽くした。

 

 

side タンザナイト

 

『...ん?外がなんか騒がしいな....』

 

俺は外が何やら賑わってると感じて、外へ行ってみると...そこには瞬光とお客さんが相談している姿があった。

 

「ほほう、女房すら知らんへそくりの隠し場所を当てるとは...お見事じゃ!」

『紆余曲折あれど成就する』....これって、ギリギリだけどテストには合格するってことですよね!?」

 

なんかやってる...占いかな?

 

「ふむ~..世の理はすべての縁の糸、まぁ落ち着け。少しは天の兆しってやつを見せてやろう...」

 

「お願いします、お若い先生。うちのしっぽの可愛い雄鶏がいたんだけど、もう3日も姿が見えなくて....狐にさらわれたんじゃないかと気が気じゃないんです」

 

「むっ、こいつは『翼為風』の卦....翼は鶏に通じ、『入る』という意味もある―――」

 

(なんだか、師匠みたいな喋り方だな....師匠の代わりに占っているのか?)

 

「落ち着けご婦人。雄鶏とやらは不幸な目に遭ったわけじゃなさそうだ。卦象によると、もっと広い空に『縁』と『自由』を求めて旅立ったとある」

 

「まぁ、そうなの?あの子もけっこうなトシなんだけどねぇ....」

 

「えっ?」

 

「なあに、間違いしあるまい。若いからといってこちらの先生を侮ってはならんぞ!ワシはみたんじゃ!『良い品屋』のトラックがガタガタと通りかかったら、荷台の蓋が取れて山積みの箱が落ちそうになった!するとその場にいたこちらの先生が、ひょいと片手に押し戻してしもうたんじゃ!あんときゃまだ、誰も先生が観主代理とは知らなんだが....儀玄先生の身のこなしにそっくりだとみな騒いでおったわ!」

 

「こほん...お安いごようだ。怪我人が出なくて良かったな」

 

「ねぇねぇ、おねえちゃん!あたしの凧...飛ばしてたら糸が切れて見えなくなっちゃったの!戻ってくるかなぁ?」

 

「ええと、見てみるか。どれ....『立木に風吹き、一筋の糸に縁あり』.....凧はどこかへ消えてしまったのではなく、お前さんの願いを空の星へ伝えに行ったんだ。いずれお前さんの背が、そこらの木に手が届くくらい伸びたら....戻ってきた凧が、そこで願いと共に休んでいるだろう」

 

『よっ、姉弟子。ここで何してんだ?』

 

俺は瞬光さんに声をかけると、さっきまでのよどみなく語っていた『観主代理』は、その声に明らかにぎょっとし、目には『見つかった』と言わんばかりの気まずさがよぎった。

 

「ん....?ええっ!タンザナイト!?い、いたんだ....アハハ.....今日は天気も良く...じゃなくて、その....ダメだろうタンザナイト、占いの厳粛な空気を乱すんじゃない。きちんと『観主代理』と呼べ」

 

『え?えーっと....わかったよ、観主代理....?』

 

「よ、よろしい...!弟弟子が、縁起のいい時間は過ぎたと知らせに来た....皆、占いはここまでだ。困りごとがあったら、いつでも適当観に来るといい。コホン...タンザナイト?姉弟子から少し大事な話がある....ついて来い」

 

瞬光さんは平静を装って脇へと移動し、意味ありげな手つきで早くついてくるよう合図した。

 

「ふう...危なかった!もうちょっとでバレちゃうところだったわ....まったく、シシオの言うことはあてにならないんだから!」

 

『えーっと瞬光さん、『観主代理』ってどういうこと?』

 

「それは、その...師匠や福姐さんたちはいま留守にしてるでしょ。適当観に誰もいなかったら、さっきみたく占いに来た人が困るじゃない?だから消去法で一番上の私が『代理』をしてあげよっかなって」

 

『ふーん...そういえばあの時、コソコソとしていたが....』

 

「それは....ちょっと、いろいろ事情があって。私、師匠に言われてずっと山で修行してるから、自由に外に出られないの。だからもう退屈で退屈で!」

 

『は、はぁ....』

 

ずいぶんと鬱憤が溜まってたんだな.....

 

「そしたら、ちょうど修行がひと段落したところで、師匠と直弟子たちが慌てて市内に行ったって聞いたから....もちろんお兄ちゃんもみんなと一緒なのよね?これはもう大チャンスだと思ったの!」

 

『お兄ちゃん?...アッ』

 

そこでふと、葉釈淵について思い出す...この感じだとまだ知らないみたいだな....今話すのは気が引けるし....タイミングを見計らおうかな。

 

「ここ数日は、私とシシオで『弱きを助け、悪をくじく』を存分にやってきたの!あなた達や師匠が大活躍したお話もたくさん聞いたわよ。『讃頌会』の陰謀を打ち砕いたとか、荒ぶるホロウを鎮めたとか....もう聞いてるだけで胸がドキドキした」

 

『お、おう...そうか。そう言われるとテレるな...』

 

「なのに私たちの大冒険は...その、ちょっとした壁にぶつかってて。急いで出てきちゃったせいで、気がついたら冒険資金が底をつきそうになってるじゃない...!もうどうしていいか分かんなくなってたときに、ふふん....私の目の前に『ひょこっ』て現れたんだよね」

 

『...誰が?』

 

「そう、我が導きの後輩ちゃんが。この衛非地区で頼れるのはあなただけなの!お願い!私とシシオを適当観に泊めて!こっち側でいま私が頼れるのは、あなただけしかいないの!」

 

『泊めるって言っても...適当観って雲嶽山のものなんだから、姉弟子にとっては第二のお家みたいなもんでだろ?来てくれるなら賑やかになるし....もちろん大歓迎だぜ。』

 

それに俺とリン、アキラ以外にも弟子がいるし、何があってもスグ助け合えるからな....

 

「それもそうよね!あっ、でも他の弟子かぁ....ねぇ、ちょっとした....本当にちょっとしたお願いがあるなるんだけど....」

 

『お願い?』

 

「じゃあ...私に向って、とにかく『瞬光先輩』ってたくさん言って!」

 

『えっ...?』

 

なぜ急に...?

 

「え、ダメ...?」

 

『いや、ダメじゃないけど....しょうがないな―――瞬光先輩、瞬光先輩、瞬光先輩!....どう?』

 

はぅ....!もっと聞いてたいけど、ちょっと状況が状況だからね。じゃ...名残惜しいけど、これからは私のことを『先輩』って呼ぶの禁止。特に人前では『光ちゃん』って呼びなさいよね。こっちもあなたのこと、名前で呼ぶから!」

 

光ちゃん....!?ちょっとそれはハードル高いな....瞬光さんにしてくれ....

 

「そして私の身分だけど...適当観にいる他の弟子達には内緒。せっかく山を下りられたのに、皆にバレたらあっという間に師匠の耳に入って、惨めに連れ戻されちゃう」

 

師匠に連れ戻されちゃう?....あの流れに身を任す師匠にしては、よっぽど瞬光さんに目を光らせてるのか?

 

『いいぜ。同門の人に聞かれたら、『雲嶽山に憧れる友達』ってことにしようか。顔が知られなかったらギリ誤魔化せれるはず...』

 

「やった!タンザナイト大好き!じゃあ決まりね!師匠も福姐さんもいない以上、万が一のときはこの姉弟子がしっかり守ってあげるわ!うんうん、これぞ姉弟子って感じでなんだか嬉しくなっちゃう!何と言ってもこんなこと初めてだもの」

 

瞬光さんが楽しそうに話してたそのとき、扉のほうから、助けを求める声が響いた。足早に扉の方へと向かった.....

 

「やぁお若い先生が...うおわぁぁぁ!?え、エーテリアスだぁ!?ここには儀玄先生が直々に取ったお弟子さんがいると言われたのに!?」

 

『落ち着け。その弟子が俺だ』

 

「え...?あ、ああ、た、確かにその一人はあの有名なエーテリアスとっていたけど...まさか――し、失礼しました!」

 

(初見だとやっぱり驚くよね....)

 

『....ハァ、そんなことより、何しに?』

 

「あ、ああ....俺はこのあたりで鉱夫をやってる貫ってもんだ。鉱区跡地でトラブルがあってな....鉱夫仲間たちと、盤岳先生んとこの道場に通ってるやつが、ミアズマに閉じ込められちまったんだ!」

 

()()()()()()()()?確かポーセルメックスは今操業を停止してるはずじゃなかったか?俺の知る限り、いま現場を仕切ってる人はそういうの絶対破らない人だとは思うが...』

 

「いや、生産エリアのほうじゃない。鉱区跡地はかなり古い鉱山で、採算が合わなくなってからほとんど放棄された場所なんだ。というのも、あそこじゃ10年前...ミアズマの大量発生で多くの鉱夫やその家族が命を落としたんだ。設備や機械も置き去りのまま、長いこと忘れられたんだが....」

 

『ほうほう...』

 

「最近、あの辺のミアズマが沈静化したらしく、それがまるで『引き潮』のようだと話題になったんだ。それでピンときたマネージャーか何かが、状況をろくに確かめないまま....再開の為だとかいってこっそり何人かを調査に行かせちまったんだよ」

 

ええ...何やってんのそのマネージャー....確認しないままホロウに突入なんて自殺行為もいい所だぞ?

 

「10年前の事故を生き延びた鉱夫連中の中には、この機会に、あそこから思い出になるようなものを持ち帰りてぇってやつもいた。だから俺たちもノーとは言えなかったんだ」

 

『....』

 

「けど、こんなことになるなんて...!巻き込まれた道場の弟子ってのも、恐らく用心棒を買って出たんだろうが...結局そいつも帰ってきてない。ポーセルメックスが何人か助け出してくれたらしいが、それ以外はまだ目途が立っていないらしい。今動いているのはポーセルメックスの手配した人間だけ、おまけに当の盤岳先生にも連絡がつかないときてて...どうにも不安だから、適当観を頼らせてもらうことにしたんだ」

 

「貫さん、心配しないで!私が一緒に行くから、案内をお願いできる?」

 

鉱区跡地か.....その場所はまさにサラと兄弟子が向かったところだね。救助に向かうなら、瞬光さんがと一緒に二人の手がかりを探せるかもしれない...

 

『俺も行くぜ、瞬光さん!ちょっと準備したいことがあるから、貫さんは座標だけ教えてもらっていいですか?俺たち、後ですぐ向かいますので!』

 

「わかった!俺は戻って救助を手伝おう。お二人とも、恩に着る!」

 

そう言い、貫さんは情報を伝え、慌ただしく立ち去る...よし、早速リン達に相談だ!

 

「タンザナイト?さっき一瞬考え込んでたけど...どうかした?大丈夫よ、ホロウで救助活動をするなら私一人でも平気だもの。姉弟子を信じて待ってなさいよね!」

 

『....実はな瞬光さん、さっきの場ではちょっと言いづらかったことがあってな。たぶん師匠たちも秘密にしてたんじゃないかなって思うが....俺らは衛非地区に来る前に、別の顔があってねだな....あの兄妹、『プロキシ』なんだよ』

 

「そうなの!?人って見かけによらないわね...!そっか...滅多に弟子をとらない師匠が、いきなり後輩をくれたのも納得かも。ってことは、私達―――」

 

『そゆこと。さっきの瞬光さん、心配で今にも飛び出しそうだったから...一旦二人に状況を伝えなきゃだけど俺たちもホロウへ救助に行けるぜ』

 

「うん...!危ない目に遭ってる人がいるなら、それを助けるのは雲嶽山の使命だよ!それに盤岳先生には、私もお兄ちゃんも、昔お世話になってて...最後に話したのはもう何年も昔だけどね。先生の教え子が困っているなら、当然私は黙って見過ごしたりしない」

 

へー....瞬光さん、盤岳先生と知り合いだったのか...意外だな。

 

「そいつはいい。実は俺らも前に盤岳先生に助けてもらったことがあってだな...おかげでこうして連絡が取れるってことよ」

 

そうして、盤岳先生に連絡はしたものの、応答はない...ひとまず二人にさっきの情報を伝えるため、部屋へむかうのだった....

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